あの日、松の廊下で
著者 著者:白蔵 盈太
旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。目撃者、そし...
あの日、松の廊下で
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商品説明
旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。目撃者、そして浅野内匠頭と吉良上野介の間に割って入った人物として、彼はどんな想いを抱えていたのか。江戸城という大組織に勤める一人の侍の悲哀を、軽妙な筆致で描いた物語。第3回歴史文芸賞最優秀賞受賞作品。
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すまじきものは宮仕え
2021/10/05 13:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
組織の中で働いたことがある人ならとても共感できるのではないかと思います。昔から「すまじきものは宮仕え」という言葉があるように、無能な上司や同僚やどうしても相性の悪い人達の揉め事やら何やらで神経をすり減らす主人公、梶川与惣兵衛に感情移入してしまいました。忠臣蔵の映画やドラマで「殿中でござる!」と浅野内匠頭を後ろから羽交い絞めにしていたのが梶川与惣兵衛で、事件について日記を残していたことなど初めて知りました。
軽い文体で読みやすく、結末は分かり切っているのに続きが気になり、最後はやりきれない悲しみと余韻が残りました。浅野内匠頭の笑顔や吉良上野介の優雅な振舞が目に浮かぶようです。
こういう解釈もおもしろい
2022/06/29 16:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つかも - この投稿者のレビュー一覧を見る
兵庫県民の私は絶対悪の吉良上野介、気の毒な浅野内匠頭、忠義一徹の家臣団という図式が普通であり、当然であり、疑うべくもないことでした。しかし、こんな解釈もあるんだ!とワクワクしながら読みました。確かに過剰に美化された赤穂浪士の討ち入りですが、ここまで人間レベルの思いややり取りにまで掘り下げられると、「そうかもしれませんなぁ」と思っていしまいます。梶川与惣兵衛の描き方も新鮮です。井上ひさしの『不忠臣蔵』の与惣兵衛とは真逆で、どちらも小説の醍醐味を覚えました。気になることは浅野内匠頭の関西弁。赤穂は関西弁というより、播州弁じゃないのかな?と兵庫県民は思います。「ボケ!」というようりも「ダボ!」が日常語ではなかったかなぁ。まったくの史実ではなく、たくさんの創作が入った時代小説。とても良い時間を過ごすことができました。
心理劇であり お仕事小説であり パロディである。
2024/02/06 17:12
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
皆様御存知忠臣蔵。芥川龍之介をはじめ様々な作家が様々な視点 様々な解釈で、この事件を描きなおしているが、この作品はその中でも最右翼に位置されるべきものである。お互いの意志の齟齬、相性の悪さ、保守前例主義 などなどが悪いめぐり合わせとなって、このような大事件になってしまう。 現代の会社生活や学校生活でもこれに類することは実際に起こりそうで大変にリアル感がある。
ただ題名は、原題の「松の廊下でつかまえて」のほうが、サリンジャーを連想させて面白かったにと思い残念である。
ある意味組織論
2022/03/14 16:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
勅使饗応の大役に携わる旗本・梶川与惣兵衛。浅野内匠頭と吉良上野介の間でほんろうされる中間管理職の悲哀の物語とも読めました。与惣兵衛からみれば二人とも有能で尊敬できる人物なのに、どうしてこんな掛け違いがと慨嘆しきり。
巷間言われる松の廊下の刃傷沙汰の原因とは異なる展開はとても興味深く、何とか人の関係を修復して勅使饗応をやり遂げようと奮闘する与惣兵衛に強く惹かれました。
組織論としてみれば、正論を解き理を重んじる吉良、赤穂藩の「兄貴分」として義に厚い浅野に少々足りなかった義と理のバランス感覚。責任回避と自己の利得しか眼中にない既得権益死守の高家肝煎。主のためなら命も賭す!という思いが先走って知恵も技術も軽んずる赤穂藩の武士。こんな構成メンバーで事が捗るはずが・・・。
天下タイへ尾上度の世で、硬直化してしまった組織と人事。刃傷沙汰の不幸の背景にはこんなこともあったのかと考えさせられました。
松の廊下のすれ違い
2021/12/12 18:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:旅わんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の日本にも、日々正道を守るため矜持を持ってことにあたる吉良上野介や、部下のことを思って上と闘う浅野内匠頭、そして、そんな二人を補佐して頑張って取り回している与惣兵衛はたくさんいると思った。
そして、何にもしない、しないが故に非難を受けることも失敗することもないのに、何故か肩書きと権力を持っていて最後までそれを失わない畠山民部のような人間も、無責任な噂で勝手に面白おかしく騒ぐ第三者も。
赤穂浪士はあまり好きではなかったのですが、官僚の視点から見た松の廊下事件、面白かったです。最初の内匠頭の暴言の意味がわかったとき、ちょっと泣けちゃいました。最後の注意書きは笑った。
夢中で読んだ!
2021/11/14 11:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「忠臣蔵」に関する書物を数多く読んでいる私でもこの作品はとても面白かった。脇役であった梶川与惣兵衛を主役に据えた作者に敬意を表したい。
こういう視点もあったのか、こういう考えもあったのかと実に楽しませてもらった。なによりも与惣兵衛のキャラクターがとてもよく描出されていた。また人々の噂話に関する記述は現代のSNSに対する批判にも共通し、とても共感した。
こんな面白い時代小説、歴史小説ってなかなかない
2021/09/26 23:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
「松の廊下刃傷事件」の原因を克明に記した時代小説。浅野内匠頭と吉良上野介の知られざる関係、そして彼らの仲を最後まで取りまとめようとした旗本・梶川与惣兵衛の気苦労をユーモアも交えた読みやすい文体で書き連ねたとても面白い小説でした。どこまでが史実なのか、まったく分かりませんが、実際にあり得ただろうと思わせる筆力はお見事だと思いました。現代の中間管理職そのままが江戸時代にも当たり前にあったかと思うと、いや今以上に過酷だったかと思うととても切なくなります。この本を読んで「忠臣蔵」のイメージが大きく変わってしまいそうです。とても奇抜で面白い時代小説でした。
梶川の視点
2022/02/22 05:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この立場から忠臣蔵を書いた小説は、初めて読みました。浅野内匠頭と吉良上野介のあいだに、どんな確執があったかが鮮明につたわります。浅野内匠頭にとっては無念ですよねー。