変わったタイトル
2022/01/22 15:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、ミステリーの邦題のつけ方に疑問をもったことがあっただけに、このタイトルはこちらの興味を引くには十分だった。さらに舞台がニュージーランドの最果ての地、ということで英米や北欧ものに慣れている身としては、土地の風俗や自然など全く新鮮な材料がそろっていると期待大で臨んだ作品だが、ミステリーとしてはどうだろう? というのが正直な感想だった。
作者の経歴を見ると、南アフリカ出身で世界中を放浪したのち、ニュージーランドに腰を落ち着けたようで、しっかりしたアイデンティティーがやや足りない主人公の人物造形が作者から透けて見えるような感じだ。ニュージーランドという国の特性かもしれないが、様々なルーツや事情を抱えた移民というものが、自分にあまりに馴染みのないものだったせいか、登場人物たちの心情にあまり入りきれなかったところが残念。
タイを始めとするマオリ族出身の人たちは、その土地に先祖代々根を張った生き方や、そこからくる一種の楽天性など共感できるところが多々あったが、移民としてこの地にたどり着いた人々は、特にこういう最果ての地に居続ける意義をどうやって見出すのだろう。
もうひとつ気になったのが、南半球の地が季節が日本と逆転しているということだけでなく、季節感や肌に感じる自然の息吹が、どうしてもすんなり頭に入りづらく、物語の1月や6月というキャプションを見て、え~とと頭の中で変換しながら読む手間がかかり、それも物語そのものに深く入り込めなかった要因かもしれない。
ニュージーランドは日本のような温帯かと思いきや、地図で見ると本書の舞台である南島の南端は南緯50度あたりで、日本に置き換えてみると北海道から樺太あたりになる。オホーツクの流氷押し寄せる知床や千島列島あたりなので、かなり厳しい自然環境だ。加えて向こうは南極からの寒風が吹きつけてくるようなので、このあたりも全く知らない世界と、そこに住む人々の生活を垣間見せてくれた点は面白かった。
今年、作者のもう一つの作品が翻訳されるようだが、読もうかどうかちょっと考え中だ。
投稿元:
レビューを見る
『1ページ目から主人公が絶対絶命!』
などと帯に書かれたら、すれっからした読み手ほど鼻で笑うだろう。
「うそうそ。絶対にウソ」
「どうせ売らんかなの煽り文句だから」
まあこちらの試し読みをご覧頂きたい。
https://viewer-trial.bookwalker.jp/03/8/viewer.html?cid=8d8a1837-78f0-4b5d-b8b1-e5ec4f106d4c&cty=
「わあ、びっくり、本当だ!」
と、あなたも納得なさるだろう。
ご覧の通り、話は、現在パートと過去パートの二つにわかれている。
これが交互に語られるのだが、現在は絶対絶命、過去はどん底、別種の緊張を次々に強いられて、どっちを読んでもくつろげないのだ。
ここで休もう! と本を閉じて就寝すれば、夢の中までなにかがやってくる。
読み終えて、大きく息を吐いたら、ようやく肩が楽になった。
主人公は、フィン・ベル、37歳。
離婚して、アル中で、車椅子生活になって、一人きりニュージーランド南島の最南端――南も南、ニュージーランドの果ての果て、リヴァトンの街にやってきた。
リヴァトンは小さな町である。
個人情報は町中に筒抜けだ。
そんな中で、町の住人とのつきあいが始まるのだが、幸いなことに、彼らが好い人達なのだ。口が悪かったとしても、実は思いやりがあって、ちょっとおせっかいで、手助けを厭わない、気持ちのよい人たちである。
どこかに犯人はいるのだが。
そしてまた、フィンも魅力的な人物である。
じめじめぐずぐずいじけていたとしても、無理もない状況にいるが、あまりそういうところがない。
自分はひどかった、悪かったなどと、沈むことはあっても、どこかからりとして、ふっきれたユーモアがあって、彼の心情は読んでいて楽しいのだ。
自然と応援もしたくなる。
かなりの事件が迫るのだから。
作者フィン・ベルは南アフリカ生まれ、ニュージーランド在住である。
よそから来た人だからか、ニュージーランドの魅力を伝えるのに長けている。
マオリ、ラグビー、食、歴史・・・・・・
それらがよい塩梅にさりげなく挟まれるので、ニュージーランドについて興味をもってしまう。
「南の南」と聞くと、つい暑いと思ってしまうが、いや違う、ニュージーランドは南半球である。
舞台リヴァトンは南緯46度余り。
単純に日本に置き換えてみると、北緯45度余りの稚内を越えて樺太になる。
