紙の本
ヒトは進化の頂点ではない
2020/03/08 10:29
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投稿者:KazT - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のタイトルの「残酷」とは、限られた地球の中で行われる生存闘争の結果が「進化」であることを伝えています。特に、様々な証拠からヒトは進化の頂点でもなく、特別な存在ではないことを著者は説明します。よく「ヒトはサルから進化した」と言われ、チンパンジーやゴリラは人より劣っていると考えがちですが、そのような誤解は本書を読めば、彼らはそれぞれの環境下において進化の頂点にいて、現存するすべての生物がそれぞれ進化の頂点にいるのだと気づかされます。
そして、なぜ、我々は死ななければならないのか、この重要な疑問にも自然淘汰の宿命であることを教えてくれます。
非常に専門的な内容も分かりやすく解説してくれて、前作「絶滅の人類史」同様、進化や自然淘汰について理解を深めさせてくれる良書だと思います。
電子書籍
進化について
2021/07/31 10:30
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
哺乳類よりも鳥類の方が陸上生活に適した構造をしていたり現生人類よりアウストラロピテクスの方が(骨盤だけ見れば)直立二足歩行に適していたりとさまざまな進化について知れてよかった
電子書籍
残酷、不完全
2021/04/07 08:14
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
そういわれたら、つい、手に取りたくなるタイトルです……しかも、NHK出版。要するに、進化、とは、人間が、そのトップにはいない、ということなんですね……。
紙の本
残酷な進化論
2021/09/22 16:07
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投稿者:渡り鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類が誕生したのが700万年前。勿論、直立歩行で。滅茶苦茶に長い歳月を経ながら現在の人類に落ち着いているが、その過程で、人類は、心臓病や腰痛や難産になるように進化したことを他の生物をベンチマークに解説。あまりこの種の本を読まないので書かれている内容は、結構新鮮。百万年単位で物事を見ていると、今、悩んでいる事が随分とチッポケな事のように感じる。
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「人類が生まれるための12の偶然」を読んだので一層興味深く読むことが出来ました。進化というのがどういうことなのか、人間が一番優れて進化して他の生き物は進化しなかったみたいなイメージしかなかった私には、人間が進化していない部分もいっぱいあることが新鮮でした。地球という枠組みの中で生きていくためには、死ななければ子孫を残せない運命になるのも事実なんだろう。学術的にどうなのかはわからないですが、こうした想像をめぐらして進化を考えるのも楽しいものです。
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残酷な進化論:なぜ私たちは「不完全」なのか(NHK出版新書)
著作者:更科功
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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ヒトはなぜヒトになったのか。進化とは、
「そうなった方が生存に有利」「進化した側の繁殖力がそうでない側の繁殖力を上回ることでその種が広がる」。
なのでヒトが今の姿になったのは「たまたま」。ヒトはまだまだ進化(退化)を続ける。従ってヒトが地球上最高の生物という事ではない。
