親愛なるカルロへ
2022/02/01 17:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ネコブ - この投稿者のレビュー一覧を見る
カルロのおかげで「知らない」事がたくさん増えました。僕が生きている内にどれだけ知らない事を増やし、丘の向こうの景色が見れるのか分かりませんが、あなたから十分過ぎる程の科学に対する「愛と情熱」を持って世界を見てみようと思います。カルロの「愛と情熱」を日本語で伝えて下さった訳者の方々にも感謝です。恐らく、「お墓に持っていきたい一冊」になります。まぁでも「確かなことは言えないけどね」
親愛なる読者より。
最新の物理学の知見から導かれた、とってもわかりやすく、刺激的な宇宙論についての書です!
2020/05/13 09:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、物理学の第一線で活躍するイタリア人物理学者カルロ・ロヴェッリ氏による、最新の物理学の知見から導かれた非常に分かりやすい宇宙論の書です。時間等物が存在せず、無限というものが終わり、ビッグバンというものの先には何があるのか?そういった未知の宇宙を、誰にでもわかる言葉で教示してくれます。究極の世界原理を丁寧に教えてくれる最高の書です。同書は、「メルク・セローノ文学賞」や「ガリレオ文学賞」を受賞しており、世界的にも名著と認められています!ぜひ、一度、読んでみてください。同書の構成は、「はじめに―海辺を歩きながら」、「第1部 起源」、「第2部 革命の始まり」、「第3部 量子的な空間と相関的な時間」、「第4部 空間と時間を越えて」からなっています。
すごい物理学講義
2020/03/22 14:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
デモクリトスから最後にデモクリトスのことばになる。物質とはエネルギーで重さもエネルギーである。光も物質のあつまりであり、すべてが一つに集約できるというこの本を読んで物理とは何かを考えることができました。すっきりしないところは残りますが、それが物理学だと思えました。
カルロ・ロヴェッリさんの著書の購入は、これで2冊目です
2024/02/18 10:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shin - この投稿者のレビュー一覧を見る
カルロ・ロヴェッリさんの著書を購入したのは、これで2冊目になります。時間というもは、そもそも、なんらかの方向に進む過程の変化に過ぎない、との考え方なのでしょうか。この自然界そのものの原理・原則を、ある時掬い上げても、それはある側面からの投影に過ぎないのかもしれませんね。
投稿元:
レビューを見る
読んでいくうちに色々な知識が繋がるように書いてあったので読み物としてもよかったし、作者の気持ちも入っていた。よく知らない名前の人が出ていたしイタリア人らしい文化背景があってよかった。
投稿元:
レビューを見る
良かったことは、相対性理論に初めて面と向かったこと。残念だったことは、本書の主題はループ量子重力理論であって、相対性理論ではなかったこと。つまり、これはワタシが本書の序盤戦(に出てくる相対性理論)で苦戦し、本丸(ループ量子重力理論)までたどり着けなかったということ。
それでも、投げ出さずに最後まで読めたのは、物理学と哲学には共通するものがあるという著者の指摘に共感できたから。時間と空間に関する議論は物理学のものだけではなく、古くから哲学者が取り上げてきた。その事実をデモクリトス、ダンテからプルーストまで引用して語っている。
第9章には「科学とは、「技術」を提示するより前に、まずもって「見方」を提示する営みなのである。」という一節がある。「見方」を提示する営み…これはまさに哲学そのもの。物理学と哲学は、実は同じ目的を共有していたのだ。
投稿元:
レビューを見る
「自らの無知に対する確固たる自覚こそ、科学的思考の核心である」
なんという謙虚な。真摯な言葉でしょう。
科学には「Why」は原動力になるのですね。
投稿元:
レビューを見る
本書は、イタリアの物理学者カルロ・ロヴェッリの著作で、最近少し話題になった『時間は存在しない』の前作に当たる。ロヴェッリは、量子力学と相対性理論を統一する量子重力理論の(自称?)有力候補となるループ量子重力理論を専門にする研究者で、本書は物理学の歴史のわかりやすく魅力的な解説書であるとともに最終的にはループ量子重力理論を知らしめることを目的とした本となっている。
『時間は存在しない』の方から先に読んだので、時間の順序が違うのかもしれない(原題は”L'ordine del tempo” イタリア語で「時間の順序」)。順序通りこちらを先に読んだ方が『時間は存在しない』の理解はスムーズだっただろう。
本書の原題”La realta non e come ci appare”はイタリア語で『現実は目に映る姿とは異なる』である。これが、なぜ『すごい物理学講義』というようなタイトルになったのだろうか。少し前に少しだけ売れた多田将さんの『すごい宇宙講義』や『すごい実験』が目に入ってしまい、そいつにあやかろうとした可能性が高い気が微妙にする。そもそも日本人が書いた本と、海外の翻訳物では位置づけが違うだろうし、出版社も違って装丁の基調も違うのだから、もう少し考え直してもよかったのかなと思うところではある。ただどうであれ、原題に沿って付けてしまうと何だかわからなくなりそうなので、きっと困ったんだろうなとも推察する。
