選ばなかった方の人生
2019/12/16 12:48
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投稿者:touch - この投稿者のレビュー一覧を見る
一見、ありきたりに見える人生も、様々な選択をして、今がある。
もし、あの時、違う道を選んでいたら・・・。
誰もが考える、そんな"もしも"。
それを、どこにでもいそうな夫婦、主婦、旦那を主人公にして、どこにでもありそうな出来事(でも滅多にない出来事)に落とし込んでいく。
日常の事件を読み応えたっぷりに描くあたりは、さすが角田光代氏!
細やかな心理描写も素晴らしい全6編は、どれもハズレなしだった。
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もしも……なら? 迷うときはいつもこれ。決めてもまだ迷う、同じように。やれやれ。エイっと決めて迷わない時が増えるといいな。
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もしあのときこうだったら、と今とは違っていたかもしれない自分の姿、相手との関係を思い描く人たちを描いた短編集。
相手と別れたり離れたりしても、意識すらしないところでその人との過去にとらわれていたり、一見幸せそうな料理ブロガーの主婦も心のうちでは、人には言えないモヤモヤを抱えていたり、多くの人が表に出せないでいる、そして、出さないようにすることで余計に消化できずにいるモヤモヤをうまく描き出している。
読んでいて、共感とは言えないまでも、あー、こういうことかとストンと落ちるところもあった。
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ファンだから、単純に言うのではないが、良かった。表題作「平凡」は、全く説明する感じもないのに、ストンと分かりやすかったし、全部読めば、通底する言いたいことに共感できます。珍しく男性目線の作品も良かった。
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選ばなかった「もし」に心揺れる人々を見つめる6つの物語。
誰もが一度は想像したことがあるんじゃないだろうか。もし、あの時こうしていれば(いなければ)。
映画の『バタフライ・エフェクト』や『スライディング・ドア』などが思い出される。
最後の『どこかべつなところで』では、登場人物2人の会話のなかで、(選ばなかったもうひとつの人生の「自分」について)「そっちのもうひとりも、なかなかにたいへんですね」という感想に、「そうなのよ。だって生きているから」と答えるところで、そういうことだよなと深く納得させられた。
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角田光代さんの作品は何冊か読んでるけど、今のところハズレはない。劇的な展開がなく、普通の人たちが毎日の暮らしの中でふと思いを馳せることを描いていって、答えと言えるようなメッセージもありやなしや、って感じだけど、不思議と心に刺さるものがある。そして、読後は温かな気持ちになる。鍼灸のような小説だった。
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誰もが一度は考えたことのある「もしあの時〇〇をしていたら」という選択。
どの作品もどこにでもありそうな日常茶飯事の出来事から
もう一つの生活や人生を考えているのでとてもリアリティーがあります。
どれもこれが正しく、これが結末という
はっきりしたものはありませんが、
何故か心の隅では安堵感のようなものが残り、
みんな考えることは同じなのだろうと思えました。
過去は変えられないという固定観念ですが、
ある作品の中では過去は未来を変えられるものなんだという
ことがこの作品の中でも同じような事が感じられて、
例え過去や今に満足していなくでも
考え方ひとつで未来も過去も変えられるというのが
確信のように思えました。
印象に残った作品は「こともなし」、
「いつかの一歩」、「平凡」。
自分の境遇と経験してきたことが重なる部分があり
かなり頷ける部分がありました。
「平凡」の中で
ブログを書かない日を今日一日がないみたいな気がする、
そうして、今日一日がないみたいということは、
こんなにも枠なのかと続けて思う。
とかく最近はネット社会でSNSを中心にしての生活が
主流になりつつある中で、本当の自分を曝け出しているSNSは
あるのだろうかと思ってしまいます。
この主人公の場合は実生活とブログとの生活が少し
ずれていることからこんな言葉が出てくるのであり、
誰でもこんな思いをしているのではないかと
ふと思ってしまう深い一文でした。
「いつかの一歩」の中で
「あと何十回も考えるんだろうねえ、人生って、って」
て言葉が印象的でした。
人生がどのようなものであるか、考えても分からないものだし、
またわかったところで、どうにもならない・・・以下略
こんな風に人生を考えているのも頷けました。
選ばなかったもう一つの人生を羨ましがらずに、
今、自分が選んだ人生に背かず、
胸を張って生きていけたら良いなと思うと同時に
何の変哲もない平凡な生活が一番幸せなのだと
改めて思えた作品でした。
角田さんの作品は好きなので何冊も読んでいますが、
女性の微妙な心の描写が繊細に描かれているので
