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これからの
2020/05/29 16:44
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投稿者:いのぜい - この投稿者のレビュー一覧を見る
これからの、いや、目の前に迫っている社会の有り様を表している。
紙の本
まだはっきりとはしないが、おそらく何かが爆発的に進展しMaas
2020/05/04 18:43
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
・日本の法令の多くがポジティブリスト方式のため、新しいものが出てきたときに柔軟な対応がしにくい
・欧米ではネガティブリスト方式が多い、例示されたものは認めないが、それ以外は合法という構造、制定時に想定していなかったことが出てきてもまずは認めて様子を見ようと対応がしやすい
・競争相手と対話しながら最適解を見出す
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今まで漠然と捉えていたMaasを基礎から発展まで体系だって学べる書籍だった。またどこか他人事と思っていたMaasも着実に世界レベルでおこっており、インターネットの普及期のような世の中が今後2、3年で起こりえるかもと思った。Maasによって全てのヒトに移動の自由を与え、自動車の概念が保有から利用に変わることを着実に受け止めて製造業が何をすべきか、本書の中にもでてきているBeyond Maasの視点で更に進んだところを考えていきたい。
簡単に以下に各章をまとめる。
1)日本版Maas
移動をマイカーという移動手段と同等かそれ以上を提供しようというのがMaasの定義。
日本国内でもトヨタとSBが設立したモネテクノロジやマイルートなど進歩が著しい。ただまだ民間主体で官主体の世界はもっと発展している。例えばフランスやオランダ、ドイツ(特にベルリン)等の発展は著しい。ドイツは更にダイムラー、BMWが事業に乗り出し官民一体が整いつつあるようにみえる。
まだ黒字化が難しい事業だからこそ日本も官民一体で進められるようにしてもらいたい。
2)何のためのMaasか
欧米と異なり日本は人口密度が高いため公共交通機関が黒字化しやすいため民間が請け負っている。Maasと公共事業は相性が良いため日本は土壌があるともいえる。ただ狭い範囲で競合と争っているため都市単位でMaas化しようとしている欧州比べ障害が大きい。ここを打開するのが日本Maasの最大課題である。
あとはルーラルマースやオープンデータ、実証のための法規制等の課題を解決してマイカーのいらない世の中にしていきたい。
3)持続可能なMaasとは
Maas拡大のためには生態系でいうエコシステムが必要だ。ここではMaasプロバイダー/オペレータ、ユーザー、交通事業者、データプロバイダー、拡張企業(アプリの実プログラミングなど)が必要になってくる。特異的なのは自動車産業はあくまでプロバイダーの下流にあたり、今までないコントロールできない相手が提供するサービスを前提にサービス設計しなければならない新しい挑戦が必要となる。
ATP(アデノシン三リン酸)のような共通通貨はMaas事業ではデータがそれにあたる。この共通通貨をいかに発展させていくかが新ビジネスでは重要である。
INTでは93年に商品利用が解禁して、94年にアマゾン、95年にマイクロソフトのwindows、ヤフー、98年にグーグルが誕生した。この93年をフィンランドでMaasが始まった17年ととらえると、5~7年後にはグーグルのような覇者があらわあれもおかしくない。そこに日本製のプレーヤーとして生き残らなければ製造業しかない日本は没落してしまうだろう。
4)Maasビジネスのつくりかた
Maas導入に関しては利用者、交通事業者、都市/周辺事業者それぞれにメリットがある。Maasビジネスの作り方は3つの領域にわけられる。
①Maasの基本構築領域:Maasアプリの提供②DeepMaas:先端技術やビジネススキームの導入③beyond maas:異業種との連携
特に②、③は大きなビジネスチャンスにつながりうるので知恵が必要になる
5)Maasで導く交通業界の成長戦略
鉄道、バス、タクシー、航空それぞれに役割がある。Maas時代においては公共交通機関の関係性は競争から共創関係が必要である
6)自動車業界激変
