紙の本
作者様と兄の元嫁様にエールを
2023/11/09 19:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぐいぐい引き込まれて、一気に読んだ。
この怒涛の勢いと理路整然とした流れは、
作者様の怒涛の5日間と同じ激動だったに違いない。
家族に対する思いも書かれていたが、
内容に対してあっさりとした記載なのは、
そこで感情に任せている暇もないほど
なすべきことが多かったこと、
それが不慣れな土地での初めて尽くしのことだったことと、
身内に対する思いに向き合うのが辛かったからだと思う。
家族を守るために兄を遠ざけてきた彼女にとっては、
次男くんの「悲しいとかないの?たった一人のお兄さんやろ?」
という言葉は、報いであるかもしれないが、同時に
報われた証ではなかったろうか。
家族が亡くなるのは悲しいのが当然と
思える子に育っているということは、
温かい家庭を築いてきたことの証明だ。
負の連鎖を止めた作者様と兄の元嫁様にエールを送りたい。
紙の本
普通でも大変な見おくりなのに、この怒涛ぶりには驚愕。
2020/10/09 14:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
生前は兄妹なのにうまくいかなかった。...というより嫌っていたその兄が突然死した。帯の言葉や著者のことばをSNSで見てたから知ってたけれど、そこから始まる物語はかなりヘビー、そしてダーティ。残された小学生の息子のココロのケアと引き取りの手続き、ゴミ屋敷のごとくになっていたアパートのかたずけ、そして兄のみおくりのこと。それらが、怒涛のようにやって来た。
兄の元妻にその娘、父方の伯母、一緒に乗り越えるひとがいてよかったなとまずもって思う。著者の村井さんは、兄を見おくる苦労を乗り越えながら、うまくいかなかった関係も心の中で解消させる。読者は、一緒に驚いたり、悲しがったり、困ったりしながら、最後、ココロからホッとするのである。
電子書籍
残されたものたちの困惑
2020/05/12 17:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
疎遠になっていた兄の、突然の訃報に翻弄される著者の本音が滲み出ています。義理の姉、甥っ子との微妙な関係と、愛憎半ばする家族の形も忘れ難いです。
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かなり特殊な「兄」だとは思いますが、私の親族にも特殊な「身内」はいます。彼ら・彼女らが今後どういう人生を終えて、どう関わることになるのか。少し覚悟できました。
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多くの感想にあるように、ほんと、一気読み。
作者とともに早く終いたいという心理か?
とにかくリアルで、いつか自分にも同じことが降りかかる可能性を感じつつ(不肖の弟持ち。後々我が子が迷惑を被るのが一番困る)ばんばん読み進めた。
家族でも疎遠やら、憎しみ合いやら、あると思う。で、亡くなったとして、その引き取り手は事情はおかまいなく家族。
この本では元嫁の加奈子ちゃんも協力的だったし、良一くんも良い子だったけど、もっとキツい事態(亡くなり方も含めて)もあるだろな。
でもひとつの例としてすごく参考になった!女性は強い。逞しい。そして優しい。
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ツイッターで流れてきたので購入。
「兄」について書かれていて、同じく兄を持つ私も興味を持った。
「ずっと迷惑をかけられてきたことから連絡を絶っていた兄が亡くなったと警察から連絡が来た」出だしで、電車の中で泣けてきた。
だけど、読み進めるとそんなことはなく、筆者が出合う人、甥御さんの学校の先生、しばらく養親になってくださったご夫婦、お兄さんの元妻、姪など、悪い人は出てこない。
大量の遺品を前に呆然としつつ、たった4日間で片づけようとし、そして完遂するところ、甥のかわいがっていた亀を学校で預かってもらえるように頼みに行こうとすると甥のクラスメイトがついてきてくれるところ、お別れ会で先生方が涙するところ、胸があたたかくなった。
よかったね。
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「ぎゅうぎゅう焼き」の村井さんの本。
途中でやめられず一気に読了。
読者の多くがお兄さん目線で読んでいるとどこかに書いてあった。が私は、最初から最後まで妹である著者目線で読んでいた。理子ちゃんはそのまま私、のような気さえしながら。
妹からみた兄像と、母から見た息子像の違い。
家族だからこそ、許せないこともある。
いろんな家族の形がある。
印象に残っているのは、お兄さんとの関係について。
自分に置き換えて 考えてしまった。
人間いつ何が起こるかわからない。
私だって明日死ぬかもしれない。
その時に備えて、できるだけ物は少なくしておこう。
葬儀屋に、湯灌してお着物を着せて差し上げる代金が三万八千五百円になりますと言われたら
「どうせ火葬するのでお着物はけっこうです」
と言いそうな気がする、うちの夫なら。ガッツあるので^^
別にいいけどね。
あ、この本の補稿をちょくちょく村井理子さんがブログに載せてくれるのだけど、すごくいいです、こういうの。
登場人物の「その後」ってけっこう気になるので!
