紙の本
絵空事でない危機感
2021/03/02 19:34
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
異常気象はもう既に皆が体験していること。
その先に、水没する場所や干からびる場所があると解っていても、声を上げること無く今を生きている。
全世界に目を拡げると、一日も早くこの問題に目を向けていかなくては将来の子供たちの時代はどうなるのかと心配してしまう。
グレタさんが声を大にして主張する危機感をこの本を読んでより理解できた。
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bukurogの作品紹介
知られざる「最悪の未来」を明らかに。話題騒然の警告の書。
気候の変化は認識されているよりずっと速く進み、ずっと長く続きます。二酸化炭素の排出を続ければ、今世紀末までに気温は4℃以上あがると予測されており、そうなると下記のことが起こります。
・地球規模の食料危機が毎年発生する。
・酷暑関連の死者が全体の9パーセント以上を占める。
・複数の気象災害が1か所で同時発生することが増え、損害は世界全体で600兆ドルに達する。
・紛争や戦争が倍増する。
温暖化がもたらすものは海水面の上昇だけではありません。殺人熱波、飢餓、洪水、山火事、水不足、大気汚染、パンデミック、経済破綻、気候戦争などさまざまな脅威が複雑に絡みあい、壊滅的な状況へと進んでいくのです。
本書で描かれるのは、温暖化が進む世界がどうなっていくかの未来図です。人々の生活や、社会、政治、経済の変化がリアルにあぶり出され、「最悪の未来」が訪れたらどうなるのか実感できるでしょう。
戦慄の未来を回避するために残された時間はわずかです。著者は警鐘を鳴らすとともに、エネルギーおよび輸送システム、農業・工業などの面から、大転換を遂げるために何をすべきかを提言、より良い未来へと希望をつなげます。
◆各氏絶賛!
福岡伸一氏「洪水、山火事、猛暑、海面上昇……すべては連鎖している。今、手を打たなければ最悪の未来を迎える。全世界必読の書」
坂本龍一氏「これは未来の話ではない、今、ここにある危機だ。人類はこれを乗り越えることができるのか。終末を迎えるのか。どこに希望はあるのか」
中川翔子氏「わたしたちが当たり前に過ごしてきた日々は、奇跡であり、尊い。人類滅亡の可能性から生き延びるための生存戦略がここにある」
水野和夫氏「現在の資本主義をとるべきか、未来に向けて気候変動の回避をとるべきか、それが21世紀の問題だ」
荻上チキ氏「「地球温暖化」ではなく「気候危機」の時代。グレタ・トゥンベリは「私ではなく科学者の話を聞け」と叫んだ。今何が起きているのか。豊富なデータを通じて、サイエンスの声を届ける力作」
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期待して読んだが総花的に多くの情報が雑多に紹介され問題点がフォーカスされていない。欧米人独特の修辞的表現が多く読みづらい。二千円もしたので我慢して最後まで流し読みしたが得るものなし。
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気候変動の影響を多岐にわたってデータを駆使して教えてくれる。SDGsウォッシュに気をつけているが、まさかマイクロプラスティックも目眩しに使われるなどと!
