紙の本
伝説の裏の買収劇
2020/06/28 20:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1988年と聞くとやはり反応してしまう、パ・リーグ者としては。
テレビ朝日が「ニュースステーション」の中で放送を続けた伝説の10.19ロッテ対近鉄のダブルヘッダー第2試合だけでなく、阪急の身売り、そして南海の身売りと福岡への移転。なんでこんなことが同じ年に起きるのかと、興奮し、胸を痛めたことは今もよく覚えている。
本書で印象に残ったのは、伝説のダブルヘッダーではなく、二球団の身売りに関する章。周到に準備され、練りに練られた戦略で進められた買収劇。ひとつタイミングが違っていたら、福岡移転を果たしたのは別の球団かもしれなかったという事実。企業買収に関するビジネス本を読んでいるような錯覚に陥り、あれは紛れもなく昭和最後の大事件だった、という思いがよみがえる。嗚呼、それにしても阪急身売りの発表が10.19だったのはなんとも残念すぎる。
紙の本
パ・リーグのターニングポイントだった1988年に迫るノンフィクション
2020/05/28 16:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
1988年のパリーグと言えば、10.19の川崎球場でのロッテ-近鉄のダブルヘッダーを思い起こす方が多いのではないでしょうか。しかし、南海ホークスがダイエーに買収され本拠地を福岡に移すという大きな動き、そして阪急ブレーブスがオリックスに買収されるという事態が発覚したのも実は1988年の秋だったのです。
本書のタイトルを見ると、ロッテ-近鉄のダブルヘッダーを主題とした本のように思えますが、本書の大部分は南海ホークスと阪急ブレーブスの2球団の買収がどのように水面下で進められたのかを描いています。
マスコミに絶対に知られないように極秘に交渉を進めて行く過程を、当時交渉の当事者であった多くの人への直接取材で明らにして行きます。実はダイエーが当初買収を働きかけていたのがロッテだったという事実は本書を読んで初めて知りました。
そして本書の最後はロッテ-近鉄のダブルヘッダーの舞台裏にも触れています。当時のロッテ有藤監督がなぜあの試合の勝利に執着したのか、あの試合の球審を務めた方の興味深い証言、野球中継を拡大し、ニュースステーションで急遽放映することを決定したテレビ局の舞台裏など、興味深い事実を詳細に描いています。
私は当時高校生で、あの試合はテレビに釘付けになった記憶もありますし、南海ホークス、阪急ブレーブスという関西の伝統ある2球団が一挙に消滅するというニュースに驚いた記憶がよみがえりました。
紙の本
懐かしい・・・
2019/09/08 06:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:た~ま - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時のことが思い出されます。
まさか身売りする球団が2つも出てくるとは・・・
昭和のプロ野球&パリーグファンは是非!
電子書籍
なつかしい
2022/04/23 19:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいると、あの日、久米宏のニュースステーションまで野球中継が延びたこと、昨日のようによみがえりました。しかし……ロッテがねえ……。これ、全部事実としたらすごいです……
紙の本
衝撃だった南海の身売り
2022/03/12 08:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1988年、南海はダイエーに、本拠地も難波から福岡に、それはホークスファンの亡父にとって青天の霹靂だったらしい、その発表があった前の日まで父は「南海は堺に移転することになった、近なってよかったわ」と喜んでいたぐらいだから(その情報の元ネタは何だったのかは不明)。でも、その移転が後のパリーグの繁栄、読売支配の脱却につながっていくのだからわからない
投稿元:
レビューを見る
1988年と聞くとやはり反応してしまう、パ・リーグ者としては。
テレビ朝日が「ニュースステーション」の中で放送を続けた伝説の10.19ロッテ対近鉄のダブルヘッダー第2試合だけでなく、阪急の身売り、そして南海の身売りと福岡への移転。なんでこんなことが同じ年に起きるのかと、興奮し、胸を痛めたことは今もよく覚えている。
本書で印象に残ったのは、伝説のダブルヘッダーではなく、二球団の身売りに関する章。周到に準備され、練りに練られた戦略で進められた買収劇。ひとつタイミングが違っていたら、福岡移転を果たしたのは別の球団かもしれなかったという事実。企業買収に関するビジネス本を読んでいるような錯覚に陥り、あれは紛れもなく昭和最後の大事件だった、という思いがよみがえる。嗚呼、それにしても阪急身売りの発表が10.19だったのはなんとも残念すぎる。
投稿元:
レビューを見る
1998年10月19日夜10時過ぎ、僕はニュースステーションに釘付けだった。ロッテ対近鉄のダブルヘッダーの第2戦、近鉄が勝てば優勝というゲーム。このシーズンの後半からこの日のダブルヘッダー第1戦、そして第2戦の10回表までの長い長い奇跡の物語を締めくくる残酷な結末に、釘付けだった。そのことは、今でも覚えている。
その年、阪急ブレーブスと南海ホークスが身売りした。そしてそのことは、全く記憶に残っていなかった。30年前の、まだパ・リーグがセ・リーグの後塵を拝していた頃の、物語。
