重いテーマの娯楽小説
2020/08/09 11:41
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
認知症の人が他の病気にかかっているとき、本人には治療の意味もわからないのにどこまで治療すべきなのか、認知症患者ばかり集めた病棟の医長が悩みつつ、自分の外科医としての過去の失敗にも向き合う話。どうなるのかと固唾をのんで読み進めたら、問題の患者が死亡したり厄介な人物が失踪したりして事なきを得たという辺りが娯楽小説の枠を出ない感じで興醒めしましたが、主人公の誠実さには好感を持ちました。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際に、我が国では、認知症患者は何万もいますし、その患者さんたちも、癌や、色々な病にかかります……そこで、現役の医師がどうやって治療しているのか……。どの病院でも、ありそうなお話でした。
途中下車しました
2021/10/24 09:25
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投稿者:ぼちぼち - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台が認知症病棟のせいか久坂部羊にしてはダラダラとした展開。医学的にも疑問な部分も多くてサスペンス性もあまり感じられなく、このまま読んでも大したどんでん返しもないだろうと思い読むのを中断した
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2020/06/06リクエスト
認知症の人が他の疾病も発症した時、こんなにも大変なのかと、改めて思った。
家族の気持ちも様々だし、ドクターの思う天珠を全うすると、家族の思うそれは、こんなにも差があるのか、とも驚く。
きれいごとかもしれないが、一生懸命してくれるドクターに対して、感謝して受け入れたいと思う。
でもなかなか、話を聞いてくれるドクターに巡り会えないのも、事実なのですが…
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認知症に焦点をあててくれてよかったです。ただ、プロットは余り驚きがなかったかもしれません。ドンデン返しはあまり期待しない方がよいかもしれません。
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週刊誌連載の書籍化なので、ちゃんとしたストーリ仕立てになっていたが、まあ書かれていることはいつもの久坂部作品なので、可もなく不可もなくといったところ。
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認知症患者の持病を治療するための専門病棟で働く医師の葛藤を描いた物語。認知症で治療の意味を理解できない患者に、つらく苦しい治療を施すことは有益なのか。そして患者家族との軋轢に対しても抱えるジレンマの数々。真面目で思いやりのある医療従事者ほどその状況に悩み苦しめられる、という事実がなんともやりきれません。ブラックでシニカルな読み心地の作品だけど、笑っていいのかどうかにも悩みます。
そしてその医師に降りかかるさらなる問題。過去の医療ミス……とは一概には言えないのだけれど、これもまた真面目な人ほど苦しんでしまうのですよね。とはいえ、解決したかと思ったその問題も……え、それだけじゃなかったの!? どこまでも皮肉な作品です。
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意外と評価が低いんだな、これ。私はそれなりに没入して読みました。ドンデン返しとか、勧善懲悪とか、そういうものを期待しちゃうと、確かに物足りないかも。ただ、エンタメ小説というよりは、認知症治療の裏側を垣間見る、くらいの気持ちで読むと、その難しさに打ちひしがれたり、来る将来の自分に重ねたり、色んな読み方が出来るかも。そういう意味では、それこそ坂崎の現場レポートのような感覚に近いのかな。坂崎は地獄を見ればいい。そして主人公の医者の過去の失態もはっきりしなくて…あ、やっぱりこれだけは引っかかるな。それでも一度も止まることなく小説を読めたのは事実ですが。表題の意味が終盤でガラッと変わるのも、素敵でした。
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医療従事者の大変さをひしひしと味わった。
それも認知症患者の治療となればなおさら。
今まで想像したこともないような医療現場の
凄惨さに改めて頭の下がる思いと
身内がこうならないように祈るばかりだ。
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今、平穏死について、いろいろ読んでいるので、その一環として興味深い。ますます迷路にはまってしまったけど。
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認知症専門病棟の物語で物騒な題名だなと思って読んだ。
認知症病院の先生や看護師の大変さが分かる小説である。
医師も人間、失敗することもある話に、いずれ患者になる身としては複雑な気持ちになる。
印象に残った文章
⒈ 家族も疲れ、病棟のスタッフも疲れ、おそらく本人も疲れ切っている状況で、命は尊いとか、生きているだけで意味があるとか、現場を離れたところで語られる美しい文言が、まるで宇宙人の言葉のように感じられる。
⒉ 外科医ってそんなにたくさん患者さんを死なせてるわけ?