なるほど夜は特に冷えるだろう。
そして、6月は夏ではなく冬で、1月は夏の始めだ。
緊張に継ぐ緊張に、読者の私も苛まれたのだが、読み終えてみると、稀な読書体験だった。
これでぐっすり眠ることができる。
続編もあるというので、こちらもぜひ読みたいものだ。
印象的な歌はこちら。
曲の印象が変わってしまいそうだ。
https://www.youtube.com/watch?v=x5-Ytdngwk0
※注 猫好きには薦めない
投稿元:
レビューを見る
※ゲラ版先読み企画の感想を転記
ミステリというよりスリラーに近い内容で、残虐なシーンも出てくるので、読む人を選ぶ小説かもしれません…。
全体的に重苦しく、過去の事件の真相に迫っていくワクワク感は少ないです。主人公はネガティブな性格だし、最後まで読んでも爽快感はあまりありません。個人的には苦手な部類ですが、そういうのが好きな人にははまるのではないでしょうか。
一章が非常に短くまとめられているため読み進めやすかったです。反面、リーダビリティはそれほど良いとも言えず、何度読んでも理解しづらい文章がいくつもありました。特にカウンセラーのベティとの会話は漠然として捉えどころがないので尚更でした。
通常は否定文で終わる接続詞なのに肯定文で終わる、といったような文章のクセの強さは原文のせいなのか翻訳のせいなのか気になるところです。
現在と過去を行き来しながら少しずつ事件の全貌があきらかになっていくのですが、過去の語りが現在に追いついたときにクライマックスを迎えるのかと思いきや、途中から過去ばかりになり、現在に追いついても今ひとつ盛り上がらないまま真相はすべて事後に説明、というのはもったいないなと思いました。第二の真相についても「そうだったのか!」という驚きにはいたらず…。
ニュージーランドが舞台ということで、欧米との違いも楽しみの一つでした。何かが大きく違うわけではありませんが、しいて言えば人生におけるモチベーションが違うような気がしました。
タイを筆頭にいいキャラクターが揃っているので、もう少し掘り下げてほしかったです。マーダーボールも冒頭から出てきたわりにはプレイシーンがほとんどなかったのが残念です。タイがフィンに車椅子を作ってあげるシーンなんかがあってもよかったなと思いました。
個人的に印象に残っているのは、141ページの後半の下記。
「相手を悪人とみなせば、悪に立ち向かう自分は正義の味方。わかりやすく、単純なとらえ方だ。自分自身がどうあろうと関係ない、敵と立ち向かうだけでいいのだ。(中略)憎きドイツ兵が、あんなひどいやつらでよかった。あいつらが善人だったら、自分たちがやったことを悔やんで生きていかなければならないからな」
そんなに単純ではないから、生きるのは大変なんだよね、としみじみ思ったシーンです。
投稿元:
レビューを見る
面白いんだろうなあとは思う。
最初からワクワクしながら読んだ。
でも只今ストップ中。
なんていうか、人を殺してもへえとしか思わないのに、生きた母クジラの脂肪を徐々に剥ぐ(隣に子クジラ付き)とか、子猫くぎ打ちとかのシーンが出てきてストップ中
投稿元:
レビューを見る
人口より羊が多いということをまず思い浮かべてしまうニュージーランドの意外な一面を知ることになった。ダークニュージーランド。。
脇役のセラピストと元刑事の神父が面白い、と思ったら、2作目は若かりし日のこの神父が主人公だそう。読んでみたい。
ネコチャンが酷い目に合うことや、鯨の話しなど、残酷さの許容範囲が広いお国柄なのかな、と。
『ペインスケール』の続きも読みたいのですが。
投稿元:
レビューを見る
七月の目玉となった作品。個性がいくつもある。一つにはニュージーランド発ミステリー。作者は、法心理学者としての本業の傍ら、小説は電子書籍でしか契約しないという欲のない姿勢を貫いているが、この通り、内容が素晴らしいため、作者の意に反して紙のメディアでも世界中に翻訳され、売れっ子となりつつある。
ページを開いた途端、絶体絶命の窮地にある主人公の現在が描写される。いきなりの海岸の崖に車いすごと足が岩に引っかかって宙ぶらりん。ぼくはこの作品の前に、クレア・マッキントッシュの『その手を離すのは、私』という本を読んでいて、その最終シーンが海辺の崖の上での意味深なシーンだった。まるでその続きみたいに始まるのだが、場所は『その手を離すのは、私』のウェールズの崖ではなく、遠く離れた南半球、ニュージーランドは南東のしかも南の外れにあるリヴァトン。面白過ぎて、グーグルマップで場所を探す作業からぼくの読書は始まる。凄い!
