ありふれた食文化の本ではない
2022/12/06 09:45
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありふれた食文化の本ではなく、食の歴史 文明史 技術史をできるだけ分析的、自然科学的に捉えようとした著作である。料理と科学の関係を一種の哲学的に考える手法はとても新鮮であった。自然科学でも調理でも、偶然ではなく再現性を重んじる点で共通している。いろいろな新奇なテクノロジーが紹介提案されているが、3Dフードプリンターとその基礎情報となる「録食」が印象深かった。
途中に挟まれた手書きっぽいイラストが微笑ましくてとても良い。
「食」文化の進化史、予測
2024/01/27 23:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
「食」を生物的側面、進化史的、概念、文化史でとらえた一冊。気づかされる点もあったが、どこか羅列的に見えるところも多かった。3Dプリンタ、昆虫食、培養肉は副題になっているけれども、そうしたフードテック的な記述はもちろん触れられていても本書の趣旨からはメインではないので注意。
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食の学者さんの、優しい語り口と深い洞察で食べ物の過去・未来を語る書。
人間という動物の本能。
食べるものの変化による人体の変化(調理することになったため、他の動物に比べて消化吸収の良いものを食す―そのためにヒトの腸は短くなった)
一家団欒という絵姿は、1950年代から作られた、実は最近のもの。
色んな切り口で書かれている。日常の「食」に対しての考える視点が増えた。
だからどうすべき、という断定はない。
最後の、すごく共感したのは、「…小さな頃に、アニメやマンガ、…などでワクワクさせてくれた大人たちのありがたみを感じるようになりました。その一方で、私は、次の世代に何かワクワクするものを提供しているのか、新しい世界を切り開く可能性を示しているのかと自問自答しています。少なくとも、未来の食に希望は抱き続けたいと思っています」
食って、みんなが関心あって、でも、その関心のあり方が人によって全然違う。
調理器具も発達しているものの、例えば包丁など、器具に置き換えるよりも便利なものはそのまま使われ続けたりする。
生物としてのヒトの遺伝子レベルでの定め、原始的な物理の法則、最新鋭のテクノロジー、人間心理学…すべてを食は内包していて、やっぱり面白い!と思いつつ、、自分なりにどう整理していくかが課題でもあるな、と。
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<目次>
序章 食から未来を考えるわけ
第1章 「未来の料理」はどうなるか~料理の進化論
第2章 「未来の身体」はどうなるか~食と身体の進化論
第3章 「未来の心」はどうなるか~食と心の進化論
第4章 「未来の環境」はどうなるか~食と環境の進化論
<内容>
斬新な内容。「食」を切り口に、料理、身体(健康)、心(食に関するさまざまな気持ち)、環境(生産とかキッチン、食卓)を過去・現在・未来で分析していく。ややついていけないところもあったが、その視点は面白い。
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総花的に食のあらゆる面について語っている。
知らなかったこともいろいろ教えてくれるが、それぞれが浅すぎて食い足りない感じ。
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食の過去と未来について、社会・文化的な側面も踏まえて、刺激的な記述が続く。
新書の見本のような本。
・瓶詰め、缶詰、レトルトなど食の保存が飢餓の恐怖心からの解放をもたらした
・人が肥満した仮説。1.節約遺伝子説。2.料理仮説
・ストレスを引き起こすと、女性はエネルギー摂取過剰に向かい、男性はエネルギー摂取抑制に向かう
・世界の絵本や昔話の約8割が食べ物がらみ。
・食も性も「交流性・一体性」と「攻撃性・非攻撃性」の領域に分かれている。
・おいしさ弱者:幼少期・高齢期・災害時
・動物で人間だけが共食をする
・日本のフードマイレージは世界一
・レシピサイトの検索窓に一番登場したワードは「簡単」
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未来の料理、身体、心、環境について過去、現在、未来の切り口で書かれていて読みやすい。
「次の世代に何かワクワクするものを提供しているか自問自答」に共感。AIの進化は目まぐるしく、利用すべきだけど、食についてはそれだけでは足りないものがあると改めて気付いた。
所々の可愛い挿絵からも色々考えさせられた。
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フードテック革命を読んだあと、関連していそうでしたので読みました。テクノロジー以前に、食とはなんなのか、人が進化してきた過去の中で食がどんな役割を担ってたのかという基本的な知識を得ることができました。
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食に関する事柄を、広く浅く取り上げている感じ。
火を通すと食品からのエネルギー摂取効率が上がる、というような話は面白かった。こういう他の生物学(医学や薬学など)とは違った切り口からの食の科学にもう少しフォーカスしてくれると個人的にはありがたかった。
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料理、身体、心、環境の4つの面から未来の食を語っているように、食は「お腹がすいたから食べる」だけでなく、多くの面から影響を受け、与えていることがわかる。だからこそテクノロジーの力でポジティブに変化させていくことは本当に意味がある。
新しい技術、食材を使った料理は他の分野以上に人の心理的なためらいがはっきりあらわれる、という話は本当にそうだと思う。人よりミーハーな自分でも昆虫食なんて食べたくない。が、"食界のApple"のような、消費者に対するストーリー作りが上手く、「この会社が出すなら食べないと!」と思わせられるような、スタイリッシュで先進的、そして前提として安心できるような企業が出てくるとだいぶ世界が変わっていくのでは、とも期待するので早く出てきて欲しい。