CASEのような事業改革がおこるなか自動車産業が生き抜いていくためにはSのシェアリングやモビリティーサービスに取り組み、BeyondMaasの事業確立をしていく必要がある。その中で自動運転やビッグデータ、自動車の蓄電池化はスマートシティの中で活路があると考える。
7)Beyond Maas
住宅や観光、医療、小売り、電力、通信、金融、広告など多くの事業がMaasとの連携が可能となる。その中でもゲームやイベントは趣味の世界が台頭する将来は良い切り口になるのでは
8)2030のスマートシティー
カナダのトロントやシアトルでも実証実験が行われようとしている。
実現に向けてはビジョンの共有、官民データの連携、データ駆動型のプロセスが重要になってくる。
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「MaaS」が出版されてから1年と少し。日本国内におけるMaaSの状況は大きく変わった。
本書の冒頭で次々と紹介される国産のMaaS、実証実験がその変化を雄弁に語っている。
本書ではMaaSの最前線、そしてDeep MaaSとBeyond MaaSといった「MaaSの先」について触れている。
国内外のプレーヤーによるインタビュー、国内屈指の有識者である筆者陣による未来予想図は読み応えがある。
紹介されている実証実験の「参加者には好評だった」という定性的なところから、ビジネスとしての飛躍までどう繋げていくのか。その点と点を繋ぐ道筋はまだおぼろげだ。
それはMaaSの先鋒をひた走るWhimのサンポ氏のインタビューからも感じられた。
様々な実装がなされ、その成果がちらほら見えてきている今だからこそ、輝かしい未来への展望への道筋を無邪気には信じられないというのが正直なところ。
それが前著が出てから本書が出るまでの変化なのかもしれない。
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# 読む前
MaaS事業に関わっているので。最新の動向のまとめと今後の展望を知りたい
# 内容
「MaaSの本質」を語る入門書だった前作に対し、本書は実践書。
・2018年から2019年にかけて
日本国内で推進団体が立ち上がり、関係省庁からの支援もありながら交通事業者を中心に各地で実証実験が行われるようになってきた。一方、海外では法制度の整備やデータの利活用のための取り組みも進んでいる。
・日本と諸外国との違い
- 公共交通事業の運営主体の違い。海外が自治体が構築、民間で運営しているのに対して、日本は民間企業が構築運営している(その分、公共交通を中心とした街づくりもされてきた)。
- 法律の規定(ポジティブリスト)方式
-> 日本独自の進め方がありそう
・ ビジネスモデル
- MaaSをビジネスとして成り立たせるポイントは検索、予約、決済という基本機能に加えて、DeepMaaSあるいはBeyondMaaSの領域で展開すること。
* Deep MaaS:自動運転やマッチングなどの新たな技術も用いながらモビリティサービス、オペレーションを高度に連携して交通を最適化する
* Beyond MaaS:移動の目的にあたる産業やまちづくりを含めたサービスとして展開する
・MaaS推進のポイント
- MaaSは手段であって目的ではない。地域活性と豊かな生活を目指す。
- MaaS時代の公共交通は都市全体の視点、利用者の視点で競争から共創へ。
- 自動運転などの導入が数年先の話であることだけでなく、環境整備やまちづくりまでスコープに入ることを考えると長い期間のかかるプロジェクトであると認識すべき。
# 所感
事業性をなかなか見出せないでいる事業会社からすると、「長い時間かかる、変化し続ける、今ビジネスになるかを判断するのは早い」、にすごく安堵した。
俯瞰した目線で、社会課題の解決、人々の生活の質の向上のために事業者間でそれぞれの強みを活かしながら協業していくことが大事だと改めて感じた。
一方、現実的な難しさとして、企業価値と同等のデータをオープンにしていくこと、連携とレベニューシェアのバランスの取り方や、地域ごと固有の交通課題を捕まえて取り組まなくてはならないことと相反する全国で展開するときの効率性などがありそう。
最後に、本書には多くの有識者のコラムがあり、大変参考になった。例えば、as a Serviceの考え方。調理する、食事をすることを目的と考えると、冷蔵庫も、冷蔵庫が使う電力も、食品配送と合わせた1つのサービスとなり得る。のような例示。
