シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争
著者 麻田雅文 著
1917年11月に勃発したロシア革命。共産主義勢力の拡大に対して翌年8月、反革命軍救出を名目に、日本は極東ロシアへ派兵、シベリア中部のバイカル湖畔まで占領する。だがロシア...
シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争
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商品説明
1917年11月に勃発したロシア革命。共産主義勢力の拡大に対して翌年8月、反革命軍救出を名目に、日本は極東ロシアへ派兵、シベリア中部のバイカル湖畔まで占領する。だがロシア人の傀儡政権は機能せず、パルチザンや赤軍に敗退を重ねる。日本人虐殺事件の代償を求め、北サハリンを占領するなど、単独で出兵を続行するが……。本書は、増派と撤兵に揺れる内政、酷寒の地での7年間にわたる戦争の全貌を描く。
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シベリア出兵100年を前に繰り返し読みたい良書
2017/06/09 20:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:miyajima - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロシア革命を勉強すると避けられないのがシベリア出兵。といつつ私にとってはせいぜい米騒動で出てきた記憶程度のもの。あまりに知識がないのでいろいろ本を探したのですが、意外にも新書レベルはおろか研究書も現代のものがほぼ見当たらないということに気が付きました。そんな中で本書は2016年の刊行ということで読んでみました。
なるほど、もともと何も知らないに等しかったので本書の内容はどれも大変に新鮮なものばかりでした。ほぼすべてのページに付箋がついてしまいました。
最大の収穫は、日本では対ソ戦というとシベリア抑留に言及されることが多く、しかもそれは日本人にとって悲劇として描かれるわけですが、ソ連(ロシア)では研究者以外にシベリア抑留に言及するケースは皆無で、逆にシベリア出兵は日本の軍国主義の象徴として今でも歴史書・教科書に取り上げられているという点です。
本書を読む限りではまさしく日本のやったことは侵略に間違いはないんだろうなあという感想を抱きます。そして本書が素晴らしいのは、そもそもなぜこれほどの長きにわたって撤兵ができなかったのかという点について言及がされている点です。
なお、多くの犠牲を払って得るものが無かったシベリア出兵。もともと英仏が第一次大戦でドイツに対抗するために思いついた補助的な作戦に過ぎなかったはずなのに、なぜこの戦争は7年の長きにわたって続いたのか。著者によれば以下の通りです。
・統帥権の独立により軍に対して政府は命令できなかった。参謀本部の権力は絶大であっただけでなくその背後にいた元老山形有朋の権力は絶大であった。
・派兵は戦争ではないという建前なので講和条約を結ぶこともできない。というよりそもそも日本はソヴィエト政府を国家として認めていないので交渉の相手がいなかった。
・山形だけでなく原内閣も北満州や北サハリンでの利権獲得に執着していた。しかも出征して亡くなった兵士の死を無駄にできないという心情も作用した。
というもの。「広大な空間を舞台に神出鬼没の非正規軍に悩まされる」「その敵とつながっているとみなした現地の住民を敵視し、討伐し、結果的に四方を敵に回し兵士も疲弊する」という状況はまさに日中戦争で繰り返されました。これらの教訓が全く生かされなかったことが日中戦争での悲劇につながったという著者の分析は大いに首肯するところです。
著者が強調するように、多くの日本人にとって印象が薄いシベリア出兵。2018年はその100周年に当たります。日本人はこの戦争をもう少ししっかりと総括するべきではないかという思いを強くしました。本書は繰り返し読むべき本とします。
シベリア出兵
2020/01/12 04:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
シベリア出兵については、私もあまりよく知らない一人だったので、知らないことの連続で面白かった。出兵の原因はおもにチェコ軍団の救出とドイツに対する東部戦線の再建だが、WW1の終戦後やチェコの独立後も日本は引くに引けず、さらに和平交渉をしようにも、出兵時にソヴィエトを国家として承認していなかったため、交渉しにくいなど、面白いけど笑ってもいられないような話が多く、面白かった。
忘れられがちなシベリア出兵
2017/06/06 00:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サラーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
近代日本史でなぜかあまり触れられないシベリア出兵。それを丁寧にまとめた一冊。あらためて読んでみると太平洋戦争の際に失敗した点につながる箇所もあり、大日本帝国の興亡をキーワードに読み進めている方々にはご一読頂きたい良作だと思います。
日露戦争後の日露関係を読み解くうえでも有効な本。
大義も成果もない出兵
2022/12/09 23:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一次世界大戦の連合国側の作戦の一つとして始まったはずなのに世界大戦が終わり、他の国が撤兵しても日本だけがずるずると駐留し続けたうえに最後にはほぼ成果がなく撤兵したシベリア出兵の経過がわかる。損失が出るほど成果なしで撤兵はできなくなっていきずるずると続いていく様は現代でもいろんな場面で起こり得ることだなと感じた。
忘却の彼方から
2017/03/19 12:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
シベリア出兵というと高校あたりの日本史の教科書にちょっと出てくる程度です。しかし、シベリア出兵は、歴史的に重要な事件です。当時の国際関係を知る重要な歯車でもありますし、尼港事件という悲劇もありました。それは、現在の国際関係にも言えることです。
近代史
2016/10/13 17:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の歴史で近代史でも知られていない事実がある。そうしたことに向き合わなければ未来はない。この本は研究する人の少ないシベリア出兵について時系列でわかり易く書かれている。この時期の日本の動きを知るには最適と言える。
忘れられた戦争
2016/09/28 03:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーク - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはシベリア出兵という近代日本の起こした軍事行動中でも、とりわけ地味な印象を抱く事柄を当時の国際情勢や外交などを手堅く纏めた概説書である。
地味さは否めないもののこのシベリア出兵は、現地軍の暴走や、外交の不手際など後の昭和期に頻出する事象が既に現れていたのが非常に興味深かった。