まさかここまでとは
2022/03/17 17:09
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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が安いから海外から観光客が来るのだと聞いてはいましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。労働者の賃金を上げる、労働生産性を高めるなど早急に手を打たなければ、日本は貧しい国になってしまうでしょう。そういえば、私の単価も10年近く全く上がっていないことに気づきました。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディズニーランドの入場料やビックマックの国際価格との比較で日本の「安さ」が明確な現状。思えば「お、も、て、な、し」も、サービスの強要、サービス業に対しての値切り感ではないのか。
日本のシビアな凋落を浮き彫りにした一冊です。
「お人よし国家」日本の末路(最期)を予感させる一書
2022/04/09 18:03
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで、デフレ一般について論じる書籍は汗牛充棟であったが、海外との比較などを踏まえ、「安さ」のもたらすネガティブ・インパクトについて、このように具体的な警告をわかりやすくかつ明瞭に示してくれたものには個人的には出遭わなかった。取り上げられている個々の事象に関してはそれぞれ断片的に聞きかじってはいたものの、そういった点と点がつながり、大きな見取り図を与えられたという印象。時宜を得た好著だと思います。
ただ、著者いわく、「既に処方箋は見えている」(233頁)とのことだが、それは本当なのか?
本書を読んでの私見としては、今の日本はとにかく、(1)賃金上昇(実質賃金のアップ、企業が溜め込み過ぎ、配当をしても多くを海外投資家が持っていってしまうのが実情)、(2)金利引き上げ(ゼロ金利は実質的に個人から金融機関・企業への所得移転、非効率・低生産性の企業などが温存される(淘汰が起きない)大きな原因、日本経済はこのままでは「低体温化」で死に至るのは必定)、(3)税制・税使途の抜本的見直し(中間層への課税が「酷税」状態、資本・配当課税の強化、あと税金のバラ撒き(例えば、近時のGo Toや飲食店への協力金支払い)は相対的には意味がなく国民一般の依存体質を増長させるだけなので止めるべき)の三大改革をやらないともう持たないだろうなと思う昨今です。
物価がやすければ良いというものでもない
2021/07/01 21:52
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は日本経済新聞に掲載された「安いニッポン」などの記事をベースに加筆されたものである。著者は「はじめに」で、本書執筆の動機・問題意識を次のように記している。<「安さ」は生活者から見ると「生活しやすい」が、供給者の観点では収益が上がらない。すると賃金は据え置かれ、消費が動かず需要が増えない悪循環に陥る。いったん下げた価格は再び上げられないため、企業はなるべく値下げせずに最低限まで生産コストを下げたくなる。果たしてこれで、世界の秩序をガラリと変えるようなイノベーションが生まれるだろうか。個々の企業にとっては最適解でも。「安さ」はまさしく、日本の停滞と結びついているのだ。>本書で紹介されている日本の物価や人件費が安い一例を次にあげる。◆訪日外国人で込み合う家電量販店の幹部のつぶやき、「彼らは日本が素晴らしいから何度も来ているんじゃない。お買い得だから来ているだけだ。」◆赤城乳業の氷菓「ガリガリ君」が25年ぶりに60円から70円に値上げしたことをニューヨークタイムズが1面で取り上げた。日本は景気低迷で物価が上昇していないため、企業の値上げが重要ニュースになることを驚きを持って伝えた。◆日本の労働生産性が主要先進国で最下位である背景の一つに、日本の価格付けの安さがある。◆日本の賃金は安い。その結果日本を代表する大企業のNTTグループでさえ研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる。日本企業がインド工科大学のIT人材の学生を採用しようとしても給与の壁が人材獲得のネックとなっている。◆技術があるのに日本の大企業が興味を示さない中小企業を海外企業が安く買いたたいている。
こうした現状を踏まえると、日本を長期停滞から脱出させるための政策として、適度な物価上昇とそれを上回る賃金アップが必要であることがわかる。
日本の現状がわかる
2021/04/15 19:18
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投稿者:アイス - この投稿者のレビュー一覧を見る
身近なマクドナルドのビッグマックで日本のやすさがわかり、港区の給与がサンフランシスコでは低所得になることを例に日本のやすさを示していて今の日本の現状に少し危機感を感じた。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何十年もの間、停滞してきた日本の今後について、いろいろな角度から分析されていて、よかったです。どうなるのか、興味深く読むことができました。
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日本のデフレ社会による生じている賃金が上がらず商品の値段も据え置きになり、他国から買い叩かれるやすい国になった原因が書かれた本。
大変読みやすくためになる。
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あっという間に読みました。理由は、おそらくイメージで感じる現代ニッポンの凋落した姿が強烈な事実に基づいて見せ付けられたからかも知れません。
やっぱりそうなんだ、と。
個人的にバブル崩壊から数年は海外に出向き、海外安い、という印象が強烈でしたけど、もう全然違っている。作中識者が今後の策を提案していますが、本当はもうロジックでは無く、黒船的な革新が無いと変われないという結構手遅れなとこまで来てる気もします。クールジャパン、憧れの国日本は、もう幻想でしかないし、気づけば国が金で買われてた。なんてことになってるかも知れません。英語と会計は勉強しよ。
でもこの本のアジテーションも一部の事実だけ取り上げただけのことかも知れません。ファクトフルネス、いいとこも見つけてみようニッポン!
