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投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
千早茜さんらしい、美しく冷たいお話。
ドレスの描写や装丁がとっても美しい。
映像化してほしいなぁと思う。
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始まり方がユニーク。
どんどん引き込まれて行くし、テンポ良く読める。
千早さんの書く作品はどれもその世界観が素晴らしい。
登場する服やレース等々想像したら、本物はどんなに素晴らしいのかと欲張りになる。
本当に魅力的な物語!
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あぁ、やっぱり千早茜さん好きだなぁって思える一冊。
千早茜さんのお話を読むといつも感じるのが、冬の朝のような、凛としつつも優しい静けさ。登場人物がさまざまな過去や痛みを抱えているけれども、それぞれがお互いを色んな形で支えて、救われてる。私も優しい言葉に救われている1人。
今回の作品では、服の描写が本当に美しくて、私も実際に美術館へ行ってみたいと感じた。服への接し方がこれから変わっていく予感。
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人の心の痛みと洋服の傷みに寄り添う物語
何よりも服飾美術館で出てくるお洋服たちと装飾品、技法の数々を想像しながら読むのが楽しかった。
服装史も楽しめる本
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服とはなんなのだろうなぁと考えてしまった。
私かお洒落をする時は試験等に勝ち負けが決まる時。
お洒落して、余り好きではないアクセサリーをつけて、御守りの指輪を右手の中指に嵌める。
それが私の戦装束。
そんな事も考えてしまった一冊です。
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服飾の美術館を舞台に何かしらの悩みを抱えた人たちが、「自分」と向き合いながら、優しく寄り添うように一歩踏み出していきます。
千早さんの作品は、2作目ですが、言葉を大切にしている印象がありました。繊細に服を扱うかのように言葉も丁寧に取り扱っていて、優しく包み込むような空気を醸し出していました。
題名の「クローゼット」は、服を収納する家具ですが、ここでは他にもトラウマの元となった物や心が寄り添える場所など様々な意味が込められた表現としても取り扱っています。
服飾についての歴史が多く登場するのですが、一つ一つの服に対する深みや重みを感じました。個人的には今まであまり服には興味がなかったのですが、歴史を紐解くことで、その時代を映す物として表現されていることにちょっと興味を感じました。
内容としては、大きな盛り上がりというものはなく、それぞれの登場人物の心理描写を丁寧に繊細に描いていて、心が穏やかな気持ちにさせてくれました。
途中、差別や恐怖を感じさせる部分はありましたが、表現が控えめなので、暗い気持ちにはなりませんでした。むしろその後の心の傷を消すことはできないが、修復することは可能というような表現が温かい気持ちにさせてくれるので、登場人物を応援したくなる気持ちが増してきました。
補修士の心の成長を垣間見れる優しい作品でした。
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長編は初読みの作家さん。
とても静かで、ぴりりとした雪の日のような緊張感のある雰囲気。白い建物のイメージもはたらいているかもしれない。
芳がデパートで、昔のクリノリンやコルセットに出会うところ、美術館の収蔵庫で宮廷服の刺繍に出会うところ、纏子がアンティークレースを眺めるところ、八重桜色のドレスを直そうとするところ・・・
服と一人で向き合うときに、心情と服が重ねられているシーンが印象深い。なんのために作られたのかを思うとき、ひるがえって自分自身はどのように在りたいのかを考えさせられるという・・・。
愛を注ぐ対象とは、そのような映し鏡なのだなと思う。私は服のことをあまり愛してはいないが、たとえば植物を前に、自分について考えることもある。
そうやって、服をよすがに生きてきた芳、纏子、晶が出会うことで、鏡が2面、3面になり変化が起こる。ゆっくりだが着実な歩みが好ましく、見守っていたくなる。
巻末の、モデルにした財団のキュレーターと作者との対談もおもしろかった。
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正直、物足りなかった。
核となる、纏子と芳それぞれの目線から見た世界の違いも弱かったように思うし、起伏がなくて終始同じペースだったのもあるかな。
干渉されたくないことは誰しも持っているし、当人にしか分からない感覚や想いもあるだろうし、でもこの二人には共通した記憶があったわけだから、もう少し進展のある絡みが見たかったような。
