紙の本
自分の中にあるいろいろな考えや思いが
2022/05/02 11:14
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
うまく外に出せなかったり、出て行かなくてもやもやしている時に、彩瀬さんの本が読みたくなる。大概、本の中の人たちももやもやしてくれているので、ふんわり私の中の思いと重ね合わせたりしてしまう。そうすると、それをどうやって消化すれば楽になるのかヒントを教えてもらえる気がする。今日見た中で1番美しいものを描いてみよう。他人には言いづらい経験をこの人にだけは話したい、話したらどうするのかを知りたいと思う気持ち。「円の描き始めと終わりが繋がるように、すっと会話が途絶え」る瞬間。
紙の本
切なく貴い
2021/01/23 23:39
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルから健気でハートフルな作品と思いきや、まさかの仄暗い独特な世界観のファンタジー短編集。『かいぶつの名前』の地縛霊がお供え物を食べるシーンがとても印象的で、実際もあんな感じだったらこちら側の人間もどこか救われるな、とじんわり思った
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一言で言えば
不気味…
こんな話だとは思わなかった
人の心の弱さが闇となって脅かす
くら〜い気持ちになったので
次は明るい本を読もう
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心が弱くなっている人々の前に現れる何か。生も死も、夢も現も飛び越えて、こころを救う物語。
人間は、果たして強い生き物なのだろうか。ちょっとしたことで壊れ行く精神と肉体。感情と行動のコントロールが定まる時は、一生の中では僅かな時間しかない。寄り添う誰かがいるときに、せめて心の解放はしておきたい。
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この世のものではないものたちと、生きているものたちの物語
愛する人との死別の物語
これを「暗くて悲しい話」と片付けられたらどれだけ楽だろうかと思う。大好きな人ともう永遠に会えない。なら、鬼になっても連れて行く。その感情は否定できない。
私に限って起こらないことだと誰にも断言できないからだ。
朝が来るまでそばにいる。
暗く悲しい夜は必ず来るけど、一緒に乗り越えよう。
そう行ってくれているようなタイトルのままに、
どの物語も暗い、悲しい気持ちの後に少し前を向ける優しさを放っている。
綾瀬まるさん、すきだなぁ
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いるはずのない、そこにいた人たちとの愛。
じわじわと恐怖に侵食されているはずのに、どこかそれを求めてしまう、よくないとわかりつつそれに執着してしまう登場人物たちに共感したりしなかったり。
全体としては読み応えが充分にあり、筆致も鮮やか。他の作品も読んでみたい。
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一言でこの小説を表すとすれば、哀しいホラー短編集だと、私は思う。
全6編のうち3編は死というものが前提にあって、残りの3編にもどことなく死の匂いのようなものが漂っている。
怖い中にも湿り気や情緒があって、とても日本人好みの内容だと思う。死者の念や想いの強さが、鬼や奇鳥や地縛霊に姿を変えてこの世に取り憑く。そこには人の哀しみが溢れている。
ホラー要素はほとんどない一編「眼が開くとき」がとてもエロティックで良かった。いらやしい要素や直接的な表現は全くないのだけど、とてもエロティック。だけどある意味でとても恐ろしい物語でもある。
憧れや恋心は片目瞑って相手を見ているくらいがちょうど良く長続きもするのだろうけど、何かのタイミングで両目が開いてしまう時がある。その瞬間憧れは遠のき、そこから先本物の愛に変えてゆけるかどうか…という。
全体的に、人の念を強く感じて、読んでいる最中はとても気が重かった。愛する者に対する死者の執着とか、過去の傷を忘れられない生者の苦しみとか。
突然という形で自分の命が断たれた時にもしも愛する人がいたら、自分はどうするのだろう?と考えたりもした。自分が死んだ後もその相手が幸せに生き続けてくれたらそれで良いと、立派なことが思えるだろうか。
もしかしたらこの小説の中の夜に潜む者のように、相手に執着して、一緒に死んでも良いから側に居て欲しいと願ってしまうのかもしれない。奇怪なものに形を変えてしまうくらい、愛して、狂ってしまうこともあるのかもしれない。
近頃よく読む作家さんの中で、彩瀬まるさんは特に好きだ。単純に読み物として面白いのと、読んでいて人に対する愛情というか温かみを感じるところが、とても好きだ。
