0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なしあがん - この投稿者のレビュー一覧を見る
精神疾患に幼少期の心理的発育、愛着が影響を及ぼすことがあり、愛着障害とは愛着の欠如によるホルモンバランスの悪化、オキシトシンの分泌減少にあることや、それがエスカレートするとエンドルフィン(過食やセックス依存による脳内麻薬)やドーパミン(酒やギャンブルによる擬似的達成感)を代替的に求めるようになるのかもしれない点に関する指摘は大変興味深い。
新書ということもあり科学的根拠の厳密な提示は多くなく、やや大雑把な海外統計の紹介やこじ付けの印象を拭えなかった個別ケース(太宰、三島、夏目など、恐らく小説家でもある著者が好んで読んだ人たち)に関する書き振りからは、本書でも触れられている心理学分野の初期における主観的観察重視=客観性軽視に通じる、要するに、物はいいようなのでは、に思えてしまった。
自分も子育てに苦労しており、母親、もとい親の存在が子供の安全基地になる点は納得だが、肌感覚では子供の心理的安定感は個別の要因にのみ関連しているわけではなく、例えば家の外、社会の繋がりのなかで絶望感を味わった子供は親との愛着が強いほどに依存して不安定になってしまうこと(例えば、親から愛されていない、ではなく、自分を愛してくれる親が居なくなったらどうしよう、という不安感)も現実にはあるように感じ、もし続編などでより深い考察、体系的な解説がされることがあればぜひ拝読したい。
母親とのつながりの重要性や産業化、共働き増加といった社会の変化、そこから愛着障害を認定すべきとの後半の主張は前半にも増して大味でまるで社会評論家の雑感じみているが、著者の指摘から初めて知ることになった幼児養育における愛着の安定化についてはもっと学んでみたいと思わせてくれる入門書でした。
ド昭和の考え方…
2022/11/02 12:49
9人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つき - この投稿者のレビュー一覧を見る
つまりは母親が働いて母乳を与えていないから愛着障害が生まれる。と書かれていると受け止めました。子を持つ母としては本当にウンザリしました。オムツ替えすらした事の無いド昭和の古臭いオッサンが「昔は良かったよなぁ」と言っているだけでは?私も親から愛されなくて愛着障害があると思っているので興味を持って読みました。私は運良く祖母と叔母が甘えさせてくれたのでそこまで悪化しなかったし、夫にも出会えて救われましたが、完全に脱却したわけではありません。日々色々な事で愛着障害に悩まされます。それをこの本では「そういう人稀に自然治癒します」と書いてあって、そんな訳ないじゃんと腹立たしくなりました。自然でも無いし、治癒もしていません。犯罪や依存、病気にならないだけで心の中では様々な事に苦しみながら、自分で頑張ったり夫に助けられながら必死に生きてます。治癒なんかする訳ないでしょ。この著者は結局、愛着障害児を生み出さない為には、子供が成人するまで母親がベッタリ隣にいて、でも干渉や強制はせず見守り、母乳離れは10歳とか?にするべきとでも思ってそうです。母乳が出ない人を責めるんでしょうか????チンパンジーと比べていましたが、人とチンパンジーの母親を同じ存在として考えないでほしいです。この著者に母乳出してみてから出直して来いと言いたいです。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛着障害はどうしてなるのかという部分と、どんな症状なのかが書かれているので、愛着障害のことがよくわかりました。
投稿元:
レビューを見る
生きづらさを抱える人が増え続ける現代社会に巣食う病理。それは「愛着障害」という新たな「死に至る病」だ。「愛着障害」とは一体どのような障害で、何が原因であるのか、またその病を治癒し、回復可能なのかを著す。とても興味深い1冊でした。この「愛着障害」とは動物であるヒトの生態と合理的な現代社会との齟齬によって引き起こされるのでは?と思いました。要するに「愛着障害」とは人が人の世話をする仕組みに何かしらのエラーが生じた状態であり、これは人との関わりの中でしか克服できないものだと云う。所謂「コミュ障」と言って対人が苦手な人が増えてるのも、「愛着障害」から派生されたものに違いない。此処に書かれてること殆どが自分に当てはまり、とても勉強になりました。
投稿元:
レビューを見る
Twitterで注目!