ヒトの目は精巧にできている、きっと誰かがデザインしたのだ、という俗説があるがそれも進化で説明がつく、と。
ヌタウナギなどは無顎類といって顎がなく、口が丸い。口に関しては一番原始的な形態をとっている。しかし、目にはちゃんとガラス体があり人間の目に近い構造になっている。
進化は案外早く起こる。ある鳥のくちばしの形が35年で変わった、という例がある。数百年、数千年あれば生物は変われる。
尿素の排出について一番合理的な器官をもっているのは鳥。尿素から尿酸をつくり、ほとんど水を加えない状態のものを輩出する。そのため膀胱を持たない鳥も多い。それに対しヒトは尿酸を合成するところまではできるが水に溶けない尿酸を無理やり尿に混ぜ込んで排出するというやり方を取っている。
これらの例からもヒトが最高の存在ではない、ということがわかる。
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ものすごく簡単に言うと、進化にはいろんな分岐があるから、人間が進化の最先端ではなく、優れているわけでもないよということだけど、それにしてもこのタイトル。
手に取ってもらうためにはしょうがないことなのか。
難しい話をかみ砕いて説明をするために、たとえ話を使っているところ、逆にわかりにくいです。元の文章でも十分わかりますので。
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この本で繰り返し言われていることは、ヒトは進化樹の一番上にいるわけでは無いと言うこと。人類が他の生物に較べて特に優れているわけではないということである。進化がすべて良いと言うわけでなく、腰痛だとか他の動物と較べて難産になったとかヒトが進化する中で抱えてしまった問題も多々ある。
面白いトピックスも満載である。
生きものの定義によっては台風も生きものといえる
窒素の捨て方の種による違い。人であれば尿にして捨てるが魚はどうしてるの
ヒトと腸内細菌の微妙な関係
大人になってもミルクを飲むのは人間だけ
ヒトとチンパンジーはどちらが原始的か・・・最終共通祖先からどちらの方が進化したか
一夫一妻制は絶対ではない・・・ヒトが他の類人猿と別れた要因が一夫一妻制が契機かもしれないが、だからといって今の人類の本質が一夫一妻制と限らない
単細胞生物は永遠に生きるが、死ぬことがないと進化をする事もないので一瞬で死滅する可能性がある。死ぬことで多様性がうまれ変化に耐えられる個体が出てくる可能性がある。
等々読んで損はない一冊である。
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地球上の生物は長い年月をかけて進化を続け、今も続いている。一般的な考えでは「進化」とはバージョンアップであり、その頂点に人類がいる、ということだろう。が、本書で語られる「進化」とは単なる変化であり、その生物にとって良いこともあれば、悪いこともある。生物にとって何より重要なのは次世代を残すことであり、そのためには犠牲にされた能力や残された欠陥もある。進化は進歩ではないのだ。
今の人類だって、多くの欠陥を抱えている。直立二足歩行は脊椎や骨盤に過度な負担がかかるし、心臓の血管は非常に細くて心筋梗塞の可能性が高い。生まれたばかりの子供が自立するのに長い期間が必要。チンパンジーやゴリラよりも劣り、原始的な部分はいくつもあるのだ。
生物は生と死を繰り返して、環境に適応できない遺伝子を排除し、適応できる遺伝子を受け継ぎながら、進化する。もし、死なない生物がいれば、環境に適応する必要はなく、その生物は進化することがない。進化とは、死んでこそ起こることであり、その意味では残酷な出来事なのだ。
人類は進化によって寿命を伸ばしているのかもしれないが、死を遠ざけることは進化を遅らせることだ。
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腰痛、難産などの不都合を抱える人体。だがそれは必要な進化だった。
