商品説明
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』『星の子』が芥川賞候補となった話題の著者による待望の最新作。
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視点
2019/07/22 13:38
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
公園や商店街に現れる、むらさきのスカートの女。彼女の行動を<わたし>の視点で描く。駅前のシティホテルの清掃員に導き、先には思わぬ展開が。芥川賞受賞作というと、何故か独りよがりな小説が多く、本作も多少、その傾向はあるものの、他の作家にはない構成、視点は評価されてよかろう。
読みやすい!!!
2019/07/24 23:12
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、芥川賞受賞作品を読んで、
ガッカリする、がっかりさせられる比率が高かった。
でも、今回は違った!!!!
ビックリした。
こんなに読みやすい小説を書ける人間がいるんだ。
うまい。
どんどん読めた。
おもしろかった。
そもそもの読書の楽しさを味わえた。
ありがとう。
狡い人間の生態を克明に映し出している
2019/08/24 02:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:undecane - この投稿者のレビュー一覧を見る
平易で精密な文章が読みやすく、そして複雑なネットワークが見え隠れする今村先生の良作。
隠喩、直喩に留まらない換喩、提喩といった比喩表現も積極的に用いられている。
既出の『あひる』に見られるような"固有名詞の無さ"加減は極まりすぎて突き抜けている。加えて、クライマックスの部分は現代社会に対してのメッセージが分かり易く示されている。
過去に太宰治賞を受賞している今村先生。
彼の作家の著作『人間失格』の主人公葉倉に対するクライマックスの表現、「神様みたいな良い子」と関連付けて見ることができる点が面白い。
今村先生は"聖母"を救済を求める対象とし、主人公は"聖母"からその席を譲られてしまったように見える。(逃げられたとも、押し付けられたとも言えそうだが)
この他にも何気なく書かれているワードの一つ一つに重みがある。
こんなに狭い世界の描写で、よくこれ程のことを主張できるな、表現できるなと僕は思った。
本作を薄っぺらく感じる人は、普段相当難解な書籍を読んでるか、字句通りに読み流したために読みこなせていないかの何れかだろう。悪いこと言わないので、下記のワードに注目して再度読み直してほしいな思う。
以下気付くと解釈が変わると思われるワードの部分を挙げる。
(ネタバレにならないように注意したが、なっていたら申し訳ない)
p16新聞の人生相談コーナー
p21バザー
p44果物が嫌い
p52オレンジを食べる
p55動物園
p65飲めない人、下戸
p74注意書き
p78聖母
p87生臭い匂いのシャンプー
p88無理やり合わせている
p112腐ったバナナ
p116血みたいな色の爪
この他にも注目したい個所はあるが、この辺だけでも抑えると見方が変わる方、出てくるのではないだろうか。
むらさきのスカートの女への周囲の評価、ベンチ、子どもたちによるタッチ、フレッシュフローラルなシャンプー、「ともくん」の回数、が意味するところも大きい。
猶、関連ワードの変遷や、ワード登場時の周囲の状況、に注意すると読み込みが深くなる。
短い作品なので、是非、一度と言わず、三度くらいは読んで欲しい。
リアルの枠を越えそうなスピードを出しているのに越えない
2021/01/23 11:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
語り手は、幽霊というオチか? 最初は読みながらそう思った。でも、スイスイと人混みをすり抜けるのが得意な「むらさきのスカートの女」に突っ込もうとして、するりんと身をかわされ、勢いあまって肉屋のショーケースに激突し、多額の修理代を請求されたという場面が最初の方にあった。語り手はフィジカルな体験も話している。幽霊ではない。
話はテンポよく進み、加速していき、急カーブも迫るが、ぎりぎり曲がり切る。リアルの枠を越えそうなスピードを出しているに越えない。運転技術が高い。運筆技術か。大変面白かった。
話しに引き込まれていきます
2020/12/30 21:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりすたるくりきんとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
むらさきのスカートの女がどのような行動を取っていくのか興味津々でした。
公園のベンチが何かカギになっているのか、もしや職場かといろいろと考えながら読んでいました。
最初から自分自身がその場に居合わせているような感じでした。
迫りくる面白さ
2020/12/21 18:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「むらさきのスカートの女」と近所でネタにされているが実は然して面白味もない普通の女、この女を観察する一人の女が語り手。むらさきのスカートの女と親しくなりたいと思いながらも接触はせず遠回しに工作し近付き、観察をエスカレートさせる姿が、行動力があるんだかないんだか分からずとても薄気味悪くて、言葉にならない恐怖を覚えた。独り虚しい主人公が、勝手に自分と似ていると思い込んだ人をターゲットにただただ“見るだけ”のストーキングをする本作は、待ち合わせなどで時間が余った時にふと人間観察をする感覚の延長の様に思い、観察ののめり込み方は置いておくとしても共感は出来たし、非常に面白かった
黄色いカーディガンの女
2020/11/25 15:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やっほー丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
終始、ページをめくる手が止まらなかった。続きが気になってしょうがないという感じ。ある種の恐怖感や怖いもの見たさかな?
