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投稿者:HAKU - この投稿者のレビュー一覧を見る
父が認知症を患い、海外へ嫁いだ私は子供たちの夏休みや冬休みを利用して実家へ戻った。戻る度に父の認知症の進行を感じた。無口になり、食べ物を探し続け、他人の悪口を言い続け…。何度も同じ人の悪口を聞かされるとたまりかねて[証拠もないのに他人の悪口を言ったらあかんよ]と諌めたこともある。そんな時[お前には分からん]と言われた。数年前に肺炎を併発して亡くなってから、この本を読んだ。涙が止まらなかった。もっと早くに見ていたら父への言葉も変わっていたのではないかと思う。
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
親の介護をしたからこそ・・ってありますが、まさしく現実にありそうなテーマとストーリー。
身につまされます。
親にしても、自分にしても、近い将来が怖いかも・・・
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認知症の介護の話。
最初は高齢者の車の事故が増えていることから、義父にも運転をやめてもらった方がいいと嫁の雅美が言い出したことから始まる。
義父を説得しているうち、何か様子がおかしいと思うようになり、なんとか脳ドックという名目で病院に連れていく。
初めは事故が起こったら自分たちにも被害があるとか、世間体ばかりだった。
とにかく介護が進むに連れて色々なことがある。
介護される側もする側も疲れてくる。
壮絶な日々である。
自分も近いうちに介護をする側になり、その先には介護される日が来るだろう。
それがわかっていても、受け止められないような過酷で残酷な真実がある。
そんな重い話でも、目を背けることは難しい…
2024.6.9
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認知症
昔々はそこまで長生きしてなかったのか、隠されていたのか、生き抜くことだけで精いっぱいだったのか。
90歳を超えても自宅で元気に暮らしている方もあれば、施設に入られてただ生きているだけのように見受けられる方もいらっしゃる。この違いはなんだろう……
自宅がいいと一人暮らしを続ける母を思いながら色々考える。
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79歳の幸造の症状が徐々に悪くなっていくのが辛いです。自分の親が認知症になった時に、知之と雅美のように優しく出来るだろうか。その際は、ぜひこの本をバイブルにしよう。
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老い衰える不安をかかえる老人と、介護の負担でつぶれそうな家族。介護する側の視点だけでなく、認知症になった老人の心の動きも細やかに描き、親と子の幸せのかたちを探る。在宅医療を知る医師でもある著者が描く、迫力満点の認知症小説。
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うーん。まさに父親が87歳で認知症なんだよなぁ。倒れて肋骨骨折の治療の為2ヶ月ほど入院したのだが、その間「夜間せん妄」で、看護婦に暴力振るうやら脱走を企てるやらで大変やった。お陰で要介護5の判定をもらい、骨折が完治したので家に戻ったが、症状は落ち着いている。
でも、介護している母親が介護疲れで危ない。特養は申し込み済みだが音沙汰が無い。とても在宅で最後まで面倒見切れないのだが、最後の手段は精神病院かなとは思っている。
実にリアルに感じながら読み込んだ一冊だ。
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超高齢化社会。自分の親、夫の両親。この物語は人ごとではない。『恩返しをしている』自分はそんな気持ちで介護ができるだろうか?考えさせられる一冊でした。
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離れて暮らす父の事を思いながら読んだ。
老いた親のいる中年にオススメ。
喜久屋阿倍野店にて購入。
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超高齢社会の日本にあって、他人事とは思えない、まさに身につまされる認知症小説。
介護する側からの小説は今までもあったろうが、認知症本人の気持ちを描いた(しかも本人が日記で自分自身を語る)作品は、おそらく初めてではないか。
認知症を患っている本人の心の中など、周りの者には理解することができない。患者の心の中を描き出すこの小説は、現役医者ならではのなせる技だろう。
認知症の患者が引き起こす実際の事件を報じた新聞記事等。それに類する、この小説の主人公の行跡、彼に対する家族(特に嫁)の関わりと、話が進んでゆく。
次第に深刻になる認知症、途方に暮れる患者家族の悩み。イヤミスもかくあらんかの展開に、読む手も止まりがちか。
そんな現状を打開するため、家族は認知症専門のクリニックの医師のセミナーに参加する。
「認知症本体の『中核症状』は治すことはできないが、『周辺症状』はコントロールできます」
「介護がうまくいかない最大の原因は、ご家族が認知症を治したいと思うことなんです」
「認知症の人にも感情はあります。優しくしてもらうと、喜びます。・・・認知症を治そうと思わず、受け入れることです」
