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ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供たちの証言
著者 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ , 三浦みどり
1941年にナチス・ドイツの侵攻を受けたソ連白ロシア(ベラルーシ)では数百の村々で村人が納屋に閉じ込められ焼き殺された.約40年後,当時15歳以下の子供だった人たちに,戦...
ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供たちの証言
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ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供たちの証言 (岩波現代文庫 社会)
商品説明
1941年にナチス・ドイツの侵攻を受けたソ連白ロシア(ベラルーシ)では数百の村々で村人が納屋に閉じ込められ焼き殺された.約40年後,当時15歳以下の子供だった人たちに,戦争の記憶がどう刻まれているかをインタビューした戦争証言集.従軍女性の声を集めた『戦争は女の顔をしていない』に続く,ノーベル文学賞作家の代表作.(解説=沼野充義)
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紙の本
前作に続く、読んでほしい本。
2017/04/26 18:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大局的から語る戦争(おもに男達)は多い。だが、まだ青年と呼べない15歳以下の子供達が語る本は少ない。白ロシアと呼ばれたベラルーシで、ナチスドイツの虐殺から逃れることのできた子供達が、経験した戦争体験を著者に語る。当時、子供だった者の記憶が、大人達のように整理されず、読みてを苛立てせると思う。その整理されない、経験したものだけが語れる「リアリティ」だと感じる。本書に記載された事柄だけが「真実」だと思わない。無意識に消し去った「辛い記憶」や、どうしても語る事が出来ない事もある。著者はそこを汲み取り、あの頃子供だった語り部達の話に耳を傾ける。今必要なのは「英雄譚」ではなく、力なき小さき人々の「生きてきた声」だと感じる。
紙の本
文庫にするときに、ベラルーシで出た本に近づける作業をして欲しかった。
2023/07/12 15:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『戦争は女の顔をしていない』のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ。(憶えづらい)
これも大祖国戦争=独ソ戦の当時者の記憶を、語る言葉を集めたもの。
およそ四十年前の体験は、記憶の中で凝縮されているのか、どの言葉も大変鮮烈なイメージを伴う。
『戦争は女の顔をしていない』は、日本で漫画になっているのだが、この作品も漫画やアニメに「翻訳」して視覚的な作品として再構築すると面白いと思う。
とてつもない悪夢の記録は、現実ってものを決定的に歪めてしまう。
この本や、『戦争は女の顔をしていない』『増補 普通の人々』を読み、『炎628』を観ることで、私たちは悪夢を共有するだろう。
聴覚や嗅覚の話も多いのだがデフォルメされた映像が浮かんでしまう。黒い人などの言葉を、その通りに視覚に変換して読む。
大長編になるが、絵本にしてもいいかも。
記憶は何も言葉の形をしていたわけではないだろう。
日本でも、沖縄や、満州、朝鮮、北方領土などでの、弱者から見た戦争の記録があるはずだと思う、そう言ったものを探さねば。
ロシアの蛮行とベラルーシの侵略への加担。
人はあんまり学ばないし、選択的に忘れることもできる。
多分日本はもっと酷いだろう。
この本、原題とかなりタイトルが違うし、編集して順序入れ替えてるし、オリジナル単行本での手直しした文章を採用せず、初出を使ってるしで、完訳版とは言い難い作りになってる。
作者を日本に紹介した翻訳者は、文庫化の時点では亡くなっている。
文庫にするときに、ベラルーシで出た本に近づける作業をして欲しかった。
紙の本
証言集
2021/08/11 05:40
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
独特の商法で戦争の悲惨さを伝える作品。本当にこれが現実に起きたことなのか疑いたくなるほど悲しい出来事の連続だ。
紙の本
ドイツ軍と警察部隊が何をしたか?
2018/05/10 22:38
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベラルーシの国家弁務官だったクルト・フォン・ゴットベルクを「騎士十字章に輝く英雄」だと、現実とは違う事を書き飛ばしたマニア向けライターがいるが、ドイツ軍占領下のベラルーシで人口の4分の1が犠牲になった事も、この本では、そこまで出ていないが、フォン・ゴットベルクの前任者で内務人民委員部の工作員に爆殺されたヴィルヘルム・クーベがドイツ系ユダヤ人「だけ」を保護しようとした事で分かるように、バルト三国と共にベラルーシに送られて殺されていったユダヤ人の運命など、「過酷な対パルチザン掃討戦」で「時代に翻弄された多くの警察出身の武装SS指揮官」の運命に比べれば、どうでもいいのだろう。
もっとも、この本はソ連末期に出た本だからか、ドイツ軍に協力した人々は殆ど出て来ない。ドイツ軍は占領下のベラルーシを「新体制」と呼んで、学校の教師が「新体制」に沿った教育をした事が書かれているぐらいだ。「収容所群島」でドイツ軍占領下の教育を禁止して、引き続き学校で教えていた教師達をラーゲリ送りにした事が書かれているのは、「ソヴィエト政権に反対する」教育をしたからだ。ソルジェニーツィンは元々教師だから、一旦、教育の場から離れた子供達を再び、学校に戻す事の苦労が分かるだろう。ベラルーシがドイツ軍に占領されて、バクラチオン作戦で「解放」するまで、約3年間ある。それと黒服を着ているのは、一般SSの制服を支給されたドイツ軍占領下の警官達だというぐらい。
この本にはパルチザンに参加した人か、本人や身内がドイツ軍の犠牲者ばかり出て来るのは、「老人支配の時代」に出版するには、やむを得ないとしても、「ソヴィエト政権」に激しい憎悪を持ってドイツ軍を歓迎した人々や閉鎖されていた教会が再開された事といった「ソヴィエト政権」にとって「都合の悪い」事も触れないと、本当の事が見えてこない。
紙の本
回想記や英雄譚には載らない「声」
2023/02/13 13:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
膨大な戦死者を出した独ソ戦の体験を持つ旧ソ連時代に、アレクシエーヴィチが子どもたちの声(まさに「小さき声」)を聞き、まとめたドキュメント文学。
兵士たちの回想記や公の歴史書では語られることのない、小さな小さな一人一人の声をまさに「多声的」につづる。子どもたちの声だから整理されていない。しかしその声を集めることで、「戦争」が多層的に浮かび上がってくる。