そもそも生きる・死ぬとはなにか、進化はなんのためにあるのか…。
【生きているとはどういうことか】
ではまず「エネルギーを吸収している間だけ一定の形をしていて(散逸構造)、ときどき同じものを複製する」とする。するとガスコンロや台風なども「生きている」と表現できることになる。
いわゆる生物は、細胞膜とか皮膚とか何らかの仕切りで外の世界と区切られている。
つまり何らかのかたちで膜に包まれた有機物ができて、ある程度長く存在して、複製する散逸構造を持ったものができた、これが生物。
すると、生きる構造になった結果、生物が生まれたのだから、生きる意味とかは「生きること」そのものになる。
…というように、哲学的な話になってきた。面白い。
【進化は一方向でも、ゆっくりでもない】
進化の速さはまちまちだ。何万年もかかる場合もあれば、数世代で遺伝子が広がることもある。
さらに進化は進むだけではなく、その時時の環境により戻ったり進化の方向が変わったりする。
自然淘汰が増やす形質は子供を多く残せるということ。そのため子供を残せない年齢になっても関係はない。進化と個体の利害関係は一致しない。それなら子供を残せない年齢になった個体が快適な老後を送る努力をするのは進化と戦うってこと。
【方向性選択と、安定化選択】
方向性選択:有利な突然変異が起きると、自然淘汰はその突然変異を増やすように作用する、すると生物の形式が一定方向へと変化する。進化のアクセル。
安定性選択:不利な突然変異が起きると、自然淘汰はその突然変異を省くように作用する。不利な形質は平均から外れたものが多いので、これを省いても集団としての形式は変化しない、むしろ変化させずに安定させるように作用するという、生物を進化させない力。進化のブレーキ。
【身体の進化】
❐腎臓
血液中の老廃物を尿として捨てる器官。
生物は、有機物を食べて文化敷いてエネルギーを得たり、体の材料にする。その有機物が寿命となったら体の外に捨てなければならない。分解されるときには窒素が生ずる。窒素化合物をなにかにして捨てるのに一番簡単なのはアンモニア。だが毒性があるので捨て方を考えなければいけない。アンモニアは水に弱いので魚は水を体内に取り入れてアンモニアを体内で溶かしてから鰓から排出すれば良い。
陸上生物の場合は、窒素をアンモニアを尿素に合成して捨てている(※オタマジャクシはアンモニアを排出、カエルになると尿素を排出になるんだそうだ、ふーん)。
ここで進化の矛盾が生じる。尿素はアンモニアより水に溶けにくいので、大量の水を体内にいれなければいけない。つまり、水中生物が陸上生物になり水がないから尿素排出するように進化したのに、そのために水を飲まなければいけないということになったんだ。まあしょうがない。
窒素をどのようにして排出するか、ということで、進化の道筋の系統に分類される。
❐消化管
生物は要するにボールの中に管が通って���るようなもので、その管が消化管。消化管の内側は唇や肛門により体の外とつながっている。だから消化管は体の外だって言える。
さて、口から入った食べ物は消化管で消化・吸収し、残ったら便で出す。そして腸内には1000兆個もの腸内細菌が住んでいて、便の大部分は腸内細菌の死骸であったり消化管から剥がれた粘膜細胞(食べ物の残り滓は半分未満)。
腸内細菌と生物とは共存関係にある。生物は腸内細菌に住処と栄養を提供し、腸内細菌は生物の消化を助け細菌から守ってくれる。
しかし腸内細菌たちも栄養が必要だ。だから生物は食べた物を自分自身の栄養にはなるが、腸内細菌に横取りされないように分解しなければいけない。
❐脊椎
脊椎の役目は、中枢神経である脊椎を守ること、体を支えること。
生物が水中にいた頃は、重力が弱いので、骨は体を重力から支えるというよりはカルシウム貯蔵庫であったのかなという研究がある。そのカルシウム貯蔵の役目は脊椎になっていった。さらに運動により筋肉を動かし、水中生物を泳がせることもできる。
