文字渦(新潮文庫)
著者 円城塔
「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」。始皇帝の陵墓づくりに始まり、道教、仏教、分子生物学、情報科学を縦横に、変化を続ける「文字」を主役として繰り広げら...
文字渦(新潮文庫)
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商品説明
「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」。始皇帝の陵墓づくりに始まり、道教、仏教、分子生物学、情報科学を縦横に、変化を続ける「文字」を主役として繰り広げられる連作集。文字を闘わせる遊戯に隠された謎、連続殺「字」事件の奇妙な結末、本文から脱出し短編間を渡り歩くルビの旅……。小説の地平を拓く12編、川端康成文学賞・日本SF大賞受賞。(解説・木原善彦)
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おそらく死ぬまで楽しめる作品
2021/02/16 15:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
第43回川端康成文学賞
第39回日本SF大賞受賞
ここ2〜3年でこれほど惹き込まれる小説を読んだことはありませんでした。
「文字」という主題を通して
時間軸は文字どころか人類誕生以前のカンブリア期から未来まで
世界は西洋から蓬莱・日本
思想はキリスト教はじめ仏教の正法・象法・末法まで
文学は源氏物語・土佐日記・伊勢物語を
まさにミクロからマクロの世界まで
かと思えばインベーターゲームからポケモンさえも
森羅万象 「文字」を介して表現できるものの範疇さえも超越したような物語。
12篇からなる連作短編集です。
順番に読んでも善、好きな1篇を繰り返し読んでも善、どう読んでも善です。
おそらく10回読めば10回、100回読めば100回読書の喜びと楽しさを味わえます。
とてもじゃないですが私の持つ語彙ではこの作品の一端すら表現できません。
読んでいて意味がわからなくても、
そんなんことは問題ですらありません。
読み始めれば必ずや読み続けていたくなりますし、
最後の引用・参考文献まで読んでもまだ読みたい気持ちが続きます。
おそらくは死ぬまで楽しめる作品がわずか710円で誰にでも手に入ります・笑
ドが付く傑作
2021/02/17 16:50
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドが付くほどの傑作。書いてあることの半分も判らないが、傑作であることだけはワカるなあ(笑)。長編数冊分のアイデアが詰め込まれていて、アイデアとガジェットの密度に目眩がする。境部石積の「新字」とかルビの反乱とかアミダ・ドライブとか。まさかインベーダーゲームまで出てくるとは思わなかったが。巻末に参考文献が挙げてあるが、まさかこの参考文献達も、自分からこんな小説が生まれてくるとは思わないだろうなあ。
日本SF大賞と川端賞を受賞
2023/08/01 11:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「文字渦」は日本SF大賞と川端賞を受賞している、受賞作品が持つ性格が180度違うように思えるこの二つの賞を獲得している意味が読んでいく中でよくわかる、まさしくSF的でもあり川端的でもあるのだ、中島敦氏の作品にアッシリアが文字に復讐されてしまうのだはないかと危惧する老博士と文字の精霊を描いた「文字禍」という作品があり、強烈な印象を持ったのだが、この連作群はさらに破壊力を持っていた。カードバトルの様に漢字を使って対決する(本当にやってみたら楽しいかも)「闘字」、犬神家の一族のような設定に金田一耕助のような探偵が登場して連続殺「字」事件を解決する「幻字」はとっつきやすいのが、本は表紙を下にして順に重ねていくものだ「微字」、メカ親鸞「金字」、光る文字「緑字」になると理解不能、でも読まずにはいられなかった
文字たちについて
2021/08/21 08:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いくつかの輪郭線がズレを含みつつも重なり合い、おおよその、世界の形状のようなものが、伝わってくる。
『Self−Reference ENGINE』に比べて随分と親切な作りです。
これは、SF読者メインに書かれなかったからのなのか、作者が変わったのか。
『文字禍』に収録されている、新潮文庫の最新刊案内で、『文字禍』は、“翻訳不能の奇書誕生”と書かれているが、これまでのところ、漢字文化圏に向けて、字組の自由度さえ高ければ、翻訳は困難とは思えない。(そして、新旧新潮文庫の宣伝で、「傑作」という「単語」を安く使っている粗雑さ。)
この本は、2018年の日本での語りである。
つまり視点はそこにある。
このことから、無数の物語とは別に、この本の無数のヴァリエーションを想定することができる。
円城塔という筆名が何に由来するのか知りませんが、この文字はバベルの塔を描き出す。これは文字ではなく、多様化した「世界」を描いたものかもしれない。
わからないのがおもしろい(?)
2022/07/03 11:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:_ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴジラ S.P <シンギュラポイント>を観てから興味があり読んだがさっぱりワカラン。が、ワカランのが面白いとも言う。独特の世界観で文字が戦ったり、殺されたりまあさまざま。
「南無阿弥陀仏」と唱えたことばが仏の姿になる空也上人像の作者と、本書の作者がもし同じ時代に生きていたとすれば、両名は意気投合したりするのかしらと、謎の空想が思い浮かぶ。
難解
2021/04/06 14:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに惹かれて購入し読んだが、解説は文字の神化論と書くが読み込むには難解。
帯にあるように奇書かもしれない。連作短編集をとっているのでどこからでも読めると言うが読むごとに理解が難しい面もある。スマホ・辞書・参考文献・隠された物語や言葉を知らないと楽しめないかも。解説は後で読むのが常道だがこの本は先に読むのもありかもしれない。
文字渦、マジか
2021/04/30 11:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文字同士が戦い、兵馬俑が登場し、ルビが本体の漢字を離れて勝手に語りだし・・・。私の理解の範疇を超えた作品で、文字の渦に飲み込まれました。ある意味文字「禍」と遭遇した感じ。