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ひきこもりがテーマのアンソロ
引きこもりって暗くて重いイメージだったけど、
コロナ禍で引きこもってみて、意外と楽しいことに気づいた。
このアンソロもいろんな引きこもりがあって、
このコロナ禍でいろんな人がいろんな引きこもりをしているんだ、私のひきこもりはわたしの引きこもりでいいんだと思いました。
まだまだ大変な世の中ですが、
辛いのはわたしだけじゃない、って心強いことだと思うのでもう少しみんなでがんばろって思いました
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梶尾真治作品が含まれるアンソロジーということで購入した。特に「ひきこもり」に興味がある訳ではない。ただ、昨今のコロナ禍に伴って外出自粛を余儀なくされる中、実際の現状には所謂ひきこもりに共通する面もあり、作品の幾つかには共感できるものもある。やはり、今の自分はひきこもりなのだろうか。まあ、現在のひきこもりレベルは人に迷惑をかけるものでは無いので良しとしよう。
梶尾作品は有名な「フランケンシュタインの方程式」が収録、その他には星新一「凍った時間」、萩尾望都「スロー・ダウン」が収録されている。
その他で気になったのは、韓国女流作家のハン・ガン「私の女の実」、立石憲利「桃太郎」、ポー「赤い死の仮面」。
物理的に一つの空間に閉じこもる、閉じ込められる、自ら周りに隔壁を作る、いろいろなひきこもり方があるが、鬱屈した気持ちを自力で昇華できる力を持つ人であれば、一時的なひきこもりなら脱却できるだろう。本書はファンタジー的要素を持つ作品が殆どなので、ひきこもりの具体的解消に対しては何ら助けにはならない話ばかりだ。
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頭木弘樹さん編の短編集。切り口がさえていて、とてもおもしろく読んだ。
ウロボロスを超えた?萩原朔太郎「死なない蛸」怖。
カフカ「ひきこもり名言集」ここまでひきこもりで、結婚を考える恋人がいたっていうのがある意味すごいよ、カフカ。
三年寝太郎のような「桃太郎」立石憲利 こんなバージョンあるんだねえ。おもしろい。
星新一「凍った時間」は初めて読んだ。それとも忘れてたのか? 世界を救ったのにせつない。
ポーの「赤い死の仮面」は、コロナの状況下で読むと、慄然となる。翻訳も抜群の冴え。
梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」は、「冷たい方程式」の笑える悲惨版。
宇野浩二「屋根裏の法学士」はまさにひきこもりニートの話でたいへん身につまされる。
ハン・ガン「私の女の実」植物になる話って、ほかにも読んだことある気がするけど、そのなかでも異常に生々しい。
シェクリイ「静かな水のほとりで」小惑星でロボットと「ふたり」淡々と日々を送る人の話。ロボットに少しずつ言葉をおしえて、少しずつ会話が成立していき、でもやがて人は老い、ロボットも老朽化し……。しんとした美しさがしみて涙した。これがいちばん好きだったかな。
萩尾望都「スロー・ダウン」感覚遮断実験の話。すべての感覚を遮断したとき人はどうなるのかという話をとてもリアルに。
上田秋成「吉備津の釜」これも読んだことがあるような気がするけど思いだせない。こわー。髪だけってのが生々しくておそろしい。
巻末の頭木さんの解説もよいです。
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昨年最初の緊急事態宣言になった時、まっさきに思い出したのは『赤い死の仮面』だった。
一番強烈と感じたのは『死なない蛸』かなあ。
『フランケンシュタインの方程式』は悩めるテーマなのに、ユーモアSF的な語り口が楽しい。元ネタ?の『冷たい方程式』も読んでみたくなった。
『私の女の実』はやはり『菜食主義者』を思い出してつらくもなった。
『静かな水のほとりで』はアイディアとしてはさほど突出とも思われないのに、妙に印象に残って後をひく。
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編者の頭木さんのアンソロジーは小説だけではなく詩や漫画が入っていてジャンルレスなところが好き。
今回の「ひきこもり」アンソロジーには、なんと私の大好きな詩人萩原朔太郎の作品が二つも入っている!(詩と随筆) うれしい。
「死なない蛸」は子供のころに読んで強烈な印象を残した名詩。筑摩書房の『変身ものがたり』というアンソロジーにも収録されているし、いろいろな見方ができそう。自分は幻想実を味わいつつも、閉じ込められ忘れられたものの恨みは永久に滅びない……という教訓的な読み方をしていた。
