ことばは国家を超える ――日本語、ウラル・アルタイ語、ツラン主義
著者 田中克彦
英語を初めて学んだ時、文の構造の違いや動詞の活用などに戸惑われた方も多いだろう。しかし世界には、単語を入れ替えさえすれば文意が通じる言語が多数存在する。ウラル・アルタイ語...
ことばは国家を超える ――日本語、ウラル・アルタイ語、ツラン主義
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商品説明
英語を初めて学んだ時、文の構造の違いや動詞の活用などに戸惑われた方も多いだろう。しかし世界には、単語を入れ替えさえすれば文意が通じる言語が多数存在する。ウラル・アルタイ語族に属する朝鮮語、トルコ語、フィンランド語、ハンガリー語、モンゴル語などだ。これらの言語は、文の構造ばかりか表現方法、つまりものの感じ方までもが共通している。このことから、言語を軸に連帯をはかろうとする運動、ツラン主義が一九世紀にハンガリーで現れた。それは虐げられた民族からの異議申し立てであり、その水脈は今も生き続けている。
目次
- まえがき──この本を書く目的について/ヨーロッパの中の非ヨーロッパ語/ウラル・アルタイ語/ことばの仲間を見つけ出すこころみ/言語同系説と民族感情/言語学者たちの大冒険/『日本語がウラル・アルタイ語に属することの証明』/ウラル・アルタイ説とツラン主義/日本でのウラル・アルタイ学/言語学研究の二つのアプローチ/ことばとアイデンティティ/第一章 ウラル・アルタイ説の出現とその道のり/1 ウラル・アルタイ語族はどこにどう分布しているか/ウラル山脈とフィン・ウゴール語族/アルタイ山脈とトルコ族/トゥングース語と満洲/満洲語はいまも生きている/アルタイ語のなかまたち/2 最初に気がついたのは──スウェーデン人のストラーレンベルク/ロシアのシベリア研究/タッベルトの言語分類/3 ライプニッツの進言からエカテリーナ女帝の博言集への発展/人間にとって世界で最も重要な秘密/パラスの比較語彙集/言語と文学/第二章 言語の同系性を明らかにする方法/1 青年文法学派と音韻法則/考えそのものも表現も文法の中に現れる/音韻法則/エンゲルスと青年文法学派/2 自然科学主義と青年文法学派/青年文法学派の「青年」とは/音韻論受容の実際/アルタイ語の原郷/科学という妄信/音韻法則に対する根本的な疑問/3 「基礎語彙」論のあやうさ/アルタイ語と基礎語彙/言語年代学による水深測量/子どもがことばを変化させる/共通起源のたどりにくさ/朝鮮語から「山」が消えた/「畏れ」もことばを変える/ロシア語に「熊」がない/4 日本人の言語経験を言語類型論に結びつける/朝鮮語は驚くほど日本語と似ている/日本人の言語観が変わる外国語学習/第三章 言語類型論/1 類型論はフンボルトがはじめた/言語学の類型的研究/アルタイ語にはラ行ではじまる単語がない/言語の構造を追う/ベルリン大学をつくったフンボルト/フンボルトの言語類型論/人間の考え方は言語に限定される/外国語学習はまず観察してこそ/2 言語の三つの型/屈折型/膠着型/孤立型/屈折語のやっかいさ/英語を改良しようとした日本の文部大臣/孤立型の「舌足らず」性/3 言語の類型と進化論/類型の発生/フンボルトによる評価/中国語の内的豊かさ/屈折型は膠着型に流れる?/4 孤立語という難問/文法専門の道具/屈折型は膠着型より優れているのか/内的言語形式/5 語族ではなく「言語同盟」を──トルベツコーイ/トルベツコーイという言語学者/貴族だったトルベツコーイ/印欧祖語への疑問符/後置される冠詞/屈折語が優れている、というのは誤り/言語同盟/拡大された民族/6 膠着語に対する積極的評価/トルコ語は単純で論理的/英語の文法はムダで非論理的/変化しないままで変化する/7 言語類型の評価/膠着型言語の「不完全さ」/世界における日本語の位置/日本におけるウラル・アルタイ説論議の第一歩/第四章 日本におけるアルタイ語類型論の受容の歴史
- ほか
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難解ですが面白かったです
2021/05/05 10:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本語と同じような文法を持つ言語を数多く紹介した1冊です。どちらかというと、日本人にはマイナーな言語がたくさん紹介されています。
内容がないようなだけに難解ですが、読み進めるにつれ面白く感じました。途中、最大で1頁全面を飾る写真が使われており、読者を難解さから解放しようとしている体裁にはナイスアイディアと思えました。
ツラン主義、ウラル・アルタイ語
2021/09/23 20:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近読んだ本に出てきたツラン主義。そこにウラル・アルタイ語という今ではそんなに使われていない語族を取り上げた、題材だけから言っても稀少価値ある本。科学主義のよりどころになっていた音韻研究ではなくむしろ類型論を称揚し、アメリカ流に染まってそれを顧みない現在の日本の言語学者たちを批判する。西洋からでなくその周縁である、ロシアや東欧から見る非印欧語圏を重視するツラン主義、ユーラシア大陸の多くを占めるウラル・アルタイ語族を見つめる視点は非常におもしろい。議論の中に気まぐれなトリビアがあっても悪くないが、この視座に立っていたら、もっと大きくおもしろく書けただろうにと思った。
面白かったです
2022/03/14 12:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本語を含むウラル・アルタイ語にまつわるエッセイです。私には難しすぎたので、時を少しおいて再読したいと思います。
私には難しかった。
2021/07/06 11:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本語のことを知りたくて読みました。
なじみのない言語が列挙されていて、日本語の仲間なのにピンときませんでした。
難しかった。