コンビニや宅配ができて簡単に食欲を満たせられるようになった今、自分にとって食欲は「満たしてもまたやってくる面倒で不気味なもの」という感覚で、むしろ食べることは「アイデンティティを表す行為」という感覚に自然となってきた。ファッションにこだわりはないけれど、オーガニック食品だったり流行りのレストランだったり、食の方がアイデンティティを感じやすく、「何を」「どこで」「いつ」食べるかの方が重要だったりするのは事実感じている。本書で出てくるように、多様性の多様化(スーパーダイバーシティ)に伴う細かい需要を、3Dプリンタと食のオープンソース化によって満たすことができると、食によってアイデンティティを創出する、という行為は1人1人に実現できるような気がする(食のファッション化?)。そうなるとむしろ"同じ料理を一緒に食べる"ことが珍しくなり、そのこと自体が相互に対する強い愛情表現になっていくのかも。
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「どんなものが作れるようになるのか」という技術的な話だけじゃなくて、「食べるときの心理・おいしさの感じ方」という側面も大事にしながら総合的に「未来の食」について予測を立ててるのが新鮮。
培養肉やフードプリンタを用いた料理なんかは今後確実に抵抗を感じた人たちからの反発はあるはずで、そういう人たちの不安を少しでも払拭するにはデータを示すだけではなくて、この本で示されているような心理面へのアプローチは欠かせないものになってくると思う。
コロナ禍で会食しなくなったり家でごはん食べる機会が増えた昨今。
自分にとっての「食べること・料理をすること」についての価値観を見直す良いヒントになる本だと思います。
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中学受験時事問題
https://jijimon.jp/sapix/
https://note.com/tyuukisya/n/n9441dc649f6a
https://resemom.jp/article/img/2021/04/02/61263/279838.html
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これまでの「食べること」の歴史から、未来の「食」の展望まで。あなたはどんな新しい「食」に興味がありますか?
所蔵情報:
品川図書館 498.5/I76
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「科学道100冊2021」の1冊。
「食」は生きることから切り離せないものだ。生命を維持するために必要であるし、また単に栄養補給の面を越えて、生きる「楽しみ」の1つともなりうるものである。
「食」は時代と共に変遷してきた。「食」が人を変え、人が「食」を変えてきた。
著者は、料理を形作る3つの要素は、食材と調理法と思想だという。どんな食材をどのように調理するか、そしてその背後には必ず、調理する人がどこに重点を置くかという要因がある。
進化の過程で、人類は狩猟や採集などの手段で食物を手に入れてきた。ヒトは基本、雑食性であり、その時々に手に入るものを食べられるように適応してきた。食物を限定してしまうと、それが手に入らなくなったときに死に絶えることになる。雑食に加え、加熱調理を編み出したことで、エネルギーをより効率的に摂取しやすくなったと考えられる。生食よりも調理したもののほうが、消化吸収が高まることが知られている。効率的に栄養を摂れるようになったことはまた、多くのエネルギーを必要とする脳の発展にも役立ったと考えられる。
歴史的には大きな意義があったわけだが、現在ではむしろ、栄養過多による肥満が問題となってきている。
この先の「食」はどうなっていくのかという問題もある。
人口増加を支えられるだけの食物を得ることは可能なのだろうか。
副題にもなっている「培養肉」「昆虫食」「3Dフードプリンタ」などの活用も将来的には考えられるようになるだろう。ただ「食」は、「心」とも密接に関係するもので、テクノロジーとの融合は一朝一夕に進むものではない。人々に受け入れられるものはどういった形かを探りながら進めていくことになると思われる。
その他、キッチンとテクノロジー、神さまからものをいただくことを意味していた「食」、缶詰の発展、ガストロノミーの展開など、興味深いトピックスも多い。
食にまつわるさまざまな話題を盛り込んだことで、いささか散漫な印象も受けるが、未来の「食」はどんな形になるのか、読みながら想像を膨らませるのも楽しい。
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歴史とともに『食べること』の過去と未来について述べられた1冊。人間と食の関わりがよくわかる。ところどころある筆者のイラストや、章末の漫画が可愛らしかった。
体調や好みを入力すると3Dフードプリンタがそれぞれの栄養や好みに合った個別化食が生み出される。
録音するように料理を録食。
こんな未来が来るかもしれない。
東洋の医者のトップは内科医でも外科医でもなく食医だった。食と健康のつながり。
食べるという行為は生命維持のためだけでなく、アイデンティティの構築の役割もある。所属する集団を結束させる一方で、枠から外れる人は排除される。
世界の食肉生産は40%が牛であるのに、スペインは豚の生産高が世界1位。
中世のイベリア半島ではイスラム教徒とユダヤ教徒とキリスト教徒が住んでいた。それぞれのルールの元に肉を扱っており、キリスト教徒は全ての肉を食べ、ユダヤ教徒は動物の血を食べることが禁じられており、処理したものを食べていた。イスラム教徒は野獣・荷役獣を食べることが禁じられており、牛・羊・山羊のみ食べていた。
8世紀以降、キリスト教徒はかつての支配者であるイスラム教徒と豊かな経済力をもつユダヤ教徒を改宗または追放することで勢力の一掃を図った。
改宗者はキリスト教徒に怯えて暮らし、キリスト教徒が好んで食べる豚肉を食べることが改宗の証拠。豚肉を食べることが踏み絵だった。