紙の本
青春ものでもあり、宮沢賢治を巡る旅ものでもあり
2020/03/09 14:53
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投稿者:たけとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
良かった。面白かったというより、とても良かったという感想。恋愛青春ものかと思ったらBLオチだった(違います)ってくらい、ラストというか真相が衝撃的。まさかそれぞれのメインキャラが、銀河鉄道のキャラに当てはまるとは。伏線は分かりにくいけど、あとで全部「なるほどな」とつながっていく。ミステリ部分はなくても良いので、青春ものとして翌夏に行われるであろう富良野旅行の話など、続きが読みたい…。
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宮沢賢治。誰もが早い時期に覚える作家の名前じゃないでしょうか?とはいえ、幼少で触れた彼の作品を深く理解できるはずもなく、気づけば大人になっている。そんな人も多いはず。
昨年 花巻に行く機会に恵まれ、宮沢賢治ゆかりの地で宮沢賢治の人物像を初めてしっかりと理解する。とても幅広い知識の持ち主で、改めてその人物像に惹かれた。
そんな宮沢賢治の地元 花巻を舞台に「銀河鉄道の夜」を巡る、高校生たちの一夏の冒険と成長を描いたおはなし。宮沢賢治独特の言い回しでもって物語に描かれる様々な場所や風景。その舞台となった地を宮沢賢治が見た景色を辿り旅をする。
風景や空気の描写が美しく、旅の行程や宮沢賢治の文献に準じて詳細に書かれていて、ラストに向けての畳みかけと伏線回収も気持ちよく一気に読了。
「薤露青」の色の描き方が美しくて印象的。
宮沢賢治の「青」に対しての解釈も好き。
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宮沢賢治をモチーフにした青春小説。
始めて読む作者だったが、非常にストレートで好感が持てる青春小説だった。
しかし、宮澤賢治が特別好きだとか、思い入れがあるとか、そういったことは一切無いのだが、何故か宮沢賢治がテーマの小説はつい買ってしまう……何故だ……?
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いい意味で予想を裏切られた。もっとライトな作品かと思っていましたが、宮沢賢治に関する考察やイーハトーブ巡行は、綿密な文献調査と現地取材に基づいて書かれているようで、なかなか読みごたえがあります。銀河鉄道の夜を読みたくなりますし、中盤以降描かれる巡行は旅情を掻き立てます。青が象徴的な本作ですが、映像で見たいなぁ。
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岩手県人はもちろんだけど、星好き、宮沢賢治好き、鉱物好き、登山好き、いろんな人が楽しめるストーリーだった。
薄々深澤が花巻に来た理由は分かったけど、荘多の地下鉄の記憶がこうつながるのか…!とグッときた。
深澤のアルバイト先のバーガーショップもわざわざ店名を出す理由があったのも納得。七夏の行動力が尋常じゃなかった。
あと三井寺先輩の3つ目の夢を知って、やるせなさに悶えてる。でも彼は自分の道を自ら切り拓いていく人だと思う。学びの方法も夢を実現する方法も一つではないことを知っている三井寺先輩にエールを送りたい。
ぜひ岩手で撮影して欲しい。
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新潮社のHPでタイトルを見たときは、「野菜作る話ですかね」とか思ったりなんかしちゃったのだけど(苦笑)
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宮沢賢治って、小説を読んでいるとときどき出会う。今でもこんなに研究の的になっているのは、やはり生み出された物語世界の魅力が大きいんだなぁと思う。本当のところがどうか、そもそもそんなに深読みされるほど考えていたのか、もはや分かりようがないのに・・・すごい引力。
そんな「賢治先生」を軸に集まった高校生たちの、ひと夏だけを描いたお話。作中の時間は短く、それだけにいろんなことが濃く書かれているような感じがする。壮多たちが歩く岩手の風景、賢治についてのさまざまな研究、些細なことで揺れ動く高校生の心。
心情がこまやかにみえるのは壮多だけど、三井寺先輩や七夏の気持ちも台詞や行動からよく感じ取れる。転校生の深澤は・・・正直あまり分からない。過去の出来事と今をうまく結びつけられずにいるのかな。それもやっぱり、10代の繊細さだなと思う。
花巻で生まれ育った壮多が自分を「花巻の子」だと思い、一方で親しい七夏については「そう遠くないうちに花巻を去るだろう」と考えている、その距離感が印象的だった。高校生の今、こんなに毎日つるんでいる相手でも、都会から離れた地域では「上京する人と、しない人」という分かれ方が動かしがたく存在するのかなと。
謎めいた部分のことは最後にばーっと明かされるまでほぼ分かりようがないので、壮多たちと一緒に岩手の風景を堪能する気分で読むのもいいかも。
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花巻農業高校をモデルとした高校を舞台に、賢治と地学をテーマにミステリーも盛り込んだ青春小説。
物語の途中で失踪した七夏の真意がつかみにくかったが、中盤から後半に展開する地学部の巡検の詳細な描写を経て核心に迫るためには必要であったか。それでなくても彼女を含んだ主人公たちの関連性は描けたような気がするけど。
ミステリーより地学で賢治を語りたかったという趣旨はよく分かるだけあって、そこが少しもったいなかったが、賢治テーマの青春小説にありがちな展開とは一線を画するところも感じたので、そこは評価しよう。
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東京から入学してきた謎の転校生。ひょんなことから地学部を作ることになり、そこから宮沢賢治ゆかりの地を旅することになります。しかし幼なじみが旅へ行かずに音信不通に。それは何故なのか?転校生の正体とは?
