- 販売開始日: 2020/09/25
- 出版社: 白水社
- ISBN:978-4-560-09748-9
アウステルリッツ
著者 W・G・ゼーバルト(著) , 鈴木仁子(訳)
ウェールズの建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり...
アウステルリッツ
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商品説明
ウェールズの建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり、本書の語り手である〈私〉にむかって、博識を開陳する。それは近代における暴力と権力の歴史とも重なり合っていく。
歴史との対峙は、まぎれもなくアウステルリッツ自身の身にも起こっていた。彼は自分でもしかとわからない理由から、どこにいても、だれといても心の安らぎを得られなかった。彼も実は、戦禍により幼くして名前と故郷と言語を喪失した存在なのだ。自らの過去を探す旅を続けるアウステルリッツ。建物や風景を目にした瞬間に、フラッシュバックのようによみがえる、封印され、忘却された記憶……それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった……。
多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。全米批評家協会賞、ハイネ賞、ブレーメン文学賞など多数受賞、「二十世紀が遺した最後の偉大な作家」による最高傑作。
多和田葉子氏の解説「異言語のメランコリー」を巻末に収録。
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アウステルリッツ
2021/01/22 16:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヨーロッパ各地の建築物を研究するイギリス人アウステルリッツが「私」に自らの出自や過去について語るというストーリー。
イギリス人の牧師の家庭に育ったアウステルリッツは、実はチェコのユダヤ人の家庭に生まれ、ナチス・ドイツの勃興と進軍を機に、子どもだけでイギリスに送られたのである。後にアウステルリッツはチェコを訪れ、父母はどうなったのかを調べ、子守をしてくれていた女性と再会する。このアウステルリッツがチェコ語を自然と理解するシーンはとても感動的なシーンだった。しかしユダヤ人迫害から逃れる為にフランスへと逃れた父、連行された母の行方はわからず、各地を調べ歩く。
こうした一連の出来事をアウステルリッツは「私」に語るが、その文章は正直言って読みにくいという人もいるかもしれない。しかし、父母について調べる中で、なんども触れられる「管理」についてのドイツ人の几帳面さ、それにも拘らず分からない父母の行方、圧倒的に迫る「絶滅」の痕跡、そうした出来事を語る上で、構成された分かりやすい言葉のほうが不自然だろう。この小説は整理された文章としてではなく、あくまで「私」に「語られた事」として書かれているのだから。