紙の本
マルコム・マクリーンとコンテナリゼーション
2023/04/16 21:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今や当たり前となっているコンテナですが、産声をあげる所から現在そして展望まで熱意を持った筆致で記述されてあり、非常に読み応えのある有意義な一書でした。マルコム・マクリーンの発想は凄いの一言であり、とは言え数々の難局を迎えなければならなかった点と不屈の精神には頭が下がります。
鉄道やトラックといった輸送手段との兼ね合い、更に港湾施設という独特の環境は、船・コンテナとの関わりに於いて一筋縄ではいきません。非常に複雑な要素を呈しています。
一方でコンテナが産まれたという事は、必然的に大規模にならざるを得ない事情になる訳で、物理的な『巨大化』というのは施設開発にしてもコストにしても、巨額を意味するものとなります。その点が恐ろしいと思います。
今迄は、埠頭にある整然と積み上げられたコンテナをただぼんやり眺めていましたが、本書を契機に歴史の重みを以て眺める事が出来そうです。
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コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった
THE BOX
増補改訂版
著作者:マイク・レビンソン
日経BP
ビル・ゲイツの推薦
コンテナが世界を変えていく物語は実に魅力的
圧倒的に面白い海のイノベーションの物語で待望の改訂版。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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世界中のコンテナが揃って同じような見た目とサイズである事実を、今まで一切気にしたことがなかった。最初から各国仲良く揃えたのではなく、長い歴史と苦悩の間に世界で統一されるようになったのだ。となると他のものはどうなのか気になってくる。例えば飛行機も世界中で同じような見た目とサイズが採用されているが、これにもコンテナのような葛藤と改革があったのだろうと思うと感慨深い。
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非常に面白い。
システムとしてのコンテナの発明とその発展の歴史その世界に与えた影響が描かれている。
箱としてのコンテナの発送は昔からあったようだがそれをシステムとして構築したのは本書にもあるマルコムマクリーン。
しかしその新しいシステムに対する既得権益の抵抗と規制が強く残りなかなか効率化できない。
しかし最終的にそれが取り払われたおかげで物価が下がり効率的になり世界が変わった。
これだけ革命的なのにあまり光が当たっていなかったのは驚き。
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ビル・ゲイツの推薦本、20世紀後半の海運業のイノベーションといわれる「コンテナ」の発明物語(ストーリー部分は370ページくらいで残りは参考文献紹介)。主人公はコンテナを発明したといわれるマルコム・マクリーンで、コンテナ業界がブルーオーシャンからレッドオーシャンへ至る過程や、コンテナの機能上昇、コンテナにより各国の湾岸が整備され輸送・貿易の歴史が変わっていく状況がつぶさに描かれる。基本的に買収・合併で大きくなっていく「コンテナ」業界の歴史は現在のIT業界の状況にそっくりだと感じた。
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ビルゲイツの言う通り、全世界のビジネスのやり方に通じる話。
加えて、自分にとっては、物流の仕事を始めたところなので、さらに面白く読めた。
イノベーションを完成させる為の、必要なアイテム、越えなければならない障壁、共に戦う仲間、そして味方となる考え方、これらがコンテナリゼーションを題材に学ぶ事が出来ると思う。
イノベートのキッカケはよそ者から生まれ、最初は様々な抵抗勢力と戦い、見方を増やして、時代の流れに乗り、世の中の役に立ち、常にイノベートし続ける事。
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1950年代に始まったコンテナリゼーションの本。
以前は物流にかかるコストが大きくものづくりが局所的に行われていたが、現代はコンテナにより物流のコストが下がったため、グローバルに製品や材料が行き交うようになった。
この本ではコンテナの発明が港湾や船舶、貿易を始め世界の物流にどのように影響を及ぼしていったのか、膨大な資料を元に論じられている。当事者である海運業界の中で、誰もコンテナによってこのような社会になることは予想できていなかった、と書いてあったのが興味深い。過去に起きたゲームチェンジについて書いてあり非常に勉強になる一冊である。
