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世界哲学史7 ──近代II 自由と歴史的発展
一九世紀は哲学的には、社会の支配に対する人間の自由をどのように確保するかが模索された時代であった。思想的な旧制度からの自らの解放を求めた自由の哲学は、世界的なうねりとなり...
世界哲学史7 ──近代II 自由と歴史的発展
世界哲学史 7 近代 2 自由と歴史的発展 (ちくま新書)
商品説明
一九世紀は哲学的には、社会の支配に対する人間の自由をどのように確保するかが模索された時代であった。思想的な旧制度からの自らの解放を求めた自由の哲学は、世界的なうねりとなり、異文化への対抗、伝統的な桎梏からの離脱などを目指して展開された。ドイツとフランス、イギリスとアメリカ、インドと日本などの地域に目を配りながら、そのうねりを作り出したさまざまな要素に改めて光を当て、近代から現代への移行期における、自由の意味についての哲学的探究を俯瞰する。
目次
- はじめに 伊藤邦武/第1章 理性と自由 伊藤邦武/1 はじめに/自由の二つの意味/一九世紀の自由論/第三の自由論/2 理性のロマン主義/ロマン主義とは何か/ロマン主義と自然主義/ヘーゲルの歴史観/そのロマン主義的性格/3 進化と淘汰/ダーウィンの進化論/経済学の思想/4 第三の道/決定論的自然観の否定/自己形成という自由/この思想の世界的拡がり/第2章 ドイツの国家意識 中川明才/1 フランス革命とナポレオン/自由の哲学とドイツ・ロマン主義/『アテネーウム』から東洋学へ/ナポレオンと哲学/ヘーゲルとフィヒテ/2 カントとフランス革命/革命の拒絶/根源的契約と共和制/3 フィヒテの政治哲学/カント批判と革命権/理性による感性の統御/自我の解放へ/自由な存在者同士の相互承認/道徳性の原理/第3章 西洋批判の哲学 竹内綱史/1 西洋哲学の転回点/哲学のアイデンティティ・クライシス/この世は生きるに値するのか/西洋批判の哲学──ショーペンハウアーとニーチェ/2 ショーペンハウアー/「世界は私の表象である」/身体と意志/同情(共苦)の倫理学/意志の否定/3 ニーチェ/「神は死んだ」/同情(共苦)道徳批判/永遠回帰/一つのエピソード──日本とのつながり/第4章 マルクスの資本主義批判 佐々木隆治/1 マルクスと「マルクス主義」/近代の解放思想としての共産主義/ヘーゲルの歴史哲学とマルクスの唯物史観/近代化イデオロギーとしての「マルクス主義」/2 哲学批判/エンゲルスによる「哲学」化/青年ヘーゲル派とマルクス/「新しい唯物論」へ/批判的思考としての「哲学」/3 経済学批判/経済的形態規定の支配/「マルクス経済学」/物質代謝論と晩期マルクスの思想
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紙の本
細分化されていく哲学
2023/01/24 13:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
「十九世紀前半には最も正統的な哲学的理解とされていた、カントの数学に関する説明が、根底から覆された」というのは象徴的であろう。理性と自由、西洋批判、マルクス主義など今日に連なる意識が生じるのとともに細分化され哲学内部でも共通言語が失われていくかのようでもある。
紙の本
知の根源はここにある。世界の知的営為を俯瞰するはじめての哲学全史シリーズ
2020/09/12 04:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「世界哲学史」の刊行は筑摩書房の創業80周年を記念した事業として2020年1月に始まった。人類の「考える」営みを、視点を新たに辿り直す。柔軟で広い取組みが活き活きとした入門書に結実している。第7巻は主に近代の自由を取り扱っている。パンデミックで自由が制限される時代だからこそ、自由の哲学を紐解こうという機運が高まっているのかもしれない。伊藤邦武の「理性と自由」な、「ダーウィンの進化論」の解説が分かりやすい。竹内綱史の「西洋批判の哲学」では、日本におけるショーペンハウアー研究の第一人者である姉崎正治を紹介。