思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬―(新潮文庫)
日本の古典文学を愛する一方で、常に現代文学の目撃者たらんとしたドナルド・キーン。深い愛情と冷徹な眼差しが同居する特異な批評精神を発揮し、日本文学を世界文学の域に高めるべく...
思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬―(新潮文庫)
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商品説明
日本の古典文学を愛する一方で、常に現代文学の目撃者たらんとしたドナルド・キーン。深い愛情と冷徹な眼差しが同居する特異な批評精神を発揮し、日本文学を世界文学の域に高めるべく巨大な足跡を残した。『細雪』の秘密を語る谷崎の思い出。川端の前衛主義者としての意外な横顔。自決直前の三島から受け取った手紙。安部や司馬とののびやかな友情。珠玉の追想集にして稀有なる文学論。(解説・尾崎真理子)
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親疎の点もあり、やはり三島・安部・司馬の稿が秀逸
2022/06/19 22:36
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
採り上げられた五作家について、前二者の稿も勉強になったが、後三者は著者との交友の息遣いも聞こえてくるようで、興趣に富んだ叙述でした。特に、三島の死についての「彼の死は、ある特種な美学に捧げられた人生が必然的に行き着いた極点である」(84頁)との記載は至言であり、個人的には、「武士として」(88頁)「代表作が完成したその日に」(113頁)「夭折に憧れ」て(90頁)、事に及んだものと理解した。(そして、それは「彼の努力はいつも、・・・ 彼が選んだ仮面に自分の顔を作り替えていくことに向けられた。彼は仮面を、太宰が仮面の裏側で大事に守った繊細さ、臆病風、自己憐憫を克服するために用いたのである。仮面を生きた肉体の一部へと昇華させた三島は、しっかりとそれを被ったまま死んだ。ついには仮面の態度が三島自身の心構えと合体して、仮面をつけていることさえ意識しなくなっていたのではないか」(89頁)ということでもある。)評者としては、望むらくは彼の最期の瞬間がいわば(武山中尉とその妻の自死の如くに)「愛と死が一つとなる至上の瞬間に至った、愛し合う二人の究極の行為だった」(96頁)のにも比肩し得る法悦境であったと信じたい。