知らない作品の中で印象的だったのは
ロバート・シェイクリイ「静かな水のほとりで」
梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」
どちらもSFだけど、味わいはかなり違う。上は静謐で下はドタバタ。
しんみりするのは上。
人間の勝手さにひどいなぁ、となるのが下。
なんだか、この感じわかる、となったのは
ハン・ガン「私の女の実」
現実的な希望を叶え得なかった女性が人外のものへ変わっていく、といっても恐怖的小説なイメージではなく、もっと静かな……という像は私の頭の中にもあって、ああ、ここに具体化された作品があった、という気持ち。
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ひきこもりがテーマに編まれた12の物語。「凍った時間」はさすが星新一、久しぶりに読んだけど鋭い所を最後にえぐってくる所が気持ちよかった。「フランケンシュタインの方程式」はずっと気になってた疑問が最後に(笑)ハン・ガンの「私の女の実」は知ってると思ったら「菜食主義」のあとがきで読んでたからだった…ただ悲しいとか腹立たしいで終わらないのは最後の夫の行動なのかな。「静かな水のほとりで」がとても気に入ったのに、絶版が多いとの事で残念すぎる。何処かで探したいものです。新しい出会いがたくさん生まれた素敵な本でした。
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とりとめのない精神論。人間って生き物は、昔から変わらないんだ。結論なってない。いろんな意味で無限∞。
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カフカに親近感。絶望名人読んでみようかな。
<収録作品>
死なない蛸/萩原朔太郎
ひきこもり名言集/フランツ・カフカ
桃太郎/立石憲利(編著)
凍った時間/星新一
赤い死の仮面/エドガー・アラン・ポー
病床生活からの一発見/萩原朔太郎
フランケンシュタインの方程式/梶尾真治
屋根裏の法学士/宇野浩二
私の女の実/ハン・ガン
静かな水のほとりで/ロバート・シェクリィ
スロー・ダウン/萩尾望都
ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話/頭木弘樹
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自らも13年間ひきこもりだったという頭木弘樹さんが編集したひきこもりがテーマの世界初かもしれないアンソロジー。
全部面白かったです。
萩原朔太郎の『死なない蛸』は水族館の水槽の中で誰からも存在を忘れ去られた蛸を描いた散文詩。
そして頭木さんといったら忘れちゃならないカフカのひきこもりに関する名言集。カフカ自身はひきこもり状態にはならなかったようだが、ひきこもりチックな願望が見て取れる。
岡山県の方言が珍しい’鬼退治に行かない’『桃太郎』。『桃太郎』はいろんなバージョンがあるらしい。
星新一の『凍った時間』。高度なサイボーグであるムント。自分の姿が嫌で人々の視線を避け、ひきこもっていたがーーー。さすがのキレ。
ポーの『赤い死の仮面』。疫病に侵された世界から逃げるように城に閉じこもった城主と千の人々。ケレン味がある。
SFコメディの梶尾真治『フランケンシュタインの方程式』。宇宙船の中、酸素は一人分。乗員は二名。
再度登場の萩原朔太郎のエッセイ『病床生活からの一発見』。朔太郎版・病気になってから気づいたこと。
大正時代のニートが主人公の『屋根裏の法学士』宇野浩二。
日本でも人気の韓国作家ハン・ガン『私の女の実』。これはこのアンソロジーが初訳だそう。訳者は斎藤真理子さん。妻の体に表れた緑の痣。その痣はどんどん大きくなりーーー。
安部公房が褒めていたというロバート・シェクリイの『静かな水のほとりで』。宇宙の果てのある男とロボットと‘マーサ’の話。
萩尾望都の漫画『スロー・ダウン』。青年は実験に参加している。何もない部屋でずっと過ごすという実験をーーー。
番外編にひきこもらなかったせいでひどいめにあう話。これは『雨月物語』から一編。
ラストはあとがきと作品解説。
頭木さんの選書センスに参りました。
各作品前の頭木さんの前口上も上手く、その作品にスウッっと入って行ける。
ひきこもったことのある方には共感を、そうでないかたには発見を届けてくれる、かもしれない。