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2ちゃんねるの人始め、いろんな人が絶賛してる。確かにおもろい。コンテナがたった20年かそこらで世界を変えていく。エコノミストや業界の経営者たちは「コンテナなんか主流になるわけ無い」「儲かるはずがない」と思い込み、何度も何度も間違えた。コンテナはますます主流になって、ますます儲かった。儲かっている。
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コンテナの発明により輸送費が劇的に下がったという話だが、実際にはそんな単純で簡単な話ではない。
コンテナ船が運行をはじめた1965年からたった半世紀でどれほど世界の輸送に影響を与えたか。
船会社側、沖仲仕、国側それぞれの思惑。その時代時代の学者がコンテナリゼージョン後の世界をどのように想像し、全く検討外れであったか。船–トラック–鉄道各社の思惑。コンテナとグローバルサプライチェーンの関わり。各国のコンテナリゼーションへの考え、取り組みによる盛衰。コンテナによる社会問題。そしてコンテナほ今後の展望。
と非常に壮大な興味深い内容だった。
コンテナだけの力でグローバル化が進んだわけではないが、いかにコンテナが寄与してるかが分かる。
コンテナリゼーションを推進するため各時代、異なる立場(価値観)の人を同じ方向へ導くための駆け引き、現代の世界の海運会社の多くは比較的参入が遅いという事実から浮かび上がる事業を成功させる秘訣など物流以外のビジネス全般に関わる考え方も学ぶ事ができる内容と思う。
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マルク・レビンソン「コンテナ物語」読了。ただの運送用の箱というコンテナのイメージが本書を読んで根本から覆った。既存の港湾の仕事を破壊するだけでなく、世界の物流を変えていった事は、インターネットのインパクトに匹敵かそれ以上に衝撃的だった。イノベーションによる不測の事態を考える上でとても役立つと思う。
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アジア諸国での生産が安いのは人件費もあるだろうけど、このコンテナがあることでの輸送コストの大幅削減の恩恵を現代は受けているということ。
知らない世界をまた知れた、そんな本でした。
先日の座礁事故は気になりますが。
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単純化・規格化する事で世界が変わったっていう本。
楽になるしコストも下がると解っていても、既得権益、先行投資、タイミング等、諸々の事情で簡単には前には進まない。
「海外からの荷物が何でこんなに安いんだろう」と漠然と思ってた疑問に過去の膨大なデータを元に答えてくれる本で読んで良かった本ではあったんだけど、途中から前に書いてあった話の繰り返しが気になった。
あと、この本ではあまり言及されてないけど、自分も輸送コストが下がった事で日々の恩恵を受けている事を自覚しつつ、それがもっと長い目で見た時に人類や地球全体にとって「コンテナの発明」は良かった事なのか、という点が気になってしまった。
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コンテナとパレットで世界は貧乏になった
2021年3月5日に日本でレビュー済み
なぜ外国製の物の方が安くなるのだろうか?
つい僕らは人件費が安いからと答えがちだ、
しかし、実際にはそこが重要ではない
国内のトラック運賃より、
外国からの船賃の方がずっと安いのである。
まさにグローバル経済の始まりは
この船賃の激安化によって作られていると
言える。
しかしそれを発見し、推し進めた先人が
全てを見通して突き進んだかと言うとそうでは無い
その複雑で、劇的で、激早な2つの発明の物語を
ご覧あれ。
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めちゃくちゃ面白かった!!当たり前に目にしているコンテナが、どのようにして世界経済を変えたかの仔細な物語。
荷物を箱に大量に詰め、大量に運べるコンテナ船で大量に荷物を捌けるコンテナ港に荷上げする。その箱をシームレスに鉄道、トラックで運ぶ国際輸送システムが出来上がったおかげで輸送コストが劇的に下がった。
メーカーは輸送コストをあまり気にせずに中間材を作るメーカーを選べるようになり、我々はインドの綿花で作られた生地に、マレーシアの合成樹脂で作られたボタンを中国の工場で付けたシャツを安価に着ることができる。
そんな状況は当たり前のように知っているけど、それは「コンテナ」という金属の箱が生まれたから実現したんだという驚きが味わえた。
荷上げの機械化に反対する労働組合と経営者の対決、コンテナの国際規格を決めるときのいざこざなど、色々な立場から語られる各章のストーリーも実に面白かった。
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ビル・ゲイツ推薦本。さすがに!かなり面白かった。物流革命が世界を変えたって話はタイトルのままなのだけど、この面白さこそ、物流のダイナミズムよ!長編だけど、まったく飽きない。最後はグローバル・サプライチェーンマネジメントの話なんかもでてきてお勉強にもなりました。良書。