紙の本
なぜこの小説が選ばれた?ジャンル間違いです。
2021/07/19 03:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トワニ - この投稿者のレビュー一覧を見る
つまらない。もっと正確に言うと間違っています。
ポプラ社小説新人賞は「エンタメ作品を募集」となっています。
しかし、この小説はエンタメではありません。明らかに純文学です。
エンタメを募集する賞で純文学が受賞したことが間違っています。
理屈っぽくて面倒くさい文章表現。会話文も地の文もそうです。
ストーリーも特に盛り上がりがありません。
どこがエンタメなんでしょうか?
こちらは「ポプラ社小説新人賞はエンタメ作品を募集している文学賞なんだからエンタメとして楽しめるんだ」
と当然思います。そうでしょう?なのになぜ純文学?大きく期待を裏切られてしまい、それと同時に
「なんでこれを受賞させた?ジャンルが違うのに」という感想しかありません。
芥川賞で推理小説が選ばれたらおかしいでしょ?芥川賞作品を読む人は純文学を望んで読むんです。
なのにエンタメ小説だったらがっかりするし、憤りさえ覚えるかもしれません。
この作品はその逆なんですよ。
だったらせめて「エンタメでノンジャンル作品募集」じゃなくて「ノンジャンルで募集」とするべきです。
とにかく間違った作品が選ばれた、という印象だけが強く残った作品でした。
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「小気味よい毒と、圧倒的な健やかさ。
このひとだけの世界が持つ吸引力に、
読み始めてすぐ、周りの音が聞こえなくなった。」
――村山由佳
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、
道端で大泣きしていたところを拾ってくれた
菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。
そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。
何事にも自信を持てなかった妙だが、
ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。
人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、
心のすきまにしみこむ温かな物語。
選考委員の満場一致で選ばれた、
第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
特設サイト http://www.poplar.co.jp/violeta/
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本を開くたびに、自分ではわからない感覚になる。
遠い遠い昔、夢中になって読んだ絵本のような、
毎週発売を楽しみにしていた連載少女漫画のような、
なぜかリアルなものというより、「動く絵」
アニメのようなものが私の脳に入ってくる。
ちょっとつま先立ちのような、
落ち着かないものが伴う感覚。
主人公の妙の性格のように、
少しずつ少しずつ時間をかけて入ってくる。
作者の独特の空気感、気付かされる会話。
婚約者からある日突然別れを告げられ、
雨の道端で泣いているところに出会う菫さんに助けられ、
菫さんの店の雑貨屋で働く妙の物語。
疲れていたせいか…何だかストーリーや
登場人物のキャラクターがふわふわ浮いている気がして
入り込むまでに時間がかかりました。
(私の気持ちが浮いてたのかもしれませんけど)
少しずつ妙が周りの人のことをわかっていくように
私もこの物語に少しずつ入っていった気がします。
会話の所々に出てくる言葉は好きでした。
デビュー作なんですよね。
この個性的な独特な感じ、すごいですね。
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(2015.06.05読了)(2015.06.03入手)
小さな箱に、有形・無形の思い出の品物を入れて庭に埋める、という商売をしているというお店の話を読んで、小川洋子さんの「薬指の標本」という作品を思い出しました。
もちろん内容は違いますが、似ている面もあるような気もします。
題名の『ビオレタ』は、主人公の勤める雑貨屋さんの名前ですが、英語ならバイオレットでしょうから、店の主人の「菫さん」のことでもあるのでしょう。
主人公は、27歳の女性、田中妙さん。兄弟は3人で、姉(蘭・32歳)と弟(玲・23歳)がいます。姉と弟はすでに結婚しています。妙さんは、婚約を機に勤めていた会社を辞めました。やりがいのある仕事でもなく、上司ともうまくいっていなかったので。
ある日、婚約者に呼び出されて、会ったら、婚約を解消したいということでした。
雨のふる道端で泣きぬれていたら、菫さんに拾われて、雑貨屋さんでアルバイトを始めました。仕事は店番と菫さんの昼食作りです。お客さんはほとんど来ないので、割と暇です。
たまに、お使いに出されます。取引先の、チトセボタンの主人・千歳健太郎・45歳と親しくなり、情交を交わすようになりました。妙さんは、淡泊な情交が好みということです。
しつこいのはいやなんだそうです。
菫さんには、男の子ども(蓮太郎・20歳・学生)がおり、時々お店にやってきます。
そのうち、菫さんと千歳さんは、元夫婦だったことがわかります。
妙さんとしては、戸惑いますよね。店の主人の元旦那と深い中になっていて、その子どもも身近にいるわけですから。雑貨屋の帰りにチトセボタンによって帰ったりしていたのですが、たまには、泊まったりしていたわけですが。(結婚するまでの気持ちはなくて、次の人が見つかるまでのつなぎ、という気持ちだったようです。単なるセックスの相手でも自分を必要としてくれる人間がいるだけでいい、ということでしょうか。)
チトセボタンへは、足を向けなくなります。
そんなときに、伯父さんから、自分の会社に来ないかという誘いをうけます。