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新聞記者(社会部で経済担当)による、生産性の低い日本の実態について書いた本。世界の水準と比べあらゆるモノの価格が低くなっている日本の状況がよく分かった。それにより、人材が引き抜かれたり、高度な教育が受けにくくなっていたり、企業が買収されたり、経済成長が阻害されるなど、いろいろな弊害も理解した。モノやサービスの価格が低いということは、国際競争力があるということなので、ここをうまく利用して成長していくビジョンを立てて行動していく企業が数多く出てくることを祈りたい。
「ディズニーランドやダイソー、ホテルなど様々な価格が世界と比べて安く、賃金も上がらず、世界の成長についていけない日本の停滞がにじんでいる」p4
「(中国人観光客)近くのホテルを予約しても1人合計2万円かからなかった。日本はいつもコスパがいい」p17
「中国から調達する商品もあるにもかかわらず、中国より日本は安いのだ」p25
「ダイソーが商品価格を100円に統一したのは1977年のこと」p27
「回転ずしは「1皿100円」を打ち出しているチェーンが多く、それに対して高級なすし店が「回らないすし」と称される」p29
「アメリカでは、物価が2%ずつ上がるが、給料は3%ずつ上がっている」p42
「価格を下げてもサービスや品質を一定に保ち提供できている日本は素晴らしいと思うが、その技術など目に見えにくいところへの還元がされていないと思う」p68
「1億人しかいない国で、市場規模や需要の成長性に関係なく多くの産業で企業グループの数だけプレーヤーが存在するために、過当競争で値下げ合戦が繰り返された」p72
「港区の平均所得1200万円はサンフランシスコでは「低所得者」」p81
「一般的にサービス分野は輸出入できないためグローバル化で規模の経済性を追求できない。そのため労働生産性は製造業よりも低い、というのは世界共通だ」p97
「NTTの幹部は「研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる」と明かす」p109
「日本の給与の低さだと、世界で戦うグローバル人材は獲得できない」p111
「(世界的に優秀な学生を輩出しているインドのIITハイデラバード校)デイ・ワン(就職解禁第1日)で、対象となる600~700人の学生のうち約70人が内定を得た。コンピューター・サイエンス学部では、マイクロソフト、アップル、ゴールドマン・サックス、オラクル、クアルコム。日本企業による採用はなかった。日本企業はそもそも知られていない」p114
「IITで募集する採用条件に「日本語を話せる人」と出す企業がある。「スタンフォード大学でコンピュータを学んだ学生に「日本語を学んできてね」という企業があるだろうか。時代錯誤もはなはだしい」p118
「(ニセコは割安)2020年12月には、マリオット・インターナショナルが日本初となる「リッツ・カールトン・リザーブ」をニセコに開業した。「リッツ・カールトン」の最上級ブランドで、世界に5つしかない。高級ホテル「パークハイアット」も、東京、京都に続いてニセコを選んでいる」p156
「近年では長野県白馬村や沖縄県宮古島市などが「ニセコ化」してきたと言われている」p164
「中国最大の国有企業CITICグループのファン��、CITICキャピタル・パートナーズは2004年から2019にかけて合計で約350億円を投じ、日本の中小14社を買収した」p167
「町工場などを運営する多くの日本の中小企業が、続々とアジア国籍になっているという実態だ。「廃業を防ぐには、中国企業が頼みの綱だった」という会社もあった」p170
「市場が拡大する中国にとって、日本のアニメーターは喉から手が出るほどほしい。日本の年収の3倍でも軽く出せるので、今後も中国勢からの人材引き抜きは激しくなるだろう」p178
「ある時、カラード社の人手が足りずに日本の制作会社に作画を外注したところ、中国本社から厳しく突き返された。「中国は豊富な資金力でデジタル作画の設備がそろい、アニメの質が格段に向上している。日本の待遇の悪さは質の低下、最終的には業界の停滞につながりかねない」p183
「これまでは中国が日本アニメの下請けだったが、もはや逆転している。スキルの継承が進まなければ、やがては海外からの発注もなくなっていく」p184