本書はイタリアではなぜかいくつかの文学賞を受賞したというだけあり、内容は物理学の歴史と最新理論の解説なのだが、表現がどこか優美である。量子力学の起源を古代イオニアの哲学者デモクリトスまで遡って語る辺りは、まさにイタリアっぽく欧州の本流としての息吹を感じさせる。世界は無限に分割することはできず、最小の有限の粒が存在するというデモクリトスの説は、原子が見つかったことで結果として正しいことが示された。この事物の分割は無限にはできないという原理は、時空間そのものも有限の粒としてしか存在しえないという本書の核であるループ量子重力論につながるのである。
著者は、ニュートンのある書簡にある次のような一節を取り上げる。
「重力が、ある法則に従って作用する動力因によって引き起こされていることは確かです。しかしわたしたちは、その動力因が物質なのか非物質なのかという点については、わたしの読者の考察に委ねることにしました」
これが科学者としての称賛されるべき態度である、と言う。なぜなら「自らの無知にたいする確固たる自覚こそ、科学的志向の核心である」からである。デモクリトスと合わせてソクラテスが知の源流として高く評価されるのはここにつながる。
素晴らしい成果とともに、その成果の限界について自覚的あり、そのことにおいて「ためらい」をすら持つべきであること。その姿勢はファラデーに受け継がれ、彼が「ためらい」とともに示した場の理論は、マックスウェルによる美しい方程式によって表現されることになる。マクスウェルの方程式により、光は電磁波の一種であることが示され、その速度が理論上一定であるということからアインシュタインの特殊相対性理論は導かれた。そして、ついに重力は一般相対性理論において重力場に���って伝えられることが示されたのである。
一方、プランク、ボーア、ハイゼンベルグ、ディラックらによって創始された量子力学が微細な事物を扱うための理論として成功を収める。著者は、彼らによって構築された量子力学を基礎づける原理として①粒性、②不確定性、③相関性、の三つを挙げる。この原理は次作にあたる『時間は存在しない』でも繰り返し取り上げられているが、二十世紀の科学が辿り着いたとりわけ重要な概念である。「場」と「量子」がすべての基礎となっていることはもはや確実だ。成功を収めている素粒子の標準模型では、光子が電磁場の量子であり、その他の粒子はすべて場の量子とされる。
ここまでで量子重力と呼ばれる問題に当たる準備が整った。先に挙げた量子力学の三つの原理がすべてのことに当てはまるのであれば、量子的な空間とは何なのか、量子的な時間とは何なのか、を解明することが必要となるのである。
その研究の先に出てくるのが、著者らが推進する「ループ量子重力理論」である。量子的な空間を捉えるためのホイーラー=ド・ウィット方程式の解を求める際に、閉じられた線(ループ)を計算の対象とするとうまく行くことから、この方向で形成した理論のことを著者らはこう呼んでいる。この理論によれば、面積も体積も取り得る値は離散的である。その値がプランク長という極小レベルであるがゆえ、われわれの感覚には空間はなめらかに連続しているように感じられるのである。
「ループ理論」は、著者によると多くの研究者が有望視しているものだそうだ。対抗馬としては有名なものでは「超ひも理論」などがあるが、彼らが根拠と必然性もなく多次元を必要とするのに対して、ループ量子重力理論は量子力学の基礎的考えから導かれる①粒性、②不確定性、③相関性を相対性理論に組み込んだ結果必然的に出てくる仮説であるからこそ有望であると主張する。つまりまず、すべてが粒なのであれば、空間も①粒性をもっていてもおかしくはない。また、空間の量子はリンクによって、あるリンクとリンクの関係性においてのみ所在を特定されるという特徴は ③相関性の原則に沿ったものとなっている。
著者はここから先に進み、根本的な次元では、時間は存在しない、と主張する。この部分をさらに膨らませたのが、『時間は存在しない』となる。ループ量子重力理論によって記述される世界では、「世界を「収容する」空間も、事象の発生を「順序づける」時間も存在しない」のである。
どうやら次の表現がループ量子重力理論による空間の概念を説明するものであるようだ。
「空間とはスピンの網である。そこでは「節(結び目)」が基礎的な粒子を、「リンク(結び目と結び目をつなぐ線)」が近隣に存在する粒子たちの関係性を表している。スピンの網が、ある状態から別の状態へと変化する過程によって、時空間が形成される。スピンの泡の総和を計算することで、スピンの網の変化の過程が導き出せる。一個のスピンの泡は、スピンの網(つまり粒状の時空間)がたどりうる想像上の行程を表現している。スピンの網の結び目は、ほどけたり合わさったりして、刻々と姿を変える」
すべては「量子化された場」である、として著者は「共変的量子場」こそが実体であ���と主張する。
「場の背景にあるのは場であって、「場の支持体」としての時空間を想定する必要はない。場は時空間に浸かっているのではなく、場によって時空間が生み出される。こうした場のことを、「共変的量子場」と呼ぶ。世界は何からできているのか?近年、この問いに対する答えは劇的に単純になった。この世界を構成するすべてのもの、つまり、粒子も、エネルギーも、空間も時間も、たった一種類の実体が表出した結果にすぎない。その実態が、共変的量子場である」
