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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠田潤子の作品には、自分ではどうしようもない、重い何かを背負った人が多い。悩み苦しみ、もがいて、懸命に生きている。読むのもつらくなるが、読むのをやめられないし、どんどん引き込まれていく。
今回もそうだった。特に、真実が明らかになる場面は、人間のエゴがむき出しで、主人公の心情を思うと、つらい、つらい。因習に縛られた地方社会の勝手さに、ウンザリした。
とにかく、おもしろかった。満足。
電子書籍
古いし暗いし
2022/04/11 17:09
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
しかし、ー度、読み始めると一気読みしてしまいました。12年前の事件が……という展開なのですが、まるで昭和か、と言いたくなるような……。地方ってこんなに?と地方に住んでいたことある者は、都会に住む作者が地方に偏見もって書いたように……
紙の本
伝統という名の呪縛。
2020/06/14 23:00
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投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本来伝統とは、人々の幸福を願ったり不幸を祓うための手段であるはずだ。
ところが次第に伝統を遂行すること自体が目的となり、伝統が人々を縛り付けてしまう。
本作ではその様な伝統が呪縛と化した町が舞台となっており、独自の慣習や閉塞感などが見事に描写されていた。
また、義弟の死の真相を追うにつれて、町の伝統の秘密も次第に明らかになっていく展開や
便箋のイラストのズレ、日記の記載内容といった些細な違和感が新たな謎を呼ぶ展開も見事だった。
本作は、独自の慣習や迷信が蔓延る町や村を舞台にしたミステリーと一線を画す。
それは、主人公を中心とした町の伝統に翻弄された人々のヒューマンドラマ的要素がメインとなっているためである。
伝統を盲信し事なかれ主義を貫く町の人々の描写や、伝統の犠牲になっていく主人公の心理描写や感情描写が素晴らしい。
そして、伝統やしきたりに翻弄される主人公を描くことで、血縁関係や親子関係といったテーマも内包していた。
主人公の出自や、町の伝統に関わる権威の血統がそれらのテーマに奥行を与えていた。
著者の筆力により、本作の主人公にとても感情移入してしまった。
主人公の今後をここまで案じてしまうのは非常にまれな経験だ。
著者の作品は二作しか読めていないので、他の作品も是非読んでみたい。
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ミステリとしても、人間ドラマとしても楽しめる長篇。それにしても、往年の横溝正史を思わせる血縁関係と愛憎劇だった。
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古風な本格ミステリー。
横溝正史のような古風なシキタリに縛られた街の中で繰り広げられる愛憎劇だが、青春要素もありミステリ要素もあり非常に面白い。
登場人物は少ないので犯人は検討がつくが、辿り着くまでがロジカルに展開され楽しかった。
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面白くて一気に読んでしまった。
閉鎖的で時代錯誤な町に翻弄された代助と真琴が可哀想で辛くて。
翔一郎を殺した人物は誰なのかも気になるけど、やっぱり町の人々の冷たい閉鎖的な感じがびっくりだった。一番ひどいのは雄一郎だったけど。
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主人公の葛藤、覚悟、諦め。心理描写が素晴らしく、だからこそ読み進めるのが辛いのに、一気に読み込みました。
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ベースにあるのはやはり贖罪。でも本作は、他とは少し趣を異にしていて、ミステリ色が強い印象。そしてそれは、自分的には好もしい系統。謎解きモノとしても、結構趣向が凝らされたものになっている。最後、唐突にファンタジーの世界が現実化したのには面食らったけど、クライマックスまで含めて、かなり楽しめた一作でした。
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因習村といえばそうかもしれない。いま巷で話題だし。私はそれに詳しくないけど。
普通の人間にはそこまで馴染みがなく、だからどこかファンタジーに見てたものが、終盤畳み掛けるにつれ「ここまでとは」という気持ちになるのが、ファンタジーを越えられたような感覚になってよかった。
ファンタジーが過ぎるとどこか身を引くような気持ちになるのだけど、代助は始終正しくあろうとし聡く、聡くあろうとするだけの人間だった。彼を囲むものと彼自身の生々しさとのギャップが面白さの一つだと思う。
ミステリー部分も面白かったし、人間関係も非常に満足で終えられた。自分勝手な人間がいるし真っ当なふりして許されざる事を宣う人間もいるけど、そこへわざわざスポット当てて読んでる私たちを執拗に苦しめようとはしないし。まあ。
***
単行本から文庫本で代助への救いが加筆されたんですか?単行本…鬼畜…?
