私が最も印象に残った箇所は、1652年ごろに記されたとされる「秘事作法」について取り上げたところ。この「秘事作法」は岡山藩池田の殿様に仕える奥女中向けの「張り型」How to 本。筆者とされる秀麗尼は経歴不明だけれど、当時の殿のお手つきでありながら子を成さなかった奥女中は俗世間への復帰は認められず尼となるのが通例だったそうで、対象とする読者が池田藩限定であることから考えても彼女自身も池田の殿様のお手つきだった奥女中なのでしょう。
ここではその内容はすっ飛ばしますが、私の印象はこの「お手つき奥女中の還俗が許されない」ポイントです。確かに地元に帰ってすぐに子を成した場合、もしくは数十年経ってから「実は落とし胤です」とポロポロ出てこられることは容易に想像できるわけで(子供がゼロでも同じ村の赤の他人であり得る)、殿様サイドからすれば当たり前の措置なんだろうけど結婚前の行儀作法見習いのために数年だけ勤めようかなぁなんていう奥女中にしたら一生を棒に振るようなとんでもない刑罰のような。