宮沢賢治の作品、特に「銀河鉄道の夜」についてのことがふんだんに盛り込まれていて、宮沢賢治ファンの方には、より楽しめるかと思います。盛岡へは行ったことはないですが、情景描写が繊細で美しかったです。その周辺を知っている人には、大いに楽しめると思います。また、地質について豊富に描かれています。ブラタモリを見ているようで、勉強になった感覚がありました。一緒に旅をしているようで、面白かったです。
表紙や帯を見る限り、ミステリー?な感じがしましたが、全体としては青春小説でした。時にブラタモリ?、時にちょっとシリアス?と読み進めれば進むほど様々な雰囲気を味わうことができました。
幼なじみの真相や転校生の正体がわかってくると、なんとなくミステリー小説を読んでいる感覚がありました。それぐらい通づる理由でした。しかしこの作品は、それぞれの高校生達の情熱や苦悩が描かれている青春小説として楽しめました。もう一回「銀河鉄道の夜」読んでみようかなと思わせてくれるかと思います。
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宮沢賢治の不朽の名作『銀河鉄道の夜』。
あの幻想的な世界のモデルとなった場所を、地学部の男子高校生達が自転車で辿る物語。
主人公のジョバンニが銀河鉄道に乗り込んだ丘に、読み手である自分が立てるなんて。
そんな旅ができることがとても羨ましい。
ジョバンニが銀河鉄道の世界に迷い込んだのは、当然夏だとは思っていたけれど、お盆の頃だったとは。
お盆だったからこそ、正者と死者が交わるあの不可思議な体験ができたのだろうか。
そして、あのラスト。
カムパネルラが死なない結末も用意されていたことに驚いた。
賢治は十年間も『銀河鉄道の夜』を書き直し続けて、結局未完成のままになってしまったけれど、カムパネルラの最期の描き方を賢治は本当はどのようにしたかったのか、とても興味深く思った。
賢治の作品に出てくる「青の果て」。
夜になりかけの空の青。
賢治が思い描いた、この世とあの世を繋ぐ境目の深い「青」について、この物語の高校生達と同じく、私も思いを巡らせた。
今は行けないけれど、いつか岩手に行ってみたい。
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ガッツリ賢治先生!(゜▽゜*)地学部というよりも賢治先生研究会?(^^;)花巻をメインに賢治先生ゆかりの地を巡る高校生(^^)行ったことがある場所が登場していると、嬉しくなる♪青ノ果テ、薤露青は素敵なんだろうなぁ(*´-`*)
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『月まで三キロ』に続いて、著者に2作品目になります。宮沢賢治や『銀河鉄道の夜』をはじめとする彼の作品も記憶がほとんど消えかかっていましたが楽しく読めました。 高校生たちのひと夏の冒険が、宮沢賢治と地学、地元愛というテーマを盛り込んで描かれています。賢治作品を地学という切り口で小説にするなんて、おどろきです。私が学生の時に、この小説があったら、きっと地学を勉強するきっかけになったかもしれません。
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青春小説であり、ミステリーであり、宮澤賢治の考察でもある。
すべてが好きな自分にとっては、とてつもなくワクワクドキドキできる小説だった。
宮澤賢治の世界を、精神世界から読み解くのではなく、科学的に読み解くこともまた、宮澤賢治の世界を理解する上で大切なんだと感じる。
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レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、山田正紀さんの『カムパネルラ』を読んだばかりだったので、繋がりがある部分もあって面白く読めました。
花巻農芸高校に東京から深澤北斗が転校してきます。
高校二年の江口壮多は幼なじみの佐倉七夏のフルネームを深澤が知っていることを不審に思います。
怪我で、「鹿踊り部」のメンバーを外れた壮多は深澤と先輩の三井寺、一年生の川端文緒らのおこした地学部に入ることにして、その夏、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に沿って賢治ゆかりの地を自転車で巡る、巡検に出ることになります。
花巻から、早池峰山、穂山高原、三陸を廻り、岩手山、八幡平へ。
一方、七夏とは連絡が取れなくなり、行方不明です。
なぜ七夏は姿を消したのか?
七夏と深澤との関係は一体何なのか。
七夏からは一度だけ連絡が入ります。
<わたし青の果てがどんな色か、わかった気がする。でもわたしにそれが描けるかどうかわからない>
巡検で深澤は「『銀河鉄道の夜』だけは特別なんだ。特別に嫌いなんだよ。カムパネルラが、川で溺れ死んだあとジョバンニは大急ぎで家に帰ったんだよ。親友のカムパネルラが ついさっき 川で死んだのに だぞ」
と意味深なことを言います。
そして、最後は思いもかけなかったラストがあります。
巡検の旅は、壮多にとって七夏のための旅でもありましたが、自分自身のための旅だったのです。
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2020/06/24 読了。
図書館から。
著者作初。
宮沢賢治ですね。
最近、賢治が出てくる話をよく借りるが、
色んな解釈があって影響がたくさんあるなぁと。
岩手行きたいー!!