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続きが気になって一日で読了。因習にとらわれた田舎で起こった事件の謎が明かされてゆく。代助の気持ちを想像すると読むのがつらかったが、誠実で良い青年だ。個人的には、ケンカをしたから謝りたいという弟のセリフを読んだときが一番切なくなった。最後は救いがありそうでホッとした。
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伝統を引き継ぐことが時には人の命よりも重きを置かれる町。鷹匠の跡継ぎとなるために施設から引き取られた主人公。跡取りの自覚を持って鷹と向き合ってきたのに、不妊だった師匠夫妻に予期せず子どもができて、たちまち蚊帳の外。痛ましい事件が起きて犯人扱いまでされ、町を出て行くことになります。
終盤は駆け足でバタバタした感があり、遠田さんの作品でいちばんのお気に入りとは言えないけれど、ビジュアルに訴えかける力が凄い。どのシーンも想像できてしまう。慣習と因習は紙一重なのだと思わずにはいられません。映像化を望みたい作品。
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因習に縛られた古い港町の名家に、跡継ぎとして引き取られた孤児の代助。家族や恋人ができ、幸せに暮らしていたが、幼い義弟の失踪が原因で町を出ていくことになった。12年後、義弟が遺体で発見されたという訃報が届き…。
2018年日本推理作家協会賞候補作(落選)。「因習に縛られた」という表現以外に見当たらないほど特殊な田舎社会の特殊な事件が描かれる。昭和臭がプンプンの作品だった。
(Ⅽ)
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設定や筋立てはおもしろいけれど、
生理的にダメ、不快。
最後の一行では救われず。
そもそも、ミステリーは得意ではないけれど。
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抜け出せない泥沼。当事者では気付けない異常さが重なると、こんなにも異様な集団が出来上がってしまうんだなと思いました。怖い。
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古い因習に囚われた家族や村の人たちとの過去など、読み始めた時には謎な事柄がとても気になり、読むモチベは終始限界突破状態。
代助と愛美、真琴の関係。雄一郎が“諦めた覚悟”とは何か。真琴と雄一郎はただの親類なのか。
そうした点に加え、百合若大臣や怪魚伝説など、村の言い伝えが主要人物たちの行く末を暗示しているようで、先の展開が常に気になってしまい、久々に読書で夜更かししてしまいました。
最初抱いていた謎が徐々に明らかになっていき、クライマックスの冬雷閣ですべてが明らかになるわけですが、今思えばその内容は概ね予想通りで驚きはやや少な目。
ただそれは、主要人物たちとそれらの関係性をとても丁寧に描いているがゆえになせる業(わざ)なのでは、と。各キャラの行動原理が分かるくらい人物を描いているので、彼ら/彼女らがどのように行動するだろうかという予想が立てられるようになってる気がしています。ある意味、作家の力量の凄さが表れてるのかも?
しかし、結季の本当の両親については予想外で超ビックリさせられました。あの堅物雄一郎が代助の子をよく受け入れたもんだと、その点も驚き。そうした点で、彼女が過去の因習を超えた象徴的存在に思えてきて、終劇後は代助が師となって結季が千田家の鷹匠を継ぐ未来などを妄想したりしちゃいます。
驚き以上に溜飲が下がる点が多く、そうした点で満足度が非常に高い作品でした。唯一小さな不満があるとすれば、クライマックスで明らかになる要素が多すぎたところで、個人的には少しずつ、1つ1つの要素を明らかにしてほしかったかも。もうちょっとこの作品世界に浸っていたかったりもしたので、そうやってボリューム増してくれてたほうが個人的にはうれしかったですね。