紙の本
川上弘美氏による、奇天烈な「ガールズトーク」会合に面食らう主婦・菜月を描いたコミカルな作品です!
2020/07/27 10:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『神様』(パスカル短篇文学新人賞)、『蛇を踏む』(芥川賞)、『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)、『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)など数々の名作を発表し続けておられる川上弘美氏の作品です。同書は、女たちの不思議な集まりに参加することになった主婦菜月は、奇天烈な会合に面くらう一方、日常をゆさぶる出来事に次々見舞われていくというストーリーです。幾多の難儀を乗り越えて、菜月は平穏な日常を取り戻せるのでしょうか?夫婦、嫁姑、親子、同僚など、人とのかかわりにふと戸惑いを覚えてしまうという読者にはぜひ、読んでいただきたい一冊です。
紙の本
楽しそう
2024/03/25 21:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
5人の女性が集まって、家族等に関する愚痴や悩みを語り合うお話なんですが、どこかカラッとしていて楽しそう。話しながらしっかり食べる品々も、実に美味しそう。こんな集まりなら参加してみたいし、お隣のデーブルなら聞き耳を立ててしまうと思います。
この独特の感じは、さすが川上弘美さん。
ただ、ジェンダー問題が頻繁に取り上げられるこの頃は、この本で語られているような「夫婦っていうのは」「息子っていうのは」等も既にだいぶ変わってきているのか、どうなんだろうな?と思いました。
投稿元:
レビューを見る
初川上弘美作品。こんな同好会なら私も参加したい!どんな立場でも悩みはつきない。でも土井母のような女性を目指したい(^^)
投稿元:
レビューを見る
川上弘美さんの長編、久しぶり! 楽しみすぎて、楽しみは後にとっておくタイプの私はなかなか読み出せなかったのですが、我慢ならず(しなくて良いのに)読みました!
「これでよろしくて?」という名のおはなし同好会シーンは、話をしている主人公たちの隣のテーブルにでも座って盗み聞きしている気分に。笑 いつか自分にもおこるかもしれない「やっかいな嫁・姑問題」を抱えてしまった時にまた読みなおそう…。
投稿元:
レビューを見る
何かちょっと、身につまされてしまう。結婚して無くても。
人間関係ってそれぞれに難しい。明確な正解も不正解もないものだなぁと。
女同士の付き合いって時に面倒だけど、これでよろしくて?なお食事会は良いかも。
最近(と、言っても文庫派なので未文庫化の作品は読んでないのですが)、特に不思議なことのない恋愛物系が続いたような感じだったので、今作はかなりツボにはまりました。
投稿元:
レビューを見る
対象年齢からまさにぴったり。面白かった。肩をはらずに読めて、くすっと笑いながら納得できる本。そうです、私も同感....というところがたくさんあった。
投稿元:
レビューを見る
ちょうどいい女子会。何歳になっても女子。人生経験が豊富な女子会って面白いのね。おしゃべりって議題があるともりあがるもの。川上さんの文章ってすごく女性的なような。感覚的。結婚なんてしてないのにな
投稿元:
レビューを見る
「これでよろしくて?同好会」に加わってみたいような、こわいような・・・(笑)おばけの存在に納得。同好会のメンバーのように、日常にふりかかってきた難題に、時に軽やかに乗り切れるようになりたいな。
投稿元:
レビューを見る
日々の出来事は、ささいなことから出来上がっているけど、小さな悩みもある。
やがて主人公は、夫とその家族との関係の難儀さを受け入れるようになる。
生活しながら、「いろいろ、だんだんに、わかってくる」のだ。
私たちもどうにもならない、切ることのできない人間関係に縛られているけど、いろんなことに立ち向かっているんだと気付かされた。
投稿元:
レビューを見る
川上作品というと、現実から少し浮きあがったような『異界』が描かれることが多い印象がある。けれど、この作品には『異界』要素は少なく、『普通』の主婦の日常生活が描かれていて、川上作品としては新しい感じがした。
あまりキッチリとはしていない、どちらかというとおっとりした主婦が主人公である。夫や、夫の家族、実家の家族との関係に、ほんのちょっぴり嫌な思いをしたり、違和感や疲労を感じたりしている。行動はおっとりしているけれども、感じるところはキチンと感じているのである。この小説の中で描かれるのは、誰の日常生活にも起こりうる周囲の人との間の小さな軋轢だ。そういう少し『面倒臭い』関係の只中で過ごすことによって、主人公は周囲の人との関係を見つめ直し、これからの人生の方向を考えてみるようになる。
主人公がひょんなことから参加する女子会、「これでよろしくて?同好会」の面々の会話がとても面白く、魅力的。何度もニヤリとさせられた。こういう同好会、私も参加したい!