現在の人間は、陸上で、二足歩行しているので、重力から体を支えなければいけない。
こうして人間の現在の脊椎の姿になるまでには、形や役割を変えさせてきた。
現在人間が腰痛に苦しむのは(これを書いている今も私は腰が痛い)、脊椎を上下に立てて重力を支えさせているからだ。しかし脊椎だって、下のほうが大きいとか人間にあった形に徐々に進化しているんだ。
❐目
明暗がわかる眼:クラゲなど。光を感じる細胞がたくさん並んで膜になった網膜が身体の表面(人類の場合は眼球の内表面)にある。
方向がわかる眼:眼点の網膜の真ん中が凹んでカップのような形になっている。カップのどの部分にあたったか、で光が来る方向がわかる。
形がわかる眼:↑のカップの入り口をくびれて狭くすると、外から来た光が入口を通るときに一点に集まる。そして入り口を通過すると光線が再び広がり、網膜に上下左右反転した像が映る。
カメラ眼:↑さらに、光の量やピントを合わせるレンズを当てはめたものが人類の眼。
【体の作りのこと】
❐ミルク消化に関して
哺乳類の子供は母乳を飲むが、大人になるとミルクが消化できなくなり、飲めなくなる。
だが人間の大人はミルクが飲める人も多くいる。もともと何万年も前のホモサピエンスの大人はミルクを消化できなかった。しかしその後家畜の乳が手に入るようになり、人間の栄養として役に立つようになったこと(が原因かという研究)により、人間の大人もミルクを消化できるようになった。
牛乳は体に悪い、太る、牛の乳なんだから人間の消化に悪い、などという主張があるけれど、長い歴史でミルクを飲めが方が有利だとなり、自然淘汰と進化の結果ミルクが消化できるようになったのだということも忘れないでね。
❐進化による身体の不都合
二足歩行になったため、腰痛になったり、陣痛が苦しくなったりする。しかしそれらの苦しみよりも、「子供を残す」という意味においては二足歩行が重要だった。
❐走る
イギリスでは、ヒトとウマの35キロマラソンがあるんだそうだ!さすがイギリス!そして近年ヒトが勝つ事が起こるよう���なったんだって!ええーー(@@)
…というわけで、ヒトは体毛が少なく汗をかいて体温調節できるので、長距離に強い。ウマも体温調節のために汗を掻く。
他の多くの哺乳類、ウシやシカなどは汗での体温調節ができないので長時間走ることはできない。
ウシやシカは、捕食者に追いかけられたら瞬時のダッシュで逃げる。ヒトは逃げることより追いかけることを重要視してきた。つまりそのダッシュで逃げたシカをどこまでもどこまでも追いかけてゆけば、走れなくなったシカに追いつけるということ。
【進化の中間地点?】
動物の四本歩行から、人間の二足歩行になるには、中間の中腰の時期があったのだろうか??それってすごく不便で危険だよね?
…などという疑問から、「では、木の上で二足歩行になってから地上に降りたのでは」などという研究がある。ふーーん。
【夫婦のあり方】
一夫多妻/多夫多妻:
利点⇒多くの子孫を残せる。
欠点⇒メスを巡ってのオス同士の争いが多くなったり、どれが自分の子供なのかが分からない(別の本でも読みましたが、群れみんなで子育てとはいっても、やっぱり子供がピンチにあったときに確実に自分の子供だという確信があったほうがオスが助ける可能性が高いということです)。また、オスにとってはあっちこっちに子供がいるので、子育てはメスの仕事になる。
一夫一婦:
欠点⇒子供の数は減る。
利点⇒オスは確実に自分の子供とわかるので、子供を守ろうとする。メスと子供にとっても確実にオスに食料を運んでもらえる。
なお、ゴシップニュースで「妻が生んだ子供がDNA鑑定の結果夫の子供ではなかった〜」などというものがあるが、実際のところ妻が夫以外との子供を生む確率はせいぜい5%程度らしいですよ。
【では死ぬって何?】
死ぬの定義を「細胞の中で起きている化学反応などの活動が止まり、分解されて土屋空気に還る」とする。
細菌が分裂することは「死ぬ」とは言い難い。このばあい細菌は40億年程度生きていることになる!
