パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―（新潮新書）

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弁護士が解説するパワハラ防止法だが、どうしても守りに入らなきゃいけない感じがしてしまう。
著者が体験した事例や、巻末の判例などは参考になるが、やはり不安が残る。

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#パワハラ問題
★★★☆☆

2020年にパワハラ防止法が施行され、事業者が対応措置を取ることが義務付けられた。2022年には、中小企業にまで適応が拡大するという。
昨今、メンタルヘルスへの社会的な注目度も高い。

本書は一貫して、事業者側の視点で描かれているため、わたしが知りたかった被害者側の対抗策はイマイチ判然としなかった。また、
■ パワハラ防止法上の定義
■ 裁判で有罪となるパワハラの線引き
■ 社内でのパワハラ認定
の3者が少しずつズレているようだが、それぞれ何がどう違うのか、門外漢には十分に理解ができなかったのは残念ポイント。

職場で起こった侵害行為に対し、被害者は声を上げづらい。そのため、暴力行為を抑止する仕組みづくりが必要なのだそうだ。社員のモラール低下、ブランドの毀損などビジネス上のマイナス面も大きい。
パワハラ行為は、暴行罪、傷害罪、名誉毀損罪、脅迫罪などの刑事責任を問われるリスクも有る。なお、パワハラ防止法の罰則は、虚偽報告者への過料のみ。社名の公表は罰則と言うよりも社会的制裁と言える。

パワハラ防止法におけるパワハラ３要件は以下の通り。
①優越的地位の利用
②業務上必要な範囲の超越
③労働者の就業環境が害される（苦痛を与える）

グレーゾーンが存在するのは、②や③の「平均的な労働者」の概念があいまいなため。どんなパワハラ研修でも、一番初めに言われるのは部下と良好な人間関係、コミュニケーションが必要だと教わるという。

パワハラはセクハラと違い、「業務上必要な範囲を超えた」という制約が入る。そのため、「部下が辛いと思えばなんでもかんでもパワハラになってしまう」わけではない。
一方のセクハラは、被害者側が不快に感じてしまえばセクハラということになってしまう。ただし、「もう怖くて女性に話しかけられない」というのも違う。セクハラと認定されてしまうことと、その行為がどれほどの責任を伴うかはまた別の話だ。たとえ本人が気分を害し「セクハラだ」と訴えられたとしても、「平均的な人」がセクハラと感じないレベルの行為であれば、実質的な責任を負うことはないので心配しすぎる必要はない。

パワハラ行為の6類型。
①身体的な攻撃
②精神的な攻撃（大声で怒鳴るはNG）
③人間関係からの切り離し
④過大な要求
⑤過小な要求
⑥個の侵害

企業は予防目的で、より広い概念としてパワハラを定義づけたほうが良い。事業者がまず真っ先に手を付けるべきことは「就業規則」をきちんと定めること。相談窓口の設置は、都道府県の労働局や労働基準監督署にある労働相談窓口を周知することで代替できる場合もあるそうだ。

ハラスメント相談時の三大禁句。
①あなたにも悪いことがあるのでは？
②それくらいみんな我慢しています
③なぜやめてくださいと言わなかったのか？

マタニティハラスメント、カスタマーハラスメント、レイシャルハラスメント、などなどハラスメントの種類は数多く存在する。欧州では日本でいうところの「パワー」に相当する限定はかからず、「外部的ハラスメント」一般としてより広く定義されているそうだ。ただ、法律上の措置義務がなかったとしても、事業者には雇用者を守る責任があるという「安全配慮義務」が存在する。

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会社規定にあるパワハラや一般的に認識されているパワハラは、裁判所で認定されているよりとても広い概念だそうだ。そのため、社会でアウトでも裁判ではセーフだったり、被害者側の精神的金銭的負担が大きいこともあり、泣き寝入りせざるを得ないケースが後をたたないそうだ。無自覚で加害者になってしまわないための知識、冤罪を防ぐための徹底した調査、そして何よりも、被害者が報われる制度が早急に必要だと感じた。

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ウィズコロナ時代における最新の情勢に合わせたハラスメント問題について議論された本。
印象に残ったハラスメントの種類はハラスメントハラスメントである。なんでもかんでもハラスメントということ自体がハラスメントになるということを知った。
　2020年6月施行のパワハラ防止法についてどのような法律で今後パワハラ相談や裁判、パワハラ行為者により厳しく対応されるようになる一方、この法律によるパワハラの判断基準は平均的労働者の感じ方のことで時代による定義の曖昧さやグレーゾーンというものについては考えないといけず、今後も常日頃として皆で考えなければならない問題であることを改めて実感。
　また巻末には実例判決集30選があり各事案についての判決のポイントが記載されており、こういうのを用いてディスカッションを行う材料として使えると思う。
　自身がそのような管理職の役職ではないものの、ハラスメントの話題が上がってきた際には読み返そうと思った。

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ハラスメントが細かく分類されており、また、文末に判決例30選が掲載されており、具体的なイメージがつきやすい。

企業側がどう対応していくか、という事業者目線で類型化や解説がされている。
どちらかと言うと、加害者にならない為に、何に気をつけるべきかの知識を得るための本。

個人的には、被害者側が、実際に被害を受けた際にどのように動くべきか、また悪化やエスカレートを防ぐ為に何が出来るのかをもう少し知りたかった。

冷静に、客観的になるために、時間を置いてからまた読み直したいと思う。

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パワハラはともかく、その人の人格を否定さえしなければある程度は大丈夫と思っていたが、そんなことはないんだな。でもパワハラにならなかった裁判例を見れば、やはり痴漢の冤罪とは違うなと思う。
でもそのためにはやはり、普段の言動が大事だし、メモとかでも記録が大事だな。そして指導の後のフォローもだ。
今回は借りて読んだけどこの本買いたいな。手元に置いておきたい一冊だと思う。