ここでいう劇的に単純になるまでの経緯を知りたければ、図7-8を見ればよいだろう。この図を説明するためにこの本はあると言っても過言ではない。
著者は、超ひも理論への対抗心をもっぱら隠しもせず、自らが手掛けるループ量子理論を真実に最も近づいている理論であると「ためらい」と共に主張する。もちろん、それが正しいかどうかはまだわからないが、「科学が信用に値するのは、科学が「確実な答え」を教えてくれるからではなく、「現時点における最良の答え」を教えてくれるからである」というとき、著者はループ量子重力理論こそが「現時点における最良の答え」であると考えていることは疑うべくはない。
何となくこの理論は正しいのかもしれないと思う。しかし、問題はここから何が言えるのか、だ。量子力学はそれまでの理論では説明できない多くのことを予測したことによって、成功を手にしてきた。素粒子の標準模型はヒッグス粒子など未知の粒子の存在を予言し、見事に的中させてきた。本書の中ではブラックホールの熱問題や宇宙創成の問題などをループ量子重力理論が役に立つ場面として紹介されている。そして、情報こそがその基礎にあると言いたがっている。事物が無限ではなく有限であるということはデジタルな情報を扱う情報理論と相性がよい。エントロピーの概念から始まる情報理論と物理学の相似形こそが世界の原理になるのかもしれない。思えば情報には、①粒性、②不確実性、③相関性がその骨組みには組み込まれていると言っていいのかもしれない。「ためらい」を見せながらも著者が語るところはそういうことなのだ。
ループ量子重力理論というものはこれまで知らなかったし、実は著者は研究者としてはバッタもんですよ、と言われても確認する術はないのだが、少なくとも物理学の総まとめとしてとてもうまく仕上がっている。『時間は存在しない』よりもまずはこちらの方を自信をもってお勧めできるのではないだろうか。
-----
『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4140817909
『すごい宇宙講義』(多田将)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781609910
『すごい実験 ― 高校生にもわかる素粒子物理の最前線』(多田将)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781606245
投稿元:
レビューを見る
超弦理論とは異なる一般相対性理論と量子力学の統合を目指すループ量子重力理論。
違いを説明出来るほど理解できず。
投稿元:
レビューを見る
科学解説書は好きでたまに買ってよみますが、この本で初めて量子論の触りが、ほんのほんの少しだけ感じる(分かったとは口が裂けても言えない(^^))ことができました。品位があって、正面きって物事を説明している凄く良い本です。
投稿元:
レビューを見る
この前読んだブルーバックスの本よりは分かり易かったな。こう言う本て日本人が書くより外国人が書いた方が全体の掴み方とか構成とか分かりやすく面白い気がするのだが気のせいか。日本はひも理論が優勢だが、この人はループ量子重力理論。正直違いは良く分かってないが、世界を理解しようと言う物理学の美学は伝わってきた。しかしこう言う事を四六時中考えている人は凄い。最後は哲学だなと思った。空想が追いつかない。数学って凄い。
投稿元:
レビューを見る
原題「現実は眼に映る姿とは異なる」のループ量子重力理論の解説書であり、3つのテーマが織り込まれながら、展開されていく。
①一般性相対理論と量子力学を統合する可能性がある理論「ループ量子重力理論」について
②「ループ量子重力理論」に至るまでの物理学の歩みをギリシア時代から遡る
③哲学と物理の関係、特に世界を認識してきた概念について
訳者の力量も素晴らしく、読みやすく、非常に知的満足度の高い良書だった。幾分、③が冗長であったが、ヨーロッパの読者を想定した内容なので、そこは理解できる。
投稿元:
レビューを見る
物理の歴史を知るのは面白い。
現代に至るまでに過去の人々がどのような思考で、自然を論理的に説明しようとしてきたのか。
投稿元:
レビューを見る
この本は最高だった。やはり本物の物理学者の本を読むことが重要だとしみじみ思った。
2022/02/17再読した。
まだ完全に理解できないが、やっと一般相対性理論や量子力学が少し理解できた。
器としての空っぽの空間は存在しないこと、
時間と空間は切り離すことはできず、時空間は量子的であること
小さなものの限界があるし、無限も限界があること
これらのことを理解せずに私たちは日常生活を送り、何かを信じて思考停止するのだ。
だからいつも感覚で扇動されるのだ。
投稿元:
レビューを見る
原題は『現実は目に映る姿とは異なる 量子重力への旅』。カルロ・ロヴェッリはイタリアの理論物理学者でループ重力理論を開拓した人物。流麗な筆致が詩の領域にまで迫っており度肝を抜かれた。
https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2022/04/04/223330