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多くの研究データや論文などを引用して、気候変動によるさまざまな影響についてこれでもかと述べられている。かなり説得力があり、これを読んでもなお危機感を感じない人はいるのだろうか。
とにかくこれからの10年(2020年→2030年)で、温暖化が急激に進むか、緩やかに進み1.5℃以下の気温上昇に抑えられるかで、その後の行く末が大きく変わることは間違いないと感じた。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動や日常生活が縮小した結果、世界的にCO2排出が抑えられているのは、人類にとっては脅威となる今回の事態も、地球にとっては良かったと思うことにしようか…。
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地球温暖化による変化について多方面から述べている。
2100年に上海は海の中。
平均気温は13度が最適。
2040年には1.5度上昇。
レジ袋を断るのはプラスチックを利用しないという行動ではなく、プラスチックを使うことを拒否するという思想の表現。
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私たちにとって自然は、自らを投影し、観察する鏡だった。では倫理面はどうなのか。地球温暖化からは何も学べない。なぜなら教訓を考察する時間も距離もないからだ。私たちは温暖化を話として語るだけでなく、そのまっただなかを生きている。あえて言うなら、それは途方もない脅威だということ。どれぐらい途方もないか。2018年、ドリュー・シンデルらが専門系ネイチャー・クライメート・チェンジに発表した研究は、温暖化が1.5℃か2℃かで、被害がどう変わるか計算している。それによると、わずか0.5℃のちがいで、大気汚染による死者が1億5000万人以上増えるという。同じ年、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した試算では、その数は数億人に増えた。
数が大きすぎてピンとこないが、1億5000万人というとホロコースト25回に相当する。毛沢東が推進した大躍進政策は戦争以外で最大の死者を出したが、その数のさらに3倍以上だ。歴史上最も多くの犠牲者を生んだ第二次世界大戦と比較しても、2倍以上である。(pp.39-40)
食糧生産に関しては、暑さより旱魃のほうが重大かもしれない。世界の耕作可能地帯で、いま急速に砂漠化が進んでいる。気温が2℃上昇すると、地中海地域とインドの大半は窮地に陥る。世界のトウモロコシ栽培が打撃を受け、食糧供給が逼迫する。2.5℃だと世界的な食糧不足が起きて、必要なカロリーをまかなえなくなる。3℃になると中央アメリカ、パキスタン、アメリカ西部、オーストラリアにまで旱魃が広がる。そして5℃ともなると、環境保護活動家マーク・ライナスの言葉を借りれば「2本の旱魃ベルト地帯が地球をぐるりと一周する」のだ。(p.71)
発展途上国の98パーセントは、WHOが定めた大気の安全基準を下回っている。都市部を離れても状況は変わらない。世界の人口の95パーセントは、危険なレベルにまで汚染された空気の中で毎日呼吸しているのだ。2013年以降、中国は大気浄化作戦に本格的に乗りだしているが、2015年時点ではやはり大気汚染で毎年100万人以上の死者が出ている。世界全体では、死者6人のうちひとりは大気汚染が原因で死亡している計算になる。(p.124)
近代以前は人の移動がほとんどなく、それが病気の大流行を防いでいた。ひとつの町や国、最悪の場合はひとつの大陸全体を荒らしまわったとしても、それより先には広がらない。14世紀の黒死病の大流行はヨーロッパの人口の6割を死亡させたが、もしこれが現代に起きていたらと思うとぞっとする。
いまの世界はグローバル化が進み、人間の移動や接触が広範囲になったとはいえ、生態系はおおむね安定しており、それがもうひとつの防護壁になっている。新しい環境に伝播しても、そこでは生きられない病原菌もいるのだ。だから未開の自然を訪ねるツアーではm道の病原菌との接触に備えてワクチン接種や予防注射を山ほど受けさせられる。ニューヨークからロンドンに行くだけなら、その必要はない。
だが地球温暖化で生態系がひっかきまわされると、病原菌は防護壁をやすやすと乗りこえる。蚊が媒介する感染症は、いまはまだ熱帯地域に限定されている。しかし温暖化のせいで、熱帯域は10年に50キロメートル弱の��いで拡大している。(pp.131-132)
