紙の本
普通でも大変な見おくりなのに、この怒涛ぶりには驚愕。
2020/10/09 14:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
生前は兄妹なのにうまくいかなかった。...というより嫌っていたその兄が突然死した。帯の言葉や著者のことばをSNSで見てたから知ってたけれど、そこから始まる物語はかなりヘビー、そしてダーティ。残された小学生の息子のココロのケアと引き取りの手続き、ゴミ屋敷のごとくになっていたアパートのかたずけ、そして兄のみおくりのこと。それらが、怒涛のようにやって来た。
兄の元妻にその娘、父方の伯母、一緒に乗り越えるひとがいてよかったなとまずもって思う。著者の村井さんは、兄を見おくる苦労を乗り越えながら、うまくいかなかった関係も心の中で解消させる。読者は、一緒に驚いたり、悲しがったり、困ったりしながら、最後、ココロからホッとするのである。
電子書籍
残されたものたちの困惑
2020/05/12 17:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
疎遠になっていた兄の、突然の訃報に翻弄される著者の本音が滲み出ています。義理の姉、甥っ子との微妙な関係と、愛憎半ばする家族の形も忘れ難いです。
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軽くてサクサク読めた。
人一人死ぬ、ってその後が大変なんだなぁ。
すごくリアリティ溢れてた。
兄を許せない気持ち、すごくわかる。
元嫁やお子さんが一緒にいてくれて救われたんだろう。
彼女たちに罪は全く無いし。
そして
良一くんの人生に幸多かれ!
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50代の兄がいきなり死んだと、警察から連絡が来た妹が遺品整理をする話。
人が死んだらお金がかかるというけれど、それは本当なのだなぁと改めて感じさせるし、遺体がすぐに発見された例としても、部屋はすごい大変なことになる…
ということを、訥々と書いた話。
筆者の中でも、残されたたった1人の肉親の死を整理するかのように書いたエッセイということを感じる。
なるべくセンチメンタルにならないように、自分の中での悔い、距離を置いていた兄弟との関わり方、幼い頃からの確執などを淡々と書いたようで、読む方もなるべく負担をかけないように、か、さらっと読める読み口。
小一位時間くらいで読み終わるくらい。
人がきちんと生活していくのが大変な時代。
お金があっても、毎日をちゃんと暮らす、ご飯を作って掃除して洗濯してゴミを出して…が少しでも面倒になると、あっという間に貧困に落ちるこの時代に、誰もがいつこうなるのか、他人事ではない話と思わされる。
この兄には小学生の息子がいて、前妻が片付けに手伝いにきてくれるのが、とても救いがあった。これは、1人では決してじゃないけれど、キツいと思うから。
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全く知らない土地で、全て初めてのことながら、次々とやるべきことをこなしていく著者の村井理子さん、そして亡くなったお兄さんの元妻の加奈子さん。めちゃくちゃかっこよかった。
亡くなったお兄さんへの、これまでの許せない気持ちと、救いの手を差し伸べてあげられなかった気持ち。とても辛い。でも、ご自身の力で、お兄さんの生前の生活を辿り、話を聞き、あとがきにあるような気持ちにまでなれることは、なかなかできることではないと思う。お兄さんはきっと報われてるんじゃないだろうか。
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帯が気になって買ったのだけど、
開いてすぐ目次でドキッとしたけど
舞台が塩竈・多賀城で、
読み進めるたびにいろいろな景色が
どんどん浮かんできてウワーとなったし、
さらに小学生のときに一時的に入院していた病院や、大好きなケーキ屋さんも出てきて
ますます心の揺れがすごかった。
大好きな祖母が住んでいて
そのまわりの親戚もすごく素敵な人たちで
長期休みには何度も預けられていて
わたしにとっては第二の故郷のような街。
あたたかなひとたちが多いけど、
親戚周りではいろいろなこともあったから、
自分のストーリーとは全く違うけど
いろいろ重ねてしまうところがあった。
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兄の家を急いで片付けているからこっちもなんだか急いで読むことになった。兄妹って悩ましいよ!元嫁が素晴らしい。良一くんに幸せな未来を。