雑貨屋での自分のやれる仕事もできて来たし、やりがいも感じてきたところなので、伯父さんの申し出は断ります。
菫さんや千歳さんの事情も分かってきて、千歳さんと一緒になってもいいかな、と思うあたりで、物語は終わります。
作者の書きたかった物語は、しっかり表現できているのだろうとは思いますが、一度読んだだけで、しっくりと読み手に伝わっているかというと、もう一歩のような気がします。
(婚約を解消され、自分に自信を失った人間が、再び自信を取り戻すようになるまでの物語。)
●人間の標準仕様(107頁)
「さびしいのは標準仕様でしょ。なんていうか。人間の」
●必要(125頁)
必要とされていないのがつらい。
いてもいなくてもどうでもよいような存在である自分、というのがつらい。
●勘違い(139頁)
「色恋沙汰の大半は勘違いよ。勘違いからはじまって、勘違いで盛りあがって、勘違いですれ違って、別れちゃったりね」
そもそも恋愛感情って脳の勘違いだっていうもんねー
●小心者(155頁)
「男はみーんな小心者ですよ。でも見栄っ���りでもある。嫁さんやこどもにそんな姿は見せたくない」
●母性(208頁)
すべての母親がすべてのこどもに無条件に愛を注げるわけではない。どんなろくでもない女でもこどもを産みさえすれば母親になれるもの。
●居場所(215頁)
ここは自分の居場所じゃないと思いながらここ以外のどこにも行けないなんて、かわいそうだよね。居場所なんて、自分がいまそこにいる場所以外にないのにね。
☆関連図書(既読)
「薬指の標本」小川洋子著、新潮社、1994.10.30
(2015年6月6日・記)
内容紹介(amazon)
「小気味よい毒と、圧倒的な健やかさ。このひとだけの世界が持つ吸引力に、読み始めてすぐ、周りの音が聞こえなくなった。」 ――村山由佳
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、 道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。
何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。
人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心のすきまにしみこむ温かな物語。
選考委員の満場一致で選ばれた、第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
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最初の⒈ページを読んで、「あ、これ好きだ」と思ってしまった。
一方的に婚約を破棄される。しかも寿退職までしてたのに。って、女にとってこれ以上ひどいシチュエーションないですわね。
そんなどん底で知り合う人たちが誰も彼も少し変わっていて少し面倒くさくて、そして少し優しかったら、なんかちょっとまた頑張れそうな気がするよね。
設定も登場人物のキャラも話の流れも、どれも新しさはないけれど、それでも最後まできちんと読みたくなるのはこの作家さんがかもしている独特の雰囲気ゆえか。
そう、古典的名作が何度読んでも面白いのと同じで、同じようなモチーフであったとしても面白い小説ってあるんだなぁ。
読み終わった後、家族や友だちとしゃべりたくなる。これといって話題がなくても、とにかく顔を見て話をしたいと思う。そんな、優しげな物語。
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偶然なのだけれど。内容を知らずに借りた本が、二作連続で婚約破棄されたところから始まった。何かの暗示だろうか。
それにしても。すごく、異様な関係だなあ、と思う。けど、人間は自分の不足を補い合いながら生きていくものだと思うから、こんな形もあるのかもしれない。
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ブクログさんから献本でいただきました。
心に棺桶を。
その言葉を唱え続ける菫さんの覚悟と、それを知って変わっていく妙と、妙を受け止める健太郎が、それぞれが同じだけ愛おしい。そこに確かな毒があるのに、美しい。そして健やかさえ感じる。
ビオレタにはきっと音がない。だからこそ美しくて、吸い続けた息をようやく吐き出せたような、安堵を覚えるのだと思う。
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献本当選。ポプラ社新人賞だそう。納得の行かない婚約破棄で傷つき道を見失った主人公・妙にとって、菫さんのぶっきら棒で頓着しなさは自分を見つめ直すのに丁度いい加減だったのだろうな。ありそうで無さそうな登場人物&人間関係。いや、私が知らないだけでこんな人たち居るのかな?こんな関係あったらいいなと思わせる読み心地です。女性読者にうけるかも。
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とても優しい本でした。
文章が上手でサクサクと頭に入ってきます。
設定が手作りの手芸屋さんを舞台にしていたり、
失恋したばかりの女性が主人公だったりと、
かなり安直かな、、、と読み始めは思いました。
つまり、
初めは淡い雰囲気で何気なく読み進めたのですが、
次第に主人公の苦悩や焦り、苛立ちが自分自身と重なってきました。
「あ、、、分かる」。
劣等感と言う名のコンプレックスから来る妄想が、
相手の気持ちを勝手に斟酌して作り上げ、やがてそれが固定化していく。そして気がついたら、その妄想に雁字搦めになりもがいて行く様が、なんと私であろうかと、思いました。
そして、周りの人のそれぞれの人生を織り交ぜながら、
自分の気持ちを見つめ、乗り越え、そして超えられないものは「折り合いをつけていく」ことを主人公は学んで、小説は終わります。
読み終えた後のうっすらとした涙と爽快感がたまらなく良かったです!!!