気候変動によって景気が急降下し、経済力が半減しても、なすすべはない。ニューディールもマーシャル・プランも用意されていないのだ。永遠に続く低空飛行が当たり前の状態になり、たまに小数点いくつかの程度で成長すれば、繁栄を喜ぶことになる。経済の歴史を振りかえれば、逸脱や後退はかならずあったものの、そのあとかならず景気は回復してきた。大恐慌しかり、グレート・リセッションしかり。だが気候変動が要因の場合、もう立ちなおりは期待できない。経済はゆっくりと死に向かっていく。(p.142)
2018年、IPCCは強い警告をこめた報告書を発表した。気温上昇が1.5℃ではなく2℃だった場合、死の熱波にさらされ、水不足や洪水に苦しむ人の数が数千万単位で増えるという内容だ。報告の下敷きになった研究は新しいものではないし、気温上昇が2℃を越えた場合の予測も入っていない。恐ろしい未来図は描いていないにもかかわらず、この報告は世界の研究者に対して、「よし、もう遠慮なく騒いでいいぞ」と許可を与える役割を果たした。(p.182)
再生可能エネルギーのコストは25年前より劇的に下がっており、もはや同じ物差しで比較するのも難しい(たとえば太陽エネルギーのコストは、2009年とくらべても80パーセント以上減少している)。それなのに再生可能エネルギーが全体の使用量に占める割合は、1ミリも増えていない。太陽は化石燃料を侵食するどころか、陰ながら後押ししているのだ。市場はそれを成長と呼ぶのかもしれないが、人類にとっては自殺行為にふさわしい。石炭の消費量は、2000年以降80パーセントも増えている。(p.205)
きれいに円を描いて出発点に戻る近代以前の循環史観は、すべてが混沌とする気候変動の時代にはもう当てはまらないだろう。目的論はすべてを統一する上位理論の地位から陥落し、檻から出された獣がいっせいに逃げ出すように、矛盾する物語が飛びかいはじめる。平均気温が4~5℃上昇しようなら、難民が大量発生し、戦乱と旱魃と飢饉が頻発し、せかいの大部分で経済成長が止まる。その状態はまぎれもない逆行であり、進歩の過程でもなければ、循環の一段階でもないだろう。(p.232)
2019年には台風15号と19号が千葉県内に大規模停電をはじめとする損害をあたえ、19号は東日本各地に浸水をもたらして大きな被害がありました。15号と19号のあいだにグレタさんの気候行動サミットが報道され、さらに就任著効後の小泉環境大臣の発言が注目を浴びたこともあり、19号に関する報道では気候変動についての言及が増えました。その結果、パリ協定や、日本の石炭火力への批判などが、防災の文脈を超えて、日本の異常気象による災害と関連して理解されるようになってきたのが大きな変化だったと思います。(p.280)
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https://www.silkroadin.com/2020/06/blog-post_26.html
わたしたちが暮らす地球という惑星はひとつしかありません。
取り換えが効かないこの星に住めなくなる日がやってきます。
その一方で、地球に住めなくなったら宇宙船で暮らせばいい、「テクノロジーがすべてを解決してくれる」と言う主張もあるようです。
わたしたちは本当にそれで良いのでしょうか。
いつの日分からない遠い未来ではなく、あと数十年の間に多くの場所で多くの人が死に、住める場所は限られ、人類は絶滅すると言います。
この事態を防ぐことが出来るのもわたしたち自身であると本書を通じて改めて実感します。
淡々と語られる気候変動についての現状と未来。
熱波、飢餓、都市の水没、山火事、水不足、大気汚染など、いまの地球が抱える多くの問題。
わたしたちにも出来る取り組みの一つとして以下を引用します。
たとえば、コンビニでレジ袋を断ることができます。これはレジ袋1枚分のCO2を削減したいからだとすればとても効率が悪いことです。しかし、これを「私はプラスチックを大量消費する社会システムが好きではありません」と伝えるメッセージのひとつだと思うと、そのような人が多くなればコンビニ側に意識や取り組みが変わるかもしれません。(引用、地球に住めなくなる日 気候崩壊の避けられない真実/デイビット・ウォレス・ウェルズー解説/国立環境研究所地球環境研究センター副センター長/江守 正多)
このような小さな行動も意思表明となり、大きな結果を動かすことに繋がっているのだと言います。
わたしたちにも出来ることがある。
わたしたちが暮らす地球に関心を持つことは良い始まりです。
地球に住めなくなる日 気候崩壊の避けられない真実/デイヴィット・ウォレス・ウェルズ