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ほぼ絶縁状態の身内が、ある日突然遠方で亡くなり、限られた日数でその人の生活のすべてを片付けなければならないとしたら。
二人の女性が鬼気迫る勢いで奔走するイラストが、本編の怒涛の5日間を見事に表現している。
ブログを拝見すると、お兄さんのことは、まだすべてが決着したわけではないらしい。
そうだよね、人一人が生きてきたことが、そう簡単に片付けられたり決着するわけないよね。
気持ちの片付けは、生きている間、きっと続くんだろうな。
村井さん、加奈子ちゃん、お疲れ様でした。
女性はすごい。
人の気持ちは温かい。
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ああもうダメ。読みながら一年前を思い出して漲ってきた。加奈子ちゃんが「もっともダーティーな作業を、猛スピードでやってのけた」あたりで、わたしもスイッチが入った。
急死した伯父(独身)のゴミ屋敷を片付けていて、コタツに山積みされたエロビデオが崩れた瞬間に「ふざけんな!」、怒りで我を忘れながら1日で全部片付けたよね。偉かったよね、一年前のわたしたち。叔父はお金がなくて一人でどうやってこれから生活していくつもりだったんだろう…。
村井さんのお兄さんは良一君がいたわけだし、いろんな不安があったんだろう。家族としての軋轢や感情の揺さぶり、思い出もひっくるめて怒濤の五日間、本当にお疲れさまでした。泣ける。
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なんだか身につまされるような物語だった。広い知識を持ち器用なくせに非正規雇用で持病持ちの兄が頭に浮かぶ。あとっという間に読了。
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〈憎かった兄が死んだ〉遠方に住み、連絡も途絶えた兄を終う(しまう)。
手続きなど、怒涛の5日間を描くエッセイ。
P94〈私は、兄のことを知っていたようで、ほとんど知らなかった〉読んでいて寂しさも感じたが、元妻の加奈子ちゃんがいてくれて良かった。
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疎遠だった兄の突然の死。その後始末のてんやわんやの大騒動。タンタンと事実を連ねた文章の隙間に兄への様々な思いが滲んでいる。
この兄はダメ男だったかもしれないが、元妻はいい人で良かった良かった。
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始まりは見知らぬ電話番号からの着信だった。声の主は著者に
告げる。
「お兄様のご遺体が、本日午後、多賀城市内で発見されました」
確執もあり、疎遠になっていた兄の死を知らせる警察官からの
電話ですべてが始まった。父も、母も、既にこの世にいない。
妹である著者は、「兄の終い」の為に住まいのある滋賀県から
宮城県多賀城市へ向かう。
と、書くと非常に重い内容だと感じるかもしれない。否、死後の
整理なのだから重いのには変わらないのだ。だが、著者の筆致と、
著者と共に「兄の終い」を共同作業する元妻の気立ての良さが
相まってぐんぐんと読ませる。
私事になるが、20年近く音信不通だった身内がいる。家族に迷惑を
かけた上での失踪だった為、当初は「頼むから死んでくれ」とまで
思った。もし、著者の兄のように亡くなっていたら、私はどうした
だろう…と考えてしまった。幸い(?)現在は居所も分かり、連絡
も取り合っているが…。
荷物が溢れ、油とほこりにまみれたアパートで兄の残したものを
次々とゴミ袋に放り込んでいるうちに、著者は履歴書を見つける。
その志望動機の欄には真面目過ぎるほどの文章が連ねられていた。
離婚した際に親権を得た息子との二人暮らし。体を壊し、生活保護
を受け、貧困から這い上がることなく、誰にも看取られずに死んだ
兄。だが、その部屋には、どうにか生活を立て直そうとしていた
兄の、生きた証があった。
久し振りに一気読みした作品。笑って、泣いて、考えさせられる
作品だった。
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リアルは小説よりも奇なり、とはまさに
他人事じゃないんだなあ、誰もがいつ愛憎半ばたる肉親の死とたった一人で向き合うことになるかは分からない現代なんだから…
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面白い。何が面白いって、読む人によって多分、視点が違う読み方をする点が。
村井さんなのか、加奈子さんなのか、良一くんなのかわからないけど、それぞれの経験や抱えてる心境によって近いものを選んで自分に重ねて読んでしまうんだろうなあ。
あっという間に読める。村井さんのブログと同じノリで読める一冊。