風の中のマリア
著者 百田 尚樹
命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続け...
風の中のマリア
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商品説明
命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。
私たちはただ務めを果たすだけ。ある日、突然やってくる終わりの日まで。
ワーカー(ハタラキバチ)は、現代で働く女性のように。女王バチは、仕事と子育てに追われる母のように。この物語は、「たかがハチ」と切り捨てられない何かを持っている。「世界が広がるはずですよ」(養老孟司―解説より―)
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書店員レビュー
読み始めでつまずいて…
honto事務局さん
読み始めでつまずいて、でも我慢して読み進めてみたら予想外に面白くて読み終わりたくなくなる本がたまにある。つまずく理由は内容が難解、文体が好みじゃない、今の気分に合わない、等々。
今回紹介する『風の中のマリア』も、そのパターンだった。
『風の中のマリア』は、今年度の本屋大賞(第10回)を受賞した『海賊とよばれた男』著者の百田尚樹氏による長編小説。主人公はなんとスズメバチで、登場人物(生物?)もほぼ昆虫である。
そして私がこの本の読み始めでつまずいた理由。虫が嫌い。
じゃあなぜ手に取ったのかというと、知人の理工書編集者に薦められたから。理系の院を出た編集者が薦める文芸書とはどんなものかと興味を持った。
文庫版をひらいて4ページ目でシマッタと思った。しかし、虫が嫌いという理由だけで読むのを諦めるのも買った本に対して失礼だ。なるべく想像力を働かせないようにして読み進めてみたところ、気づけばその世界にどっぷりつかっていた。とにかく構成が見事。虫の話で、描写もリアルなのに、まったく嫌悪感を覚えない。それどころか、先が気になってしょうがなくなる。
この本はあくまでも昆虫の世界をリアルに描くことに徹していて、ざっくりまとめるとオオスズメバチの一生を小説形式で描いている。小難しい生態に関する解説が挿入されることはなく、他国の文化を小説を通して学ぶような感覚で読み進めることができる。なるほど、食文化はこうなっていて、こんな領土問題があるのですね、といったところ。
登場する昆虫たちは言葉を発するものの、擬人化されるのではなくあくまでも昆虫として描かれている。昆虫記としても十分楽しむことができるが、ぜひ読んでいただきたいのはいま「小説」を読みたいと思っている人。人間が登場しなくても、描き方次第で小説は十分面白くなるということに気づかされる。
虫が嫌いでもぜひ手に取っていただきたい、そんな一冊。
(評者:ハイブリッド総合書店honto 書誌データベース担当 AT)
ACIDMANという...
ジュンク堂書店千日前店さん
ACIDMANというバンドに「飛光」という曲があります。
大意としては違うものなのですが、この作品を読んで頭の中に流れてきたのはこの曲でした。
生命を――
晩夏、隆盛を極めたオオスズメバチの帝国に生まれた戦士・マリア。
「偉大なる母」と、幼い妹たちの為に飛び、狩り、戦い続けた彼女の、短くも力強い生命の疾駆を描いた作品です。
擬人化、です。
「擬人化」と聞いて、少なくはない人が昨今多く見られる「萌え擬人化」を思い浮かべるかも知れません。
けれど、擬人化は萌えるばかりではありません。
昔から、虫や動物、自然のそこかしこに、その不思議で統率のとれた生態などに、人のような意思を感じドラマを見いだしてきたでしょう?
人の形をとらずとも、人のように描いてきたでしょう?
ここでいう「擬人化」とはそういう擬人化です。
オオスズメバチの生態を丁寧になぞりながら、そこへ意思とドラマを見いだしていく、成虫となってからたった約30日のこの物語はとてもシンプルに「生命」と、それを「繋いでいく」ことを描いてゆきます。
そのひたむきな強さと真っ直ぐな命に、きっと何かを感じてもらえるのではないかと思います。
(卯)
食わず嫌い
2013/06/26 22:26
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bkktomi - この投稿者のレビュー一覧を見る
昆虫に全く興味がないというか、むしろ嫌いなジャンルなのですが、「永遠のゼロ」を読んで、その流れで購入してしまいました。
オオスズメバチの話ですが「バッタの足を噛み切って、腹を丸めて肉団子を作り・・・」というような描写が沢山出てきます。初めは情景を想像して「ゲッ!」となりましたが、ストーリーが進むにつれ、気にならなくなりました。
私にとって昆虫という苦手な題材にもかかわらず面白く読み切りました。百田さんの筆力に脱帽です。
オオスズメバチの世界を斬新な切り口で小説化!