是非ご覧下さい。
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大袈裟に思えるタイトルさえ、この本を読み終える頃には現実的に感じてしまいます。気候崩壊が及ぼすありとあらゆる影響が書かれた1冊です。中学生の頃、社会の先生が「人間は地球にとってのガン細胞」と言っていた事を思い出しました。未来のために今すぐ行動すべきだと思います。
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現状の二酸化炭素の排出ペースが続けば、今世紀末までに平均気温が4℃上昇するという予測もある、現在のグローバルな問題である「地球温暖化」について語られた一冊。気温上昇による気候変動が地球にもたらすさまざまな脅威・影響(気温が上昇することでサンゴ礁が消滅し海洋生物が少なくなったり、気候変動により人間の体内の常在菌が病原体に変身する可能性もある等)が分析されているが、そのどれもが地球や人類に致命的なダメージを与えることになるようだ。今一度二酸化炭素排出問題について考えさせられる作品だった。
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この本が出版されたのが今年の三月。
その一月前から日本ではコロナが深刻化してきていました。今のこの状況を踏まえつつ読むとまた一段と震撼します。
毎年のように世界では大規模山火事がおき、日本でも既に今年も起きてしまいましたが「50年に一度」といわれる規模の大雨とそれに伴って河川の氾濫や大規模土砂崩れが毎年のようにおきるようになりました。
これだけ治水技術や防災意識が高まってもあれほどの災害が頻発するのは、予見が足りなかったとか、誰かの何等かの人為的責任ということでは諮れないのではないかとこのところ思っていましたが、本書を読むとやはりこれは異常気象のなせることなんではと自分には思えてなりません。
あきらかに気象状況がおかしいと思います。
ここ数年スーパーに並ぶ魚で10年前にはこの辺りで獲れるとは考えられなかったものが、この辺りで獲れた「天然物」としてよく並ぶようになったのを見て「海流が相当変わってる。温かい海水域が北上している」と感じています。
その魚が好きなので、頻繁に食べられるようになって喜んでましたが(苦笑)喜んでるバヤイではなかったんだと反省。
自分もそうですが、まだまだ気候崩壊に対する危機感が世の中に浸透してないと感じます。
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IPCCは議論の余地がない大人しめの研究結果のみを採用しているという考え方の著者による、温暖化の恐怖を煽る本。
不安を煽りまくっているが、根拠がわからない部分が多い。とりあえず参考文献をいくつか見てみたいと思う。
例えば1600年前は、平均気温が5〜8度高く、海面水位は40m高かった、ということは初めて聞いた
熱波で死ぬとあるが、今まで寒冷地だったところが暖かくなる側面もあるはず。
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地球温暖化について科学的なデータを用いて、多角的に未来はこうなるかもよって淡々と論じていきます。
この本を通して、環境活動家のグレタさんが世界の人たちに何を伝えたいか少しわかった気がします。
多くの日本人に読んで欲しい一冊です。
石油販売に携わるものとして複雑な気持ちになりました。
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温暖化の影響を、遠い未来に起こる話ではなく、今まさに起きている話として、定量的にも定性的にも豊富なデータをもって、紹介している。
読後は、気候崩壊うつに陥る。
明確な解決策は本書には書いていない。
政治の力が大事なことは分かるが、その政治をどちらに持っていったらよいのか。
悩ましい。
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現実になりつつある気候崩壊の人間社会への影響。
不確実性を考慮しても排除しきれない気候崩壊の予測がどのようなものか、理解することができる。
その上で、この問題解決に取り組むことがなぜ難しいか、積極的な肯定派・懐疑派ではない、素朴な疑問として掘り下げる考察が興味深い。
避けがたい気候崩壊、この進展につれて起こりうる社会の変容、運動の様相は説得力があり、虚脱感を感じるが、巻末の解説にあるレバレッジを効かせた取組が今必要と痛感する。