少しでも興味が湧いたら読んでほしい。
2022/02/22 13:17
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投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物の生態について書かれたエッセイが元より好きなのですが、本書もとても興味深く、読んで良かったです!
著者さんの情熱と、愛情を感じます。
イラストも可愛らしく、写真も豊富。文字だらけで読むのが大変な本かなと勝手に思い込んでいたので、開いてみてびっくり!
とてもポップな印象で、文体も愉快で飽きませんでした。
骨格標本の作り方が特に興味深かったです!
楽しくも考えさせられる
2022/10/01 15:53
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
博物館員、海獣学者という全く馴染みのない分野の方が書いた著作であったが、ユーモアを含んだ書き方で大変に読みやすく、同時に勉強になった。海岸に打ち上げられたクジラの調査の苦労から始まって、沖縄のジュゴンの調査まで、楽しくも考えさせられる話ばかりであった。
あの淑女の芳香のもとはクジラの肛門から…
2021/10/09 21:38
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投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
などなど興味深い話が豊富。
第一線の人が面白おかしく話してもらわなければ一般の人の触れる機会の少ない世界。
映像化してもというか、した方がさらに世間に伝わるのではないか。
日本はクジラにかかわるのに適した海域をもつ国であるとのこと。もっとこの学問研究が盛んになってほしい。
知らないこと沢山
2024/01/25 13:26
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は、クジラは哺乳類としか知りませんでした。その他は、勉強不足だったせいもありますが、知らないことばかりで、大変興味深い内容でした。小中学生にもいいかもです。イルカとの関係もよくわかりました
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最近の学者先生は文章の上手い人が多い。
まことにありがたい限りである。
「キリン解剖記」は抜群に面白かったが、このクジラ、アザラシ、オットセイの先生も文章が上手い。
素人にわかるように、かつ、魅力的に感じるように説明してくれる。
リアル「へんなものみっけ」の先生だ。
オットセイの剥製を作る苦労話なんか読むと、次に科博に行ったときには剥製を見る目が変わるような気がする。
そうだよねぇ。
みんな、誰かが苦労して作っているんだもんねぇ。
ということも、言われないと気がつかないもんだなぁ、ということにようやく気がついたのであった。
司書は読んどいたほうがいいよ。図鑑見るときの目が変わるから。
2021/08/05 更新
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8月25日新着図書:【クジラやイルカが海岸に打ち上げられると駆けつけて調査解剖。博物館の標本収集ってすごい!科博に行ってみたくなります。】
タイトル:海獣学者、クジラを解剖する。
請求記号:489:Ta
URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28185076
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たまたま図書館の新着コーナーで手に取った。いやっー、面白い!
クジラを始めとする海の哺乳類のストランディング(漂着)に奔走する著者や博物館・水族館等の職員(研究者)の努力と苦労が伝わってくる。おもしろおかしく描いているが、もちろん海の哺乳類への思い(畏敬の念にも近いか)や真摯に生態を研究する姿勢があるからこそ、過酷とも言えるフィールドワークをこなしていけるのだ。
この本もぜひ若い人に読んでもらいたい一冊だ。好きこそものの上手なれ!
しかし、この分野の研究費は決して十分なものではない。日本では若い人(研究者)の努力や根性が求められ、欧米列強は背伸びしなくても日本と同等以上の研究成果が得られる環境があるようだ。若い人の人口が減るなか、若い能力を有効に活用する術を真剣に考えることが必要だ。
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クジラの解剖の苦労や重要性などが読みやすい文章で綴られている。こんなに大変な作業の末に博物館で展示されている標本があることが分かり、これから標本の見方が変わるかもしれない。クジラの話だけでなく、アシカやラッコの話も触れられているので読んでいて飽きない。
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給食に出るクジラの竜田あげが、ごちそうだった小学生の頃、学校で捕鯨船の映画を見ました。太いロープの着いた銛を大砲のようにシロナガスクジラに何本も打ち込み、血に染まった海から巨体を船にあげ、薙刀のような刀(大包丁?)でスルスルと解体していく働く大人の姿に感動したものでした。
お父さんが捕鯨船に乗っている同級生もいました。
近所の中学校には、校舎のすみにクジラの標本(もちろん、作り物)がありました。小学生が5~6人またいで乗れる位4メートルほどの黒いゴムの皮膚にリアルなフジツボが着いていて目はガラスでした。