この年のこの身売りが今のパ・リーグの隆盛の遠因となった。いろんな意味で「奇跡」の年、の舞台裏をたくさんの関係者の証言でたどる。
投稿元:
レビューを見る
1988年当時のパ・リーグの状況がよく分かって、面白かった。
特に10.19のロッテ対近鉄Wヘッダーは川崎球場に見に行ってたので、色々と感慨深かった。
以下、気になった点。
○球団買収について
・最初、身売りを検討してたのは南海でも阪急でもなくロッテだった。
・先に南海球団買収に動いたのはダイエーだったけど、もし逆だったらダイエーは神戸に本拠地があので、阪急の方を買収してた。
○10.19ロッテ対近鉄当日について
・阪急身売りの話は当日17時で、近鉄選手も試合終わるまで知らなかった。
・有藤監督の抗議は、とにかく試合を早く進めたい仰木監督に対する反発心だった。
ちなみに本人はロッテの選手を守るためにやったとして、後悔は一切してないとか。
投稿元:
レビューを見る
ダイエーによる南海ホークス買収、
オリックスによる阪急ブレーブス買収、
その大きな流れの中で迎えた、伝説のダブルヘッダー
10.19。
関係者への緻密な取材によるルポタージュ。
有藤監督の「後悔はない」コメントに
今にして思える男気。
投稿元:
レビューを見る
1988年のパリーグと言えば、10.19の川崎球場でのロッテ-近鉄のダブルヘッダーを思い起こす方が多いのではないでしょうか。しかし、南海ホークスがダイエーに買収され本拠地を福岡に移すという大きな動き、そして阪急ブレーブスがオリックスに買収されるという事態が発覚したのも実は1988年の秋だったのです。
本書のタイトルを見ると、ロッテ-近鉄のダブルヘッダーを主題とした本のように思えますが、本書の大部分は南海ホークスと阪急ブレーブスの2球団の買収がどのように水面下で進められたのかを描いています。
マスコミに絶対に知られないように極秘に交渉を進めて行く過程を、当時交渉の当事者であった多くの人への直接取材で明らにして行きます。実はダイエーが当初買収を働きかけていたのがロッテだったという事実は本書を読んで初めて知りました。
そして本書の最後はロッテ-近鉄のダブルヘッダーの舞台裏にも触れています。当時のロッテ有藤監督がなぜあの試合の勝利に執着したのか、あの試合の球審を務めた方の興味深い証言、野球中継を拡大し、ニュースステーションで急遽放映することを決定したテレビ局の舞台裏など、興味深い事実を詳細に描いています。
私は当時高校生で、あの試合はテレビに釘付けになった記憶もありますし、南海ホークス、阪急ブレーブスという関西の伝統ある2球団が一挙に消滅するというニュースに驚いた記憶がよみがえりました。
投稿元:
レビューを見る
南海ホークスはダイエーへ、阪急ブレーブスはオリックスへそれぞれ譲渡された。10月19日、仰木監督率いる近鉄はシーズン最終戦で優勝に挑み、勝つことはかなわなかった。どれも昭和の最後の年、1988年に起こったことだ。
本書は、日本プロ野球パ・リーグにとって盆と正月が一緒に来たような1988年のドキュメント。語り尽くされた伝説の試合「10・19」はともかく、2つの球団買収劇が同時進行するのはスリリングだ。ダイエーと南海、オリックスと阪急の当事者は互いを知らずに交渉を続け、時に間接的に影響が及ぶこともあれば、福岡県やロッテ球団までもが絡み合うこともある。しかも、球団買収が同年だったことは偶然ではなかった。
そんな濃密な年を経て、時代は平成となるが、プロ野球パ・リーグにおける球団買収、移転の流れは止まらない。そして、観客動員数や売上、実力においてもセ・リーグをしのぐことになる。
1988年はパ・リーグにとって大きな起点だった。
投稿元:
レビューを見る
ホークスとブレーブスの買収、バファローズの死闘など、あの年のパ・リーグは多くのことがあった。30年後、ここまでパ・リーグが盛り上がるとは、誰も予想できなかったのではないか。
投稿元:
レビューを見る
南海・阪急の身売りと10.19が話の2本柱。有藤のあの抗議は仰木への当て付けだったと知って驚愕。有藤には有藤の理屈があるのだが、やっぱりしてはいけないことだった。
投稿元:
レビューを見る
中盤の球団売却撃破、ロッテ・ダイエー・南海・福岡の絡む福岡球団売却のじっくりとした展開と、阪急・オリエント・三和銀行の売却劇のスピード感の対比も鮮やかな経済小説風ドキュメンタリーだった。
売却後の阪急・南海の哀愁、そして10・19決戦のドキュメンタリーは濃度という観点で少々しぼんでしまった缶があるのがもったいないか。
投稿元:
レビューを見る
1988年のパ・リーグ。近鉄涙の10·19と南海、阪急の身売り。セパの格差がピークだった頃。ニュースステーションで異例の生中継。今にして覚えばパ・リーグ再生の萌芽となった1年。
プロ野球の球団保有チームは経済情勢を表している。地域密着の電鉄会社から流通のダイエー、リーサのオリックス。今ではネット社会の流れからソフトバンクと楽天というように。
関西に集中していたパ・リーグ球団は日ハムの本拠地移転もあり今は札幌、仙台、千葉、所沢、神戸、福岡と地元密着型でファンの心を掴む。DH制などの影響もあってか実力でも人気でもセ・リーグに引けを取らない。
水面下の球団買収交渉とシーズン最終盤での近鉄と西武の優勝争い。パ・リーグの歴史の変換点となった1年を追った傑作。
ただし10·19の試合より買収交渉に多く紙面を割いているので、期待し過ぎない方が良い。