「日本の購買力が落ちた根本原因は、実質賃金が上がらないため、海外の成長している経済に比べて、日本の家計がどんどん貧しくなっていることにある。なぜ賃金が上がらないのか。それは日本の労働者の生産性が上がらないからだ。なぜ生産性が上がらないのか。AIなど21世紀に必要とされるスキルを学生や労働者が習得できる環境を、大学も企業も提供していないからだ」p238
「高齢化で膨張する社会保障給付の財源を、増税ではなく現役世代の社会保険料引き上げでまかなう仕組みを整えてしまった。政治的には最も取りやすいところから徴収したわけだが、日本経済の大きな重石になった。事実上の労働課税であり、消費が低迷するのは当然だ」p248
「日本の賃金水準がいつの間にかOECDの中で相当下位になっている(G7で最下位)」p250
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なかなかに深刻な「安さ」についてのお話。
もうちょい英語力つけて、何年か海外勤務も真面目によいと思えてきた。
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この本の存在は以前から気づいていたのですが、読むと悲しくなりそうで遠ざけていた本でした。しかし57歳の誕生日を迎えた令和3年3月の誕生日にやはり読むことにしました。
平成元年に就職して社会人生活30年を過ぎましたが、入社時頃に経験した株価はまだそれを超えておらず、土地も物価もそんな感じです。昔は価格が下がることは安く買えて良いことだと思っていましたが、これも数十年続いてしまうと大変なことになってしまうのだということを改めて感じました。
現実を真摯に受け止めた上で、今後自分はどうすべきかを考えさせられた本でした。今年(令和3年)のGWは外へ出ることを制限されているので、家にこもって思いを巡らすには十分な時間が取れそうです。
以下は気になったポイントです。
・海外と日本の価格差は大きく3つの理由がある、1)物流費、2)人件費や賃料などの現地経費、3)関税や検査費(p25)
・くら寿司では廃棄りつが業界でもトップクラスに少ない3−4%、さらに調達においても、定置網の「一船買い」を開始している、船で取れたどんな魚でも全量買い上げる仕組み。これにより国産天然魚メニューも安価に提供できる、全国110の漁港とも直接取引をしている(p31)
・日本は長いデフレによって企業が価格転嫁するメカニズムが破壊されている、製品値上げができないと企業が儲からず、企業が儲からないと賃金が上がらず、賃金が上がらないと消費が増えず結果的に物価が上がらないという悪循環が続いていて、日本の購買力が弱まっていった(p38)
・この20年間、日本の物価は殆ど変わっておらず、平均インフレ率はゼロである。その一方でアメリカは20ねんかん、ほぼ毎年2%上昇してきた、20年で5割増となっている(p41)
・日本で過去最高であった1997年の実質賃金を100とすると、2019年の日本は90.6である、海外ではアメリカが118、イギリスは129である(p90)
・ドイツでは市場で欠品しても消費者は待つしか選択肢がない、日本では欠品しないように需要変動のピークに合わせて生産能力を持つため需要が落ち込んだ時に値下げをしてしまう(p96)
・日本企業は職務を限定せず、企業が新卒を一括採用して1から人材を育てる「メンバーシップ型」と呼ばれる、終身雇用を前提に社員の立場は安定的だが、転勤や配置転換などの業務命令に従わざるを得ない「無限定正社員」が一般的であった(p135)それに対して「ジョブ型」とは、職務を明確にした上で最適な人材を配置する雇用形態。職務定義書を提示して社内外から人材を募り、勤務時間ではなく能力・成果で評価する。この雇用は、職務分析や職務記述書の策定が大きな負担になる。中小企業では、組織内の従業員が担う役割をはっきりさせて、日々のマネジメントや評価、処遇との連携を強化する「役割型雇用」で十分だという意見もある(p137)
・ニセコには想像を超える外資マネーが舞い込む(固定資産税、旅行消費額など)が、手放しでは喜べない。不動産購入者は海外で暮らすため、物件の運用で儲けたお金は町内では使われない、外国従業員も母��に帰って給与を消費する。(p162)
2021年5月1日作成
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マクロで言えば、今の日本の経済が抱えている問題は二つに集約出来るのではないかと思う。一つは、日本の経済が成長しないこと。もう一つは、経済が成長せず、一人当たりのGDPや所得が増えない中で、個人間の所得格差は広がっていることだ。