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彩瀬まるさんの、繊細ということばすら追い付かない細やかで生々しい文章が短編となって収録されている。痛みと苦しみと、ほんの少しの怖さとなって。生まれてくること、生きていること、生きていくこと。死を迎えること、死を受け入れること。生死というものには日常にはない圧倒的な感触があり、けれどそれはやさしくやって来るとは限らない。そんな生きていくことや死んでいくことを、特別なまま特別じゃないものとしてこうも描写できるのは彩瀬さんだからだとおもう。正否や好悪ではとうてい伝えきれないわたしたちの痛みが和らいだような、幻。
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不思議な感じがして面白かったです。
ファンタジーやSFは好きではないですが、人間愛が結論に来るので、ぶっ飛んだ感じもしっくりきます。
本をあまり読まないわたしですが、たまには小説をと手に取りました。
若い小説家さんなので、高校生とかにも人気?のようです。
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死にまつわる短編集。現実にあるような、だけど言葉にはできないような様々な負の思いがそれぞれの短編の中で表現されている。背中がゾクッとするようなホラーのような、だけど自分もどこか知っているようなその感情に共感したり、とにかく不思議な世界観なのに知っているような名前のつけられないような、あるいは言葉にできないような何かを物語の中で表現してくれているような作品。本書に出てくる人物は不安や怒り、苦しみ、孤独など様々な負の感情を背負いながらもどこか温かみを感じた。それは人間というものが感情動物であるからだろうか。もしくは人間というのは負の感情の裏に正反対の温かな気持ちも持ち合わせているからだろうか。
負と正、生と死、憎悪と愛情。感情というものは複雑でこうしたものが表裏一体となっているのも事実だろう。本書では、そうした正反対のモノの中で揺れ動く気持ちというのも表現されているのではないか。
個人的には最後の作品が特に印象深く残っている。
死後、消えたいと願う幽霊が、望みもしない地縛霊となってしまい、その過程で内省していくことでようやく自分を昇華させ、消えることができるという話。一度は誰でもついた事があるだろう「嘘」でここまでの物語が書けるのかとその想像力や表現力にも驚いたが、小説の中の物語では終わらない身近な話として感じられ、読了後は何ともいえぬ不思議な気持ちになった。
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彩瀬まるさんの小説は、タイトルや装丁(今回は単行本の方が好み)に惹かれて必ず手に取るのだけれど、構成や文体に気圧され、いつも入り込むのに少し時間がかかる。
「君の心臓をいだくまで」「ゆびのいと」はとにかく不気味。人肉を連想させられるし、死してなお残る、愛する人への執着に背筋が凍る。「眼が開くとき」からは暗さの種類がまた少し変わって読みやすくなる。「よるのふち」「明滅」「かいぶつの名前」と続く。全6話を収録した短編集。図書館蔵書。
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豪雨の現在に読んだら、「明滅」がとても心にきました。
人ではないものや、想いが強過ぎて鬼になりそうな人もいるけど、それを救うのもまた人なのかもしれない。鬼になるのをとどまらせるのも、一緒に堕ちてあげるのも。
朝がくるまでそばにいる…朝がくるまでの暗闇ではあなたのそばにいるよ同じ闇に引きずり込みたいから、なのか、あなたの闇に朝がきて光が差すまでそばにいるから、なのか…どちらも出てくるお話たちが良かったです。
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読み始めは苦手かとと思って、
気乗りしないまま3つ目のお話を読んで
一気に「最高だ!!」ってなった。
夢なのか現実なのか妄想なのか
生きてるのか死んでるのか分からない世界
想像が弾むお話はやっぱり面白い!!
眼が開くとき は、彩瀬まるさんっぽい。
これと、よるのふちが好きでした。
夏っぽい…ちょっと怖くてヒヤッとする。
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静かに静かに物語が流れていくのに、心がぐらぐら動かされる不思議な作品。
今ここに生きている私のすぐ隣にも、もしかしたら「死」が存在しているかもしれない。そもそも生と死の境界線ってなんだろう。
どの物語も、ゾワゾワするような幻想的なような、「死」を考えさせられるものだけど、不思議と怖いとか悲しいとかではなく、心がほぐされるような柔らかさのあるストーリーだった。
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死んだもの関係のお話は“怖い”がついて回るのだけど、読み終わったあとはその怖さが別のものに変化している気がした。怖さの正体の訳がちょっとわかったからかもしれない。生きているものが飛び越えられない境界線を行ったり来たりして、その怖さの正体の一部分を明らかにしてくれた。
死んだら終わりだと思うのは、単に生きているものの視点だもんなって思えた