帝政ロシア末期の小説家トルストイによって書かれた「あらゆる小説の中でもっとも偉大な作品」と評される一冊です!
2020/05/09 09:49
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、帝政ロシア末期の小説家レフ・トルストイが著した長編小説で、「あらゆる小説の中でもっとも偉大な作品」とも評されている一冊です。光文社古典新訳文庫からは2巻シリーズで刊行されており、同書はその第1巻目です。内容は、19世紀前半のナポレオン戦争の時代が舞台になっており、アウステルリッツの戦いやボロディノの戦いを経て、モスクワを制圧するもフランス軍が退却に追い込まれたロシア遠征などの歴史的背景を精緻に描写しながら、1805年から1813年にかけてあるロシア貴族の三つの一族(ボルコンスキー公爵家、ベズーホフ伯爵家、ロストフ伯爵家)の興亡を中心に描いた作品です。ピエール・ベズーホフとナターシャの恋と新しい時代への目覚めを点描しながら綴った群像小説でもあります。ぜひ、このトルストイの代表作を読みやすい新訳で読んでみてください。
むずかしい、でもおもしろい。
2020/04/27 22:29
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆきき - この投稿者のレビュー一覧を見る
トルストイは難しい。でも、ほんとはもっと難しいことを、これでも一生懸命わかりやすくしてくれたんだと思う。しかしそれでも難しい。でもそれだからおもしろい。もっと読みたくなる。
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実はこんなに面白かったのか。戦争を描いたひたすら暗く長ったらしい小説だと思い込んでおり、今まで未読であったが、全然印象が違った。第1巻は、前半は貴族たちの財産争いの「平和」な物語から、後半は「戦争」の話といった展開。登場人物が多いので、ノートを取りながら読み進めている。続刊が楽しみ。
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ロシア文学といってもいろいろですねぇ。ドストエフスキーとくらべて全然読みやすいしわかりやすい。ただ、登場人物がやたら多くて誰が誰やら混同すること多々あり。古典新訳文庫ならではのしおりはたいへん役立ちました。
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たぶんトルストイははじめて。1805年夏、全ヨーロッパの覇権を握るべくナポレオンが活躍し始めている時代。ロシアの人々がナポレオンとの戦争に入っていくのが1巻の流れ。非常に読みやすいが、前半はロシアの貴族の登場人物とその関係図、社交のやり取りで、なかなかすらすらとは読めなかった。2巻へ。
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純粋に超おもろい。序盤はじわあげ感・じらし感があって読むの少ししんどいかもしれないけど,戦闘が始まると一気に。
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大学時代に挫折した本。今回は前提知識や副読本として、ネットで拾った登場人物のリスト、イーストプレスのまんがで読破シリーズ、そしてNHKの100分de名著(テキスト&動画)と、総動員で挑む。装備を固めて長丁場の登山に挑むかのような心持ちだ。準備は万端。
以下、1巻を読んだ時点での感想。
1巻は、最初の人物紹介や戦争を前にした社交界の描写と、戦争開始、アウステルリッツの戦いの前まで。主要な社交界の家々が描かれるが、人物紹介パートの宿命というか、ここはまぁ読んでて苦痛だった。マラソンの最初の数キロのように、アドレナリンが出ていないままだらだら走っているような気持ち。以前はここで挫折していたが、おまけの「主要登場人物紹介しおり」で何とか振り落とされずに読めた。あの『カラマーゾフの兄弟』よりも、ずっと太いしおり。
