素晴らしい本です
2024/06/30 11:29
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の語る言葉一つ一つに魂があり心がときめきます。生についてとても考えさせられる短編でした。出会った以上、一つの命を最後まで見届けることが大切なことだと思いました。
彼らの人生、まだ途上
2022/02/01 15:48
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロックミュージシャン忌野清志郎が58歳の若さで亡くなったのは、2009年5月2日。
それから1週間後の9日に青山葬儀場で葬儀が営まれ、何万というファンが弔問に訪れたという。
その日をきっかけに、かつて高校から大学にかけて5人組のバンドを組んでいた一人の女性がかつての仲間を訪ねて「ツアー」に出ることを決心する。
それがこの長い(けれど、物語では葬儀から三日後の5月12日から13日にかけてのたった一夜が描かれるだけ)物語の発端。
彼女もすでに46歳。人生後半戦を意識する年。
息子は大学生になって自立し始めたところ。
しかし、彼女のかつての仲間は、一人の男性はリストラにあって失業中、もう一人の男性は新聞社で猛烈に働いた結果妻に去られ会社でも疎まれている。
女性仲間の一人は40歳を過ぎて双子が誕生し育児に追われているし、もう一人は不倫の末に自殺未遂騒動まで起こしてしまう。
そんな彼らの人生を、かわいそうだとか悲惨だとか思うことはない。
語られるのはそういうことだが、物語が終わってしまえば、まだまだ頑張れるぞと彼らと共に感じるのではないだろうか。
そのあたりが、重松清の巧さだ。
この物語にはもうひとつ側面があって、それは2009年7月から始まった長い連載の終わりになって、2011年3月の東日本大震災を迎えたことである。
物語の最後にそのことを書かざるをえなくなったのも、重松清らしいと書いておこう。
愛しあってるかい
2024/03/21 09:15
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投稿者:えんぴつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ハレルヤ」は、いつもの重松ワールドとはちょっと違う。キヨシローがいるのだ。
少年・少女の純な姿を描く重松清が今回描いたのは、46才のアカネたち五人組だ。その影にはキヨシローがいる。
キヨシローが降臨して、アカネはかつてのバンド仲間をさがす。「しあわせですか」と、アカネは言う。
キヨシローは「愛しあっているかい」と叫んだが、本当は「愛してくれよ、オレを、オレたちの音楽を」と言いたかったんだよ・・・そんなことを聞いたことがある。「しあわせですか」の問いは、「しあわせになろうよ、しあわせになりたい」という言葉なのだろう。
重松清はキヨシローが好きだったんだね、キヨシローがいなくなって何だかポカッと寂しいよね。
311のことに触れた一文がある、書きたかったのだろうと感じた。
40代半ばの人が読むと元気が出そう
2022/02/05 09:48
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校卒業後に数年間バンドを組んでいた46歳のアカネがキヨシローの死に触発されて当時の仲間たちを訪ねる物語。リストラに遭った者、44歳で双子を出産して離婚危機にある者、エリートと思われているけど実際は窓際に追いやられている記者、不貞相手とうまくいっていない者…と皆それぞれ苦労を抱えているけど幸せだよね、という帰結。人生の折り返し地点を迎えつつある40代半ばの人が読むと元気をもらえるかもしれません。
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第一章 キヨシローの啓示
第二章 ビタースウィート・サンバ
第三章 ムスタング・サリー
第四章 ホールド・オン、アイム・カミング
第五章 旅立てジャック
第六章 こんな気持ち、うまく言えたことがない
最終章 何度でも夢を見せてやる
出てくる曲を知っていたらもっと楽しめたかもしれない。けれど、流れていく気持ちはわかる気がする。
前を向いていようぜ!!
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「ある日、あのキヨシローが旅立った――。
音楽界伝説の男の死をきっかけに、かつてバンドを組んでいた五人の絆が再び繫がり始める。」
あらすじを読んで、「お?清志郎?」と興味が湧き、大人になったバンドメンバーが再び集まって何やら楽しいハートフル系かと思っていたら、おっと?ちょっと方向性が現実的でビターな感じ。
現実的な時間の経過。
それぞれの人生と現実を生きているメンバー5人の今は、とても生活感に溢れていて現実を突きつけられる。
それでも、若い頃に夢中になったものがあったなら、人生後半戦のモチベーションを軌道修正出来るのかも。
たまには、ビターなストーリーも良き。
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忌野清志郎が亡くなった。学生時代にバンドを組んでいたメンバーの一人が、その悲報を受けて過去のメンバーを訪ねて回る。メンバーは日々の悩みを抱えながら生きていて…。
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「人生の後半戦」いい表現だなー。
やっぱり物語は後半になるにつれて盛り上がる
これからの人生の方が気合い入るって希望が持てる!