本当に素敵な小説でした♫
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2015年6月25日読了。ブクログの献本企画で入手した本。第4回ポプラ社小説新人賞受賞作。婚約破棄され、何に対しても自信を持てない妙は「棺桶を売る」という奇妙な雑貨屋・ビオレタで働くことになり…。主人公の妙が自分の中で毒づくフレーズの選び方・センスは結構おもしろい。雑貨屋での仕事を通じ、強いように見えた人々の弱さや「強さの理由」を知り、妙が成長するという話なのだが、主人公の変化が分かりにくかったり「なぜ菫は妙を働かせたのか?」「なぜ千歳は妙を好きになったのか?」の理由が「…なんとなく」としか説明がつかないこと、「棺桶を売る」という仕事内容が物語にカッチリ噛み合っていないことなどが残念に感じた。新人賞受賞作、というのはこういうものなのかな?
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◆あらすじ
道で泣いていたら、棺桶屋で働くことになった。
◆帯コメント:村山由佳さん
小気味よい毒と、圧倒的な健やかさ。
このひとだけの世界が持つ吸引力に、読み始めてすぐ、周りの音が聞こえなくなった。
◆感想
しょんぼりしていた主人公が店主に叱咤激励されたり、恋人とのんびりして、前向きになる話。
自分は誰からも必要とされていないのではないかと考えることはとても怖いけど、誰かに自分を認めてもらえれば、前向きになれる。誰かを大切にしたり大切にされたくなった。
読みやすいけど、文章が少し独特なので今の言葉にして発してたのか、と何度か思った。
◆メモ
キャンペーンで頂きました\(^o^)/
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表紙に惹かれて図書館で借りました。
婚約者にフラれた内向きで後ろ向きな主人公が他者との関わりで成長していく話です。
私は主人公側の人間なのでそこは共感できました。
考えていることや思っていることを人に伝える、という考えすら湧かない(と言ったら言い過ぎ?)、技術がない人間の描写は的を射ていると思います。
読み終えるとそれを言ってみようかな、と少し前向きになれました。
言葉選びもうまいし面白いとは思ったのですがそれだけかな?
特に強く印象に残るというわけではありまへんでした。
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雨の日にしとしとと降る雨のように、温度は高くなく淡々と進んでいく物語。恋人に婚約破棄された私が主人公。
読み終わって思ったのは、こういうお話はやはり大好きだと思う。
今後読み進めてみたい作家さんになりました。
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婚約者に捨てられた女性が街角で泣いていたら、一風変わった雑貨屋の女主人に拾われる。(これは正に「拾われる」という感じで、この小説の雰囲気の一端を表している)
雑貨屋で働き始めた女性は、その後、女主人周辺の人々との交流を通じて、自分でも気付いていなかった心の壁を少しずつ壊していくことになる。
派手な出来事は何もないのだが、終盤に女性が人々とのつながりを改めて見出していくくだりは、心にじわっと染みる。
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こうやってふたりでいても、さびしいよ。でもそれは当たり前のことなんだよ。だからほんの一瞬でも、誰かと気持ちが通じ合うと嬉しいんじゃないか。その一瞬のために、声や目や手を駆使して伝えるんじゃないか、と語る千歳さんの指はぱたぱた、ぱたぱたと動き続けている。
(P.107)