南の果てで南極に一番近い海岸線。凄い! それも崖の上で宙ぶらり状態。しかも車いす利用者なのか。凄い。描写は六か月前の過去に、私ことフィン・ベル(そう著者と主人公が同名である)が銃と、人の頭を吹き飛ばせるホローポイント弾を買い込むシーンから始まる。その後、気になり過ぎる現在と、過去とを行き来しつつ物語は進んでゆく。
主人公は南アフリカ出身でニュージーランドに流れ着いた「人生の落後者」(=原題のDead Lemons)であり、妻に去られ、酔いどれてトラックに突っ込んで両足とその感覚を失ってしまった車いす生活者。『楽園の世捨て人』というカナリア諸島に行き着いた中年男が正義を通して自分を撮り戻す作品があったが、そちらが悲壮で真面目な小説だったのに比べると、こちらの作品は同じような絶望的設定なのに、何故か明るいのだ。脇役たちの明るさ、軽さ、人の好さ、等々が主人公を助けると同時に、読者をも笑いや優しさに満ちた時間へと掬い上げてくれる。主人公の独り語りも、悲壮感というより破れかぶれな決意感のようなものがすっと通っていてなかなか宜しい。
作家の持ち分であるサイコセラピーの部分は、優しく厳しく熱いおばはんセラピストによって、すごく専門的な知識を駆使して語られてゆく。この辺の知識豊富な部分と、ニュージーランドに流れ着いた者たちの歴史を紐解く部分も凄まじい。
捕鯨やら砂金やらに群がった無法者たちの300年前の姿がロマンチックであると同時にワイルドで、その舞台となったこのリヴァトンの辺りが、何ともきな臭い隣人三兄弟の薄ら寒いような悪の怖さを醸し出し、主人公の緊張感を行間から滲ませ続ける。過去に起こった少女とその父の連続行方不明事件を調査するにつれ、緊張は高まる。
主人公が車を飛ばして相談に駆け付ける元刑事ボブ・レスの犯罪心理分析の語りのシーンもおそらく作者ならではの専門知識が活躍する。怖い隣人のこと。行方不明事件のこと。主人公自身が脅しや恐怖に曝される緊張状態の中で、世界の果ての海岸線に接した小さな町が、事件の再びの捜査に湧き立つ。
そして最後に現在に戻る。二転三転。驚きの結末。全体を包む��在時間の緊張感と、じっくり語りゆっくり進み、時々恐怖、という過去時間がついに集約する大団円。見事な構成。見事な読ませ感。ミステリの要素をいろいろと重ね合わせてホチキスで止めたような結末。読み始めたら最終シーンまで収まりのつかないこの一冊に、是非とも翻弄されて頂きたい。
しかし、これがこの作者、小説デビューだって? うーむ、俄かに信じ難いのだ。次が楽しみである。
投稿元:
レビューを見る
ゾイル三兄弟が不気味だが全体が明るいトーンで展開していく。フィンはいったい何回絶対絶命になるのだ。ロバート・レス神父のプロファイリングが披露されたが、ロバート・レスラーを意識してのこととか。神父が主役となる第二作も早く読みたい。
#NZ南島リヴァトン
投稿元:
レビューを見る
車いす生活者のフィンが越してきたニュージーランド最南端の町。そこでは26年前に少女失踪事件が起きていた。事件から6週間後、隣家のゾイル家の土地から彼女の骨の一部が発見された。住人たちは逮捕されたが、遺体が見つからず釈放され未解決となった。事件とゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすればいいのか? ゾイル家の不気味な三兄弟を調べ始めるフィン。だが彼らに命を狙われ……。
つかみはOK。カウンセリングの内容が、物語以上に興味深い。
投稿元:
レビューを見る