『愛着障害』の著者が思いを込めて今、我々が直面する
「生存を支える仕組みそのものの危機」を訴える。
投稿元:
レビューを見る
岡田尊司さんの他の愛着障害についての本を読み、ほんの少しだがこころが休まった。本書は書店でたまたま目についたのだが、2019年に出た愛着障害の本として興味があったので読んでみることにした。どのような背景があり、どのような扱いを受けてきたかにページが割かれており、愛着障害から脱したいというかたに向けてではなく、副題にあるようにこの障害が持つ「脅威」が詳しく書かれている。よって苦しんでいる当事者として読むのであれば別の本を進めるが、研究によってわかったおとなのADHDの正体など、一冊通してとても興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
うーん。全部を鵜呑みにするのは怖い。けど、こういう研究がなされていることを知っておくのは、生きやすさの追究につながる。
投稿元:
レビューを見る
この著者の言っていることを鵜呑みにするのであれば、昔はこういう病気は稀だったが、今や人類、特に先進国のほとんどがこの問題に悩まされていることになります。
親との関係だけに焦点を当てるなら、個人的に昔のほうが親も死にやすくて、子供も多く放任主義になりがちで、長男次男とかでも親の態度はかなり違いそう。
愛着障害の要因に、統計的に仕方ないのかもしれないですが、母親ばかりがクローズアップされる点も少し疑問でした。
全体的に、今の社会の仕組みでどうしていくかというよりも、懐古主義的な印象で、
人生で親もしくは子との関係で1ミリも悩み苦しまない人なんてそれこそレアケースなように感じました。
愛着とは結局世話を焼く仕組みだから、
愛着の安定にペットを買うといいというのは
結構当てはまりそうな気がして勉強になりました。
投稿元:
レビューを見る
愛着障害を考えるにあたっては、個々の親、家庭のみならず、社会全体のあり方についても真剣に議論していかないとまずいと思う。今時、女性は子供の幼少期だけでも子育てに専念しましょう、などと言うことは口が裂けてもいえない風潮があるが、そういう風潮自体がおかしい。戦時中に戦争止めろと言えない風潮と同じである。子供から見たら、どう考えても信頼できる一人の養育者(母親)がいてくれることは、最善であるのだから。
投稿元:
レビューを見る
「死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威」
岡田尊司(著)
2019 9/30 初版 (株)光文社
2019 10/20 第ニ刷
2020 1/11 読了
愛着障害-オキシトシン系の異常-によって引き起こされる心身の不調を親子の関係から解き明かした本書。
著者の現代の医療に対する警鐘をもって
現代社会のあり方に異議を唱えています。
ぼくも仕事柄、いろんな方々のお悩みにお応えする上で
親子の関係の重要性は理解してはいますが
ここまで広く複雑な「病」に対して
愛着障害の可能性と重要性の高さは理解出来ていませんでした。
大変興味深くさっそく
著者岡田氏の小説家ペンネーム「小笠原慧」の作品「あなたの人生、逆転させます」をポチりました。
投稿元:
レビューを見る
新しい知見もデータとともに盛り込まれており、習ったことを書き換えていく必要性を感じる。もちろん、賛否両論あるだろうし、まだまだ教科書的な内容にまで反映されるのかは不明。でも、この視点を持って関わることは大事だと思う。
投稿元:
レビューを見る
同著者『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』同様、愛着障害の概要について具体例を挙げながら解説しており、さらに最新の知見を踏まえている。特に、近年パーソナリティ障害、摂食障害、子どもの気分障害、大人のADHDなどが急増しているが、それらの根底には愛着の問題があり、酷い場合「死に至る」ことが強調されている。
本作では、愛着障害がオキシトシンに及ぼす影響についてかなりのページが割かれている。これは、脳の視床下部から放出されるホルモンであり、「安らぎホルモン」とも呼ばれるように、痛みや傷つくことによるストレスから身を守る働きがある。愛着に問題があると、オキシトシンの機能が低下し、苦痛ばかりが感じられ、生きづらさを生む。そればかりか、免疫系にも悪影響を及ぼすため、自己免疫疾患やアレルギーなどの原因の一つにもなるという。
もちろん、何でも愛着の問題として片付けてしまうことは早計である。ただ、表面に見えている問題にばかり囚われず、その背後にある問題にも目を向けることは対人援助職にとってラポール形成から介入まで一貫して基本となる姿勢だと思う。
投稿元:
レビューを見る
うつや発達障害など、近年増えてきた事例の原因ではないかとされる「愛着障害」の仕組みや症状などを例を交えて説明している。
「親の愛がないと発達障害になる」のような非科学的な説明ではなく、オキシトシンというホルモンの働きによるものだと、わかりやすく伝えている。
詳しい治療法は載っていないため、治療法については別の本が必要だろう。
人を幸福にするためには3つの生物学的な作用があり、一つは満腹になったり、性的な興奮時に分泌されるエンドルフィン、二つ目は困難な目的を達成したときに出るドーパミン、三つ目は愛する者(人間やペットでもいいらしい)と触れ合う時にでるオキシトシン。愛着障害になるとオキシトシンに対する感受性が悪くなるために、他の2つで快感を得る他なくなり、例えば過食や性欲を満たしエンドルフィンで満たすか、もしくはひたすら努力してドーパミンで満たすかしかなくなるそうだ。
この仕組みは非常にわかりやすく、納得の行くものだった。
しかし、元にするデータが昔のもので、いわゆる「男は仕事、女は育児」が当然である時代のデータがメインのためか、愛着障害の原因の親が母親しかいないかのように書かれており、例えば母親と別れた父親が子供を一人で育てた場合、十分ケアすれば愛着障害は起こらないのか、それとも母親というものがいない限りは絶対に愛着障害は起きてしまうのか、そこには特に触れられていなかった。本書の説明からすると、男親だろうと女親だろうと関係なく、適切に養育できれば愛着障害は起きないような気はするが。
投稿元:
レビューを見る
親のことを考えると穏やかな気持ちになる、無条件に安心する、っていう人が世の中にはいるんだなぁ。これはちょっと私にはわからない感情だな。
投稿元:
レビューを見る
自身をADHDやHSP、愛着障害等と決めつけて過去の失敗を肯定し安心するのではなく、今の自分を理解し受け入れてから未来の自分を変えるために何をすべきか考え、実践することが大切だと思いました。