経年劣化が激しく、黄色のスポンジが出てきていて、中学入学時には、無くなってました
何の為のクジラだったのか?分からずじまいになりました。(東京の学校です)
科博の分館が新宿にあった時、科博祭りで
イルカの解剖を小学低学年の子と見学させてもらいました。社会人になった子に
「イルカの解剖を見たの覚えている?」と聞いたら「うわー!あの臭いニオイ‼️忘れるわけないでしょ‼️」と叫んでいました。
まさしく、あのニオイに身を置いていられる田島先生、研究者の皆様、暑さ、寒さの中
ありがとうございます❗ご苦労様です。
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友人が「職場で見つかった鯨を博物館に引き取ってもらった!」と報告してきてくれて盛り上がっていた最中に、偶然本屋さんで見つけた本。
研究者の皆さんがワクワク楽しむ様子が伝わってきて、すごく面白かった!たった一体のクジラの死体から、ヒトの営みの環境への影響が様々に解明されていく過程がおもしろい。おかげでストランディングのニュースを見かけるたびに(あの鯨から標本は取れたのかしら…ゴミにされちゃったのかしら…)と気になる日々です。
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海獣学者、クジラを解剖する。
海の哺乳類の死体が教えてくれること
著者:田島木綿子
発行:2021年8月5日
山と渓谷社
著者は獣医学博士、国立科学博物館研究主幹、筑波大学大学院准教授。海の哺乳類の研究者。
鯨類(クジラ、イルカ、シャチ)、鰭(き)脚類(アシカ科、アザラシ科、セイウチ科)、海牛類(ジュゴン、マナティ)に分けられる海の哺乳類(約5400種)について基本的なことを書いている本。読むと、こうした海獣たちについて、自分は基本的なことですら知らない、たぶん多くの人にも知られていない、そんなことを実感する。その前に、分かっていないことが多いというべきかも知れない。
著者の主な仕事は、クジラが中心となるが、ストランディングした海獣を解剖し、記録し、標本を保存すること。ストランディングとは、クジラなどが海岸に打ち上がること。死んでいることが多く、自治体が粗大ごみとして処理する前に交渉し、解剖などをさせてもらう。腐敗臭が酷く、地元住民からの苦情もあるため時間との闘いでもある。生きているものは、地元自治体などと協力して海に帰してあげる作業もする。
日本はクジラ大国で、世界のクジラ約90種類のうち、半数が日本近海にいたり回遊したりする。そして、ストランディングも多く、報告されているものだけで年間300件あり、ほぼ毎日どこかで上がっていることになる。連絡があると、取るものも取りあえず現地に飛ぶ。
ストランディングしたクジラは危険で、不用意に近づいてはいけない。大型クジラの場合、皮下脂肪がとても分厚く、死ぬと体温が外に放熱されないため体内の腐敗がどんどん進む。放置すると、体内に繁殖した大量の細菌がガスをどんどん出して風船のように体が膨張、爆発する。YouTubeでもいくつかその映像がアップされているので危険を知る意味でも見て欲しいと著者は言う。
骨格の標本はとても貴重。しかし、骨についたタンパク質や脂分を完全に取り除く必要があり、大型の晒骨機で何日も煮込む。豚骨スープを取る要領だが、クジラの骨のスープは食べることができないらしい。
イルカとクジラは生物学的には同じ。一般的には、体長4メートル以下のクジラをイルカ、それ以上をクジラと呼ぶ。
ストランディングの原因として今の段階で分かっているのは
①病気や感染症
②餌の深追い(夢中になって浅瀬へ)
③海流移動の見誤り(南から来たクジラが誤って冷水塊に入ってしまうなど)
○例外的な事例として、3.11発生の約1週間前の3月6日に茨城県でカズハゴンドウというイルカが50頭近く大量にストランディングした。2011年にニュージーランドでマグニチュード7クラスの大地震発生直前にも、ヒレナガゴンドウが100頭以上、ストランディング。
大量のものを「マスストランディング」と呼ぶ。なぜそれが起きるのか?
・感染症
・地球規模の磁場の変化による進路の選択ミス
・頭蓋骨内に寄生する寄生虫が脳を破壊して群れ全体がストランディングする
・軍事演習による低周波ソナーに驚いて急浮上し、減圧症(潜水病��になる
ストランディングした乳飲み子のクジラなのに、体内から海洋プラスチックが見つかった。衝撃だった。
奇妙なことに、海洋プラスチックが発見される個体のほとんどは、胃の中がからっぽで餌が見つからない。通常は、餌生物の残渣であるイカのクチバシや魚の耳石、骨などが見つかることが多い。
人と海獣のこんな話も。
ミャンマーのエーヤワディー川では、漁師とカワゴンドウ(イルカ)が協力して魚を捕る。カワゴンドウが船近くまで魚を追い込み、尾ビレを水面上で打ち振って合図を送る。それを見た漁師が網を水面へ拡げて魚を捕まえる。カワゴンドウはおこぼれをもらう。
これをするために4-5年かけてイルカと意思疎通を図るらしいが、なぜイルカが猟師と協力するのかという理由は分かっていない。イルカは自分で魚を捕ることができるのに、自分の分を人間に捕らせる理由が分からない。
なお、カワゴンドウは淡水に来ても大丈夫。
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海外の水族館で、セイウチを担当していた飼育員が、水中でじゃれついてきたセイウチを振りほどくことができずに溺死したケースがある。日本でラッコの飼育をしている飼育員でも、水の中で引っ張られると生命に危険を覚えることがあると言う。
1種類の動物のある特徴を知るためには、最低30体は研究や調査に使う必要がある。
