はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
著者 國分 功一郎
私たちはまだ、「自由」を知らない――。覆される常識の先に、ありえたかもしれないもうひとつの世界が浮かび上がる。気鋭の哲学者による、心揺さぶる倫理学(エチカ)入門。★現代人...
はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
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商品説明
私たちはまだ、「自由」を知らない――。
覆される常識の先に、ありえたかもしれないもうひとつの世界が浮かび上がる。
気鋭の哲学者による、心揺さぶる倫理学(エチカ)入門。
★現代人の「思考のOS」を書き換えるスピノザ哲学のエッセンス★
□すべての個体はそれぞれに完全である。
□善悪は物事の組み合わせで決まる。
□「力」こそ物の本質である。
□自殺や拒食の原因は人の内側にはない。
□一人ひとりの自由が社会の安定につながる。
□必然性に従うことこそ自由である。
□自由な意志など存在しない。
□意志は行為を一元的に決定しない。
□真理の外側に真理の基準はない。
□新しい主体のあり方が真理の真理性を支える。
*「NHK 100分de名著」『スピノザ エチカ』に新章を加えた増補改訂版*
[目次]
はじめに
1. 組み合わせとしての善悪
1)スピノザとは誰か
2)哲学する自由
3)神即自然
4)『エチカ』はどんな本か
5)組み合わせとしての善悪
6)善悪と感情
2. コナトゥスと本質
1)コナトゥスこそ物の本質
2)変状する力
3)多くの仕方で刺激されうる状態になること
4)コナトゥスと「死」の問題
5)万物は神の様態
6)神は無限に多くの属性から成る
7)コナトゥスと社会の安定
3. 自由へのエチカ
1)「自由」とは何か
2)自由の度合いを高める倫理学
3)自由な意志など存在しない
4)行為は多元的に決定されている
5)現代社会にはびこる意志への信仰
4. 真理の獲得と主体の変容
1)スピノザ哲学は「もうひとつの近代」を示す
2)真理は真理自身の基準である
3)真理と向き合う
4)物を知り、自分を知り、自分が変わる
5)主体の変容と真理の獲得
6)AIアルゴリズムと人間の知性
5. 神の存在証明と精錬の道
1)懐疑の病と治癒の物語
2)真理への精錬の道
3)精錬の道は自ら歩まねばならない
4)対話相手としてのスピノザとデカルト
おわりに
目次
- はじめに
- 1. 組み合わせとしての善悪
- 1)スピノザとは誰か
- 2)哲学する自由
- 3)神即自然
- 4)『エチカ』はどんな本か
- 5)組み合わせとしての善悪
- 6)善悪と感情
- 2. コナトゥスと本質
- 1)コナトゥスこそ物の本質
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語りかけてくるような文体
2023/04/09 21:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の中心となるのはスピノザの著書『エチカ』であり、その中の個々のテーマを具に且つ丁寧に解説している一書です。『エチカ』を読む前に読了しておけば、より原書の理解を得易いと思います。
また國分氏の文体は一文一文が比較的短いので、端的に分かり易いという点もあります。この手の分野の解説はなかなか短文ではないので、かなり有難いです。
それらに助けられてスピノザの主張を繙いていくと、スピノザは非常に真っ当な哲学理論を打ち出している、と理解出来ます。中でもスピノザとAI・医学との関係性については瞠目しました。
國分氏の解説は例示が多いのが特徴なので、それ故に他の哲学者の解説も是非解説して欲しいと思います。
ありえた「もう一つの近代思考」で自由になる
2023/01/10 21:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サンバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
17世紀の哲学者スピノザの人生と思索を追いながら、「意志と責任」がまとわりつく現代的思考と異なる思考法を提示し、現代的思考から距離を取ることを試みる本。
本書にもある通り、スピノザの考えは現代とは「思考のOS」が異なる。そして、17世紀という近代直前の時期に、デカルトなどと異なる方向を示しており、こちらが主流となっていれば、いまの私たちなら思考の「常識」は変わっていたかもしれない。それくらい、ありえた「もう一つの近代思考」だったと分かる。
スピノザの3つの名前の由来など、物語としても引き込まれ、神の表現としての私たちという考えは読むと非常に説得的。率直に面白い本。
スピノザ哲学の難解さと魅力を知ることができるが、入口に過ぎない。
2020/12/11 22:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オートン - この投稿者のレビュー一覧を見る
定理と証明の林立する、難解な『エチカ』を読み解いた本。
しかし、「属性」や「変状」などの用語について、著者も説明に難儀している部分もあり、今ひとつ腑に落ちない部分も少なくはなく、この本を読んだだけでは原書を理解できるとは思えなかった。実際に『エチカ』を読み始めたが、理解できない箇所は読み飛ばしながら格闘しているところである。
本書でも、スピノザの思考のOSがデカルトを基調とした近代以降の思考のOSとはかけ離れていると説明されており、スピノザのそれに馴染むまでには時間がかかるように思える。
スピノザ哲学の入口にはなった本だが、それでも原書を読み続けるのは厳しい。他の研究本を読み、デカルトの思考のOSからの切り口に任せず多方面から原書に攻めかかる必要があると感じた。
以下は余談。
著者は微塵も触れていないが、必然性における自由については、この感染症が蔓延する状況下での感染防止という「必然性」の中で自由を模索すべき、というメッセージがこめられているのではないか、と解釈した。
また、真理獲得のための主体の変容というのも、閉塞した社会の中で1人1人が閉塞感に打ち勝つための真理を獲得するために変容していく必要があるのだ、という願いがあるのかもしれないと思った。
哲学
2023/07/01 23:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学というと、大学生が学ぶような学問……というイメージでした。かくいう自分は、理系でしたから、哲学の一般教養課程しか知りません。しかし、この本は、わかりやすいので、高校生でもいいのではないでしょうか。