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電子書籍
法華経とは何か その思想と背景
著者 植木雅俊 著
『法華経』は、釈尊入滅から約五百年後、紀元一世紀末から三世紀初頭のインド北西部で誕生したとされる。日本には六世紀半ばに伝わり、『法華秀句』を著した最澄や「法華経の行者」を...
法華経とは何か その思想と背景
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法華経とは何か その思想と背景 (中公新書)
商品説明
『法華経』は、釈尊入滅から約五百年後、紀元一世紀末から三世紀初頭のインド北西部で誕生したとされる。日本には六世紀半ばに伝わり、『法華秀句』を著した最澄や「法華経の行者」を自任した日蓮から、松尾芭蕉、宮沢賢治に至るまで、後世に広く影響を与えた。本書では、サンスクリット原典の徹底的な精読を通じて、「諸経の王」とも称される仏典の全体像を描き、平等な人間観に貫かれた教えの普遍性と現代的意義を示す。
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紙の本
著者の「法華経解釈論」を堂々と紹介
2020/12/29 21:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
長年法華経を研究している著者が、法華経の原典をどう解釈するか、著者独自の論を惜しみなく当書で紹介した1冊です。難しい研究ですが、当書は表にまとめるなど、中公新書としては分かりやすく説明されています。
当書を読んで最も勉強になったのは、法華経解釈の研究者が国内に数多くいらっしゃる事実を知ったことです。著者は当書で、自論と違う解釈には堂々と理詰めで反論しています。著者の研究者としてのプライドがヒシヒシと伝わる内容でした。ためになる話でした。
紙の本
サンスクリット原典の徹底的な精読を通じて法華経の神髄を明らかにした貴重な一冊です!
2021/03/02 10:32
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『仏教、本当の教え』、『仏教学者 中村元』、『梵文「維摩経」翻訳語彙典』、『梵文「法華経」翻訳語彙典』などの宗教についての興味深い著作で知られる植木雅俊氏の作品です。同書の中で筆者は、「諸経の王と称される大乗仏典『法華経』が誕生したのは、釈尊入滅から500年ほどのち、紀元1世紀末から3世紀初頭のインド北西部だとされ、538年の仏教伝来によって日本にもたらされると、宗教・文化・社会に絶大な影響を与えた」と述べられています。同書は、『法華経』成立の背景から、各章の詳細、全編を貫く「人間主義」の思想性に至るまで、その全貌を解説した貴重な一冊です。サンスクリット原典の徹底的な精読を通じて明らかにした教えの真意と現代的意義を分かりやすく説いてくれます。
紙の本
誰もがブッダになれる
2020/12/27 11:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
法華経といえば南妙法蓮華経というフレーズが有名だが中身は全然知らなかったので勉強になった。権威主義化していた当時の仏教に対して元祖仏教の理想に還れと性別や身分に関わらずブッダになれるんだと説いた教えだということがわかった。(と言っても原始仏教と法華経の世界もまたかなり変容していると思うので原始仏教=法華経の理想と捉えるのは言い過ぎではあるが)
紙の本
どことなく感じる「人間主義」の教団
2022/09/23 00:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般の読者向きの本に「人間主義」という某教団が使う言葉を使わなくてもよさそうなものだが、所謂「小乗仏教」の集団は大乗仏教のはずの某宗門の管長や僧侶を暗喩しているような感じがするし、法華経の菩薩達は某教団の歴代会長を連想してしまう。ひょっとしたら維摩経の翻訳も似たような文脈での仕事なのだろうか。
翻訳同様、岩波文庫の先行訳に対する批判が目立つのは、それだけ「粗雑」なのだろうか。
南伝仏教とか上座部仏教とかいった言い方をしないで、昨今は大乗仏教に対して差別的だと忌避されているはずの「小乗仏教」という言葉が頻発するのが辟易する。法華経という大乗経典の魅力を説いていても、ここが引っかかる。
法華経が日本の文化や習俗に強い影響を与えた事自体は事実だが、それは般若心経や浄土三部経も言える事だ。
普賢菩薩勧発品にある差別的な文句については一切触れない。ここは重要な事で、忍性菩薩の活動を「鎌倉幕府に癒着した売僧良観」と批判していた日蓮の思想に結びつくからだ。言い方を変えれば日蓮は自分では何もしないで忍性の活動をケチつけるだけという事になる。
これと関連するのは「良心の危機」によると、ものみの塔の日本支部の監督だったロイド・バリーが執筆した「あなたを幸福にする良いたより」に第28品を引用した上で「「愛の神」エホバ」の慈悲深さを強調している。ものみの塔の出版物は匿名で刊行されるだけあって、「ヤコブの手紙の注解」という例外はあるにしろ、執筆者の個性が感じられないのが特徴だが、この本は少し違う。おそらくバリーが日本での布教活動で法華経を経典とする諸教団や某教団をはじめとする日蓮系新宗教などを調べる際に読んで、あげつらう為に引用しているのだろう。
変成男子を批判するフェミニストに対して女性差別があるインド社会では女性がそのまま成仏出来ると唱えるのは命の危険があるから、と方便で男性になったという「妥協的な表現を取ったといえる」とあるが、確かにそういう面はあるだろう。しかし歯切れが悪くて護教論的だ。「トマスによる福音書」にも類似した語録が収録されているので、共通点があるのか、それともどちらかがどちらかに影響を与えたのか、と思ってしまう。
陀羅尼品以下は後で付加されたものだとあるが、提婆達多品と違って漢訳では付加されていない法華経はないから、それまでの内容との異質さで論じているみたいだ。観世音菩薩普門品が観音経として独立して流布したように強い影響を与えた事まで「偽経」であるかのように扱って矮小化する必要があるだろうか。
この本で論じている法華経論自体は興味深いものはあるけれど、どうも気になる点が多い。