最後にその記憶が現実となって現れたけど、そんな簡単に出現させて終わりでいいの?って思ったし、その場面を描くにはページ数が圧倒的に足りず、ちょこちょこってまとめただけなのがな…。
他のキャラクター達も個性的ではあるが、あまり立体人物として変換できなかったのが勿体なかった。
服には、あまり拘りはない。
自分が良いと感じたもの、サイズが合えば着るし、身につける。
ブランドにも興味がなくはないが、自分がまとったり着飾るというよりは視覚で愛でる事の方がほとんどだ。
時代時代を彩ってきた服達を保存、後世へ伝えていく為に、それらを補修士なる方々が尽力されているのだと知った。
表舞台には出来上がったもの達が上がるけれど、その裏にはその道のプロが何処かに必ずいるんだな。
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なんか良かった。
ものを大切にする人達の物語は、それだけで気持ち良い。
芳が偏見の目を意識はしつつも、ウエットじゃないのが良かった。まきこがああなるのは仕方ないとして、芳もウツウツとしてたら、読んでいてしんどいだろうし、傷を舐め合うような再会になるのもきつい。
互いを再確認した二人が、安易にくっつかず、今後もしかしたら、という程度で終わるのも良い。くっついて終わりだったら、大切な思い出だった分、これから現実に負けるんじゃ?と意地悪い気持ちになりそうだし。
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まるで研究施設のような真四角の白い建物。青柳服飾美術館ではわずかな人数の学芸員と補修士が膨大な量の貴重な服飾を守っていた。
デパートのカフェでアルバイトをする芳は小さな出会いをきっかけに美術館に足を踏み入れ、その美術館のコレクションの虜になる。
秘めた生い立ちを抱えた登場人物たちの屈託が、補修されていく衣服に投影され、少しずつ生きづらさから解放されていくさまがとても温かい。
続編が読んでみたいような作品。
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作者のその道のプロの表現には毎回舌を巻く。カメラマンだったり、洋菓子屋だったり、服飾の修復士だったり…
映像が思い浮かぶ作品だったな。
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「自分らしさ」を求めて着飾る男の子と、服飾美術館ではたらく補修士や学芸員さんたちのおはなし。
クリノリンにコルセット、レースに刺繍。服飾に対する細やかな描写とその歴史にぐぐっと引き込まれました。
そして男女のファッションの変遷を通して語られる、双方の生きづらさについて。それらについても深く考えさせられる作品でした。また絶対読み返します。
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ひらひらのスカートはぶりっ子。でも、ほんとは着たかった。プリキュアの変身した衣装、おもちゃ売り場に行く度に立ち止まって眺めてた。
今は着たいと思わないけれど、あの時の「着たい」をもっと大切にしたらよかった。
「〜らしさ」は使い方を間違えたらだめだ。
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これ、今読んで良かった。
キラキラしたスパンコールやビーズ、ひらひらした繊細なレースで彩られた洋服の話かと思ったら、心の奥底の、正しくクローゼットの扉の奥とでも呼ぶべきであろう箇所を刺激された。すとんと落ちてきた。
洋服が沢山出てきて、そしてそれらを大事に扱う人々を想像する度に、何だか優しい気持ちになれた。
ただこれは、洋服とは何ぞやという話だけではなく、他人から見た自分に対して押し付けられた価値観とか、こうあるべきとかそういったことに、どうやって対峙していけばいいのかとか、そういう面もあるんだろうなと感じた。
それは、纏子にとっての修復士の仕事であり、芳にとっての好きな洋服を着ることなんだろう。
私にとっての"それ"は何なんだろうな。
このクローゼットというタイトルは、自分が自分でいられる場所とか物だったり、安心出来る場所、心の拠り所のようなものを引っくるめているのかな、なんて思った。
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売られ、着られるためでなく、保存される服が在ることを、知りませんでした。
古書や古美術品など、それぞれの分野で修復師はいますが、いずれも 修復後のイメージが明確であること、イメージを裏付ける膨大な知識が必要な職業でしょう。
ひとつの事柄に深く深く入り込む人の物語を、私は好ましく読みます。自分もそうした性質を持っているからかも知れません。
考えてみると、服ほど、性別で形が決まっているものって、珍しいかも。時代的には、服装の区別は 社会的立場を表していたものだったようですが、現代の服装の区別が ほぼ性別であるというのは、そこにもっとも大きな区別(差別)が残っていることの象徴のようです。