2014/01/24 09:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:masao@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今人気急上昇中の百田先生の新境地という感じです。人間の嫌われ者オオスズメバチを題材に巣の中の生活やオオスズメバチ同士のコミュニケーションのとり方や一生をどのようにしてすごすのか、他の昆虫とどのように異なるのかを、学術的に掘り下げるのではなく、オオスズメバチのワーカー(働きバチ)「疾風のマリア」を主人公に彼女の波乱万丈な一生を非常に精緻に描いた新しい感じの小説でした。作中のマリアの苦悶「ワーカーはどうして卵を産めないのか・・・」その答えを読み進めていくうちに理解したときにはオオスズメバチの社会構造を垣間見ることができ、不思議な感じとなるほどという感じが交錯しとても面白く、すべてを悟ったマリアが仕える女王のために身を挺して戦うあたりに今までスズメバチに対して感じたことの無い感動とを感じました。すばらしい作品だと思います。
スズメバチに聞いたの?
2014/02/10 10:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、「すずめの帽子」という児童作品を呼んだが、数段、上手(うわて)ですね。目線が違うし、感性も違う。スズメバチの世界に引き込まれるというか、スズメバチの気持ちになってしまうほど作品の世界に引き込まれました。
オオスズメ蜂に学ぶ
2013/08/14 13:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まゆげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
目的のためにためらうことなく戦い生きるマリアの生き様に啓発されます。
低学年の子供から大人まで感動させる物語です。
蜂の世界がわかる
2019/11/22 17:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きつね煉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビで風の中のマリアを紹介されていたのを見ました。
風の中のマリアという本を作るために蜂についての本を500冊も調べて著作したそうです。
どんなストーリーか気になって読みました。
様々な蜂の生活はどんなものか蜂にとって人間はどんなものかなど
蜂の世界を知ることができる本です。
とても面白くて何回も読み直してます!
小説のスタイルをとってはいるが、オオスズメバチの優れた生態観察記録と言っても良い。
2016/11/21 11:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説のスタイルをとってはいるが、オオスズメバチの優れた生態観察記録と言っても良い。著者自身が熱狂的昆虫マニアなのかと思うくらいであるが、どうも巻末の謝辞を見ると専門家に教え頂いたようであるが、それをここまで咀嚼してフィクション小説に仕立て上げた力量はやはり只者ではない。まるで著者がオオスズメバチになって一緒に行動しているかのように感じてしまうのである。
オオスズメバチの優れたハンター=戦士である“マリア”を主役にした小説。ハチを主人公にしたう小説と言えば直ぐに思い出されるのが『ミツバチマーヤ』ということになるが、マーヤに代表される動物主役小説では“他の動物を殺して食べる“(植物を食べるのは許容されるが)描写は極力排除される。それは当然ながら可愛らしい動物像を期待する読者への配慮であり、『ミツバチマーヤ』でもミツバチは花の蜜だけを吸う可愛らしい昆虫であり、その他の登場生物たちも草食性の者が善玉で、肉食性の者は悪役となる。こうした一般観念からするなら本作での主役は悪玉中の悪玉である、狂暴な肉食昆虫・オオスズメバチのそれも優れたハンターであり戦士でもある“マリア”であることがまず異色である。また、物語も、当然ながら“マリア”の“狩り”や“他のハチとの戦い”が主軸となっている。そこには“殺し”“殺される”という自然界での宿命の連鎖が克明に描かれる。しかし、一見残酷に見える“殺し殺される”という行為の意味も明確に記述することにより、殺すことが生きるための手段であることが明示されるのである。これこそ、真の意味で命を大切にすること、命の連鎖の大切さを訴えかけるものである。圧巻は女王バチを中心に成り立っていた帝国が終焉を迎え、次期女王バチの卵を産み終わった女王バチを殺すことで働きバチの中で偽女王バチが出現して雄バチを産み、それら膨大な数の次世代バチを養うため、オオスズメバチ以外の他のハチの巣を襲って皆殺しにしてその卵や幼虫を自分たちの子孫のためのエサにする一連の記述である。へたな活劇小説を読むより数段迫力があり背筋がゾクゾクする。主役である“マリア”が新女王バチに群がる雄オオスズメバチとの戦闘で傷つき、死を悟った時に大空高く飛び続けながら命を全うするラストは“オオスズメバチの戦士”としての務めを全うした達成感を感じさせ清々しい。
素晴らしい本です
2024/10/30 17:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
