紙の本
16世紀ヴェネツィアへの心の旅
2021/01/18 13:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
16世紀のヴェネツィアを舞台にした歴史小説。当時の大国トルコとスペインの狭間で、ヴェネツィア外交の一翼を担う若い外交官の主人公になりきり、物語の中に這入り込む。陰謀の中で、若ゆえに見えないものがあるものかもしれない。ルネサンス期のヴェネツィアに想いを馳せるのは楽しい。
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小説イタリア・ルネサンス1〈ブェネツィア〉(新潮文庫)
著作者:塩野七生
発行者:新潮社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
歴史ミステリー小説 新作を加えて復活。
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16世紀、近隣のオスマン帝国、イスパニア王国、神聖ローマ帝国の脅威に晒されるヴェネツィアを守る為に外交に奔走する主人公ダンドロの愛と陰謀が織りなす物語にのめり込み、1巻読了する度に続編の発売が待ち遠しい程でした。
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2021/01/13塩野七生 イタリア・ルネサンス1「ヴェネチア」
塩野七生氏の中世イタリアの歴史小説
20年2月一度イタリア旅行しただけでもヴェネチアの物語を身近に感じ楽しめる
旅行の意義を再認識 イタリア旅行は本当に良かった!
本書はヴェネチアという都市国家の歴史を物語にした
塩野先生は歴史を紡ぐ天才だが、小説で人間を描くのはチョット
男のロマンが歴史を作っていくが、その男を自在に操る女が彩り
本編の主人公は「アルヴィーゼ」 元首の庶子と愛人
庶子ゆえにハンガリー国王の座を目指し最後は挫折する
嫡子と庶子 どちらが幸せなのか それが小説のテーマにもなる
そして個人個人の思惑が国家の運命を動かすエネルギーとなる
塩野七生先生の言う「歴史の面白さ」
2021/01/19塩野七生イタリア・ルネサンス
①ヴェネツィア②フィレンツェ③ローマ④ヴェネツィア
1571年10月07日レパントの海戦に至る16世紀ヴェネツィア興隆史
サイズは小さいヴェネツィアもローマ法王、スペインに次ぐ地位を確保していた
東にトルコと争いつつ、長く「地中海の覇権」を保持した「国家経営の秘訣」が
塩野七生氏の造詣を踏まえつつ、司馬遼太郎的歴史小説として書き下ろされた
「国家リーダー」候補を見いだし、育成する
ヴェネツィアはそこに国家の命運の鍵を見出し、莫大なエネルギーを投入した
そのかいがあって、ヴェネツィアは長期の命を保持することが出来た
作者塩野七生氏はその歴史の教えを、現代の日本に伝えたいとの使命感を感じる本書
国家・国民に殉じる覚悟のエリート・リーダーなき組織は滅ぶしかない
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塩野先生といえば「ローマ人の物語」「海の都の物語」ほか、イタリアの歴史物語で数々の名作を残してきましたが、今回のシリーズは小説。
16世紀のヴェネツィア共和国で、名家タンドロ家の当主である外交官マルコと、元首の庶子アルヴィーゼ、出自の違う幼なじみの二人を巡る物語。
詳しい話はぜひ「海の都の物語」を読んでいただきたいですが、中世のヴェネツィアは西にカトリックのスペイン(ハプスブルク家)、東にイスラムのトルコと異なる大国に挟まれた中、人口も国土も小さい中で海洋国家として軍事力・交易、そして統治機構と外交力、いわゆるインテリジェンスを強みに、巧みに独立を保ってきました。
元首の息子ながら、ギリシア人女性との間に生まれ庶子であるという複雑なルーツを持つアルヴィーゼ。ヴェネツィア側なのか、トルコ側なのか分からない彼の動きに翻弄されつつも、インテリジェンスを駆使して国家を守るヴェネツィアの苦闘を、マルコの視点から描いています。
外交とは武器を交わさない戦い、という文章のとおり、武器での戦いはほぼ描かれませんが、ドキドキハラハラさせられ、二人を取り巻く女性たちの愛と悲しみに切なくなります。
<印象に残った文章>
・外交も、武器を交わさない戦いではないか。(略)たとえそれが、いかに不名誉な手段に訴えてまで駆使して闘われるものであっても、戦いは戦いなのであった。
・深く考えると、かえって道をまちがうことになる。ここは、与えられた合図を受けて、それに素直に応えたほうが適策ではないのか。
・眠りが覚めれば、良かろうと悪かろうと、事態はなにか変わっているに違いない。
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舞台は16世紀のヴェネツィア。若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとトルコとの外交戦線の最前線に立たされる事となる。
CDXという国家最高機密組織の一員として旧友であるアルヴィーゼとの再会から話が始まっていく。
物語は、最初にヴェネツィアの聖マルコの鐘楼から警察官が飛び降りるところから始まる。その事件の裏に隠されたスペイン王室が企んでいたマルコの愛人のオリンピアによるスパイ行為。また、アルヴィーゼ側のトルコ宮廷の軍人としての行動と末路。
事実を織り交ぜつつ、小説仕立てにする塩野七生先生らしい本になっている。
また、最後にマルコが次の都市に旅立っているのでオリンピアとの恋の行方も気になるところ。
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ベネティアの歴史の話かと思ったら、そうではなくて、元首(ドーチェ)の息子がとその親友のマルコの話であった。 トルコ帝国の中で元首の息子のアルヴィーゼの活躍が中心に動く。なかなかストーリとしては良かった。かつ、その時代の歴史がわかるので、良かった。次は?
