ヴェネツィアの夢
2024/01/10 14:39
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
週刊朝日で「聖マルコ殺人事件」のタイトルで始まった小説のシリーズがここまで続くとは作者自身も思わなかったのでは?
ヴェネツィア貴族のマルコ・ダンドロは親友アルウィーゼも愛する女性のオリンピアも失って、ヴェネツィアに帰ってきた。それは祖国ヴェネツィアの為。ヴェネツィアがスペイン、フランス、トルコと大国に囲まれながらも生き延び、かつヴェネツィアらしさを失わないようにする術とは?
歴史エッセイを主にする作者の小説はどちらかというと巧みな部類ではない。しかし歴史観と独特の美意識が貫かれている。
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マルコがまたベネティアへ戻り10人委員会の 委員となり、政策決定をしていくところから最後引退してベネティアのその後までを描く。 途中では
大国トルコ、スペイン、ドイツ、法王庁との間での交渉の過程と最後のレパントの海戦が描かれるが、やはりベネティアの衰退は止まらない。海戦には勝つものの、キプロスはトルコに奪われたまま。とりあえずの平和を取り繕った所でマルコは引退で終わる。 マルコ・ダンドロの生涯を描いるが、実ははベネティアのピークから少しずつの衰退を描いた物語であった。
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2021/01/19塩野七生イタリア・ルネサンス
①ヴェネツィア②フィレンツェ③ローマ④ヴェネツィア
1571年10月07日レパントの海戦に至る16世紀ヴェネツィア興隆史
サイズは小さいヴェネツィアもローマ法王、スペインに次ぐ地位を確保していた
東にトルコと争いつつ、長く「地中海の覇権」を保持した「国家経営の秘訣」が
塩野七生氏の造詣を踏まえつつ、司馬遼太郎的歴史小説として書き下ろされた
「国家リーダー」候補を見いだし、育成する
ヴェネツィアはそこに国家の命運の鍵を見出し、莫大なエネルギーを投入した
そのかいがあって、ヴェネツィアは長期の命を保持することが出来た
作者塩野七生氏はその歴史の教えを、現代の日本に伝えたいとの使命感を感じる本書
国家・国民に殉じる覚悟のエリート・リーダーなき組織は滅ぶしかない
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中央集権化が進む中、ヴェネツィアは中世で最も長く独立を保ち続けたこと、共和国であり続けたことの理由が本書にはある。
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帰国後のマルコの活躍。小説形式だが実態は歴史エッセイ。トルコ・スペイン・フランス、領土型国家と肩を並べて強国といわれた都市国家ヴェネツィア。マルタでの騎士団の勝利、その煽りを受け占領されたキプロス。国家の危機の中、レパントの海戦へ持ち込む。キリスト教国連合の中ヴェネツィアの果たした勝利への役割は大きい。海軍力と交易、そして共和国という特性。人材登用と外交。自国の個性を踏まえた上での戦略。損して得とれ。名を捨てて実を。・・オリンピック開催にメダルの数。名誉ばかり追い求める今の日本が見習うべきはここだ。
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塩野先生が描く「小説」の最終巻。先生が理想とする男性像のマルコと女性像のオリンピアが織りなす物語。
最終巻では、ヴェネツィアに戻ってきたマルコの活躍が描かれる。国政に戻ったマルコは相変わらずトルコの相手をすることとなる。彼が戦地に赴くわけではないので、章題にもあったように血を流さない戦争を主として。
また、レパントの海戦もストーリー仕立てに描かれており、海戦の想像ができ、良かった。
もう少しマルコを活躍させてほしかったな、っと思わせるところがやり過ぎない男性像で、塩野先生の理想だったのかな、とも。
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マルコ・ダンドロが主人公となるベネチアを舞台にした小説の最終シリーズ。前3作は青年期の主人公が、ベネチア、フィレンツェ、ローマを舞台に恋も仕事も精力的に活動していたのでに対して、今回はベネチアの国力の停滞を主人公の衰えに投影しているようだった。前3作はワクワクして読んだが、今回はワクワク感は物足りないと感じた。
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ヴェネツィアは海軍国であり、経済国家であった。有能な人物が多々いたが個人主義には陥らず国家として成り立ち続けた。
朝日文庫の頃は3巻ローマで終わっていたものに、4巻再びヴェネツィアを加えて完結。『レパントの戦い』(新潮文庫)『海の都の物語』(単行本で読んだ)の復習にもなり、
今シリーズで追加された挿絵や写真が旅行に行けない今日の慰めにもなった。リアルな海外旅行に行きたいですけどね!