オオスズメバチの視点で昆虫たちの激動の一生を描いた作品です。女王蜂のワーカーとして、生まれたマリアは妹たちの世話に一生を捧げる使命感をもって帝国最強の蜂に君臨する物語です。
虫だけど…
2022/12/26 06:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:レムロム - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は寧ろ好きですが、昆虫が苦手な方にも読んでほしいです。ささやかな命の営みを考えたくなるような本といえます。
最近の著者は…
2016/02/13 01:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FM - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうも口だけ達者で、もう良い小説は書けないかもしれませんが、このころの小説は本当に面白いです。集中して読みました。この本も非常に面白い。また機会あれば読みたい本です。
誇り高きスズメバチの戦士の物語
2012/02/04 12:45
15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
スズメバチの中でも最大の種である、オオスズメバチ(学名ヴェスパ・マンダリニア)を擬人化し、冒険小説に仕上げてあるのが本作品。誇り高き女戦士、マリアを主人公に壮大な物語が紡がれる。しかしスズメバチの非常に不思議で面白い生体が想像以上に詳しくアカデミックに描かれてあって、そういう点でもとても興味深く読める。だから小学校高学年~中学生くらいに、ぜひ読んでもらいたいなぁと感じた。もちろんそれ以上の年齢でも、とても面白く読める。
オオスズメバチとして生まれ出たマリアが、自分の帝国(巣)を守るために、戦士として色んな生き物と戦っていくほんの1ヶ月ほどの一生が描かれている。昆虫界最強と言ってもいいオオスズメバチ、ただ我が帝国の発展の為にあらゆる昆虫の命を奪っていく。人間の社会と違って法や秩序等は存在しないから、本能のままに殺戮・ホロコーストが繰り替えされていく。残酷とも受け取れるその様相は、なんだか命の不思議さを通り越して、一種の諦観・哲学をも感じさせてくれる。食物連鎖がどうの、なんていう教科書に乗っているような言葉はまるで通用しない。だからこそ、ハートで感じられる、本当の命の物語と言ってもいいのではないかと思う。そういう意味で、子供たちに読んでもらいたいと感じた。
幼い頃、「みつばちマーヤの冒険」や「みつばちハッチ」をテレビで楽しんだ世代なら、ある種のノスタルジックをもって楽しめるかもしれない。でも誇り高きヴェスパ・マンダリニアの女戦士マリアの物語は、もっともっとリアルで残酷で、感動的だ。ぜひどんな世代の人でも、手に取ってみてもらいたい作品。
オオスズメバチの擬人化ドラマ
2022/09/27 21:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本の虫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オオスズメバチが主人公の小説。
蜂や昆虫の生活史、生態を忠実に再現しつつ物語に落とし込んでいるところがとても面白いと感じた。
小説として面白いだけでなく虫の勉強にもなる一冊だと思う。
マリア
2020/04/06 20:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
蜂にも虫にもまったく興味がなくむしろ苦手なので、期待しないで読んでみたら引き込まれました。なんでも食わず嫌いは良くないかなと実感。
異色の作品
2022/05/09 09:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
数多いこの作者の作品の中でもずいぶん異色の作品である。カエルの楽園のように明確な寓話ではなく、何を暗喩しているのかはっきりとは読みとてなかった。弱肉強食 適者生存という自然の摂理を語りたかったのだろうか。
風の中のマリア (講談社文庫)
2019/04/14 20:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:lakini - この投稿者のレビュー一覧を見る
こ・こ・こ・怖かった…
というかちょっと気持ち悪かった。
蜂の他の虫を殺害する様子が詳らかに記されているので、虫が嫌いな人はもちろん、戦争物とかジェノサイド的なものが苦手な人には向かない。
後者でなんでこんな例をだしたかというと、
この小説、大変珍しく(絵本や子ども向け小説では頻繁に行われていたはずなのにね)、蜂が擬人化されて主人公になっているから。その視点は真剣に面白いと思ったけれども。また、期せずして、蜂の生態に詳しくなったのは良かったけれども。
時に眉をしかめずしては読めませんでした。
ところどころ、蜂を擬人化することで生じる無理もある感じはしたが、全体としては立派な物語になっている。
昆虫モノ
2022/01/23 16:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
オススズメバチが主人公のお話です。作者は、スズメバチの生態をよく調べて書いていらっしゃいるので、他の昆虫を、狩る……と言ってよいのか……狩るシーンは、リアルでした。働くところなど人間にも当てはまるところがありそう