紙の本
対象は初心者ではなく初級以上
2022/03/23 12:31
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:.ばっは - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代「美術館でぇと」を断ってしまった後悔から、上野が徒歩圏であることもあり美術館通いを始めて数十年。
この本では初見の先品も多くなく、自分にとって興味の対象外である印象派が全く、近代現代がほとんど取り上げられていないことも幸いして「藝大の講義」全15講が楽しく読めた。
西洋美術を見る・理解するには背景となる歴史や宗教、他の時代や他の作家との関連、等々広い知識があるほど楽しめる。
この本は参照先の頁表記や画像の他頁再掲載など親切で、参考文献や掲載作品リストも付いていてとても良い。
絵の大きさが書かれていたら更に良かった。
通史ではないと断っているが章立ては時代順だから結果、美術史としてとらえる事が出来る。
ただ、帯の「これが藝大の美術史だ」はちょっと煽りすぎ。
1.古典古代と中世の西洋美術
2.ジョット
3.ロベルト・カルピン
4.ファン・エイク兄弟
5.ラファエッロ
6.デューラー
7.レオナルド
8.カラヴァッジョ
9.ピーテル・ブリューゲル父
10.ゲインズバラとレノルズ
11.ナザレ派 プフォルとオーヴァーベック
12.アングル
13.ラファエル前派
14.シャルフベックとハマスホイ
15.ヴァン・デ・ヴェルデ
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本書は
東京藝術大学で実際に行われた講義をもとに作られています。
ですから、一般的な美術史の解説本とは少々趣が異なります。
ヨーロッパ各地の作品を、
ひとつひとつ細部にいたるまでじっくり鑑賞することで、
作者の意図、技法(発明)などを汲み取り、
その積み重ねが通史理解に繋がっていくという趣向です。
やっぱり美術館に足を運び、
本物をきめ細かく観ることがたいせつなんですね。
全体の印象だけで好き嫌いの判断をするのは、
浅はかなことだとあらためて気づかされました。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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2022.08.11 なかなかマニアックでやはり難しい。
これまであまり聞いたことのない画家が色々出てくる。北方ルネサンスとかイギリスとか北欧とか。勉強になりました。
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借りたもの。
東京藝術大学准教授による、美術史講義。
他の書籍にあるような、オーソドックスに美術史の大まかな流れを解説しているものではない。
確かに著者の専門性(好きなもの)に寄っているのは事実だが、時代・地域ごとにある傾向が如実に表れている作品、その描画を細かく解説しながら、それ以前の作品と比較して違いと革新性を解説していく。画面上の構成ややデザインの動き、その斬新性も指摘している。
これぞ美術史!!
その時代背景、思想、風土についても言及し、それらが作品にどの様に影響を与えたかを言及。
方向性が異なるので、比較するのは憚れると思うが、『ルーヴルに学ぶ美術の教養』( https://booklog.jp/item/1/4799324365 )よりもディープで。
(美術好きには知名度があっても)意外と知られていない、定番画家以外で紹介しているのが嬉しい。
それらを知らなければ、定番も語れない。
Youtubeチャンネル『山田五郎 オトナの教養講座』( https://www.youtube.com/channel/UCq1r8Nq3nwI9VhvyiwcpF2w )を見ていると、自分が知らないことが沢山あって、こうしたバックボーンの知識を改めて深めたいと思っていた。それを満たしてくれる。
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絵がたくさん挿入されているので、じっくり観ながら理解を深めることができた。
脈々とつながっていく様がわかって面白い。
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画家カラバッジョの名は知らなかった。
バレッタある聖ヨハネ大聖堂でには、カラバッジョの作品があり、多くの人が観ていた。
ある程度画家・作品について知ってから、鑑賞すると見かたが変わり、細部まで関心を持ってみることができる。
アプローチの仕方のポイントをわかりやすく教えてくれる本は、ありがたい。
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MET展、行く前にある程度読んでいて良かったですわ。。。
昔の絵には現在で言うところのあらゆるメディアの役割を担っているもんだから、その読み方には詰まるところ鑑賞者の知性が問われる訳でして、当方、こっそり見るしか致し方なく。でも、思いましたもん、シスレーが幼稚に見えたもんです。。。ちょっとびっくりしました、正直。
美術の見方についてはもっと習得すべきこと満載、ニートには持ってこいです。
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死ぬまでに見ておきたい
1.モナリザ、2.システィーナ礼拝堂壁画
3.ファン・エイク兄弟「ヘント祭壇図」 ベルギー シントバーフ教会 15C
額縁も柱としての絵画の一部 現実と絵画の橋渡し
レンブラント「聖家族」最初からカーテンが描き込まれているだまし絵 17C
ルネサンス 理想の美 現実世界と分けるカーテン 16C
バロック 現実世界のリアル カーテンは画面の奥に カラヴァッジョ 16C末
ファンシーピクチャー 英国 18C レノルズ
ナザレ派 ドイツからローマへ 19C
光学機器 カメラ・ルチダを使って視覚像をトレース ラインハルト
ラファエル前派 わざとらしさ ラファエッロ批判
オフィーリア 死体モチーフ
不安
ミレイ「目覚め」「快復期」 ムンク「思春期」「病める子」
ハマスホイ「室内、ストランゲーゼ30番地」「白い扉、あるいは開いた扉」