本書は、二つの問題のうちの前者、日本経済が成長しないことによって起こっている、様々な現象についての問題提起である。
扱われている現象や問題は下記のようなものだ。
■物価が上がらない。国際比較をすると一目瞭然であるが、日本の物価は先進国の中で、あるいは、アジアの新興国と比べても相当に安い水準にある。これは、経済が成長せず、人件費も上がらないことの結果でもあり、原因でもある。
■上でも触れたが、結果的に賃金が上がらない。賃金が上がらないということは、所得水準・購買力が上がらないという事なので、経済成長が起こらないという悪循環となる。
■日本では物価が安いので、外国人にとっては、お値打ちの物が多く、色んなものが買われる。インバウンド需要や爆買いは、その典型。
■経済が成長しないということは、国際比較上、徐々に相対的に日本は貧しくなっているということ。国際価格がついているもの、例えば、水産物、あるいは、IT技術者の給料など、日本が買えなくなりつつあるものが増えている。
私は、2003-2004年にイギリスに留学して以降、2004-2008年はグローバルの事業開発に携わり、世界中の色んな国に年間100日くらい出張していた。また、2008-2013年はタイで駐在員経験をし、その後も、コロナ前までは、年間に何回かは海外出張に出かけるという生活をしていたので、日本国内の物価が相対的に安いのは、実感していた。
上記の内容は、特に目新しいことではなく、すでに、ある意味で共通認識になっていたことではあるが、改めて、整理して示されてみると、結構、衝撃的な内容である。
こういったことについて、エコノミストや学者等が、色々な視点でコメントや提言を行なっている。これも、なかなか面白いものだった。日本の雇用システムについてのコメントをされている方が結構多く、私自身が人事の仕事に携わっていることもあり、興味深く読んだ。ティピカルには、下記のような内容。
■雇用を流動化すべき。一人一人の価値、すなわち、賃金決定に市場価値の概念を取り入れるべき。これにより、賃金が上がる仕組みをつくるべき
■同時に、一人一人が自らの職業能力、すなわち、市場価値を上げるべく努力すること。国や企業は、その努力を後押しすること
こういったことは、結局は、終身雇用制度を崩すことになり、安定的な雇用という面では、混乱もあり得ると思う。しかしながら、中長期的には、こういったことにならざるを得ないのではないかと私も思う。
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世界的に見て日本の物価や所得が上がっていないことは感じており、成長性や競争力も国際的に低いことも理解している。
この本においては、その現実を色々な角度から伝えているだけなので、正直「そうだよね」という感想しかない。
一方で、何名かの有識者にインタビューを行っており、そこには日本の安さ、競争力の低さからどうやって抜け出すかという観点の意見が載っておりタメになると感じる回答も複数あった。
特に、物価上昇の前に賃金上昇が必要だよね、という意見には大賛成。
モノが高くても、収入が増えていればそこまでシビアにはならない。
ただ、勿論これも簡単に出来ることではなく、我々個人は日々惰性ではなくスキルアップに努めて生産性を上げ、企業もその努力や成果にきちんと対価を支払う必要がある。
正直、スキルアップしたら海外で働いた方が優遇されることも多いし、仕事と休暇のメリハリも出来て生き甲斐は感じられるだろう。
しかし、少しでも日本の未来や子供の為にも、日本に留まって出来るだけより良い環境を作る一助になれたらと思う。
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データに基づいた、とても理論的な内容。最近テレビで「外国人から見たニッポンのココがすごい」系の特集がされており、ニッポンは世界の中で地位も評価も高いと錯覚していた。
実際は長年続くデフレと労働賃金の下落によって、海外から安くない叩かれたり、優秀な人材が流出するなと様々な問題が起こっていた。
会社に対して賃金交渉するという発想すらなかった自分が少し恥ずかい。
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これまでも日本のデフレへの憂慮は語られてきた。で、どうするのかを(末尾にちょっと出てくるが、、、)語ってもらいたかった。