ナポレオンを崇拝し英雄を夢見る優秀な副官、アンドレイ。可能性を秘めながらちょっと冴えない男のピエール。どことなくメルヘンチックで幼さの残るニコライ。加えて、出世目当てで戦争の知らない貴族が軍隊にいる脆いロシア軍の中で、THE現場といった風格の砲兵将校、トゥーシン大尉。このあたりの人物が特徴的だった。
とりわけ分厚く描かれるのは、やはりナポレオンを崇拝しながらもナポレオンを対峙することになる、アンドレイ。友人ピエールから見れば完璧に見える反面、陸軍大将であった父の求める理想の姿を嘲りつつも父の価値観が染みついてでもいるような、危うい気高さが見える。
もちろん、それは下賤なものなどではなく、彼の気高さは戦争においても発揮され、立派に勤めを果たす勇敢な将校とも心を通わせる。
そんな彼に、今後の戦争とその他がどんな影響を与えてゆくのか。
他にも、まだまだ記述の少ない主人公格のピエールが遺産を手に入れてからどうなってゆくのか、戦争が迫るなかで華々しい貴族連中がどうなってゆくのか、戦争で恐怖を味わったニコライはどう成長してゆくのか、興味は尽きない。
まだまだ登山口に入ったばかりだが、今のところすごく面白い。ロシア屈指の文豪の大長編、存分に楽しみたい。
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トルストイを読むのは、昨年の「アンナ・カレーニナ」に次いで2作目。最初から重厚な出だしとなっている。前半はロシア貴族の社交場が舞台で、社会の背景がよくわかる。後半は、早くもナポレオンとの戦闘場面が生き生きと描写され、物語にどんどん引き込まれた。読みやすい。
「富める者が神の国に入るよりは、ラクダが針の穴を通る方が易しい(マタイ福音書19章24節)というあの言葉は、恐るべきほど正しいものです」p240
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いやー長かった。今年の1月から読み始めて約4か月、文庫本にして3000ページ超えの大長編をようやく読み終えた。実は私、恥ずかしながら本作のことを小説であると思っていなくて、思想書か批評の類だと思っていた(だって普通『戦争と平和』なんて大仰なタイトル、小説につけないでしょ?)のだが、昨年ふとしたきっかけで小説であると認識。帯にある「世界文学の最高峰」との言葉に惹かれ、いつかは読もうとずっと思っていた次第だ。(実は最後まで読むと、最初のカンは一部当たっていたことが分かったんだけど)
1805年のロシア・ペテルブルクでの華やかな社交界の描写で幕を開けた本作。第一部・第一編では大体の主要登場人物が顔をだし、一癖も二癖もある登場人物たちのやり取りが今後の展開に期待を抱かせる。第二編ではナポレオンとロシアの最初の戦い(アウステルリッツの戦い)の様子が描かれるが、やはり戦場の描写は躍動感があって面白い。ところがタイミングの悪いことに、読んでいる途中にウクライナとロシアの間で戦争が…。ロシアにとっては侵略する側とされる側で立場が異なるとはいえ、登場人物はほぼロシア側なので、彼らへの感情移入は正直難しかった。ちなみにトルストイは本作を読む限り、戦争を含めた暴力に対しては総じて批判的なようだ。
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19世紀初頭、ナポレオン率いるフランス軍との戦争を背景に、国難に立ち向かうロシアの人々を描く長編小説。
全6巻ある本訳の第1巻は、社交界を舞台に5つの家族の人物紹介が行われる第1編と、ロシア軍とフランス軍との交戦が描かれる第2編を収録。
第1編では、社交界を描いた小説ではありがちだが、とにかく登場人物の数が多くて把握するのが大変。本作では500人以上の人物が登場すると事前に聞いていたので、最初からメモを取って読んでいくと、混乱することなく楽しめた。個性的なキャラクターと興味をひく人間関係、そして井戸端会議的な会話がリアルで面白い。群像劇的でもあるが、未だ将来を決められない青年ピエールくんの棚ぼたラッキーに、なろう小説的な主人公補正を感じる。