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タイトルにある「西洋美術の見方」からは、印象派をはじめとする、誰もが知る画家や作品をとりあげてその見方を開設する本だろうと思うのが通常だと思うが(私もそう思っていた)、本書では印象派については一切出てこず、誰もが知る作品としては「モナリザ」のみ。
古代ギリシャの彫刻から中世の西洋美術がどのような影響を受けたのか、とかそこから発生したルネサンスが切り開いた表現の方法、古典主義とロマン主義を経てモダニズムまでの流れ等々を、ジョット、ファン・エイク、ラファエッロ、デューラー、ダビンチ、レノルズ、ミレイ他、一般的には無名か、あるいはあまり有名でない作者の作品を取り上げながら、時には相互の関連も含め体系的に紹介している。
作品の写真も豊富で、注目ポイントも拡大したり、あるいは矢印や丸で囲う等、わかりやすくかつ見やすく配置されている。
加えて本文中で別章で紹介されている作品に言及する際には、それが掲載されているページ数も記してあるので、すぐに探せるところも配慮が行き届いている。
世に多くある西洋美術の見方については、それはそれで重要かつ有用なものであることは間違いないが、本書のようなそれらとは異なる独自の視点で、他作家からの影響にも言及した解説も併せて知ることで、両者が相互補完的な働きをし、西洋美術の見方がより立体的になるのでは、と思った。
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佐藤先生の解説で本の中の作品を鑑賞できる。
退屈で違いのわからなかった古代から印象派以前の芸術が初めて楽しめた。
前書きに「時代順に作品をならべていく通史的な見方をとらない本書は、私の興味に「偏った」作品選択がなされています。バランスよく作品を知るより、個々の作品に対する具体的なアプローチを学んだほうが、実は芸術鑑賞のコツを得るには手っ取り早いのです。(中略)つまり本書は、西洋美術鑑賞の実践のためのテキストブックなのです。」と書かれていたけれど、まさにその通りでした。
長い歴史が凝縮されていて予備知識がない私には充分に読み込めなかったので星4つとしましたが、2022最初のガッツリ読書で良い本に巡り会えました。
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作品を見ながら、作家間の影響を紐解いてくれるのでとても興味深い。同じ絵を部分アップを含めて、複数ページに掲載してくれるのもとても親切で、指を挟んで前のページに行かなくて済む(笑)
このタッチで、印象派など今回取り上げなかったジャンルの続編に期待。
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本書は「はじめに」でも記載されている通り、一般的な入門書では飽き足らない人を対象に、東京藝大の講義と同等レベルの内容となっている。
従って「美術史」と言っても時代順に流れを学べるような通史ではなく、作者の興味に偏った作品が選ばれており、それらの個々の作品jから美術鑑賞のコツを教示している。
とはいえ、作品間でどのような影響を与えたり、与えられたりしたのかまで解説されているので、作品単独の視点だけでなく、作品間の影響を鑑賞するコツにも触れている。
繰り返しになるが、通史ではないので美術史全体の流れを眺めるというよりも、各作品や作者がどのような影響を受けて、その作品が描かれたのかを鑑賞するための目を養うための教本である。
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この本、なぜかアマゾンのおすすめに何度もあがってきた。よく売れてもいるようなので読んでみた。日本で人気の印象派、キュビズム、シュルレアリスムなどは一切扱われていない。初期ネーデルラント、ドイツ、英国、と西洋絵画の歴史では周辺にあたる国に章が割かれている。
著者の専門なのだろう。書き手の興味のないジャンルで当たり障りのない文章を書くことに比べれば、いさぎよい姿勢であり、関心する。初めて知る画家もあり、勉強にもなったが、なぜ売れているのだろう。
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初学者がいきなり興味本位で手に取って読んでみた。初見の名前、作品がガシガシ登場するので追いつくのが大変。本当に理解するためには5回くらい一言一句にかじりつく必要がありそう。
フルカラーで作品が載っていて、かつ解説ポイントも示されているので、それでもかなり分かりやすいと思う。
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西洋美術を横断的に捉えた本。ナザレ派、ラファエル前派など、美術に詳しい人でないと知らない単語が盛りだくさん。
それでも私には、とても面白かった。出来れば、取り上げた絵画、建築、写真を別冊資料集にして欲しいくらい。
特に印象的だったのはダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体」をデューラー自身も作成していたこと。デューラーはダ・ヴィンチと交流がなく、イタリアの工房では秘密にされていたもの。デューラーは古代の参考になる彫像なく、独学で理想的人体比を研究していたことになる。分野は違うが、「収斂進化」という言葉が頭に浮かんだ。
ルネサンスが明るく開放的なイメージとはかけはなれたものであったことも驚き。
またブリューゲル(父)の絵画の視点の定まりにくさを「染み」が散らばることで定まりにくさを理論的に説明したゼードルマイアの研究には至極納得。「イコノグラフィー研究」(描かれているモチーフひとつひとつの意味を研究する)なんて、なんて楽しそう❗ブリューゲルは、その研究では最高では?
イギリス絵画の「ファンシー・ピクチャー」も楽しい。可愛らしいものがいっぱい。でも腕の開きかたで性的な意味を込めている、と断じるのは何故?もうグルーズさんは、そのような絵しか描かないと思われていたのだろうか。
フェルメールが使っていたと言われるカメラ・オブスクラ。18,19世紀には明るい部屋でも使えるカメラ・ルチダが販売され、それを使う英国人が揶揄されている。新しい機器が出現した時は古いほうに肩入れする人が一定数いる。なんだか現代でもありそう…
本当に勉強になる本だった。来月は絵を見に行こう。