最初はまともな人間だと思っていた主人公に段々と疑問符がつき始め、最終的に読者の足元をふらつかされるような感覚でした。なんと表現すればいいのか…とにかく楽しく読ませて頂きました。
気になっていたむらさきのスカートの女
2020/07/26 19:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
気になっていたむらさきのスカートの女、やっと読む事ができました。
読みやすい文章、観察している女性は、何故、ここまでして、むらさきのスカートの女を知りたかったのか?
何をどう感じたら、読者として正解なのか、一読ではわかりませんでした。死んでしまったと思った所長さんが生きていた、しかも、職場で、むらさきのスカートの女との関係が問題にすらなっていなかったことの不思議。それは、所長さんのお人柄が影響あるのか?職場での立位置?
所長さんの奥さんも何も疑いも無く。
最後に、待ち合わせをしたと主人公が思っていた場所にむらさきのスカートの女はいなかった!いたら、どうするつもりだったのだろう?
私には、何も掴め無かったけれど、どこか、読んでいて、今の状況から解放される作品でした。
題名が
2019/12/31 18:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホラーなように思ったが、なかなか興味深いあらすじで面白そう。
しかも「むらさきのスカートの女」が近づいてくるのではなく、こちらから近づけるように誘導するとは面白い。
「むらさきのスカートの女」は本当にいたのだろうか
2019/08/30 08:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第161回芥川賞受賞作。(2019年)
選考委員の選評を読むと、おおむね好評で、宮本輝委員は候補作の中でこの作品だけが「人間というミステリアスな存在へと筆を向けていた」と褒めている。
今回が最後の選考委員となる高樹のぶ子委員の評がこの作品を端的に語っているように思った。引用すると「語り手と語られる女が、重なったり離れたりしながら、最後には語られる女は消えて、その席に語り手が座っている。」となる。
タイトルの「むらさきのスカートの女」が「語られる女」で、「語り手」である「わたし」は「黄色いカーディガンの女」として登場する。
小説で「わたし」として語られる「一人称」の場合、当然自分が見た世界だけが描かれることになる。
この作品でも「むらさきのスカートの女」の奇行ともいえるさまざまな行為は「わたし」の視点で描かれているはずだし、同じ職場で働きだした女の職場での行為を克明に描けるとすれば「わたし」は女の近距離にいたことになる。
それでいて、女は「わたし」の存在にほとんど気づかない。
まるで女の視界に「わたし」がいないかのように。
いや、「むらさきのスカートの女」こそ最初から不在であったかもしれない。
まさに最後の場面で二人の女が入れ替わったような印象を残しているが、入れ替わったのではなく、最初からの不在を証明したのではないだろうか。
堀江敏幸委員は「いびつさをなにか愛しいものに変えていく淡々とした語りの豪腕ぶり」と選評に書いているが、その豪腕ぶりを今後も期待したい。
最初の一作に
2019/07/19 14:07
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぷりしら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーの起伏がはっきりしていて今村氏の作品の中では一番読み易いかも。
とは言え、今村氏特有のざわざわした不穏な感じは健在。
今村氏未読の方には最初の一作としてお勧め。
この作品で自分に今村氏が合うかどうかを判断してもらって
合いそうと思う方は他の作品も読んでほしい。
どうなるの? どうなるの? えええーー!
2023/07/03 17:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タカミー - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「こちらあみ子」を観てから読書・・・が、初の今村夏子。オードリーの若林さんが今村夏子さんの作品好きなんだよねぇと言ってたのを聞いて2作目の今村さん作品。
興味本位でむらさきのスカートの女を観察し始めた 黄色いカーディガンの私。私目線で語られていきます。読み始めると どーなってくの?と気になってスルスル読める。
社会から置いてかれてる人を描くのが本当に上手。
最後 まったく 思いもしない展開に えーーーーなにこれって感じでした(褒めてる)
予想をはるか超えてて へぇーーーーの境地。他の作品も読んでみたいっ。
はっきりしない気持ち悪さ
2022/07/21 23:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすい、というか
ぐいぐい読まされていくのです。
何が正しいのか、どっちがおかしいのか、
はっきりわからないまま終わる気持ち悪さ。
でも、印象に強く残ります。
身から出たさび
2021/06/01 22:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公=語り手のイメージが膨らみ、いつしか目的が転移し、自分が食い潰されそうになる。
筆者の作品はテンポよく進むうちに語り手、語られる人ばかりでなく、第三者が踊らされる様子も恐い。恐怖の本質をついたモダンホラーかもしれない。
傍観者の小説
2021/05/30 19:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キクチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
傍観者小説、といった物言いが適切か。 というか、終盤につれむらさきのスカートの女が付き合い始めたり脅迫をしたりする一方で、主人公は人間らしい生活を失っていくという対比構造も凄い。この小説には世間一般でいう「頭のおかしい人」しかいないのではないか。