投稿元:
レビューを見る
嫁・姑・夫の関係に苦悩する主婦が主人公。
20~60代の女性たちが5,6人で集まって真剣に日常のことを議論する「これでよろしくて?」集会に巻き込まれつつも継続して参加し、活路を見出していくお話。
女性目線で見ると、夫ってのは無神経でまるで何も考えてない存在と描かれる。これはだいたい合ってるのではと思います。
そして嫁から姑への負の感情ってのは、20代そこそこの男子に分かるはずがありませんが、主人公を通して垣間見れます。お難しいのね。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに、著者の初期作品の雰囲気が感じられる作品だった。
誰も、自分自身でさえも、自分のことをちゃんと分かっているわけじゃないんだ、ということが気負いなく描かれている。
作品自体には全く関係ないが、帯のコピーが全く本質を捉えていないと思う。出版社は、プロモーションのためにガールズトークという言葉を使ったのだろうが、違和感しか残らない。
(2012.10)
投稿元:
レビューを見る
単純に面白かったです。面白くて、あっという間に読み終えました。
日常にあり得るような雰囲気で書かれてますが、
実際には非常に希有な状況で、
世界のどこかにはこういう会があるかもしれないと考えてみるだけでも、
とても愉快な気分になりました。
投稿元:
レビューを見る
さまざまな家族の関係のなかでの気持ちや感覚のズレやすれちがい、
戸惑い、気遣いに気苦労・・・身につまされる話があまりに多い。
刃傷沙汰やはでなカタルシスは起きない。
かしましいおしゃべりに耳を傾けつつ、
硬軟さまざまなケーススタディーを通じて
複雑な心の内にわきあがる思いを丹念にすくい
考えを深めてゆき、気がつく物語。
それにしても女子会ってこわい、女は怖い。
男に読ませても、わからない人も多いだろうなぁ。
ちょっと前にみた映画『ジャージの二人』を思い出す。
あの映画もちょっとしたズレやすれちがい、言わなかったこと、
哀しいのだけどおかしいできごとがあふれていた。
その原作者の長嶋有がこの文庫本の解説というのも奇縁。
投稿元:
レビューを見る
川上弘美作品のなかでは、頭ひとつ抜けているというわけではないけれど、総体的に、やっぱりおもしろい。
抑揚のない毎日を過ごす平凡な主婦が、「これでよろしくて?同好会」という、年齢層の高い主婦たちによる、ただただおしゃべりをするだけの会合に、巻き込まれるかたちで加わる。下世話な話も、嫁姑問題も「議題」にして、本気で井戸端会議をしている彼女たち。ご近所づきあいよりはお互いのことを知らず、PTAより格式ばってない。始めこそ他のメンバーに圧倒され、気後れしていた主人公も、1回目の会合が終わった時点で、主婦たちのことを好ましく思っている。そして読者も。
まず、会合は毎回洋食屋で、というのがいい。オムライスやエビフライや、読んでるだけで胸焼けしそうな代物を、話の前に、合間に、モリモリガツガツ食べる。その熱量がいい。たらたら聞かされてもつまらないはずの平凡な主婦のありふれた愚痴や悩みが、「議題」にすり替わった瞬間におもしろく読めてしまう。
終始ユーモラスで時折せつなく、鬼気迫るハイライトは一度も来ない。ラスト付近で、川上弘美らしさを感じさせるような、現実世界からフッと離れる瞬間があって、それが一瞬だけなのもまたいい。
そして長嶋有の解説がいい。著者との仲のよさをアピールするだけの解説は、つけないほうがいいくらいだと常々思ってるけど、これは本編を読み終わった余韻のままに続けて読むと、さらに気持ちよくなる類のものだった。