…さて、ではなぜ寿命があるのか。この地球には住める個体の限りがあり、死なないと次に生まれるものがいる場所がない。
そして生息地の環境はその都度その都度変化している。すると、環境に合った進化を進めないと子孫が生き続けることができない。環境に合おうとするのは生存競争であり、それは自分の命を大事にすること。
環境に合わなかった個体は死ぬが、死ななければ自然淘汰が働かずに次の生命は生まれないんだよ。という基本に返ったところでこの本もおしまい。
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なぜ読もうと思って図書館に予約を入れていたのか忘れたが、いずれにせよ進化論の話は面白い。
本書はそれに「残酷な」と形容詞を冠して、生物の進化について論じる。総じて「ヒト」の進化が、なにも特異ではなく、また最先端を行く進化の優等生ではないということを、いくつかの身体機能を例に語っているもの。
酸素を取り込む呼吸の機能については、ひとつの気管(左右枝分かれはするが)で吸うも呼くもこなすヒト(や脊椎動物他も)に対し、鳥類は後気嚢、前気嚢を使い気体の流れは一方通行である。ゆえに、酸素の薄い高度を飛行できる。
食べ物に含まれる窒素の排出方法にしても、水に囲まれて暮らす魚は窒素の単純な化合物であるアンモニアを大量の水に溶かして排出、爬虫類や鳥類はあまり水分を必要としない尿酸にしてドロリとした尿を出す。我々ヒトは、毒性を下げるためにアンモニアを尿素に変えるが、水に溶けにくいので大量の水分摂取が必要にという。非効率極まりない。
我々は理にかなった他の生き物たちと較べて、いかに見劣りのする身体機能しか持ちあわせていないのかと思い知らされる。
また、この形態は、今だからこそ通用しているものであり、環境が変わればデメリットにも、あるいはよりメリットにも働く儚い姿でしかない。
こうして、ヒト(ホモ・サピエンス)という在り姿が、けっして進化の最終形態でもなんでもないといことが語られる。
進化は一方向ではないし、スピードも一定ではない(選択制選択か安定性選択か、時期による)。また、進化が我々の敵になることすらあるという(我々の心臓の冠状動脈は進化上の設計ミスだと言われることもあるそうな)。 医学知識や健康な生活習慣を武器に、進化と闘うことも時には必要か(自然淘汰に抗うのならね)。
いずれにせよ、人間は万物の霊長、などと奢り高ぶりを棄て去るにはよい内容。
【霊長】霊妙な力をそなえていて、他のかしらであること。
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「子孫を残すのに有益かどうか」だけが構成に引き継がれていく。「子育て」とう役割はあるにせよ、子孫を残した後の親世代は、早死にしようが知ったこっちゃない的な話は確かに納得。
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学校で習ったことの記憶を辿ると、多くの生き物がいる中で哺乳類はそのピラミッドの頂点にあり、さらに「ヒト」はその上を極めています。確かに我々「ヒト」は他の生物を利用したり食べることで生きています。
頂点に至る過程で私達は様々な進化を遂げてきたのですが、この本によると、その進化は「不完全」であるということが解説されています。不完全なので、私達の身体にある臓器は今も進化しているらしいです。環境に応じて進化というか対応していくのでしょう。私達は完全ではない、だからまだ変われる、というのは希望が持てた感じがしました。
以下は気になったポイントです。
・宇宙空間を移動する宇宙船は、細長い形がよい。宇宙空間は完全な真空ではないので、ガスや塵・小石があり、そういうものにぶつかりにくくするには細長い形をしているほうがよい(p22)
・がん細胞といえども酸素や栄養なしに増えられない、がん細胞には血管をつくる能力がなければならない。がん細胞が増えるのは、増えながら新しく血管をつくっているから(p27)
・心臓はたくさんの筋肉でできている、筋肉は縮むことはできても伸びることができないので、例えば腕を曲げるときには、腕の内側の筋肉が収縮する。心臓の場合は、心房と心室をつくって、心室が収縮したおきには心室が拡張、心室が収縮したときに心房が拡張するようにしている(p33)
