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地政学を知るとニュースが面白くなる
2022/03/08 05:36
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投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
地政学という学問の名前は知っていたが、内容はよくわからなかった。
教養としての という副題にある通り、知っているとニュースや歴史が大変面白くなる内容だった。
入門として大変よい本だと思う
紙の本
地政学から日本の、世界の歩むべき道を示す
2022/02/13 11:46
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投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
地政学を、陸、海の世界史とマハン、マッキンダーの著書から読み解く内容である。
陸は如何に国同士のサンドイッチを実現あるいは回避するか、海は如何に交易路としてのシーレーンを確保するか、という視点で世界史を見ていくと、その興亡がよく分かる。
特にマッキンダーの著書を概説してくれた章が印象的であり、100年前に刊行された著書は現在の世界情勢にも通ずるものがあり、その慧眼に驚かされる。逆に言えば、100年経っても人類は同じような争いを繰り返しているということでもあるが。
日本が地政学的にどういう道を歩むべきか、という点については、まさにその通りだと思う。資源はないが、経済的には世界的にトップクラスに位置しており、組むべき候補が少なく、現実的にはアメリカしかないこと、一方アメリカは日本だけが選択肢ではないことから、日本が進むべき道を説いている。
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引っ越しできない状況の中で、平穏な生活を脅かすような「隣人」が現れて、両側を挟まれてしまったらどうするか? 私たちが普段の生活において直面してきた問題であろう。個人なら自分が逃げられればよいが、国だとそうはいかない。まさに悩みどころである。
本書は、地政学をその「国が引っ越しできない」状況になぞらえてわかりやすく説明している。通読すると、古今東西、世界の様々な地域にこうした悩みが発生し、そのたびに政(まつりごと)を取り仕切る為政者はあらゆる策を講じてきたことが見えてくる。
世界の歴史に関する多くの本を著してきた著者だけに、本書の筆致はやさしく、わかりやすい。予備知識がなくても地政学を感覚的にとらえることができる。また世界史の知識がある人なら、それを思い出すことで、歴史的背景と地政学の組み合わせで立体的に理解できる効果がある。人は産まれる場所を選ぶことができない。そして、その地域や時代によって、その人の人生に大きな差ができてくる。その歴史のダイナミズムも垣間見ることができるだろう。
もう1つ興味深いのは、科学技術の進歩によって地政学も少しずつ変わっていっている点だ。著者は「原子力空母の存在が海の地政学を変えた」と指摘し、具体例としてアメリカ海軍の機動部隊「空母打撃群」を挙げる。21世紀の地政学は今後、技術の進化に足並みをそろえてさらなる変化を遂げるのかもしれない。そうした未来を想像するのにも役立つ一冊だ。
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地政学を「ランド・パワー」「シー・パワー」に分けて論述しているものの、どちらかというと地政学を切り口にした歴史の考察、というべきものである。
地理的関係が歴史にどういった影響を与えてきたか、という点については詳細に書かれている。
歴史を題材にしている考察が中心にされているため、現状の地政に関する記述は少ないが、十分に好奇心を満たしてくれる書籍となっている。
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欧州の歴史を振り返りながら説く陸の地政学。大航海時代からの海の地政学。地政学という名は冠されているが、基本的には歴史解説の書のように感じた。
最後の日本の地政学の解説は、歴史に詳しい著者らしい鋭さで、非常に勉強になった。
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ある程度の世界史と地理の知識がないと全くチンプンカンプンだと思われるので、万人向け入門書ではないが、地政学を考える上で羅針盤となるような優良書。著者の博覧強記とわかりやすい教授力は驚嘆もの。このような本が読みたかった。
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日本は資源はないが経済大国ではある。周辺の国とトラブルを抱えているが、ロシアと中国が太平洋に出ていく障害になる。日本にとってのパートナーはアメリカ1人だが、アメリカのパートナーは日本1人ではない。真の勇気は一つだけであり、それは現実を直視してそれを受け入れる勇気である。
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世界史を地政学視点から書いた本。地形もさることながら、気候変動も、人間の行動に影響して、歴史を変えてきたのだと感じる。
