紙の本
妖精さん
2020/03/09 22:51
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
約束された移動
ダイアナとバーバラ
元迷子係の黒目
寄生
黒子羊はどこへ
巨人の接待
の、6つの短編を収録。
どれも小川さんらしい、密やかで優しく、しかし奇妙な物語。
「ダイアナとバーバラ」は、あのダイアナ妃が関係する話ですが、小川さんの作品でこれほど現実世界がコミットするのは珍しい感じがしました。
紙の本
遠く懐かしい6編
2020/05/21 09:05
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢のような世界を描きつつ、きっちりと現実も見つめている短編ばかりです。往年のハリウッドスターから、悲運のプリンセスまでを思い出してしまいました。
電子書籍
独特の世界
2020/07/12 22:57
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投稿者:hoyoyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名と表紙に魅せられて、読んでみた。小川洋子さんの短編集で、狭い世界で暮らす人の、「著名な誰かの○○」への執着を描いた作品が多い。ホテルのスイートルーム担当の客室係は映画スターの落とした髪の毛を拾い集め、彼がホテルから持ち去った本の内容と彼の映画をリンクさせて空想する。病院の案内係は、故ダイアナ妃の着ていたドレスを自己流で再現し、孫娘との外出時に着る趣味を持つ。著名人の秘密を知った気分で陶酔している主観性が薄気味悪くもあり、その静謐で美しい文体はとても文学的でもある。違和感と心地良さのバランスが独特だ。
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+++
ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは、決まって一冊の本が抜き取られていた。
Bからの無言の合図を受け取る客室係……「約束された移動」。
ダイアナ妃に魅了され、ダイアナ妃の服に真似た服を手作りし身にまとうバーバラと孫娘を描く……「ダイアナとバーバラ」。
今日こそプロポーズをしようと出掛けた先で、見知らぬ老女に右腕をつかまれ、占領されたまま移動する羽目になった僕……「寄生」など、“移動する"物語6篇、傑作短篇集。
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さまざまなテイストの物語が集まっている。だが、これらを「移動」に注目してまとめたのは、著者ならではではの感性ではないだろうか。どの物語の主人公も、自分なりのこだわりを持っていて、それは、一般の人に比べても確固としている風に見える。世間との折り合いよりも、自分の中の規則に従って生きる人たちが描かれていて、傍から見ると不自由そうにも見えるのだが、それこそが彼らにとってのしあわせなのだろう、とも思われる。普段気づかない方向からの視点で愉しめる一冊でもある。
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約束された移動
著作者:小川洋子
今日こそプロポーズをしようと出掛けた先きで見知らぬ老女に右腕をつかまれ占領されたまま移動する羽目に懐かしく恋しい人生を描く小川小説の新境地。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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余分なものが何一つない、
本当に大切なモノだけが詰め込まれた
宝石箱の様な短編集でした。
どうやっても埋めることのない欠落を抱えながらも
ひっそりと健気に生きる人たちの姿が
なぜだかとても幸せそうに見えるのです。
自分にとって大切で本当に必要なものをちゃんと見つけたい・・・心からそう感じました。
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短編集。
一風変わった登場人物たちの生活、人生。
誰もみんな変わってるけど、イヤじゃない。
他人になにか押し付けたりしない、自分の内で持ってる大事なものを大切に生活を営んでいる。
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短編6作。
スポットの当たらないひっそりとした日陰を、眉を下げてじっと見入ってしまうこの気持ちは、蔑みなのか憐れみなのか。
最近の作品はへばりつく。
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振り返ると、どれも好き。
<収録作品>
約束された移動
ダイアナとバーバラ
元迷子係の黒目
寄生
黒子羊はどこへ
巨人の接待
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・短編集。老女の話が多い。どこかひっそりとした人と人のつながりが描かれる。
・「約束された移動」落ちぶれた元ハリウッドスターと日本のとあるホテルのスイートルーム清掃員の、誰も知らない(たぶん俳優も知らない)つながり。失われた本たちのラインナップは?