・進化は、前からあった構造を修正することしかできない、切ってつなげるとか、分解してから組み立てるとか、そういうことは無理である。常に変化しつづけていて、役割も変化し続けて、過去から未来につながっていくのが進化である、進化をやめるのはその種が絶滅したとき(p45、54)
・硬骨魚類の肺からでた血液は心臓に戻る前に、全身の細胞から戻ってきた血液(酸素が少ない)と合流する。なので酸欠状態となる(p47)
・鳥類は優れた呼吸器を持っているので他の動物が生きられないような空気の薄いところでも生きていける。鳥類は恐竜の子孫なので、恐竜もこの優れた呼吸器を持っていた可能性がある(p55)
・タンパク質に含まれる窒素の処理が大変、魚類は周囲から水を取り込んでアンモニア(毒性強い)を大量の水に溶かして、鰓から排出すれば良い。しかし陸上動物は、窒素をアンモニアではなく尿素にして捨てている、両生類より哺乳類は陸上生活に適しているが、哺乳類よりも爬虫類・鳥類はさらに陸上生活に適応している(p60、68)
・ニワトリの卵の中では、窒素を捨てるのにアンモニアも尿素も使えないので、尿酸に変えて排出している。尿酸は尿素よりも毒性が低く、尿素よりもさらに水に溶けにくい(p64)
・生物はそのときどきの環境に適応するように進化するけれど、何等かの絶対的な高みに向かって進歩していくわけではない。進化は進歩ではない(p70)
・腸内細菌の数はおよそ1000兆個、私達のヒトの体は約40兆の細胞でできているが、はるかに多い。腸内細菌はほとんどが大腸にいるが、小腸の中にもいる。もしも管腔内消化でグル���ースやアミノ酸まで分解してしまったら、それらを腸壁あら吸収する前に腸内細菌に食べられてしまう、なので吸収する直前にグルコースやアミノ酸をつくる(p75、80)
・塩辛さは、塩の量ではなく、塩の粒子数による、塩がたくさんあっても、大きな塊になっていればそれほど塩辛くない(p81)
・ダーウィンが言ったことで重要な部分が間違っていた、進化というものは、必ず長い時間をかけてゆっくりと進むということ(p83)
・大人がミルクを飲むと、ラクトースは分解も吸収もされない、それを分解する酵素(ラクターゼ)がないから、すると腸内細菌によってラクトースが違う方法で分解されて、メタンと水素ができる。その結果、腹部の張りや下痢に悩まされる、しかしラクターゼ活性持続症の人は飲める(p85)
・か状眼(明暗→方向→形がわかる眼)で見える像はピントを合わせると暗くなり、明るくするとぼける、ピントを合わせながら明るくする方法として、レンズを入れると良い。これが私達のもつ「カメラ眼」である(p104)
・昆虫が繁栄している理由の一つとして、飛翔能力があるが、脊椎動物にもその能力を持つものがいる。飛翔はなかなか難しく、長い動物の歴史の中で4回しか進化していない。そのうち1回が昆虫、残り3回は脊椎動物(翼竜、鳥、コウモリ)である(p120)
・カルシウムはどても重要な働きをしている、神経細胞が情報を伝えたり、筋肉が収縮したらい、怪我をしたときに血液を固めたりする。私達の骨が貯蔵庫となっている(p123)
・ヒトはチンパンジーよりも腰椎が自由に動かせるので問題も起きてしまった、オモチャの人形で腕が動かせるものはそこが壊れやすい、動くところが弱い。腰椎には体の重みがかかってくるので腰痛が起きやすくなる(p131)
・直立二足歩行をしているために、私達の内臓は下向きに重力を受ける、なにもなければ骨盤の穴をくぐり抜けて落ちてしまうので落ちないように筋肉が発達している。しかしこの筋肉が出産のときには邪魔になる(p170)
・直立二足歩行の利点の1つは、「両手があくので食料を運べる」しかし欠点として、走るのが遅いという重大な欠点があるから。この欠点が他の利点を上回っていたから直立二足歩行は進化しなかった。これが犬歯が小さくなったこととも関係している可能性がある(p188)
・シンギュラリティは「技術的特異点」と訳されることが多いが、「いままでと同じルールが使えなくなる時点」のこと。具体的には、「人工知能が自分の能力を超える人工知能を、自分でつくれるようになる時点」のことである(p210)
2020年3月31月日作成
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進化論の本ではあるが、心臓、肺、腎臓などなど、臓器の機能についても学べる。
進化に関するよくある誤解についても、ひとつひとつ丁寧に説明してあり、誠実に書かれている。良書。