初フィン。タイトルに惹かれ、手に取った本作。ミステリィよりサスペンス要素強め…かな。もう考えてもゾイル兄弟としか思えないのに、なかなか尻尾を掴ませない。読んでいてとてももどかしい——。が、頑固もののフィンとリヴァトンに住む周りのキャラクタたち(厳しいセラピストのベティ、強引だが友達想いのタイ、そのいとこのパトリシア…など)がそれを補って余りあるくらい魅力的だ。作者が心理カウンセラーだからか、人生に示唆を与えてくれる言葉がいくつもあったように感じる。期待値は上回らなかったが、決してつまらなくはない。星三つ半。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。ネタバレしたら意味ないからなにも言えないけど、面白かった。
ただ、Dead Lemons は落伍者ってことなんだし、タイトルを直訳してつけるのは、????という感じ。
まぁ『死んだレモン』なら、言葉のインパクトはあるし、なにそれどういうこと?って手にとりやすいから敢えての直訳なのかな。
投稿元:
レビューを見る
始まりは面白かったんだけどなぁ…
語りが多すぎる、
表現が遠回しすぎる、
展開が唐突に感じる、
訳がよくないのかとも思ったけど
確かめる術なし。
一緒に謎解きをしていくような面白さはなかった。
突然、主人公の閃きで全ての謎がとけて
最後に語り尽くして終了、と感じた。
登場人物への感情移入もできず。
フィンが人生に行き詰まった苦悩も
そこから抜け出すための回復も
心の動きがなかなか追えなかった。
パトリシアとの展開も急すぎるし…
ニュージーランドに興味があったので
手に取ってみたけれども
やっと読み終われた…
最後まで読めた、やっと終わった〜
次の本やっと読めるわ〜!
と言う哀しい読後感でした。
投稿元:
レビューを見る
ニュージーランド南島の最南端「リヴァトン」が舞台のミステリー
NZも大好きな国の一つだが、「リヴァトン」なんて初めて聞く
早速Googleアースで検索
うーん田舎(笑)
リヴァトンはかつて捕鯨とゴールドラッシュの二度の好景気に湧いた街
どちらも採りまくったらどうなるか…
それが今のリヴァトン
その中でも街から離れた海沿いのフィヨルド地域の「最果ての密猟小屋」と呼ばれる古いコテージを手に入れ新生活を始める主人公
訳あり感満載
彼の名前はフィン・ベル
著者と同姓同名だ
その意味深な理由は、実はトホホな内容だが、お陰で著者の名前をバッチリ覚えることが出来た
この作品は著者フィン・ベルの初出版とのこと
元々は、電子媒体の自費出版市場で活躍する作家であり、南アフリカ共和国出身であり、法心理学の専門家
また主人公と同様に(経緯は逆だが)、ニュージーランドへ移住する
そんな著者の体験も作品にふんだんに折り込まれている
主人公フィンは、ビジネスの成功者だったものの、気づいたら不眠に悩まされ、アルコールに依存し、離婚し、飲酒運転の末、下半身の自由を奪われ車椅子の生活を余儀なくさせられる
そんな彼が新生活に選んだのが、最南端のリヴァトンのコテージだ
リヴァトンでの新しい生活は、まず銃を手に入れることからスタートする
何のためか…
残念ながらまだ再起できていない自分のためであった
しかしここでたくさんの素敵な出会いがある
(日頃カタカナの名前がちっとも頭に入らないのだが、登場人物たちがとても個性的で、良い意味でアクが強くすぐ覚えることができた)
人だけじゃない
「マーダーボール」という車椅子ラグビー(ネーミングからわかると思うが、車椅子同士が激しくぶつかり合うまさに殺人球技である)
仲良くなった友人タイの勧めで始めるも、すっかり夢中になる
その喜びがこちらにも伝わり、心からフィンを応援したくなる
頭を空っぽにして身体を動かすのは、健全な精神状態の第一歩だ!