⒊ ほどよい医療で、生かさず、殺さずってことか
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がんや糖尿病をもつ認知症患者をどのように治療するのか。認知症専門病棟の医師・三杉のもとに、元同僚で鳴かず飛ばずの小説家・坂崎が現われ、三杉の過去をモデルに「認知症小説」の問題作を書こうと迫ってくる。医師と看護師と家族の、壮絶で笑うに笑えない本音を現役医師が描いた医療サスペンスの傑作。
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さまざまな病気を抱える認知症患者専門の病棟、人呼んで、にんにん病棟が舞台である。それだけで、一筋縄ではいかないことは想像に難くない。どんな日常が繰り広げられているのか興味が湧く。現実問題として、病気の認知症患者の身内をお持ちの方は、おそらく、こんな描写はまだまだ生ぬるいとおっしゃるだろうということも想像できる。それを踏まえてさえ、現場の壮絶さがうかがい知れる。患者本人のケアの大変さはもとより、家族の思惑が絡み、家族が複数いれば、それぞれの思惑が同じとは言えず、混乱に拍車をかける。あっちをなだめ、こっちをなだめ、さらには自分の胸の裡までなだめながら、日々ご苦労を重ねておられる病棟スタッフのみなさんには、頭が下がる。さらには、他人事と割り切って読むことができないから、なおさら気分が沈むのである。スパッと解決する方法があればどれほどいいだろう、と思わずにはいられない一冊である。
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認知症専門病棟の医長を主人公にした小説で、このタイトルはないだろうと思った。どんだけいやな話が展開するんだろう(そう思うなら借りるなよ(^^;))と、読むのを躊躇していたが、読み始めると意外なことに全然いやな話ではなかった。この医長は優柔不断で医者としてはどうかと思うが、人間としては信用できるような気もする。認知症と延命治療についてはいろいろ思うこともあるが、小説としてはなかなかおもしろかった。
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患者の死を糧とする不条理に認知症病棟の医長となった元外科医。
患者本人が必要と認識できない治療をどこまで行うのか、葛藤を抱えてしまう。
「生かさず、殺さず」が前向きにバランスを取れるキーワードと腹落ちする。
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内容紹介 (Amazonより)
息もつかせぬストーリー展開で、認知症専門病棟の医師と看護師、家族の壮絶で笑うに笑えない本音を、現役の医師が描いた医療サスペンスの傑作。
認知症の患者も、がんや糖尿病などさまざまな病気を患う。彼らをどのように治療すべきか。一般の患者なら、検査や治療に協力も得られるが、認知症の患者はスムーズにはいかない。認知症患者専門病棟「にんにん病棟」では、主人公の医長の三杉や看護師たちが、日々認知症相手ならではの奮闘を続けている。とりわけ看護師たちの苦労は並大抵ではない。
一方、医者から作家に転じた坂崎は、鳴かず飛ばずのスランプを脱するべく、三杉をモデルにした小説を企てて、取材協力を求めてきた。坂崎は三杉が密かに悔やむ過去を知っており、それをネタに三杉を追い詰め、窮地に陥れて、小説にしようとするが……。
治療が認知症患者に必要以上の苦痛をもたらすとき、いったい医師は、どのような治療を選択すればよいのか。そこにある葛藤と逡巡。
在宅医療を知る医師でもある著者の既刊『老乱』『老父よ、帰れ』につぐ「認知症小説」の決定版。
久坂部洋さんの作品は好きなのでわりと読んでいる方です。現役のお医者さんなのでとてもリアリティがあるのではと思っています。
去年亡くなった義父母が認知症だったので 介護には携わっていませんが症状はなんとなくわかるので 作品の内容は笑い事ではないと思っています。
やっぱり長生きなんてしたくない...と思ってしまいます。