第2編では、総司令官の副官アンドレイ公爵と見習士官ニコライを中心に、行軍と戦場における策謀が描かれる。迫りくるナポレオンの強大な軍隊が恐ろしく、退却するロシア軍とその時間稼ぎのために足止めに行くバグラチオン隊の克明な描写は緊張感にあふれている。そのなかでここでも多様な人物が登場し、その人間模様が興味を引く。「栄光を求めて戦争に参加したけど思ってたんと違う」という二人の運命は如何に。第1編では家族というミクロの世界で幸福と不幸を味わっていた彼らが、戦争というマクロの世界でどう変わっていくのか、今後も目が離せない。
お硬いタイトルで敬遠しがちな大長編である本作、意外にも大河ドラマ的で読みやすかった。地図も載っていて歴史的背景に詳しくなくても問題なし。しかしこのご時世でロシアの人々に共感できないという意見もあるようで、そんなことはないと思うがまずは論争を避けて物語に没頭したい。
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全巻読み終わりましたが、今まで読んだ小説でベストと言える作品でした。
この光文社版は、登場人物が解説されたしおりがついていて、とてもわかりやすかったです。
一方で解説には少し物足りなさを感じました。
歴史的背景が少し頭にあると、面白さが何倍も変わる作品なので、解説で触れてほしかった、と残念に思う点がありました。
一つは、ナポレオンの生い立ちについて。
彼は、コルシカ島という、フランスとイタリアの間の島の、比較的身分の低い家庭に生まれました。
コルシカは彼が生まれる直前までイタリア領だったので、ナポレオンはギリギリフランス人というところで、幼少期は方言などで苦労したようです。
フランス革命で身分制度が崩れたことにより、ナポレオンは実力を以て立身出世、ついに皇帝の地位に上り詰めました。
そのナポレオンが、生まれながらにロマノフの血統であるロシアのアレクサンドル皇帝と決戦するのが今回の物語ですが、二人の「皇帝」の出自の対比が、ナポレオンの心理に影響を与えています。
この点が解説には触れられておらず、分かりづらいのではないかと思います。
物語後半に出てくる、ナポレオンがイタリア人という記述にも注釈がついていなかったので、少し不親切と感じました。
もう一点は、サンクトペテルブルクとモスクワの対比について。
サンクトペテルブルクは、18世紀初頭にピョートル皇帝によって建設された、モスクワよりも新しい街です。
「ヨーロッパへの窓」というコンセプトで、当時文明の先行していたヨーロッパのいくつかの都市を真似て作られました。
街だけでなく、人々の振る舞いやフランス語による会話なども、ヨーロッパにならうことが洗練とされました。
一方、モスクワはロシアの伝統を象徴する都市です。
そのモスクワを目指したナポレオンのロシア戦役は、軍事的及び精神的両方の意味で、ヨーロッパの侵略からロシアを守るという戦いです。
フランス語とロシア語を取り混ぜた社交界の会話から、戦争の展開まで、ヨーロッパ的なサンクトペテルブルクと、ロシア的なモスクワという都市の対比が、より深い理解への鍵となります。
もう少しこれらの背景について解説があれば、トルストイのメッセージが伝わるのに、というところが悔やまれました。
しかし、ストーリーだけ読んでも面白い作品であることは間違いありません。
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(2023-05-10L)(2023-06-03L)(2023-06-28L)(2023-07-18L)
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第1部の第1・2編収録。
己の利益をかけた社交界での駆け引き、仏軍との戦い等、盛りだくさんの1巻でした。
個性的で身近にいそうな性格・雰囲気の登場人物ばかりで、違う時代の遠い異国が舞台なのに親しみを感じる物語です。
とにかく登場人物が多いので、登場人物リストを用意した方が読み進めやすいと思いました。
残り5巻、これから先どのようなことが起こるのかドキドキです。
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読書会課題本につき再読。またこの大作に挑む日が来るとは・・・。初読時には見えなかった点も見えてきたように思う。1ヶ月でどこまで読めるか分かりませんが、ピエール、アンドレイ、マリヤ、ナターシャ・・・よろしくお願いします。