なるほどな、と。移動そのものの価値観、移動の主体が変わりつつある昨今、既存のあり方に囚われないものの考え方が新しいサービスを生みそうだ。
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MaaS時代においては、公共交通機関の関係性は「競争」から「共創」へ変化していく。これまでは同一地域の競争関係の中で切磋琢磨しながら、互いのサービスを向上させてきた。いわゆる競争関係である。今後は、良い意味での緊張感のある状況で、共創関係をどのように構築するか、エコシステムをどのように構築するかがポイントになる。それは同一地域においても、遠く離れた地域でも同じような課題を抱えている事業者間や、同じシステムを活用できる場合には積極的に連携メリットを模索していけるといい。
(引用)Beyond MaaS 日本から始まる新モビリティ革命 ー移動と都市の未来ー、著者:日高洋祐・牧村和彦・井上岳一・井上佳三、日経BP、2020年、211-212
本書を読み終えるまで、私は、MaaSについて、単にアプリを用いたナビゲーション(地図、経路検索)や予約・決済機能のことだと思っていた。しかし、その考えは、根底から覆させられた。MaaSは、交通分野のサービス深化となるDeep MaaSの世界、そして異業種連携で新たな価値を創出するBeyond MaaSの世界へと続く。Beyond MaaSの世界では、少子高齢化に伴う社会問題(買物難民等)を解決し、近未来的な、新たな都市構築の可能性を秘めている。つまり、より快適で、スマートな生活スタイルが実現可能になる。
本書には、GOJEKのシンガポール ゼネラルマネジャーのLien Choong Luen氏も登場する。GOJEKでは、既に生活に密着したスーパーアプリを開発し、東南アジアの人々の暮らしに欠かせないものになっているという。私は、本書を読み進め、車による配車サービスから買い物代行サービス、リラクゼーション関連の出張サービスに至るまで、「人々が移動する」という負担を極力排除し、ライフスタイルを豊かにする取り組みであると感じた。
冒頭に記したとおり、MaaSは、異業種とのコラボも可能だ。本書では、様々なビジネスモデルが紹介されており、例えば、電力✕MaaS、住宅・不動産✕MaaS、保険✕MaaSなどがある。また、観光✕MaaSや災害・防災✕MaaSなど、産業界のみならず、自治体とのコラボにも十分な可能性を秘めている。
ただ、私は、Society5.0の時代が到来し、各都市が「スマートシティを目指す」と言い放っても、そこに住む人々の暮らしが快適で真にスマートでなければならないと思う。その答えは、海外の先進事例を参考に、「どの点が真に人々の生活に役立ったのか」、そして「なぜ人々に支持され続けているのか」という視点で本書を読み進めれば、きっと探し出せる。なぜなら、この一冊で、MaaSの世界、そしてそこから発展する近未来の都市像が浮かびあがってくるからだ。
私も、今の仕事がBeyond MaaS世界構築の一助となればと思う。そして、いつの日か、自分の街にBeyond MaaSの世界が訪れることを心待ちにしたい。
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MaaSはビジネスにするのが難しい。
つまり、どうやってカネを稼ぐのか。
今のところ、MaaSの概念はあれど儲けに繋がる方法は確立していない。
では、現状何が起きているのかというとMaaSの概念を中心としたビジネスとビジネスの横串をさすこと。
〇〇×MaaS
この掛け算を繰り返し、いつかは確固たるMaaSビジネスが生まれていくのだろう。
本書では、その〇〇に含まれる、ビジネス事例を列挙している。
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世界における事例を踏まえながら日本版MaaSの方向性・最新動向をわかりやすく伝えてくれる2020年3月の本。
100年に一度といわれる変革が起きている中、どういった可能性がありうるのか、はたまた各種業界がMaaSと組み合わせてどういったことを始めているのか、そしてSmartCityとのつながりはなんなのか、といったところをわかりやすくまとめてくださっていて、この業界に関わっているものからすると大変ありがたい本。
2018年11月の前作に引き続いて、さらに今一歩踏み込んだ事例として書かれているのでわかりやすいし、理解がより深まる。
