紙の本
時代がドンピシャ
2021/01/11 09:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
同年代のカオルコさん、出てくる場面に思わず赤面。
携帯電話もパソコンも無いけど、当たり前に生きていた。
カオルコさんの「昭和の犬」などで毒親の存在は知っていたけど、高校生活があったから救われていたんだね。
イジメや仲間はずれみたいな事もあったと思うけど、かなり隙間があって、許される部分が多い時代。
最終章「桜とサンノナナ、いないといる」がイイ。
個性的な生徒が集まって、それぞれを認めて、ニュートラルな関係がいい。
私も無事還暦を迎えたが、高校の同じ教室で一緒だったあいつら、いないやつもいる。
今の自分があるのは、あの時代があったからだと思える。だからこそ、いまという今を考えたい。
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【定年後の人々のための青春小説】学級名簿をきっかけに、鮮明に甦る高校時代のこと。学校にしか居場所がなかった彼女の胸に、三十五年の時を経てこみ上げる思いとは。
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くすっと笑って
そのあとにじんわりと
懐かしさがひろがっていく。
かつて
誰もが過ごしたはずの
青春というときを振り返り
きゅっと胸が締めつけられる感じ。
「青春を過ぎるとは
ずっといると思っていた人が
いなくなったことを知らされることである」
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正月に帰省しないなら、この小説がオススメ。
小説としては「彼女は頭が悪いから」(2018/7/20文藝春秋)以来2年振りの作品。
内容は、タイトルの通り、青春とは何か、を描いたもの。
著者と同年齢に設定された主人公が、家で見つけた古い名簿をきっかけに、高校時代の出来事を思い出す。
直木賞受賞作の「昭和の犬」(2013/9/10幻冬舎)は、主に家庭内の狭い世界を描いたものでしたが、その中で高校に通う級友と言葉を交わすシーンが印象的でした。
異様な家庭内の狭い世界とは別に、普通の高校生として生きる世界もある、とわかる効果的なカットでした。
本作も、主人公の設定自体(異様な親に一人っ子)は同じなのですが、高校生活を主体に描きます。
序盤は、各章を同じ学校に通う一人一人にスポットライトを当てながら。
よく「人の良い面を見なさい。」「人の悪い面で無く」と言われますが、この小説を読むと「良い面」ではなく、ニュートラルに人を理解すれば良い。と教えられたように思います。
社会人とは違って、高校生と言うのは、往々にして、人に接して横柄だったり、ぞんざいだったり、雑で、配慮が足りないものです。と言うのは、自分が高校生だったときのことを振り返って、自分や、他の人もそうだったと記憶しているからです。とても、そのまま社会生活はできないし、非難しようと思えば、いくらでもネタがあったように思います。
しかし、高校生の時の、そんな細かなことを根に持ってあげつらう事は無用で、許し、思い出として語る事ができる成熟さが大人には求められると思います。
と、言うよりは、思い出にすることによって、若かった頃の自分や級友らと和解することが、現在を豊かに生きる工夫だと思います。
文章表現がうまくできませんが、そういうことが、なんとなくわかってもらえる人には、穏やかな幸福感が得られる、素敵な小説だと思います。
僕も、自分の高校時代の事を語りたくなるんだけれど、こんなふうに小説にできそうもないので、なるほど直木賞作家が書く小説なのだな。と買って読んだ自分の幸運が身にしみる次第です。
この小説は、もし正月に帰省しないなら、ゆっくり読むと良いです。
僕は、ちょうど年賀状を買ってきたところなので「心置きなく年賀状が書ける」と思いました。
つまり、古い友人へのクリスマスプレゼントに良いと思います。
いろいろ気を遣わなければいけない昨今の世知辛い世の中にあって、一服の清涼剤となると思います。
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小っ恥ずかしいくて泣きたくなる、穴があったら入りたいと思うのは、あなただけじゃない。
子供/若者/大人/年寄……
そんな大まかな分類にも故意に抜かしてしまいそうな青春時代のアレコレ、よくもよくも、こんなにも思い出させて下さってありがたいやらイタイやら。
カオルコさんの毒親の話は以前から随分聞かせていただいてましたし、同級生の方々のことも『ツイラク』で。たぶん。
他の誰にも著せない小説、有無を言わせぬ表現力でイタイ過去を炙り出されて快哉を叫ばねば。
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乾明子62歳独身。シェアハウスに住むスポーツインストラクター。新型コロナの影響で職場であるスポーツジムが休館になり、家に籠り部屋の片付けでもしようとして見つけたのは一冊の本と名簿。それは、45年前滋賀の田舎の公立高校に通っていた頃、あの懐かしい青春時代の記憶を呼び起こすきっかけとなった。
ミシェル・ポルナレフ、フィーリングカップル5vs5、FMレコパル、フラップ式のデジタル式時計、ビューティーペア…。
昭和の懐かしいあれこれが描かれて、同年代の者にとってはたまらない。
でも、それだけ。懐かしいアイコンは揃っているけど、どうにも単調で、それが作者の自伝的物語であろうと、そこに胸を締め付けるような何かを感じない。
文体が私には合わないのかもしれないし、同級生を多く登場させすぎて焦点がぼやけたのかもしれない。