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「ひきこもる」をテーマにしたアンソロジー。小説、エッセイ、漫画。洋の東西、時代も様々。ひきこもらざるを得ない昨今、読んでみた。小説は、SFというかショートショート的なものが多かった。引きこもって一人で読むと、ちょっと怖いかも。
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編者 頭木弘樹(かしらぎひろき)
大学三年の時に難病に罹り十三年間ひきこもり生活を送られた編者が、ひきこもることで気づくことを描いた文学を編纂
編訳書『絶望名人カフカの人生論』
アンソロジー本『絶望図書館』
を読了していた
収録作品
萩原朔太郎 死なない蛸
フランツ・カフカ ひきこもり名言集
立石憲利編著 桃太郎(鬼退治に行かない)
星新一 凍った時間
エドガー・アラン・ポー 赤い死の仮面(既読)
萩原朔太郎 病床生活からの一発見
梶尾真治 フランケンシュタインの方程式
宇野浩二(大正文学) 屋根裏の法学士
ハン・ガン 私の女の実
ロバート・シェクリイ(アメリカSF小説) 静かな水のほとりで
萩尾望都(漫画) スロー・ダウン
頭木弘樹 ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話(雨月物語 吉備津の釜)
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ひとりなら僕だっていきてゆけます。
床の上に寝ればベッドから転ぶ心配はありません。
う~ん。まぁそうだよね。
水族館の地下の水槽で暮らす忘れられた蛸。飢え渇望して我が身を食らう。
なくなっても生きている・・萩原朔太郎
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2021夏の文芸書フェア
所蔵状況の確認はこちらから↓
https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001012659
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13年間のひきこもり経験のある著者の選ぶ「部屋から出られない人のための」アンソロジー。私はひきこもるタイプではないけど、今までにない視点で物語を読むことができて、とっても満足です。
引き篭もり止めたら、こんな楽しいことがあるよ、というような物語は12のうちひとつもありません。引き篭もるとこんな新しい発見があるよ、という話がほとんどです。ひきこもり部外者には、ひきこもりたちの声にならない声の代弁を聴いた気になります。朔太郎やカフカや星新一やポーや萩尾望都が、代弁をやってくれている。
私としては、岡山在住の日本民話の会会長立石憲利さんが採取した「鬼退治に行かない桃太郎」がお気に入り。完全岡山弁で、みんな意味わからんところもあるじゃろうけど、とっても身近じゃった。
萩尾望都の「スローダウン」(1985.1発表)。一度読んだはずなのに、ひきこもり漫画として紹介されると、おゝそういう見方もあるのか!と発見。その見方から見ても物凄く秀逸な作品なんだとビックリしました。五感全ての感覚を遮断した部屋で暫く過ごさせる実験。それをやると、「現実感覚」が変化していく、と頭木さんは言います。そういう時にふっと現れた「人の手」が特別なものになるという。頭木さんは、「どうしてあの感覚がわかるのか」「天才恐るべし」と書いています。「一度きりの大泉の話」を読んだ今、なんとなくわかる気がするのです。
「小説を読んで、心に残るフレーズがひとつでもあれば、それはもう読む価値はあった」と頭木さんはいいます。大きく肯首します。アンソロジーというものは、それを手助けする格好の方法だろう、と思います。頭木さんが多くのアンソロジーを編んでいるのはそういうことなのでしょう。
本書は、ひきこもりの方も読めるように、本と電子版同時発行だそうです。
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タイトルだけで買った本
装幀もキリッとしてて好み
アンソロジーって読んだことなかったかも
どのお話もよかった
ハンガンの話とシェクリィの話が特によい
実はどっちも読んだことなかったので
読めてよかった
ドタバタしてるのもあれば
シーンとしてるのもあるし
バラエティーに富んでてうまく集めたなぁ
己の本の読み方に足りなさを感じて
ちょっとしょんぼりしたりもした
よかったよーって
人にオススメするほどではないので
星は4つにギリギリ届かない3つ
そっと隠しときたい本みたいな…
そんな感じ