間違った介護ばかりだったと思いいたった家族は、徐々に対応が変わって行く。
最後はホッと。
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引用文献のページに、早いものは2007年から2016年くらいまでの、朝日、読売、毎日各紙などに掲載された、「認知症」に関する記事が列記されており、それらの記事が本文の各章でテーマ設定的に引用されている。徘徊や火の不始末、車の事故などである。
また、「参考」のページには、「父の日記」太田順一著、他一冊が記載されている。
この参考の「父の日記」が気になったので調べてみると、これは写真家太田順一さんの、「干潟」の写真と太田さんの「父の日記」を組み合わせた写真集のようで、その大田さんの父の日記には、認知症になっていく自身の苦しみなどが綴られていたようだ。
干潟に残る生物(例えば貝)の動いた跡の写真と、父の生きた証跡である日記から、命というものをイメージした作品のようで、こちらも興味深い内容ではある。
本書の著者は医師であり、高齢者を対象とした在宅訪問診療に従事していた経歴がある。おそらく「認知症」に関する事件や事故に大きな関心を持ちながら医療に従事されていたときに、この太田順一さんの写真集に出会い、本書執筆の発想が生まれたのではないかと想像する。
本書は、妻を亡くし一人暮らしをしている高齢の父を、近くで見守る息子夫婦の家族の物語である。
徐々に認知症が進んでいく父は、自身の能力衰退を自分でも感じ、それに苦悩し、また自分なりに戦いながら、日課としている日記にその事実を記していくが、次第に日々の自分のことが分からなくなっていき、書くべきことも分からなくなっていく。
一方、認知症がどんどん進展していく父親の、いわゆる問題行動に巻き込まれていく夫婦の介護の苦悩、不安の模様がリアルに小説化されている。
父親を主人公としてみることもできるし、父を介護する息子夫婦を主人公としてみることもできる。その見方で、いずれ高齢となり、認知症となってしまう可能性を秘めた自分のこととして読むこともできるし、現在高齢の親をもつ家族の現実的な将来像として読むこともできるだろう。
実際の認知症の症状を知る医師が、実際にあった事故や事件からヒントを得て構成したストーリであるだけに、非常にリアルで、読者は自分にも起こりうるドキドキ、ハラハラ、そして不安や苦悩に飲み込まれていく。
しかしながら、認知症を治す薬は現状ない。
本書の中で、認知症家族に向けたセミナーを行う医師に、こう語らせている。
「さあ、ここなんです。認知症介護のいちばんの問題は、いいですか。介護がうまくいかない最大の原因は、ご家族が認知症を治したいと思うことなんです。」
治らない認知症を、治したいと思うことが、介護がうまくいかない原因であると。治したいと思うのは介護する側の都合であって、本人の都合でないと。
介護の視点を、「介護側」の都合の視点から、「本人」の視点へ転換することを助言している。難しいことではあるが、それがよいのだというのが医師である著者の主張なのだと思う。
これから団塊の世代が後期高齢者の年代となり、この現実は急増することが予測され、現実を知るヒントとか心構えになる書で��ると思う。
自分自身の一番の感想としては、やはり「認知症にならない人生を送りたい」ということだ。本人も家族も辛いのだから。
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シンプルに,介護をする側とされる側の主観視点が交互に出ることで,感情のすれ違いや齟齬が詳らかになる.介護はこのすれ違いや齟齬を埋めることで相互の幸せに近づくのだ,という事例を淡々と主張する.
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認知症の老人の話を、老人の側からの視点を加えて描いた作品。
自分が中年の仲間入りをしてから、自分の将来を考えるようになり気になって購入。
今までは介護する側だけの視点だったが、介護される側の視点から描いているのがすごく斬新。認知症と言ってもいろいろなことが理解できているので「ボケちゃってる」などと本人の前で言ったりするのは本人が傷つくというようなことも書かれている。確かに若い世代だと、認知症は遠い将来なのでなにげなく「おじいちゃんボケた」とか発言してしまう。同じように耳の遠い人に「どうせ聞こえないんだから」とか、精神に病気がある人に「どうせわからないんだから」といって悪口を言うのは、言われた方が傷つくということだろう。改めていろいろな場面で、相手の気持ちに立つことの大切さを思い知らされた。
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認知症がどうやって進んでいくのか、家族の看護責任は?重い内容だがなるほどと感じるところ、感情でだけでは無理なところ、それぞれ書かれている。最後はちょっとうまく行き過ぎだが、読後感はよい。
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数年前、介護の一番大変だった時期に読みたかった。
終盤に出てくる和気医師のアドバイスは第三者の綺麗事だよっ‼︎と思ってしまったりもするけれど。
幸造の日記が、リアル。
介護の嵐が止みかけた頃に、認知症の親の部屋から出てきたメモに相通ずるところが沢山あった。
あの嵐の時期にこの本を読んでいたら、もっと親に寄り添えて、もう少しマシな穏やかな介護ができたと思う。