盲目的にこの本に書いてある情報を信奉するわけではないが、検討の方向性や協業のヒント、そしてこの業界に関わっている営業担当としては、なんらかの課題解決に寄与する提案の仮説が導き出されたのはうれしいこと。
(昨今、ちょっと別で勉強したエネルギーインフラとの連携や、蓄電池との連携などもヒントになった)
この業界に関わるものからすると、絶対読んでおかねばならない必須本ではないでしょうか。
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前作ではMaaSの基本的な概念や各国各社の幅広い取り組みを紹介している良著でした。でその続編にあたる本著はMaaSのネクストステップとして、Deep MaaSとBeyond MaaSという2つの切り口を紹介している。
Deep MaaSは既存の交通手段(鉄道、バス、タクシーなど)の進化について深掘りしていて、Beyond MaaSはモビリティと他の業界とのシナジーについて説いている。
正直、Deep MaaSパートは全く深掘りされてないように思えたけども、タイトルからもわかる通り、メインテーマはBeyond MaaSである。
日本の公共交通機関は他国と比べて極めてサービス品質は高いし、マイカー所有率が高過ぎる訳でもない。つまり、MaaSが盛り上がっている他国とはそもそもの課題点が違っている(他国は主に、都市部におけるマイカー比率を下げて、公共交通機関の利用率を上げたい、というのが大前提)
そのため、日本のモビリティ事情における本当の課題に対して解決していこうというのが多分Deep MaaS(というか単にMaaSと言えばいい)だけど、むしろ日本にとって本当にポテンシャルがあるのは、モビリティが高度化することで波及的に他の業界が発展することなんだろう。すなわちBeyond MaaSのほう。
ただ、この領域ももともと日本は他国より進んでる。日本の公共交通機関は(公共とは言うものの)民間が経営していて、すなわち営利目的である。他国は名前の通り公営が多い。利益率が低い鉄道事業自体ではなく、関連する不動産や住宅や小売業やアミューズメントなどを鉄道路線沿いに配置して、そこで利益を生む。そういう構造がすでに日本には当たり前にある。
そこを更に発展させないと経済効果はない訳で、かなりハードルの高いスタートである。(実際、この本の中でも「MaaSのビジネスモデルはまだ発明されていない」と書かれている!)
本の中でもBeyond MaaSの例として、「○○ × MaaS」というのがたくさん紹介されている。しかし、いずれも現実味が今一歩という感じで、しばらく業界として模索していく段階が続きそうだと言う印象。
同じことを何度も書いているのは、著者が4人いて分担しているからだろうか。そこの読みにくさは残念。
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MasSとは
MasSに関わる企業
MaaSにより実現されるであろう未来
MasSと各産業のつながり
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前作MaaSで100年に1度のモビリティ革命について非常にわかり易く描かれており、その第2弾・続編も読んでみた。
日本における「移動」と「都市」の未来、そのプレーヤーがどのような動きをしようとしているのか、具体的な企業とその事例が描かれている。
「DeepMaaS」「BeyondMaaS」2つの方向性から、大きな社会変化について挑戦している企業の実例がとても興味深い。
MaaSを起点とした社会の変化、様々な業界への波及、相乗効果に、敏感となり、日々の活動を行っていく必要性、時代から取り残されない、時代を先取りする事が今後のビジネスはとても大事である事を再認識した。
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スマートシティについての最新の知見に触れたいと思い読んでみた。
長々と書いてあるが、通底しているものは共通していて、これまでの交通システムがそれぞれでICT化してきたものが、全体としてつながって、決済機能もついて、さらに観光など別の領域ともつながっていく世界がこれからやってくるんだ、というお話だったかと思う。