クジラは「ヒゲクジラ」と「ハクジラ」の仲間に大別される。ヒゲクジラは口の中にヒゲ板が大量に生えているクジラ。
スキムフィーディング(漉き取り摂餌)は、泳ぎながら口先を少し上げるだけでオキアミや動物性プランクトンが海水とともに口の中に入ってくるが、ヒゲをフィルターにして餌だけを口の中に残し、海水を外へ排出させる。
ボトムフィーディング(底質摂餌)は、海底の泥の中にすむカニやヨコエビなどを、口の右側を海底につけてから吸い込み、上に向けた左側から泥と海水を吐き出す。口の中に餌だけ残る。
エンガルフフィーディング(飲み込み摂餌)には、有名なバブルネットフィーディングも含まれる。
ストランディングしたクジラは遺伝子を調べ、個体同士の血縁関係を判定する。オウギハクジラを分析すると、日本海側にはどうやら大きな二つの母系集団(母親の先祖が二つのグループで構成)があることが分かった。
シャネルの5番は、マッコウクジラの腸から発見される「結石」で作る。「龍涎香(りゅうぜんこう)」といい、マッコウクジラからしか見つかっていない。発見できる確率は100頭ないし200頭につき1頭。
マッコウクジラの脳油は食用、燃料用、薬用に活用された。なぜマッコウクジラだけが龍涎香と脳油を持ち合わせているかは解明されていない。
通常のヒゲクジラは、10-39ヘルツの鳴き声だが、かつて「52ヘルツのクジラ」と呼ばれるクジラがいた。1989年にアメリカの研究チームにより発見。他のクジラには聞こえないはず。「世界でもっとも孤独のクジラ」と呼ばれるようになった。それでも成長の軌跡が記録され、1シーズンに移動した距離は最長で1万キロを超えるシーズンもあった。現在は行方不明。
シャチはビッグママ1頭を中心とした母系社会をつくり、その一つ��群れをポッドと呼び、ポッドごとになまりや方言がある。各ポッドは数頭から十数頭、交尾の季節になるとポッドが大集結してスーパーポッドになり、お見合いパーティをして近親交配を防ぐ。
日本沿岸では
アザラシ科は、ワモンアザラシ、ゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシ、クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシの5種。
アシカ科は、トドとオットセイの2種。
「分解されにくい」「蓄積されやすい」「長距離移動性がある」「有害性がある」化学物質のことをPOPs(残留性有機汚染物質)と総称する。POPsは、食物連鎖を介して小さな生物から大きな生物へと移行し、そのたびにどんどん濃縮される。海の食物連鎖の頂点に位置するクジラやイルカなど哺乳類は、高濃度にPOPsを含んだ餌を日常的に口にしていることになる。それに加えて直接POPsを飲み込んでしまう。
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打ち上げられたクジラの臭いって、ものすごいという話は想像するだけで… 一方でマッコウクジラの腸で作られる龍涎香(りゅうぜんこう)は、シャネルの5番だという。ぜひ嗅いでみたい!!鳥羽一郎の兄弟船のくだりには、思わず笑った。
科博のレジェンド渡邉さんの話や尊敬する山田先生エピソードは、とても面白く羨ましくさえ感じた。
「おうちで体験!かはくVR」これからは全く違う視点で楽しめそうだ。色々知ることができて良かった。
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なぜクジラは打ち上がるのか、を追い求めて。
日本は実にたくさんのクジラ・イルカがストランディングしているらしい。ニュースでたまに報道されるから、珍しいことなのだと思っていた。そしてストランディングしたのが死体なら自治体の判断でゴミとして扱ってよいらしい。これは本当にビックリした。水族館の人など専門家がやってきて調査するのが当然だと思っていた。
クジラは日本の捕鯨文化が国際的に槍玉にあがるほど馴染みのある動物であり、イルカはかわいくて頭がよい水族館の人気者である。それなのに知られていないことが多い。ストランディングした個体は数々の謎を解く鍵なのだ。現場に駆けつけて解剖を進める著者は自身を刑事や法医学者に例えていた。検死を行い死因を特定する。それが無念にも打ち上げられた遺体への供養というように。
海洋プラスチックごみについても触れられている。マイクロプラスチック問題と環境汚染物質POPsについて、ストランディングの原因になっているのではないかと。人間の生活がストランディングの原因になっている例は漁業、レジャーなどもあげられているが、プラスチックについてが一番心に響いた。プラスチックにあふれた便利な生活をしながらクジラの雄大さに憧れイルカを愛でている人間の矛盾。
なによりも印象的だったのは、この本が一般向けに出された意味である。ストランディングの多さ、解剖する理由、明らかになっていることとこれから解明すべきこと。これらをもっと知らせていくことか、クジラたちの謎を解明し、クジラたちを取り巻く環境を守っていくことにつながるのだ。知らせることで世界をよりよくすることは、研究者の役割のひとつだと思った。
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驚きがいっぱいの研究の現場をユーモラスに描いた好著。
最近、生物系の研究者の肩の力が抜けた面白い本が多いなー
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全く知らない海獣研究の世界をわかりやすく面白く紹介されていて、とても興味が湧きました。
こんな女性の研究者もいらっしゃるんだと思うと、わくわくします