ルポ 人は科学が苦手~アメリカ「科学不信」の現場から~
著者 三井 誠
新聞社の科学記者として科学を伝える仕事をしてきた著者は、2015年、科学の新たな地平を切り開いてきたアメリカで、特派員として心躍る科学取材を始めた。だが、そこで実感したの...
ルポ 人は科学が苦手~アメリカ「科学不信」の現場から~
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商品説明
新聞社の科学記者として科学を伝える仕事をしてきた著者は、2015年、科学の新たな地平を切り開いてきたアメリカで、特派員として心躍る科学取材を始めた。だが、そこで実感したのは、意外なほどに広がる「科学への不信」だった。全米各地での取材で、地球温暖化への根強い疑問や、信仰に基づく進化論への反発の声があちこちで聞かれた。その背景に何があるのか。先進各国に共通する「科学と社会を巡る不協和音」という課題を描く。
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よくわかりました
2020/04/19 09:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トランプ大統領が行ったパリ協定離脱は本人はもちろん支援者の意向を汲んだもののようだが、その背景にあるアメリカ社会について詳しく知ることができた。
科学技術の最先端国であるアメリカ国民の多くが科学、進化論を信用しないか、懐疑的であることは興味深い。また、先進国でありながら宗教色が強い国民性にも驚く。日本のように宗教色が弱く、形だけの信仰者が多い国とは異なる風景だ。断片的には知っていたが現地をルポした本書の説明に納得した。
代表的エリートである科学者たちは政府支出の研究資金をこれまでは自由に使えていたのだが、トランプ大統領の出現で政府が財布のひもを締め始めたことで慌てているらしい。反エリート主義も国民の間に浸透しており、これも反科学に繋がっているという。科学者は一般国民、特に宗教心の厚い人々からの信頼がなくなっているのではないか。それぞれに事情があるようだが、国民グループの間に起こった科学による分断現象が表れている。分断の原因は科学のみにあるようにも思えないが、重要な視点ではある。
米国のバックボーンが分かる
2019/07/18 11:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サッサン - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ合衆国は科学と宗教に支えられているとは認識していたが、本書は特にその非科学性と宗教性に焦点を当てて合衆国の背景を解いている。著者は私見と感情をできる限り抑えて、客観的にまた具体的にアメリカの非科学性と宗教性を解説するので、内容は説得力ありです。通読するだけで、トランプ現象など何ら不思議でないと思えてくるのが恐ろしい。次期大統領選で、トランプが再選されるかどうかは、有権者の理性と宗教性を測る物差しになると同時に、アメリカと否が応でもその影響を受けざるを得ない世界の未来を占う水晶玉!になるように思える。一読の価値はあった。
科学が苦手とは
2022/01/21 15:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間も社会もここまで進歩した今、人間は科学が苦手ってどういうこと?と思いつつ、読み始めた。
まえがきにこうあった。
「人は自分で思っているほど理性的に物事を考えているわけではない」と。
つまり、頭では科学的に考えているつもりでも、人間が何かを判断するときに、実際には感情や政治的信念などが優先されているというのだ。
その具体例が、さまざまな具体例とともに紹介されていて、説得力がある。
「人は自分の見たくないものは見ないし、自分に都合良くデータを解釈することもある」という。
アメリカでは神による創造論を信じ、進化論を信じていない人がそれなりにいるとか、地球温暖化問題を陰謀論にすり替える人がいるというのは聞いたことがあったが、
そうした人たちも、単に知識が不足から、そうなるわけではないのだ。
そこをうまく伝えるためには、論理、信頼、共感が必要というのは確かなのだろう。そこがなかなか難しいのだろうけど。
勉強になる一冊だった。
二極化の報告
2019/07/18 11:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学や事実を軽視するトランプの振る舞いに異を唱えるのは「リベラル、高学歴、民主党支持者」だ。要は「いけ好かないヤツら」とまとめられてしまう。「共和党支持、信仰に厚い」そして意外にも「アメリカ的独立自尊精神に富む」という属性の人々から見れば、トランプは既成科学帝国からフリーな価値観を持つヒーローである。アメリカではこうした国民の二極化が進行中。科学的知識の普及、ファクトの追及といった運動も活発化しているが、はたして実を結ぶだろうか? このあたりの問題意識をもった理系記者が、在米中の取材をもとに書き上げたルポ。