学生から、20〜30年も経ってしまえば
そりゃみんな変わるだろうし、
年月に比例していろんなことを経験してくだろうし
人生難航でしかない時もある………。
それにしても読んでてRCセクションが聴きたくなった。
そんなに自分から聴いてたわけではいけど、やっぱり、誰しも聴けばわかる曲を持ってるってのは強い!!!
学生時代、軽音楽部だったとき
部室とか、自分たちのライブの合間とか、合宿とか
ドライブの車の中でとか、常に音楽があったなーーって
懐かしくて嬉しくて寂しい気持ちになりました。
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久々に重松清さんの本。
いつもとテイストは違うように感じた。
キヨシローの死をきっかけにかつてのバンド仲間が再会を果たすが、それぞれに抱えている今があり、このたった一晩で起こる再会の場面が、人生後半戦に向けての活力になっているような感じ。
こんな仲間に学生時代出会えているのは素敵だなあと感じた。
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読後は爽やかで、途中続きが気になって気になって、どんどん読み進めてしまいました。
ただ、ラストはあれで良かったのか?賛成、反対取りまぜて色んな意見が出そうです。私は・・・なんか少し急ぎすぎたような気がしています。ではあれ以上があるのか?と問われると、それもまたないんですが。
会わなくて良かったんかなあ。寅さん的大団円も、あの日を書くならあったんではないか?まあそれでも、それぞれがそれぞれに生きていくしかないのはわかってますが。今、主人公達の年齢にたどり着いた私はそんな風に感じました。
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かつてのバンドマンたちの話
おじさんおばさんになるのも悪くない。
ツラいことも知りたくなかったこともいっぱいあるけど
こういう話で諸々感じるものが多いはず。
RCは世代じゃないけど
一度だけ生で観たキヨシローはまだ覚えているよ。
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初出 2009ー11年「新刊展望」。単行本になっておらず、文庫オリジナル。
高校のブラバン仲間5人が大学時代に「ショットガン・ホーンズ」というバンドで活動し、その後バラバラになっていたのだが、清志郎の葬儀に参列した”アカネ”が、啓示を受けて旅(ツアー)に出て、46歳になったバンドの仲間たちに会う。
リストラされた”ハクブン”と会って、近所の高校でトランペットを吹き始めた少年を激励し、偶然聴いたラジオで”チャワン”がレポーターをしていることを知って、メールを送って現場に駆けつける。そこへ妊活で双子を産んだが夫が海外へ行ってしまった”キョウコ”も子供を連れて駆けつける。しかし、「いま、幸せですか?」というメールに”チャワン”は誰にも会わずに引き上げてしまうのだが、その夜、番組のメインパーソナリティと不倫していた”チャワン”は別れるつもりで手首を切って病院に運ばれ、新聞社に勤める”カン”に入った情報から、みんなが病院に駆けつける。
それぞれが厳しい状況に置かれている。人生の前半戦を終え、A面を反転(という表現はCD世代には通じない!)したB面における人生の希望はA面のそれとは違うのだと語られる。
病院のベッドのチャワンに会えたアカネは、「みんなそれぞれのツアーはまだ終わっていない。次のステージのために自分の楽器を鳴らしていて、それは幸せなこと。だからチャワンも次のステージ頑張りなよ。」と励ます。
最後の章は2011年という東日本大震災の状況でどうしても挿入せざるを得なかったのだろう。希望を暗示してはいるが、ここまで単行本にならなかった理由でもあるのかな。
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忌野清志郎
自分にとっては「なんかすごい人」って認識でしかないけれど、彼の死が誰かに与えるものはとてつもなく大きなものだったんだな、と感じた。
昔を思い返してもう一度辿ろうとするのは簡単だしそうしたくなってしまうけれどそうせずにそれぞれの「ツアー」を続けていく、っていうのがすごくかっこよくて大人ってそうだよな、って思った。
チャワンからの伝言をアカネに伝える本間くんの話し方が社会人なりたて(今もあまり変わっていないかもしれないけど)の自分と全く同じで、アカネの苛立ちがグサグサ刺さった。曖昧に伝えようとするのは自分を守るためでしかないから、ちゃんと自分の発言に自信と責任を持って伝えられる人間になろう…。
最終章でいきなり「私」が出てきて驚いた。そして震災まで時間が進んで驚いた。
大人になるとどうしても学生の頃と色々同じようにいられなくなるけど、それもそれで悪くないよね。
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やっぱり重松さんはハズレがないな。
ちょうど同年代の人たちの話で、わかるわかるって感じで読み終えた。
私も人生の後半戦に入ったと感じていて、そっか、B面か!と納得。
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一緒に夢にむかって進んだ友人だからこそ分かり合えること、伝えられることってあるんだな。
わたしも30年後、学生時代の部活仲間と会いたい。
くすぶってても、えい!となる瞬間があるはずだしその瞬間を見逃さないようにしないと!