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元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。舞台はヴェネツィア。カルロス1人が統治するスペイン・神聖ローマ帝国。アジアの大国オスマントルコ。海軍強国とはいえイタリアの1都市国家に過ぎない国。選択できる手段、は微妙で繊細なものにならざるを得ない。支えたのは国を思う心と知恵。その渦の中起きる悲劇。小説であるが故の架空の人物、史実と異なる描写。しかし、この時代とこの国のリアルは伝わってくる。バブル崩壊直後、まだ余力が十分があった日本。しかし、ここに描かれているような教訓は生かすことができなかった。
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今年最初の一冊
ヴェネツィア共和国の衰退とそこで生きた外交官マルコの恋愛の物語
まさに愛と陰謀が渦巻くルネサンス時代を描いた物語
塩野七生が説く「国家は必ず衰退する。それが一千年余続いた国であろうとも」
たった二百年も経っていない日本国の政体が変わろうと、まったく不思議はない
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西洋の歴史物はなかなか手が出せずにいたが、これはとても面白く大変読みやすかった。ヴェネツィア共和国の政治的な背景があったけれど人間模様を重点的に描いた小説だからこそぐっと入り込めたし、女性は怖いなとも。出自や身分での悲哀も織り混ぜて飽きることなく読了できたように思う。この調子で続編に挑めそう。弾みがつきそうな一冊でした。
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ローマ人の物語以来、ひさしぶりに塩野先生の本を開きました。地中海世界を舞台に、ヴェネツィア、トルコを舞台に絢爛豪華な政治、友情、恋愛が繰り広げられます。美しい情景描写の中に人間の弱さや欲望が見事に描かれており、最後まで一気に読めます。コンスタンティノーブルの陥落や、レパントの海戦などに連なるお話としても楽しめます。
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史実を絡めつつの小説。若干サスペンス仕立ての部分もあり。歴史あり、外交あり、ロマンスあり。豪華。
この世界観が癖になる。
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ヴェネツィアの一人の外交官の人生を通して、ルネサンス世界を覗くとても面白い小説です。
緋色のヴェネツィアから銀色のフィレンツェ、黄金のローマへと刻々と舞台は移り、次々と事件が起こる歴史に基づく人間ドラマです。
描かれたcolorにちょっと注目してみると更に面白いです。
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読み終えた後、少しのあいだ、何もできず放心状態になってしまった。
人は"社会"の中に生きる事を選んだ種である。
良い意味でも悪い意味でも、1人では生きていけないのだ。
為政者も貴族も平民も奴隷も、キリスト教徒もイスラム教徒も、男も女も、必ず他者と社会と関わって人生を務めなければならない。
これは紛れもなく、愛の物語である。
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宝塚歌劇雪組「ヴェネチアの紋章」観賞後、原作本があることを知り(逆でしょうが)シリーズ4冊読みました。小説としては作者の声(と思う、ではないだろうか、〜の例は思い出せない、等)が多く最初は少し混乱したものの、実在の人物と架空の物語の絡め方が大変に巧く、昔世界史の授業で見てきたように歴史上の人々を親しみやすく語ってくれる先生がいらしたのを思い出しつつとても楽しく読めた。これでフィクション混じりの歴史を学び、他の小説でない資料本に触れて「どれが事実でどれがフィクションなのか」を頭のなかで選り分けて「私の見たこの頃のヴェネチア」を作っていくのがとても楽しい。他の著作、特にカサノヴァのいた18世紀頃のヴェネチアについてもきっと何か書いていらっしゃると思うので是非探して読みたい。