いつもながら上手いので安心して読めます。
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平凡な暮らしを送っている人たちが、その人生において選択しなかった、もしもの人生を想像する短編集。
何がきっかけで人生が変わるかわからない。
もしもあの時そうしていたら、しなかったら。
そういう選択は無数にある。
考えても仕方のないことだが、つい考えてしまうこともある。
別の選択をして、別の世界で存在しているもう一人の自分。
後悔もあれば、後悔ではない「もしも」もある。
そんな風に想像すること自体平凡なことだが、そんな想像も面白い。
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短編が6つ入っています。
あのときもし、〇〇していれば、私の人生は違ったものになっていたかも、という、まぁ誰でも考えることあるかなぁという物語。
あのときもし、「おにぎりを持って行きなさい」と息子を引き留めなかったら、息子は事故に遭わなかったかもしれない、という設定がやはり悲しい。しかし、その母は心の中に、「まだ息子が生きている世界のもう一人の自分」を作りだし、想像しながら強く生きている。
私には「あの時の選択が私の人生を決定づけた」みたいな分かれ道は思いつかないのだけど、、、いや、あるかな?誰にでもあるのかな。
誰にでも考えることがあり、今までにもたくさん書かれてきたテーマでありながら、いつも新鮮な角田光代文学。
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人生で選ばなかった「もし・・」をテーマにした短編集、久々の角田光代。
誰しも持っている「あの時、あの道を選んでいたら、今頃は・・・」という想いを基軸に、今の日常を生きる人達を六篇の物語で綴っています。
結婚や恋愛に関する内容もあり、気負わず読めます。
夏のバカンスのお供に(^_^;)
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とても読みやすかった。
誰しも、もしもって考えてしまうよなぁと思いながら読み続け。
また、登場人物の誰かしらに似てるような人がいるのかな?と思いながら読みました。
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色んなひとたちの、色んな「if」。
今まで生きてきた中で選んで来た道、選ばなかった道。
どちらも等しくみんなにあるんだなと思うと感慨深い。
両方ともあるからこそ、今の自分が存在してる。
面白かったー。
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「もしあのとき〇〇していれば」という自分が選び取らなかったものへの話と「あれをしなければよかった」という起きたことの話。どちらも別の人生が送れたかもしれない過去の自分の選択ではあるが、前者は選択を後悔しても薄れていき選び取った今を生きる可能性がある。しかし後者は起こってしまったことに対しあれををしなければよかったという後悔が日毎募るばかりで「やらなければあったはずの人生」とともに生きていくことではないか?同じ「もしあのとき〇〇していれば」でも重みが全然違うと思う。
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社会人2年目くらいの時、彼氏がいたが他の人を好きになって彼氏に別れを告げた。
その彼氏とは26くらいに結婚しようねと言っていた。
別れを告げて新しく付き合った恋人とは上手くいかず、あれから数年経ったがわたしはまだ独身。
今でも、あの時彼氏と別れてなかったら26歳で結婚して子供とかいる人生だったんだろうかと思い返す。
選ばなかったもう一つの人生、わたしにもある。
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もしあの時、別の選択をしていたら、一体どうなっていたのだろう?
という、誰もが一度は想像するであろう「if」をテーマにした短編集です。もちろん何かSF的な仕掛けがあるとかではなく、過去の自身の選択を振り返ることによって今の自分自身を見つめ直すという、小説の王道ともいえる趣向の作品集になっています。以下、印象に残った3編について書いてみます。
冒頭を飾る「もうひとつ」。こずえと栄一郎のキャラクターがいいですね。こんな人たちとの旅行はご勘弁願いたいですが、一方でちょっと羨ましく思ったり。バイタリティ溢れる彼らを見ながら自分自身を見つめ直す語り手の女性もまた面白く、そしてちょっと怖くもあります。
「月が笑う」。離婚を言い渡され、自暴自棄になった夫。ある日タクシー運転手から聞かされた過去の話と、母親が語る父親との出会いの話によって、妻に対する思いが変化していく過程の描写が素晴らしいです。
「どこかべつのところで」。逃げ出した飼い猫を探し、あの時に窓を開けたことを悔やみ続ける主人公の前に現れたおばさん。彼女もまたある日の行動を悔やみ続けていたのでした。おばさんの話を聞いた後の主人公の心情が印象に残ります。
どれも著者の持ち味が発揮された作品ばかりで、十分に楽しめました。とはいうものの、近年発表された長編と比べると読後感はそれほどでもないかなあという印象もありました(もちろん高いレベルの中で、ですが)。