・「ダイアナとバーバラ」誰にも意識されない仕事をしているバーバラはかつてダイアナ妃が身につけた服を再現して着るのが趣味? だった。孫娘の存在が彼女を孤独な老女ではない感じにしてくれている。「エスカレーター補助員」とか「空港の乗り継ぎ補助員」とか、ありそでなさそな仕事はクラフト・エヴィング商會との仕事あたりから生まれたのかもしんない。
・「元迷子係の黒目」「ママの大叔父さんのお嫁さんの弟が養子に行った先の末の妹」は引退した百貨店の元迷子係でその黒目は左右が協調することなく勝手に動きまわり迷子を決して見逃すことはなかった。
・「寄生」突如しがみついてきた老女はいっこう離れてくれようとはせずプロポーズに行く途中だったお人好しのぼくは困惑した。ちょっとしか出ない恋人のキャラがいい。
・「黒子羊はどこへ」とある村の託児所の園長と黒子羊と子どもたち。どこか幻想的で謎めかしい。
・「巨人の接待」通訳としてついた「巨人」と呼ばれる作家は考え深く寡黙な人物だったが通訳とはしだいに通じる何かが生まれてくる。
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小川ワールドやっぱり大好き。
泊まったホテルの部屋から毎回一冊本を抜いていく俳優、ダイアナ妃のドレスを作り続ける女性、とても声の小さな小説家などなど。独特な世界観の面白さと、読んだ後にジワっとくる切なさ寂しさ。
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短編集。表題作がやはり一番良かった。小川作品のお約束、自分に与えられた仕事を淡々とこなしながら、他人には理解されがたい密やかな楽しみを唯一の心の拠り所にして生きる主人公。突きつめれば生き続ける理由ってそういうことなのかもと思えてしまう。
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短編集6篇
黒子羊は既読.どの物語もささやかにひっそりと息をするのもはばかられるような人生,物語を淡々と語る人がいる.そしてそれを寂しいこととは感じずに,粛々と自分であることを全うする姿がとても美しくそして優しい.小川さんの登場人物は本当にそこにいていいんだよと肯定してくれるような静かな力があって,とてもほっとします.
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かつて圧倒的な美貌を誇り、世界中に熱狂的なファンを持つスターだったが、今は見る影もなく集落したハリウッド俳優B。彼がたまに宿泊するロイヤルスイートを担当する客室係、「私」は、Bがチェックアウトした後に、必ず一冊の本が書斎から消えていることに気づく。Bが来る度に本は無くなり、「私」は無くなった本を突き止め、同じ本を買い、彼の映画を繰り返し見ては、持ち去られた本の中に彼の求めた言葉を見出そうとする――『約束された移動』。
“ママの大叔父さんのお嫁さんの弟が養子に行った先の末の妹”
裏の平屋に一人で暮らす女性のことを、私たち家族はそのように呼んだ。いくら面倒でも、省略することは許されない決まりになっていた。右と左、彼女の両の黒の視線は微妙にすれ違う。彼女はその不思議な黒目で、デパートの迷子を探し出し保護する優秀な警備課の迷子係だった。それなのに、大勢の子どもを帰るべき場所に返してきたのに、自分の子どもだけはもどってこなかった――『元迷子係の黒目』
生まれ故郷であり現在も暮らしているバルカン半島の小国の、内陸部丘陵地帯に点在する村々だけで使われている地域語だけが巨人の言葉。そして彼の声は小さい。なぜなら、彼は死者に向かって話しているから……。モーリシャスクイナ、タヒチヒシギ、ワライフクロウ。絶滅した鳥のメリーゴーランド。ドードーの背中に乗って、巨人はうっとりと目を細める。これに乗っている限り、もうどこへも行かなくていい――『巨人の接待』
運命のように去来し、宿命のように遠ざかる人々がいる。そんな彼ら・彼女らに決して届かない想いを馳せ、報われないまま見守り、執着し、寄り添って、そして、語り手たちはどこへも行かない。
誰からも理解されない、私だけが知っている、孤独な幸福に満たされる6篇の短い物語。
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短編集。
主人公はいずれも、市井の人たち。
ちょっと変わった人たち?
いいえ、きっと私も他人から見たら、ちょっと変わった人なんだ。
そんな人達を、冷静に淡々と描く小川洋子さん。余計な感情が入ってないから、自分(読者)の感情で読めるのかも。でも、冷たいという訳ではないんだな。そこに私は惹かれるのかも。