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投稿者:漂白 - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻と娘がステレオタイプの良い子さん。診断されたあと、上手くいきすぎてびっくりしました。
紙の本
家族三代記
2022/01/11 21:54
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
オリンピックが時間の大きな軸となり、ゆっくりと力強く進む家族の物語である。ADHDと知らずに行き方に苦しむ一人の男性とその母との関りは、人の個性は世間との関係性の中で、良い方へも悪い評価にもなりうるのだ。三世代にわたる物語が、とても強い躍動力を生み出している。
紙の本
知らない世界を知る物語
2021/03/05 06:08
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親の泰介のダメっぷり、心ない言動に、嫌な気持ちを持ちながら読み続ける。
母万津子の過去の章も夫の暴力と泰介の子育てが厳しく読むのが辛い。
しかし娘の萌子が学校のスクールカウンセラーの講演で学んだことを活かして父泰介と語り合う。そこから泰介が変わり、物語の中に入り込めた。
発達障害を持った親の大変さ、周囲の冷たさ、自分もきっと同じような目を向けてしまうのだろう。
会社でも仕事が出来る、出来ないで、人の価値を決めつけてしまうような考え方が普通だろう。
しかし普通ってなんなんだ。
自分の価値観を大きく揺り動かされながら読み続けた。
今は効果的な治療もあるんですね。
東京オリンピックを見て青空と全てを許し受け入れる東京に、家族の人生を賭けた母万津子の勇気が泰介、そして孫娘の萌子へと繋がって行く。
東京オリンピックの実況中継のような描写により、当時の開会式、重量あげの金メダル、ヘーシングに負けた柔道、そして女子バレーの金メダルが目に浮かぶよう。
アナウンサーの「大きな国もあれば、小さな国もあります。人種も違います。宗教も違います。政治も違います。しかしながら、ここでは、そういった差別は一切ないのであります」が今のTOKYOオリンピックに引き継がれてこなかった、現実の私たちの世界が悲しく感じられた。
紙の本
バレーボール
2020/12/24 17:33
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
多くのみんなが興奮してみたり、やったりするバレーボールというものに対して、好印象を持ったことがありません。しかし、この話はとても面白く読ませていただきました。
電子書籍
親子3代
2023/07/11 22:20
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京オリンピックのバレーボールの過去のからみがあるのかと思いましたが、そうでもなく。父親の泰介の母万津子の過去を遡ると……の、展開でした。読んだのが東京五輪の時季だったので、余計にそう感じたかも。娘の萌子がイイ!
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主人公の泰介の傍若無人ぶりがかなり鼻に付くなぁと、若干引き気味だったのですが、読み進めるとその態度にも訳があったと解り、見方が変わりました。
泰介の母・万津子が本当に出来た人で脱帽でした。暴力亭主からかばって貰えると思ったのに、万津子の母のそんなの耐えて当たり前発言にドン引きでした。時代なのかもしれませんが、ハズレクジを掴まされた万津子の気持ちが切なかったです。
そして、泰介の妻と娘も良い人で、娘の萌子が良くあそこまで真っ直ぐに育ったかと思うと、妻の由佳子の器の大きさが伺えます。
佐藤家を繋ぐバレーボール。とても大切な存在なのだと思いました。
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辻堂作品に初めて触れた
令和と昭和の戦後、九州と東京
時間と場所を行き来し、読者に徐々に疑問と回答
中々素晴らしいと思った
最初はこの母子どうなるかと思うと共に自分なりの結末を想像したが、あまり当たらなく病気が出現し初めて納得した
戦後の女性はこのように苦労した人がきっと多いのだろう
最後は少しだけウルッとしてしまった
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いつの時代も女性の精神は強いということを感じさせてくれました。
物語の構成は、現在パートと過去パートの2つが交互に行き来しながら、隠れていた真実が明らかになっていきます。
現在パート;主人公・泰介はスミダスポーツで働く58歳。ある日、オリンピック関連cmを見た時、認知症を患っている母が意味不明な言葉を。「私は・・・東洋の魔女」。
その後も謎の言葉を多く発します。どういう意味かわからないまま、過去パートへと切り替わります。
過去パート;こちらの主人公は、泰介の母・万津子。昔の東京オリンピックの時代、どのようにして夫と出会い、出産し、どう生き抜いていったのかを描いています。現在パートで発した謎の言葉の答えが、このパートに詰まっています。
作者の辻堂さんは、「あの日の交換日記」での伏線の回収が素晴らしかった印象でした。この作品でも謎の言葉が後々に大きなキーワードとなって、母の一代記を大きく盛り上げてくれます。
謎の言葉だけでなく、他にも様々な出来事や行動が後に意外なところで意外な真実として解決してくるので、それがわかった瞬間、妙な納得感が湧きました。その伏線の回収の仕方が粋だなと思いました。わかった後の続きの物語は、ガラリと今までの印象が変わってくるので、違った視点で楽しむことができました。
それらをわかっての最後は、感動を誘い、家族の在り方やバレーボールが紡ぐ親子愛を感じずにはいられませんでした。
夢を捨てた人、夢を諦めた人、夢を叶えようとする人、どんな状況だろうとも、拍手をあげたいなと思いました。
一応、帯には「三世代の大河小説」と表記されていますが、四世代としても読み取れました。万津子、泰介の妻、娘だけでなく、万津子の母も「女は強し」のごとく描かれているように感じました。ここでは、嫌味たらしい女として描いていますが、昭和を生き抜いた女の象徴でも解釈できました。その状況下で生きる万津子の半生が、壮絶で辛いわとも思いました。
ここまで壮絶というわけではありませんが、自分の母親にも感謝したくなりました。ここまで育ててくれてありがとうと。