最後の芸術コースのエピソードだけは良かった。何が面白かったのかわからないけど笑っていたあの季節がその後の人生を支えてくれたという明子、幸せな青春だったんだなぁ〜
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昭和33年生まれの乾明子(めいこ)さんが、現在(令和2年春・コロナ禍の真っ最中)住んでいる家の棚にあった古い品を引っ張り出しては思い出に浸るという話である。ぼくより7歳年上だが、登場する事象や固有名詞はなんとなく覚えていて懐かしかった。明子さんにはいろいろと複雑な事情もあるのだがそのへんはさらりと流されているので、難しく考えず懐古趣味を楽しめばいいのかな? 最低限の注釈はあるが、この時代を知らない読者にはわからないかもしれない。
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私より一世代上の青春だが
なかなかの共感の嵐。
なんだかちょっと歪な学園物の
ドラマ風だなとは思ったが。
ラストに作者の想いがいっぱい詰まってて
なんだか胸が苦しくなった。
歳をとるってことは切ないね。
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淡々と明子の高校時代が回顧されていく。10年ほどズレてはいたけれど、公立で共学という共通点だけで、じゅうぶん自らの高校時代がオーバーラップした。下校後の友達への連絡は、家の電話しかなかった、あの時代。
回顧の終盤でこんな文章が出てくる。
ーーこんなことのなにがそんなにおもしろかったのだろう。ーー
淡々と語られていくだけだけど、この一文にもってかれる。あの頃は、やたらめったら爆笑していた。みんなが楽しそうだと自分も楽しかった。ほんと、なんであんなに笑ってたんだろう。別に答えはいらないけど。
ラスト、はからずもボロボロと泣いてしまった。別に大きな事件が起こるわけじゃないけど、これまたもってかれる、短いふたつの文を読んで。それから、ほんとにラストの一文を読んで。
姫野カオルコの(決して爽やかとは言い切れないところが魅力の)青春モノは『終業式』が大好きなんだけど、これも大切な一冊になった。
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内容は、良さそうなのと、そうじゃないのが混じっているけど、ミュージックライフだとか、FMレコパルとか、私らの高校大学時代のなんやかやの言葉が散りばめられていて‥。でした!よくもまぁあの頃の事覚えていると感心する。これ分かる人は、爺さん婆さんだな。私もそうです!
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60代の女性が、1970年代に高校生だった自分の青春を回想。スマホもコンビにもなかった時代の、地方に住む地味な女子高校生の姿描く。
暗く窮屈な家庭に育ち、容姿に自信のない分、女子を意識させない立ち位置を取って男子の友人を確保する主人公。時には痛々しいまでの自意識の強さは、時代を越えて現代の高校生にも通じるものがある。
昭和33年生まれは、昭和と平成を30年ずつ生きたというのがやけに印象深く、少し世代は違うものの、テレビ番組や歌手、その他の文化が懐かしく思い出された。
ただ、作者の経験がかなりオーバーラップしているのかエッセイのような趣のため、懐古のみで終始するオチの無さが小説としてはやや物足りなくもあった。
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こんな女子いた!(笑)
今思えば、羨ましい立ち位置だな。
少しだけ上だけど時代は一緒。
懐かしく、忘れていた青春···ってものも悪くないかなと思える歳に。
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この本は私にとって特別なものになりました。なぜ特別かと考えると以下の三つのことが挙げられます。
①主人公メイコと年齢がさして変わらぬ自分であること(ほぼ同年代)
②滋賀と兵庫の違いはあるが同じく田舎(農村地帯)に生まれ育ち高校まで過ごしたこと。なおここでの田舎は「ムラ」社会の因習崩壊せんとする時代の水田地帯であることがポイントです。
③私は大人になって甲賀地域と多少関わって仕事したことがあって鉄道や川や土地のにおいを懐かしく感じれること(身近に思う)
もちろんぐいぐい惹きつける、みずみずしく個性的な文章(多用される文章技術も気にならない。描かれる内容そのものの持つ力というか独自の解あるいは視点に気付かされること多い)が第一なのですが、上記のような個人的背景もあって更に郷愁も学びも多い特別な本になりました。手製の栞紐も付けたしこれから時々気分に応じて読み返したい一冊です。友達の日記みたいな感じで。「フィクションです」と作者は書かれていますが。
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著者の自伝的青春小説。ということで、いつものあの「家の人」も出てくるが、存在感は控えめ。今作では主役はやはり学校(の人々)であり、そこに悲喜こもごもそれぞれの普通な青春が、当時の世相と共に展開される。百田尚樹ラブアタックの章が最高。
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老年となりシェアハウスに住む乾明子。彼女が振り返る高校時代。まさに本のタイトルそのまま青春とは?というお話。まだその頃はわかってなかったと言いながらも,かなり田舎のまた古い考えの親の下で自分が懸命にあるいは緩く過ごし感じた日々,還暦を過ぎた今でこその分析が本当にリアルで面白かった.