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海と陸からの見方で、国がなぜ興亡してきたか、を面白く読めた。今の日本の立ち位置、今後についても考えさせられる。筆者の考えとは違うところもあるが、今後中国がキーになるのは間違いないと思う。10年先、30年先にどうなっているか、よく考えて行動していかないといけないと、再認識した。
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2021年4月30日読了。
地理と地図が好きなので地政学にも興味があり、よく手に取る。
この本はバリバリの地政学の本ではなく、歴史に地政学がどのように影響したかを解説している本。
ヨーロッパの歴史、ローマ帝国の歴史、ハプスブルク家の栄枯盛衰に地政学がどのようにかかわりあっていたかを開設する。
まさに「教養」としての地政学。
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出口さんの相変わらずの大きな歴史観に圧倒される。特に陸の地政学における「サンドウィッチの具」は出色。
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ー それではその住民自身が案出した平等と幸福を管理する方法で、博愛という名前の自己抑制を具体化できるのでしょうか。博愛を自然に自覚するような感覚は、幼い時から一緒に暮らしていないと、なかなか育ちません。民族的な統一という理念だけで、自然な博愛の感情は育つのか?それは困難な課題なのではないか?マッキンダーは世間一般でナショナリズムと呼ばれるものは、幸福の権利を要求する際に個人の力によるのではなく、単に共同の力で要求しているに過ぎないと指摘します。そこでは博愛の精神が捨象されがちであることを、暗に指摘したかったのでしょう。
個人の自由から民族の自由へと、自由に対する要求は発展してきました。そしてついに国際連盟が実現しそうな時代になって、マッキンダーは次のように考えます。国際連盟を実現きさせることは、フランス革命の自由・平等・博愛の三大原則を国際社会に持ち込むことである。そのことを諸国家で実現させるためには、各国に対して連盟がある程度の管理を行わねばならない。そうすることによって、諸国家が均整のとれた発達を遂げることが、国際連盟の理想となる。そのようにマッキンダーは考えました。さらに次のように言葉を続けます。
「各国家が均整のとれた発達をとげるという理想のなかに、われわれは博愛の理念にふくまれた自己抑制の原理を見るおもいがする。均整のとれた発達をしない国家は、やがて必ず独特な飢えの状態に見舞われる。これは不注意の結果でもあり、また時としてわざと犯罪的にされることもある。が、いずれにしても、その飢えは他国民の犠牲においてしか満たされない。」
この暗示的な文章は、例えばナポレオンの政治の根本が軍事独裁政権であったこと、第一次世界大戦に向かって暴走機関車のように突入していったドイツが選んだ経済政策が、略奪型の保護主義だったことを想起すれば納得できると思います。マッキンダーはこのような「飢えの状態」にある国家の暴走を無くすには、その国内における管理と同時に外からの管理を加えることが必要なのだ、と述べます。それが国際連盟の役割なのだと。 ー
思っていたより基本的で、歴史的な部分に注力されていて、現代における地政学にはあまり触れられていなかった。
だったら、マハンとマッキンダーを読めば良かったなと。特にマッキンダーの『デモクラシーの理想と現実』は読んでみたいな。
次は『貿易戦争の政治経済学 資本主義を再構築する』にしようかな。
それにしても、某国の「独特な飢えの状態」を「他国民の犠牲」で満たそうとするのは辞めてもらいたいものだ。だからと言って某国がそれに介入するのも不信感しかない。
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世界地図を南半球を上にして、ユーラシア大陸と日本列島、そして太平洋を眺めてみる、という視点は、日本の地政学的な特徴を説明するのにこれほど適切なことがあろうか。目からうろことはまさにこのこと、と思う。
また氏は、いまだに日本の社会では戦後の成功体験をひきずった「根拠なき精神論」が横行していると指摘している。「日本ファーストはかっこいい」、「中国は嫌い」などの言は、なんの根拠もない放言に過ぎない。世界の常識は「エビデンス、サイエンス、専門家の知見」に基づく意思決定にあるという。深くうなずくばかりである。
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地政学の視点から世界史を振り返る。稀代の読書家の1冊はさすがに読みやすい。
最近著作の多い出口治明氏の作品。分かりやすい語り口で、地政学的な視点から世界史を語る。
日本の置かれている地政学的な現実に関する提言が、筆者のポリシーが確固としており大いに共感できる。
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今回も半端ない納得感で満足の読了。サンドイッチの具にならない外交が軸であること、世界の端の出来事がもう一方の端の出来事へと繋がってること、「なぜか日本人は現実を直視しない、リアリズムに欠ける放言に影響されやすいこと」、日本国内の歴史についても地政学的なアプローチができること、沢山学びました。マッキンダーの「デモクラシーの理想と現実」には出口先生の思いが詰まってそう。いつかチャレンジしたいです。