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電子書籍
戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇
著者 堀川惠子
1945年8月6日、広島で被爆した移動劇団「桜隊」。著者は、その演出家・八田元夫の膨大な遺品を、早稲田大学演劇博物館の倉庫から発掘する。そこには戦中の演出ノートやメモ、草...
戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇
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戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇 (講談社文庫)
商品説明
1945年8月6日、広島で被爆した移動劇団「桜隊」。著者は、その演出家・八田元夫の膨大な遺品を、早稲田大学演劇博物館の倉庫から発掘する。そこには戦中の演出ノートやメモ、草稿、そして原爆投下による悲劇の記録が書き残されていた。
八田が残した記録やメモには、大正デモクラシーの下で花開いた新劇が、昭和に入り、治安維持法による思想弾圧で、いかに官憲に蹂躙されたか。自身や俳優たちの投獄、拷問など、苦難の歴史が記されていた。さらに、桜隊が広島で遭遇した悲劇の記録――。8月6日、八田は急病で倒れた看板役者・丸山定夫の代役を探すため、たまたま上京中だった。急ぎ広島に舞い戻り、10日から仲間の消息を追う。「桜隊」9名のうち、5名は爆心地に近い宿で即死。仲間の骨を拾った八田は、座長であり名優と謳われた丸山定夫や美人女優・園井惠子ら修羅場から逃れた4名の居場所を探し当てるが、日を経ずに全員死亡。放射線障害に苦しみながらの非業の死だった。八田自身も、戦後、放射線被爆に悩まされることになる。16日、避難先の宮島で臨終を迎えた丸山の最期に八田は立ち会った。前日、玉音放送を聴いて丸山は呟いたという。「もう10日、早く手をあげたらなあ……」10日前、8月5日に降伏していれば。本書は悲劇の記録である。と同時に、困難の中、芝居に情熱のすべてを傾けた演劇人たちの魂の記録でもある。
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紙の本
強い強い演劇に対する思いと強い強い仲間への思いに感動しました
2022/01/03 10:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者堀川さんのファンです。
戦争や原子爆弾、死刑に関する作品のなかでは、少し違う「劇」に関するもので
興味深く読みました。もちろん戦争、原爆とはとても密接な関係にある話でした。
原子爆弾による、怪我や病状の悲惨さもショックなのですが、当時の時代背景からの弾圧や拷問にも負けない演劇に関する情熱と仲間への限りない思いに涙が止まりません。
昔の話ではなくて、今現役で活躍されている役者さんとも接点があることを知り、『戦争』も引き継がなくてはならないと改めて感じました。
作者の取材力に頭が下がります。
紙の本
時代
2021/10/27 05:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TAROLEB - この投稿者のレビュー一覧を見る
堀川さんの本は三冊目だが、死刑囚から全く違うテーマながら、裏にある思い、命に対する想いが伝わった、新劇という全く知らない世界ながら、戦争に抗い、市井に沿おうとしてきた演劇人の熱い想いに感動した。と同時に、「不要不急」という一言で文化活動を切り捨てる政権に、戦時と同じ危うさときな臭さを感じた。まさに「あの時と同じ空気が」漂っていることをひしひしと感じる。ノンフィクションとして丹念に調べていることもすばらしい。いずれも傑作ですので、ぜひ一読して欲しい。余談ですが、ケラリーノさんの解説も必読です。