そうなると、前提として多様な交通サービスが存在することが必要となり、車とタクシー、バスぐらいしかない地方部ではなかなか難しいんじゃないと思うところで、実際におそらくは都会部に比べるとMaaSというレベルにはなかなかならないようだが、オンデマンドタクシーなども使えばうまく機能するかもしれない。むしろ需要が少ないがためにすぐに赤字になってしまう地方公共交通においては、ICTをうまく活用して需要に応じた交通システムができあがれば経済的に回る仕組みができるかも、という希望は持てた。
しかし、これを読んでいるタイミングで、グーグルがカナダ・トロントで進めていたスマートシティからの撤退を表明した。ドラスティックな変化、というのはやはり難しいのかな。利便性から徐々に広まっていくというこれまでのICT化のセオリーが結局はここでも適用されるのかな。
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2020年8月現時点にてMaasの概要、どの様な施作が打たれて、今後どうなって行くのか各国の話題を絡め、おぼろげながら述べられている。取り止めもなくいろんな方面での取り組みが書かれている。決して簡潔にまとめられ、結論が述べられているわけではない。言葉先行にならないよう考えながら読まないといけない。
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同著者ら2冊目。
前作では主にMaaSとは〜、と言う導入が主だった印象だが、本作ではBeyond MaaSと名付け、いかにMaaSを他の産業と結びつけて発展させていくかと言う、言わば実践編と言える。
20年以上前、インターネットが現れた頃に現在の世界を予想出来ただろうか、とでも言いたげなほど、MaaSには様々な可能性があると思う。7章であげられる15の産業はもちろん、他の産業とも十分親和性はあると思う。
ただやはり地方民としては、公共交通が貧弱なのでそこをどう解決していくのか、課題はそれに尽きる。
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伊豆MaaSの後に読んでみた。その中で否定されていた「日本版MaaS」という言葉。バス・鉄道などの公共交通が多様な事業と共に展開されてきたこと、交通をなんの協力関係もない多くの民間企業が担ってきたことがその所以だという。それは伊豆MaaSの中でまさに著者が感じた今後の可能性であり、直面した困難だ。
さらには、ポジティブリスト方式に基づく日本の法令なども日本版MaaSの実現を困難にする(なぜ日本がポジティブリスト方式なのかはまた別の機会に学びたい)。その中で、「健康、地域活性化、生活の満足度」に力点を置いた日本版MaaSを実現するためには、民間企業だけでなく都道府県等までを巻き込んだ努力が欠かせない。
いまのMaaSを見ていると、先進的な企業だけが意欲的にMaaSに参加し顧客を取り囲む。多くのデータを集積して自分たちのサービスに顧客を呼び寄せる。というサイクルになっているのではないかと感じてしまう。しかし、MaaSの本来目指すべきは特定の企業を潤すことではなく、サービス全体を最適化し、都市を最適化していくことなのだ。そのためにデータはオープンでなければいけないし、データを集める「権利」だけでなく、集めたデータを何に役立てるかという「義務」もまた大切である。
MaaSを多くの生態系で成り立つ1つのエコシステムとして捉えるという考え方は非常に面白いと思った。まだ実体のよくわからないものをどう捉えるか、何と結びつけるのかという思考には学ぶところが大きい。
Deep MaaS
中でも学びになったのが、トヨタのウーブン・シティに関する記述。「トヨタが街をつくる」そのインパクトは大きかったが、正直なんのために?という疑問が拭えなかった。実在の街と対になる仮想空間=デジタル・オペレーティング・システムを作り、様々な分野の技術・サービスをまとめ上げるMaaSコントローラー(p150)を自社が担うことにこそ価値があるのだ。モビリティを軸に多様な事業との接点を持ち、多様なデータを集積するという新たなポジションを確立していきたいのだろう。
Beyond MaaS
MaaSが実際にどんな産業と関わりうるのか。その可能性は思っていた以上に幅広い。中でも印象的だったのは電力(エネルギー)×MaaS。EV化の波が思いがけず電力と自動車を近づけていることを知った。電力会社が自ら事業を手がけているわけでもないのに別のサービスとセット販売しているのは、他産業が電力を結びつけて競争力を高めているのに対抗せざるを得ないからなのだろう。こうして、思わぬところにビジネスが拡大していくのならば、常に広い視野を持っておかなければと思い直した。