もし映像化するなら、泰介は堤真一かなと想像して読んでいました。
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初出 2018〜20年「きらら」、一部書き下ろし
昭和39年と令和2年(その後延期、開催できないとの観測も)の2つの東京五輪にまたがるバレーボールに関わる家族の物語なのでこのタイトルなのだが、主題はADHDの男の生き方なのだと思う。
昭和と令和の物語が交互に展開する。貧農の家に生まれた母万津子が中卒の集団就職で紡績工場に勤め、見合い結婚した相手が三池炭鉱の炭塵爆発で死ぬ昭和。バレーボールは大学でやめた息子の泰助が定年を前にして苦手なデータ処理部門に配属されてストレスを抱え、母は認知症、娘は名門高校のバレー部のエースという令和。この前半は作者らしくない暗く重い展開だが、半分ほどで母がかたくなに秘している昔の水死事件が絡んでから一気に展開が早くなる(読むスピードも上がる)。
58歳になっている泰助が、愛娘の勧めで受診したクリニックでADHDの診断を受けて、「長い間身を縛っていたものから解放された」と感じる場面では、とても救われる感じがするし、これを機に泰助は代わり周囲もいい方向に変わっていく。
春高バレーで娘の高校が大逆転優勝した日、バレーボールを教えてくれた母親は息を引き取り、泰助は感謝して深々と頭を下げる。
私もバレーボールは、東洋の魔女を見たあと中学から始め、社会人になってからも続けたが、人生の大きな部分になっていたと改めて思った。
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最後まで息子を信じる母の思いが伝わってきた。
発達障害をその当時は理解できず、まわりにも理解してしてもらえない時代の生き方が今だと違うと思うと切ない。
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辛い辛い万津子の人生。老後や人生の最期は幸せを感じましたか?事故の真実を知ることが出来ましたか?…と問いかけたくなりました
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十の輪、という言葉の意味。
今年オリンピックが開催されていたら、別の思いでこれを読んでいただろう、と。
1958年から1964年までと、2019年から2020年までの物語が交互に語られる。
熊本から愛知県へ女工として働きに出ていた万津子と、スポーツクラブを経営する会社に勤めるその息子泰介の、そして孫娘の物語。
痴呆が入ってきた母親の謎めいた過去。かたくなに語ろうとしないその人生。三人をつなぐのはバレーボール。バレーボールに込められた思い。あの日、いったい何が起こったのか。
バレーボールを中心に回っていた物語が、ある時急に別の顔を見せる。急な展開に驚きつつ、そういうことか、と腑に落ちる。それを乗り越えたときに見える新しい世界。
でも…と読み終わって思う。この最後は悲しすぎる。切なすぎる。もう少し早く、何とかならなかったのだろうか、と悔やまれる。
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久しぶりにも素晴らしい作品に出会いました。
バレーボールを題材として、2つのオリンピックが登場してくる話。
泰介さんのADHDの描写は、本当にこと細かく描かれていて幼少期からの育てにくさなど、すごく伝わってきました。
万津子さんの辛い過去、認知症になっても一切過去のことは話そうとしないことなど本当に読んでいても内容が濃くて長編映画を見ている感じでした。
親子の絆、家族を思いやる言葉掛けや仕草、優しさが伝わってくる作品でした。
ここ最近小説で涙を流すことはありませんでしたが、これは泣けてきます。
20代の作家さんがこれだけ細かく人の心を書けるなんて感動です。
辻堂さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思います!
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何、この余韻は…。
途中から込み上げるものが半端ない…。
息子の泰介の現代、母の万津子の過去、で交互に入れ替わりながら話が進んでいきます。
初めはいけてなさすぎな泰介に残念な気持ちになりかけたんですが、理由があるんですよね…。その理由には途中で読者の誰もが気付くと思うんだけど、ただただお母さんの万津子さん、本当にすごい、本当によく頑張られたなと思いました。同じ母親として頭が下がります。この時代は特に理解がなく大変だったと思います。ネタバレになるのであまり書けませんが…バレーボールメインのお話ではありません。
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辻堂ゆめさんは初めて読む作家さん。
読み終えて、感想を書こうにも何を書いたらいいのだろうか、と途方に暮れてしまった。何を書いてもネタバレになってしまうような、親子3代に渡るとても壮大な物語。
初めは泰介と、近い年代の自分とを重ね合わせて、「私がこんな生活を送っていても不思議ではないのだなぁ」と思っていたのだけれど、そんな現実的な考えは吹き飛んでしまうくらい、心が揺さぶられる物語だった。
妻と娘と認知症の母親と4人で暮らしている主人公の泰介は、母の万津子に対してすぐに怒鳴る本当に本当に嫌な男だった。
物語は、現代の物語と過去の物語が交互に出てくるスタイルで進んで行く。
泰介には心の中で冷たい視線を送り続けながら、若かりし時分の万津子の物語を楽しみに読み進めた。
泰介は万津子の人生を知らない。それは万津子が話さなかったから。「泰介には内緒」と認知症になってもなお、頑なに詳細を語らない万津子。初めのうちはわからなかったが、「子どもには何も話さない」という万津子の強い意志が見えてきて、目頭が熱くなる。
万津子の人生が分かれば分かるほど、まるで万津子からこっそり秘密を打ち明けられているかのように思えてくる。大きな秘密を抱えた私の目の前にいる何も知らない泰介。どうやっても伝えられないもどかしさが募る。
万津子は頑なに泰介に何も語らないまま。でも、すれ違っていた親子の心がほんの少し触れ合ったところで、心は感動に震え、涙があふれた。
人には、何も言わずに「とにかく読んでみて!」と勧めたくなるような、でもやっぱり秘密にしておきたくもなるような、そんな1冊。
1年の締めくくりに素敵な本を読むことができてよかった。