セラピスト、友人、新しい女性…
人間関係にも恵まれ、フィンの人生が変わっていく
それと同時に巻き込まれていく事件
リヴァトンの街が成立する前から一族が住んで居たという隣人の不気味なゾイル家三兄弟、そしてコテージの元の持主の殺害
2つの時間軸が進行し、過去と現在が最後一つにまとまり、事件が解決する
ドキドキ・ハラハラバージョンと、じっくり謎解きミステリーバージョンの2つを楽しめるようになっている
ミステリーとしてはもちろんだが、フィンの人生の物語でもあり、ニュージーランドの歴史物語でもある
ラダニテと呼ばれたユダヤ商人、人身売買、移民、マオリ族…
NYの重厚な歴史を窺い知ることができる
そんな三方面から楽しむことができ、満足度はなかなか
フィン人生設定が重いかな?と思ったものの、リヴァトンの陽気な人達と、フィンの立ち直りの早さに爽快感を覚える
一方ゾイル家の不気味さ、生業のエグさ、事件の結末の不快感など、胸クソの悪さは結構あるものの、何故か最後の最後はカラッと乾く
リヴァトンを知らないが、重い歴史がありながら、2回の好景気が過ぎ去り、ひっそりとした街になった今、そこにあることだけに満足し、明るくその土地で生きる人たちの姿を反映しているのではないか…
そんな清々しい感じが悪くない
フィンとリヴァトンの人達に最後は救われる…そんな小説
しっかり楽しむことができた
投稿元:
レビューを見る
島国ニュージーランドのミステリーが読めるとは。グローバル社会の恩恵を実感します。日本のミステリーがニュージーランドで読まれることがあるかなあ。
風景描写が具体的なので、荒涼として寒々しいリヴァトンの風景がイメージできました。ニュージーランドの歴史の説明も実に詳しく、知らなかったことばかり。一冊で二種類の本を読んでいるかのような錯覚に陥ります。やり直そうとするフィンを囲む地元の人々の温かさが沁みますね。タイの接し方が素敵で、こんな風にしたい!と思わされました。
事件の方は誉田哲也作品かと思うくらいの酷さだし、冒頭はヒッチコックの映画のよう。けれど、前述のようなサブストーリーの中に埋もれてしまって、あっけない終わり方では?と思ってしまいました。とはいえ、様々な国の風景を思い浮かべながら好きなミステリーに没頭できる幸せを噛み締めました。
投稿元:
レビューを見る
事件を遡って描かれていく。最初が衝撃的だったからその後の展開がまどろっこく感じた。主人公の飄々とした性格や語られる街の歴史の描写も多すぎたように感じた。私がイラッチなのかな?
投稿元:
レビューを見る
車椅子生活をしているフィン・ベル、隣に住む極悪のゾイル兄弟の一人に殺されかけ、崖で逆さ吊りになるというピンチに→5ヶ月前に遡り、なぜニュージーランドの最果ての町にやって来たのかや、町の人達との触れ合いを描き、そして過去の失踪事件の謎を解く。
謎解き以外の寄り道がかなり多いのでやや長く感じるとの、解かれた謎にそれほどのショックを感じられなかった。
しかし、フィンがセラピストと交わす会話などディテールはなかなか好み。
・物事に必ず理由があると考えないこと。理屈がわかれば思いどおりになると考えるから、人は理由を探そうとする。だけど、人生の取るに足りない、悲しいなぜを拾い集めたって、何も変わらない。
・周囲の環境は変えられなくても、向き合い方は自分で変えられる。
作者は刑務所でカウンセリングをやっていたそうだから、こんな言葉が披露出来るのだろうか。