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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日:2020/10/01
  • 出版社: 早川書房
  • ISBN:978-4-15-209970-9

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誓願

著者 マーガレット・アトウッド,鴻巣 友季子

『侍女の物語』から十数年。ギレアデの体制には綻びが見えはじめていた。政治を操る立場にまでのぼり詰めたリディア小母、司令官の家で育ったアグネス、カナダの娘デイジーの3人は、...

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誓願

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商品説明

『侍女の物語』から十数年。ギレアデの体制には綻びが見えはじめていた。政治を操る立場にまでのぼり詰めたリディア小母、司令官の家で育ったアグネス、カナダの娘デイジーの3人は、国の激動を前に何を語るのか。カナダの巨匠による名作の、35年越しの続篇。

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評価内訳

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紙の本

「侍女の物語」+「誓願」

2021/04/29 15:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る

前大統領トランプの反女性的発言により再び注目された「侍女の物語」の続編が35年ぶりに続編が出版されるというので、まず旧著「侍女」を読み、続けてこの「誓願」を読んだ。
「ディストピア小説」は近未来を舞台とするので、SF小説でもある。したがって、現実味のある近未来の政治・社会・科学がどのように描かれるのか興味がある。科学は執筆時の水準を前提に考えられるので、現在の視点からすると、「的外れ」な描写が多いことは否定できない。「ディストピア小説」草分けである「すばらしい新世界」や「1984年」では、当時としては斬新な現実味のあった未来社会が描かれていた。しかしアットウッド女史は、そのような科学の進歩に拘泥していない。「電話」は、本書の主人公の一人であり、「侍女」では教育係で登場したが、「誓願」では女性社会の支配者となったリディア小母と男性社会のトップ・ジャッド司令官とのホットラインが登場するのみ(音声通話のみ)。また、日常社会でも携帯端末のような機器はない。当然ながら子供の出生率を向上させる技術などはない。
「誓願」で描かれたギレアデ共和国は、端的に言うと、男性と女性のそれぞれの社会が厳格に区分され、女性は出産、育児、家庭などで男性を支えることしか求められないが、リディア小母を筆頭に、何人かの小母によって自主管理されている社会である。ディストピア小説で政治社会制度の描写はナチスをモデルにした「管理社会」として描かれることが多いが、ギレアデ共和国政治・社会制度は、ナチス期の女性社会の構造(「ナチス機関誌「女性展望」を読む:女性表象、日常生活、戦時動員」桑原ヒサ子、青弓社、2020)と非常に似ている。例えば、ナチス女性の義務とされた3K、「教会・台所・子供」は、「信仰・家庭・出産」と同じ。また、女性の社会的領域は「生存圏」として自立性が認められ、全国女性指導者ゲルトルート・ショルツ=クリンクがリーダーであったが、この構造もリディア小母らによる支配構造に似ている。
「侍女」では、「誓願」の主人公となる姉妹の母親の視点から描かれるが、かなり暗鬱な内容で、出口の見えない結末であった。これに対し「誓願」は、まったく性格が異なるアクション・サスペンス・エンターテインメント小説。逃亡「侍女」の娘で、実はギレアデ共和国イデオロギーのイコンとされている「幼子ニコル」であるディジーが、抵抗勢力に加わり、「軍事訓練」を受け、自らの人格を踏みにじられ復讐に燃えるリディア小母の支援を受け、ギレアデ共和国崩壊作戦のために潜入し、姉アグネスと決死の脱出を企てるのである。著者が本書は前作の「続編」ではない、と言ったのも頷ける。
「誓願」では、反体制に転じた前社会出身者リディア小母、ギレアデ共和国に矛盾を感じつつも体制順応するアグネス、そしてアウトサイダーのディジーの三人の奇妙な関係が男性中心の社会を崩壊させる「シスターフッド」の勝利を描く物語とみるのが普通だろう。しかしアットウッド女史が大切にしたかったのは、別のところにあるように思う。それは本書の最後でふれられる生き延びた姉妹が建立した彫像の銘文にある。そこでは、「ベッカ、イモーテル小母の愛しき思い出に」と刻まれている。このベッカ:イモーテル小母は、アグネスの親友であり、姉妹の脱出を命を賭して助けた女性。原文ではImmortelle、フランス語で「不死」を意味する形容詞である(ミラン・クンデラ『不滅』L'Immortalite)。主人公の影に隠れた存在であったが、著者がこのような崇高な名前としたのは、彼女の献身的行動が二作を通して最も重要と考えていたからではないだろうか。

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2021/05/28 12:03

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2021/02/10 17:06

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2021/01/25 00:20

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