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イタリア・ルネサンスシリーズとうとう読み納めかぁと感慨深げに読み進めた本作品。マルコの生涯はおまけでレパントの海戦に主軸がおかれていた。ベネツィア戦士たちの壮絶な戦いぶりに我を忘れて没頭。そこまでしてもぎとった勝利からのベネツィアの衰退とマルコの表舞台からの退却にとてつもなく悲しさがつのった。何度も地図で主戦場を確認したり掲載されている芸術家の作品に改めて感嘆したりとこのシリーズで何重もの感動を味わうことができて本当によかった。読了した今猛烈な感動。
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マルコ・ダンドロとオリンピアを主人公にしたルネサンスの3大都市の物語の続編になります。ヴェネツィアやレパントの海戦を主題にした塩野さんらしい作品だなと思いました。塩野さんにヴェネツィアやレパントを書かせると,やはり上手いなと思いましたし,続きを書くのならこういう感じになるのだろうなと。そう思える作品だったという印象を持ちました。
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主人公マルコダンドロの人生をとおして、
ヴェネチアという国の人生も垣間見ることができた気がする。
西方と東方の狭間で、1000年以上共和国として生き抜いてきたヴェネチアのドラマは壮大だなぁと思った。
旅行でヴェネチアを訪れた時、華やかさと美しさにとても感動したが、とても長く深い歴史を背負っていることに改めて感動を覚えた。
またヴェネチアを旅したいなぁ!トルコにも行きたい!
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シリーズ前3作は、
「緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件」
「銀色のフィレンツェ―メディチ家殺人事件」
「黄金のローマ―法王庁殺人事件」
上記3作の改題であるので、要注意。
国政に復帰したマルコを中心に、
またもや濃密な物語が展開されるのかと思いきや、
この作品は「海の都の物語」と「レパントの海戦」の改作かと感じてしまう。
その意味では、シリーズ前3作とはまるで毛並みが違う作品。
個人的には、前3作の物語の続きとして、
純粋に楽しみたかった感が大きいので、評価が下がるところである。
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最終巻。帰国したマルコの物語ですが、マルコの思いは淡々と描かれ、やっぱり周りの人のあれこれやヴェネティアのいろいろが描かれます。
世界史は苦手でヴェネティアの成り立ちはまったく知らなかったのですが、共和制国家として強国と渡り合っていくことのすごみやその秘訣に思いをはせました。政治に携わるものは、商人である血族に業務上の秘密は決して語らないルールであるとか、出身国がどうあれ「身の安全と思考の自由と生活していくに足りる食、すなわち職」の保証とか、読んでてうなりました。
海戦のくだりでは、連合国間の調整に携わった人の粘り強さにただただ感服です。(私も)日常業務の調整のわずらわしさに愚痴ってる場合じゃないですよね。
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ほとんどがレパントの海戦。シリーズ1からの伏線の回収もあるが、さまざまな登場人物像は面白く描けているが他のシリーズほど面白くはない。全四作、読み応えはあったと思う。
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2021/4/4読了
新潮文庫で全4巻からなるこの物語は、3巻までは毎回違う“事件”を扱い、4巻でクライマックスの〈レパントの海戦〉に向かっていく。同一の主人公が登場する4作品と見れないこともないが、やはり16世紀のヴェネツィア外交官の目線で語られる、大河小説として一気読みを薦めたい。