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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日:2021/04/27
  • 出版社: 講談社
  • ISBN:978-4-06-523551-5

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一般書

電子書籍

硝子戸のうちそと

著者 半藤 末利子

夜中にふと目が覚めた。そんなことはこの夜に限ったことではない。若いころなら枕に頭をつけた途端に寝入って朝まで目覚めないのが当り前のことだった。今はそうはいかない。何度寝返...

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硝子戸のうちそと

税込 1,771 16pt

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硝子戸のうちそと

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商品説明

夜中にふと目が覚めた。そんなことはこの夜に限ったことではない。若いころなら枕に頭をつけた途端に寝入って朝まで目覚めないのが当り前のことだった。今はそうはいかない。何度寝返りを打っても廊れないときは眠れない。そういう日は手洗いに行き、睡眠薬を服用してから寝床に戻る。そうして何とか朝方まで寝入る。目覚めた時間が六時、七時だと起きてしまう日もあれば、それから九時、十時までぐっすり睡る日もある。
 今夜は私一人である。隣りで寝息をたてたり寝返りを打つ音がまるで聞こえてこない。私は臆病だから私を取り巻く静寂な闇が、私を抑えつけて胸を圧し潰したりしないか、とビクビクしている。
 でもその夜は一人きりのわりには、不思議なほどこわくなかった。もう老人だものなぁ。私がお化けになって人に恐がられる日も間近いのかもしれない。そんなことを考えた。
 夫は今朝入院して、今はいないのである。……
 夫が救急車で入院するのもおそらく珍しいことではなくなって、その回数も増えていくであろう。私がその都度うろたえないように、あわてないように、と神様が私に練習の機会を今日は与えて下さったのであろうか。
 八十七歳と八十二歳の夫婦には、やがては無に帰する日が来るのであるが、その日が来るまで長く生きていくのは、それほど容易なことではない。試練はまだこれからか。とにかく年を取るということは、避けることができないだけに、大変な大仕事なのである。

年を重ねると同じものが別のように見え、かぎりなく愛しくなってくる。一族の歴史、近所のよしなしごと、仲間たち、そして夫との別れ。漱石の孫である著者によるエッセイ集。

目次

  • 漱石山房記念館
  • 一族の周辺
  • 硝子戸のうちそと
  • まちと仲間と
  • 人みな逝く者
  • 年を取るということ
  • 夫を送る

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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.0

評価内訳

紙の本

見送った夫は半藤一利さん

2021/11/25 16:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

今年(2021年)1月亡くなった半藤一利さんは、自ら「歴史探偵」を名乗り、昭和史の研究について多くの著作を残された作家ですが、最初に半藤さんの名前を知ったのは1992年に出版された『漱石先生ぞな、もし』というエッセイでした。(この作品はのちに新田次郎文学賞を受賞しています)
 なぜ昭和史の半藤さんが夏目漱石のエピソードを書いたのか。
 実は、半藤さんの伴侶である末利子さん、すなわち本書の作者、が夏目漱石の孫にあたる人なのです。
 末利子さんのお母さんが夏目漱石の長女筆子さん、お父さんが松岡譲さん。
 なので、この本のタイトルも漱石の随筆『硝子戸の中』にあやかったものになったにちがいありません。

 この本には祖母であり、悪妻といわれることの多い漱石の妻夏目鏡子のことも書かれているエッセイも数篇あり、その中で末利子さんは鏡子のことを「女傑であった」と書いています。
 そういうズバッという小気味いい文章が末利子さんのエッセイの特長ともいえます。
 そして、その小気味よさが夫である一利さんの死に至る日々の姿を描いた文章にもうかがえます。

 一利さんが亡くなる数年前に骨折し、その後完治せず入退院を繰り返すことになります。
 そのことで末利子さんにはいいたいことがたくさんあるのだと思います。
 このエッセイ集の「夫を送る」という章に書かれた数篇で、その思いが吐露されています。
 そして、最後にこう綴るのです。
 「もし来世があるなら、私はまた夫のようにぴったりと気の合う、優しい人と結ばれたいと切望している。」

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2021/11/16 14:34

投稿元:ブクログ

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2021/08/26 19:24

投稿元:ブクログ

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2021/07/01 09:43

投稿元:ブクログ

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