http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-1722.html
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疎遠にしていたどうしようもない兄の突然の訃報に振り回される作者。
混乱や葛藤の中、兄への複雑な思いを抱きながらも事後処理をテキパキと進めていく様子が、時にコミカルに時にシニカルに描かれ、臨場感がありました。一気読みです。
人生って表裏あるよな~と。
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面白い。何が面白いって、読む人によって多分、視点が違う読み方をする点が。
村井さんなのか、加奈子さんなのか、良一くんなのかわからないけど、それぞれの経験や抱えてる心境によって近いものを選んで自分に重ねて読んでしまうんだろうなあ。
あっという間に読める。村井さんのブログと同じノリで読める一冊。
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ああもうダメ。読みながら一年前を思い出して漲ってきた。加奈子ちゃんが「もっともダーティーな作業を、猛スピードでやってのけた」あたりで、わたしもスイッチが入った。
急死した伯父(独身)のゴミ屋敷を片付けていて、コタツに山積みされたエロビデオが崩れた瞬間に「ふざけんな!」、怒りで我を忘れながら1日で全部片付けたよね。偉かったよね、一年前のわたしたち。叔父はお金がなくて一人でどうやってこれから生活していくつもりだったんだろう…。
村井さんのお兄さんは良一君がいたわけだし、いろんな不安があったんだろう。家族としての軋轢や感情の揺さぶり、思い出もひっくるめて怒濤の五日間、本当にお疲れさまでした。泣ける。
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今年1番読んで良かったかも
この本はHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEの花田菜々子さんのツイートで知ったんだが、なんか気になったので読み始めてみたがこれは凄かったぁ
お兄さんが亡くなった。と疎遠だった妹(著者)に連絡が入り、色々な事を終いにさせるべく兄が住んでいた街へ向かう事にする。
とてもストレートに著者の気持ちが入って来る文章で、困惑と哀しみの強さに引っ張られて自然と視界がぼやけてきて読むのを進められない程でもありつつ、同時にお兄さんの人となり(特にお母さんへの接し方)を知ると一気に嫌悪感が強くなり、違った感情で読み進めたくなくなりもした
読み進めると胸の辺りが掻き乱されるような感覚になり、自分の体調が本当に悪くなる程でもありつつも亡くなったお兄さんの元奥さんと次々とミッションをクリアーしていくバディ物としては爽快さを感じさせアンビバレントさが逆にリアルさを増す
登場人物は、本当に優しい人もたくさん登場するが、相手の気持ちを慮る事のできない人や、まるっきりデリカシーの無い言動をする人もいたりして、自分の田舎と重ね合わせてみてなんか納得したりもした
この本に登場したたくさんの良い人達が登場し、彼らの心優しさが文字からでもガンガンに伝わってきて癒され、そして泣かされ(まく)った
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遠く離れ、ほぼ絶縁状態となっていた兄の訃報。
その子は保護施設に預かってもらっているという。
終いを託された妹と、兄の元妻とその娘の5日間。
改めて知る兄の厳しい暮らし、遠く離れてしまっていた兄とその子はどの様な日々を生きていたのか。
想像以上に良かった。
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とても読みやすい文であっという間に読了。
『だめ女~』『ゼロからトースター~』等でファンになった翻訳家の、ある日不仲の兄の突然の死からの顛末は読むものを引き込ませてしまう。
周りの人がとても良くて(でも多分それが日常)ラストにはほろっとさせられた。
これを機に繋がってゆく人のとの縁に幸いを思う。
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兄が嫌いだ。
その共通点だけで、手に取った。兄が死ぬ時、私もきっとこういう風に思うのだろうなと思った。
最期まで避け続けて、逃げきれなくて向き合うのはきっと兄が死んだときなんだと思う。死んだからこそ知る兄がいて、生きているときにもっとああしていれば、なんて思わないだろうし、嫌いなままなんだろうけれど、それでもきっと優しい兄のことを思い出す。そうして、嫌な思い出にそっと、薄い優しさをかけて保存するのだろうと思った。
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読みやすい文でさらっと読めてしまいます。内容が重いはずなのに。著者のからっとした文体のせいでしょうね。
肉親との関わりというのは、好き嫌い愛憎に関わらず中々に切れないものです。切りたいと思っている縁ほど何故か。
そして著者は最後まで哀しんではいない。と感じます。まだ日が浅い。
文を読んでも「とにかく大変だったのよー」というどたばた感が強い。父母を送った経験が著者を「太く」させているのか、兄が嫌いだったから哀しいというところまで到達しきれていないのか…日が過ぎると別の感情が出てくるのかなと思いましたね。
元奥さんからの方が悲しみややりきれなさを感じました。そのように客観的に描写できる著者の物書きとしての目を感じます。
あとがきに「この世でたった一人であっても、兄を、その人生を、全面的に許し肯定する人がいたなら…(略)…そのたった一人の誰かに私がなろうと思う。」と決意表明(?)がありますが、それもこれからなんでしょうね、と感じました。いやまだ肯定しきれてないですよねと。
でもそれも、一人残された最後の肉親だから出来ることかもしれないですね。
日が過ぎてからまたお兄さんのことを書かれるときが来るのでは。時間を置いた著者の感情の変遷をいつかまた読みたいてすね。